咳き込まれる口臭とは
口腔ケアアンバサダー(社団法人口腔ケア学会認定)の上林登です。
口臭がしていないか不安な時、近くの人に咳き込まれたり、くしゃみをされた経験はありませんか?
においの感じ方は人それぞれで異なります。嗅覚で感じた感覚は、脳の偏桃体で「快か不快か」情動として分けられるからです。Aさんには心地よい香りでも、Bさんにはイヤな臭いかもしれないのです。
だからといって、自分の口臭が気になっていると、周囲の反応が気になって仕方がないですよね。反応は、咳、鼻をすする音、ひそひそ話、視線などケースによって様々ですが、すべて「私が臭いからだ!」と思い込んでしまう人もいます。
一つ一つの周囲の動きや音に反応すると、ストレスがかかります。ストレスは自立神経を乱し、口臭を発生することになると知っていますか?
そのようなことにならないように、今回の記事は、口臭が気になる人が咳込まれた時のことを例にあげて説明したいと思います。
口臭が気になっている人が周囲の反応のトラウマから脱していただくための記事です。周囲の反応が気になり人と会うのが怖いという場合には、ぜひご参考にしてください。
咳が臭いとお困りでしたら、こちらで臭い原因が分かります。
>耳鼻科でも治せない「喉口臭」とは?原因と治し方・予防
関連記事:「口臭」に関するQ&A
口臭による周囲の反応
口臭が気になると周囲の反応が気になるものです。周囲の反応はその時によって様々ですが、多いのは、ひそひそ話や視線の他、鼻をすする音という周囲の反応ではないでしょうか。
- 他人の会話:ひそひそと自分の口臭を話しているように聞こえる。
- 電車の中などでの人混みの反応:鼻をすする音、くしゃみ、咳き込む、咳払い。
- 店内などで人の視線を感じる
しかし、このような周囲の反応があったとしても、それがあなたの口臭が原因とは限りません。というのは、すべての人が同じように感じるわけではないからです。
口臭で周囲の反応を気にするには、何かしらの要因があったのです。
口臭を自覚している
口臭をしていると自覚していると、周囲の反応がなくても気になります。だから、少し周囲の反応が見えただけで自分自身もドキッとするかもしれませんよね。
口臭を自覚したのは、家族から「口臭い!歯磨きしてよ!」と言われた人が多いですが、次のような場合も口臭を自覚するようです。
- 他人から口臭を指摘された
- ニンニクなど臭い食事をした後
- 歯磨きをしていない
- 舌が白くなっている
- 風邪などで発熱している
- 胃腸が悪い
- 唾液が粘ついている
- 口が酸っぱい、口がまずい
- 舌がひりひりしている
周囲の目線を気にするタイプ
口臭で周囲の反応を気にする度合いは、性格による個人差が大きいです。
周囲の目を過剰に気にする性格の人ほど、口臭レベルが同じでも「臭くないかなぁ?」と常にアンテナを張っているので、周囲の少しの動きに過敏に反応してしまうかもしれません。
周囲の反応を気にすると口臭が強くなる
一般的には、「自臭症」は精神的疾患で、臭くないのに臭いと思い込んでいるといわれています。他にも、自臭症は「自身の臭いを感じることへの恐怖心」が原因とも。
本当にそうなのでしょうか?私のところへご相談される方を調べると、確かに「口臭で迷惑をかけているのでは。」との恐怖心でストレスがかかっていますが、実際に口臭がしていることの方が多いのです。
口臭は厄介です。というのは、普段口臭が少ない人でも緊張しやすい人の場合には、人と会うとすぐに口の中がからからに乾燥します。そのため、口臭が発生する。これが自臭症の大きな問題かもしれません。
少し口臭がある。⇒ 不安・恐怖 ⇒ 人と会うと緊張する ⇒ 口が乾く ⇒ 強い口臭が発生する ⇒ ストレス ⇒ 自臭症(精神疾患)と診断される
ストレスが口臭原因になる理由は、2つあります。
一つは、自立神経の乱れです。自立神経が乱れることで、唾液が減少したり免疫力が低下することが口臭発生の原因になる。もう一つは、ストレスで交感神経が働くと血管が収縮します。そのことが、口臭原因になる歯周病や舌苔(ぜったい)を悪化させるのです。
> ストレスが口臭原因かも?口臭を改善するためのポイントについて
自臭症は、このように悪いスパイラルによって起きてきます。自臭症を治すには、どこかでスパイラルを切る必要があるのです。
自律神経の乱れから口臭が起きる
ストレスがかかることが多くなると自律神経が乱れます。ストレスは健康を害し多くの病気の原因にもなります。口臭が発生するのは、病気になる前(または病気になっている時)のサインなのです。
健康になり口臭を改善するためには、まず自律神経を整えることが重要です。
【自律神経失調症の対策・治療】
- 専門医で受診する。心配となっている病気・症状を治療する。
- カウンセリングを受ける。
- ストレスを軽減するために趣味や運動をする。
- 楽しいことを行なう。
- 考え方を変える。
- 深呼吸をする。
- ストレッチで体を伸ばす。体を動かす。
周囲の反応の意味付けを変える
口臭による周囲の反応を変えることはできません。誤解しないでいただきたいのですが、動きや音など周囲の状況を変えることはできませんが、そのことに対して「どう思うか?」を変えることは可能です。
大事なことは、自分の気持ちを不快なものにするのか、安心な状態に置くのか、どちらにするかなのです。そのために、「咳」を例にとり説明したいと思います。
他人の咳が気になる
「自臭症かもしれませんが。私が話し出すと周りの人が咳き込みます…外に出るのもおっくうです。」
相談メールで多いのが、この「咳き込まれる」ことの悩みです。
次にご紹介するのは、相談者からいただいたメールの一部です。
歯医者さんに行き、勇気をだして「周りの人が咳込むのが気になるのですが。」と相談したところ、歯医者さんからは、「口臭で咳込むのは無いと思います。」と言われました。
歯医者さんは、「あなたと話してても強い口臭は感じない」と言います。でも、私の周囲の人は鼻に指をあてたり咳込みます。人は私の何に対して咳込むのでしょうか?
というご相談なのですが、あなたは、このような悩みを持っていませんか? もし、口臭と他人の咳との関係性のことで悩まれているのであれば、本日のブログで疑問が解決されるかもしれません。
人から臭うニオイは様々
人は生きています。だから、その人自身の口臭や体臭も違えば、生活臭もあります。また、暑い時には汗をかくので汗のニオイも強くなるし、女性の場合は香水が臭うときもあります。
このように、人によってニオイは様々です。
仕事がタクシーの運転手です。
毎日、老若男女、不特定多数のお客様をお送りしていますが車内は密室です。
色んな臭いの人がいます。お家の芳香剤の匂いがする人や、おそらくペットを飼っているであろう動物の臭いのする人、食事直後の人は何を食べたか当てれるぐらい臭う人もいますし、男性の年配者に多いのですが公衆トイレのような臭いがする人もいます(T_T)
ひどい虫歯の時も口臭がありますし、胃腸が悪い人も呼気が臭います。
特に男性のお客様に多いのですが、傘がカビ臭かったり、洋服が生乾きのような臭いの人も・・・。でも臭いって色々あると思いますが、むせたり咳き込むほどの臭いはそうはないと思います。
一度、すっごい派手なオバサンが殺虫剤のような臭いの香水をつけていました。
虫やったら死んでるな~と思いながらお送りしましたが咳き込んだりむせたりはなかったですよ
出典:Yahoo!!知恵袋
タクシーのような密室の場合、ニオイがこもるため運転手さんでなくても、ニオイに敏感になると思います。
でも、「むせたり咳き込むことはなかった。」と仰っています。何故でしょう?
私の咳き込む時の理由
じつは、私(上林)は、子供のころから気管支が弱いらしく今でも咳が良く出ます。そして、私が咳が出るときというのは、決まっています。
先ほど、散髪屋さんに行ったときに、スタッフが床に落ちた髪を掃除しだした途端に、「エヘン虫」が騒ぎだしたのです。一度、エヘン虫が騒ぐと止まりません。咳をしても何度も出て息苦しくなるのですが、周囲の人にはどのように思われているのか分かりません。「喉がイガイガする」など意外とエヘン虫でお困りの人が多いようです。エヘン虫は口臭の原因にもなるってご存知ですか。
もし、エヘン虫がお困りでしたら、こちらの記事『喉のイガイガ「エヘン虫」が暴れる原因とだまらす方法はコレ!』をご参考にしてください。
ハウスダスト
他人の家に入ったとき(ハウスダストが原因)に、咽にイガイガ虫が出てきて、咳を我慢すると死にそうになるくらい苦しくなります。決して我が家がきれいというわけではなく、アレルギー体質というのは、潜在意識が勝手に「この家にはハウスダストがある。」と思い込むようです。
タバコ
タバコを吸っている場所に行くと、咳がでます。喫煙している人が多い所では咳き込んでしまうので、気をつかいます。
喫煙者との会話
タバコを吸った人がすぐに私と会話をすると、咳が出そうになりますが、我慢しています。
線香
線香をたくと、どれだけ部屋の換気をよくしていても、咳き込んでしまいます。
私の場合には、これらの時によく咳がでます。でも、口臭がしている人と間近で合っても、咳き込むことはありません。それが不思議です。
以前に、電車の中で口臭と体臭が混じり、すごいニオイの方に遭遇したことがありましたが、それでも、咳き込むどころか咳が出そうになることもありませんでした。
これは、あくまでも私のケースですので、すべての人に当てはまるわけではありませんが、ニオイと咳き込むことは関係性が薄いと考えています。
実は、ニオイで咳き込むことがない私でも、お酢に鼻を近づけて嗅ぐと咳き込みます。(むせると言ったほうが良いかもしれません。)酢の場合は、臭いから咳き込むのではなく「酢のガスにむせる」のです。
咳をする原因
それで、口臭と咳込むことの関係について調べてみました。まずは、咳をする原因についてです。咳をする1番の原因は、風邪です。2番目が喘息やアレルギーです。
たとえば、風邪をひくと、もともと鼻炎持ちなど鼻の悪い人の場合は、鼻の不調を引きずる傾向があります。鼻水が出なくなっても、鼻水がのどのほうに落ちてしまい、むせ込んだような咳の原因となります。
さらに、口で息をするようになり、乾燥した空気でのどを痛め、空咳の原因になったり、更なる風邪の引き金となってしまうようです。気管支ぜんそくを潜在的に持っている場合には、風邪が引き金となり、隠れていたぜんそくが表面に出てきて咳が良く出るようです。
もしかしたら、あなたの前で咳き込んだ人は、風邪やアレルギー体質のため咳をしやすい状態だったかもしれません。さらに咳をしやすい体質の人に多いのは、喉に膿栓(のうせん)や膿汁(のうじゅう)ができやすいことです。
膿栓・膿汁ができると、喉に違和感を生じ咳が出るだけではなく、口臭の原因にもなります。
ということは、口臭がしているのは、あなたではなく咳をしている相手の人かもしれないのです。
臭い玉(膿栓)について詳しくは『喉が臭いのは膿栓が原因』をご参考にしてください。
化学物質過敏症が咳の原因
咳が出るには、このようなケースもあるということを知ってください。それは、化学物質過敏症です。
化学物質過敏症について調べると…
「化学物質や薬物の暴露によって、体調不良などの健康被害が引き起こされることを『化学物質過敏症』といいます。」とありました。
さらに、「発症原因や症状、その進行速度や重さなど様々で、医学的に疾患として十分に確立されていません。発症原因や症状、その進行速度や重さなど様々で、医学的に疾患として十分に確立されていません。」とあります。
そのため、アレルギーの症状と見極めがつきにくいようです。
化学物質過敏症の原因は、シックハウス、農薬・殺虫剤、有機溶剤が主な原因とされています。そして、化学物質過敏症になると、次の臭いで咳込むことも。その臭いとは…
- 燃焼物・線香・タバコなどの煙
- 化学調味料が多い食品
- 香水・人口香料・芳香剤のにおい
- 防虫剤・ドライクリーニング衣類
- 印刷された紙・新聞(印字インク)
- 毛染め剤・パーマ液
これらの物質のニオイで、頭痛や咳(ひどい場合は喘息)、めまいの他、倦怠感まで起きるそうです。
以上のことで分かったと思いますが、化学物質過敏症の方は、周囲の人が喫煙者であったり、強い香水をつけているだけで咳き込みます。
じつは、何を申し上げたいかというと…
化学物質過敏症であっても、口臭のニオイ物質には反応はしないのです。
※歯周病の匂いはハイターの臭いのこともある。ハイター臭いとむせてしまうかもしれません。
歯周病の臭いは、例えるなら進行度でも違ってきますが、ハイターのような鼻をさすような臭いから公衆トイレの下水から上がってくるような臭い。
そして動物のしたばっかりの便の臭いや、食べ物を取りはじめた子供の便の臭い。引用:なかはら歯科クリニックブログ
ところが、口が臭いわけでもないのに、あなたが喫煙者であったり、香水をつけているだけで咳き込んでしまうことがあります。
それどころか、あなたが口臭を気にし過ぎるあまり、香料の入っているガムを噛んでいたり、市販の香料含有の歯磨き粉で歯磨きをしていたとしたら…その臭いに反応して思い切り咳き込まれても不思議ではありませんね。
どうですか?口臭と咳には関係性がないことがご理解できましたか?そして、咳き込まれることへの不安が払しょくされましたでしょうか?
えっ?まだ口臭があるのではと不安?
口臭で咳き込まれると思うは被害妄想?
人は誰でも多かれ少なかれ、妄想を描きます。それは、脳の構造にあります。脳は外で起きた事をそのまま認識しません。
見たものや聞いたことを脳のフィルターにかけて、意味付けします。
「前の人が笑ったのは何故?」
「前の人が小さな声で話しているのは何故?」
「前の人が咳き込んだのは何故?」
というように意味付けします。だから、同じものを見ても、人によって意味付けが違ってきます。
だから、人によっては被害妄想を持ってもおかしくありません。でも、程度が問題です。あまりにひんぱんに被害妄想を持っていると精神に障害をきたすかもしれません。被害妄想が日常的に続いている場合には、心療内科などを受診されることをお勧めします。
たまに程度の被害妄想であれば心配はありませんが、被害妄想を持つことは気分の良いものではありません。生活にも支障をきたすかもしれません。
その場合には、意識的に気持ちを明るくする必要があります。お勧めの方法は、早起きをして意識的に「感謝」を多くする。そして、姿勢を伸ばして動きを機敏にする。笑い顔を意識して大きな声を出す。
これらを実践することで、感情の状態が高まるので被害妄想をしなくなっていくと思いますので、ぜひお試しください。
口臭チェッカーで客観的にみる
口臭で悩んでいる人たち、すなわち自臭症の人に多いのですが、悩んでいるのに「自分の口臭がしているかどうか分からない」のです。
えっ?口臭で悩んでいるのに、口臭がしているかどうかを知らないのですか?それでは、悩みがよけいに深くなっても当然です。
「咳き込まれる」ことは、あなたに口臭があるからかもしれませんが、口臭がないからかもしれません。
先ず、その事実を明確にしないと解決することはできません。そのために、行って欲しいのは、口臭を計測すること。
口臭の計測は、口臭外来で測ってもらうこともできますが、簡易口臭チェッカーで測ることもできます。
簡易口臭チェッカーの場合には、正確には計測できないかもしれませんが、口臭ガスで計測するので、口臭がしているかどうかなら分かります。安心するためにもぜひ測ってみてください。
口臭チェッカーで測ってみると、案外臭くなかったという人が多いです。口臭がしていないのであれば、他人が咳き込むのは別の理由ということになります。
しかし、想像外に口臭値が低いと、逆に「口臭チェッカーが壊れている」と思われる方もいます。それほど口臭がストレスになっていることかもしれません。『口臭チェッカーあてにならない!正しい使い方は?』をご参考にしてください。
まとめ
臭いが原因で咳き込まれる場合は、歯周病に罹患している可能性が高いので、早目に歯科を受診されることをおすすめします。
口臭が気になると、周囲の目や動きなどに過敏になります。そして、それらを見て(聞いて)、それを自身の口臭に関連付けてしまい、「臭いから咳き込まれた」と思っている人が多いのです。
しかし、その時の嫌な感情がストレスとなり口臭を悪化させることがあります。口臭を治したいのに、余計に口臭を悪化させてしまうのは本末転倒です。
そのようなことにならないように、この記事をご参考にされ、「咳き込まれたのは臭いからだ」などネガティブな意味付けを変えていただければ幸いです。