口腔ケアアンバサダー(社団法人日本口腔ケア学会認定)の上林登です。
「痰が口臭原因になる」ということをご存知でしょうか?
痰が絡み咳が止まらないと困っている人が多くおられますが、故意に痰を切ろうとしたり咳払いを行うのはよくありません。痰が絡んだときは、深呼吸を繰り返すと痰が上がってきます。
痰や咳が止まらない場合は、「痰を後鼻漏と間違えている」「痰に膿汁が混じっている」「タバコが原因」「ストレスが原因」の4つが主な原因です。
私も咳が止まらない一人ですが、その原因は精神的なストレス球だと分かっているので、ストレスで咳が出ないように気を付けています。
今回の記事は、この点を踏まえて、痰が絡むときの対処法を中心に解説したいと思います。痰と咳にお困りでしたら、ぜひご参考にしてください。
この記事の目次
痰が絡む原因
ヴィックス・ドロップを製造する大正製薬によると、のどの痛みや咳が出るのは、のど(咽頭・喉頭・扁桃)の粘膜の炎症が原因だそうです。
痰は口や鼻と肺をつなぐ気道から出る分泌物で、気管にある細菌やウイルスなどを排出するために分泌されます。健康な人でも痰は出ますが、粘性が少なく普段はサラサラしています。
痰が絡むのは細菌やウイルスに感染したり、汚れた空気やホコリを吸い込んだりしたことが原因になります。風邪以外にも痰が絡む原因はあるので、痰に色がついていたり、痰や咳が良く出る場合は耳鼻咽喉科で診てもらうことをおすすめします。
風邪でもないのに痰の絡みが続くときには、次のようなことが影響していることが多いです。
- 副鼻腔炎による後鼻漏
- 慢性扁桃炎で膿汁が痰と混じっている
- 喫煙習慣
- ストレスが原因
咳や喉のイガイガが慢性化しているしている場合は、こちらの記事『喉がイガイガするのは喉の奥が乾燥しているから。喉の乾燥を防ぐ方法とは?』が参考になります。
痰が口臭原因

「痰」と一言で言っても、いろんな種類の痰があります。
痰は気道からの分泌物で、健康な状態でも出るものです。ただし、その場合の痰はサラサラとしています。
ところが、副鼻腔炎で膿が喉に垂れると、痰に混じり喉にへばりつく。また、口蓋扁桃から分泌される免疫物質の膿(形状により膿汁や膿栓と呼ばれる)が痰に混じると、喉にへばりつき痰が絡むことになるのです。
痰に膿が混じるわけですから、当然臭いにおいを発生します。また、喉に細菌が繁殖すると舌苔も厚くなり、強い口臭になるため、「喉から下水臭やうんこ臭がしている」と悩むことにも。
後鼻漏が痰に混じる
副鼻腔炎(蓄膿症)の場合には、膿が鼻汁に混じり後鼻漏となって喉に落ちてくることがあります。そのため、喉から黄色や緑色の痰が出ていると誤解されやすいです。
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膿汁が痰に混じる

舌の奥3分の1より後ろには、扁桃腺と同じような細胞がぎっしりあって、常に、口から入ってくるゴミやホコリ、細菌を駆除しています。したがって、その付近は常にネバネバした粘液が出ており、その時の状態に応じて反応しています。
よくタバコを吸う人や口呼吸をする人は、常にネバネバしていて、緊張して口を閉じたりすると不快感や自覚的な臭気を感じるでしょう。慢性的な耳鼻科的問題がある場合も、気持ち悪いはずです。
膿汁が原因の場合には、痰が喉に張り付く感じを受けるのが特徴です。
扁桃(へんとう)の穴からは、呼吸によって入ってくる細菌やウィルスから身体を守るために、常に免役物質が出ています。この粘液は、鼻炎や口呼吸などの人の場合には、外から細菌やウィルスが多く入ってくるために、多く分泌されます。
喉にべっとりと(ばい菌がいっぱいの)痰がつくと、扁桃から免疫(粘液)が分泌さればい菌をやっつけます。そして、痰と粘液が混じり膿汁(のうじゅう)ができます。よくある痰の場合にはサラサラですが、痰と粘液が混じった膿汁は黄色く(白ぽい黄色、淡い黄色など)、べっとりしています。
痰が臭い場合は、口臭原因となっている膿汁の対策が大切です。膿汁をできないようにしないと、口臭を予防することが難しくなるでしょう。
膿汁(のうじゅう)というのは、痰にたんぱく汚れが混じりや細菌が繁殖したものを言います。膿汁ができるのは、喉や鼻の疾患から扁桃などに炎症が起き、ばい菌が増えることが原因。
【膿汁の原因となる疾患】
- 蓄膿症(副鼻腔炎)
- アレルギー性鼻炎
- 風邪
- 咽頭炎など鼻や喉の疾患
- 逆流性食道炎
これらの疾患があると、喉にばい菌が増えるために、痰や膿汁(のうじゅう)が出来るようになり喉の奥が臭くなります。扁桃炎になると、「白い塊」が出来るので、この塊が口臭原因になることもあります。
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タバコが痰の原因
痰や咳が3週間以上も続く場合には、長年の喫煙が原因の慢性閉そく性疾患の可能性もあります。思い当たる場合には、すぐに禁煙することが大事ですよ。
まれに結核や肺がんのこともあるので、気になる場合は、早めに最寄の医院で胸部エックス線写真を撮ってもらいましょう。異常が見つかれば、大きな病院で胸部CTスキャン検査で詳しく調べることになります。
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ストレスが痰の原因
ストレスが原因で咳が続くことがあります。「ヒステリー球」とか咽喉頭異常感症と言われますが、はっきりとした原因が分かっていないのですが、精神的なものが影響しているそうです。
痰や咳が止まらないときの対処法
先ほどのように痰や咳が止まらない主な原因は4つです。
原因が特定できたら、その原因に沿って対処を行いましょう。
- 後鼻漏の場合は、「耳鼻科疾患の治療をする」
- 膿汁が混じっている場合は、「膿汁対策をおこなう」
- タバコが原因の場合は、「禁煙する」
- ストレスが原因の場合は、「ストレスを軽減する」
耳鼻科疾患の治療をする
後鼻漏というのは、鼻汁が喉に落ちる症状のことですが、その原因は、風邪、副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、など鼻の疾患によるものです。
風邪の場合は、数日で治り咳や痰もおさまりますが、慢性の副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎などの場合は咳痰も続きます。耳鼻科疾患が咳痰の原因の場合には、その治療を受けることが大事です。
膿汁対策を行う
膿汁対策としておすすめなのは、「喉うがい」と「鼻うがい」です。喉のばい菌をうがいによって洗浄することは良いことです。しかし、うがいで痰や咳に効果がったとしても、原因となる耳鼻科疾患を治さないことには根本的な対策にはならないので誤解しないようにしてくださいね。
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口臭対策
痰が原因で口臭が起きている場合には、喉を清潔にするために、うがいと水を飲むことが効果的です。
喉うがい

- 喉の奥を洗浄するうがい方法は、喉を立て「ガラガラ」とうがいします。
- 口臭原因となる痰(膿汁)や膿栓は、舌の根本と扁桃(喉の左右にある)の部分に多くある。だから、舌の根本と喉の左右を重点的にうがいで水が当たるように行う。
- うがいを行った後は、痰を切るようにして吐き出すと良い。
うがいに使用する水としては、「うがい薬」や「塩水」がありますが、おすすめなのは、「美息美人のアルカリイオン水」です。アルカリの作用で痰がよく切れます。
【美息美人の口臭うがいのやり方】

- 美息美人(びいきびじん)でアルカリイオン水を作ります。
- アルカリイオン水を口に含み、クチュクチュと5回うがいをしたら吐き出します。
- 再度、アルカリイオン水を口に含み、右側の奥歯に当たるように5回うがいをしたら、同じように左側の奥歯に当たるように5回うがいをして吐き出す。
- アルカリイオン水を口に含み、喉を立て右側の扁桃(へんとう)に水が当たるようにガラガラうがいを5回したら吐き出します。
- 同じ要領で、左側の扁桃(へんとう)にも水が当たるようにガラガラうがいを5回し吐き出す。
- 最後の仕上げは、水道水でブクブクうがいとガラガラうがいによって洗浄します。
引用:「口臭うがい」で口臭菌を洗い流そう!これで完ぺきに予防できるかも
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鼻うがい
後鼻漏などの症状がある時には、「鼻うがい」で鼻の中を洗浄すると良いかもしれません。鼻うがいは次のような症状の時に効果的です。
- 蓄膿症(副鼻腔炎)による後鼻漏
- アレルギー性鼻炎による後鼻漏
- 鼻づまりなど
しかし、鼻の中の粘膜はデリケートなので、自己流で「鼻うがい」を行ってはいけません。刺激が強いと逆効果になるのでご注意ください。
鼻うがい(鼻洗浄)を行う場合は、耳鼻科にご相談されると「鼻うがい用の薬」を処方してもらえるので良いと思います。
ときには鼻の突き当り(上咽頭)の炎症が、後鼻漏の原因となったり、不快感を増強したりすることもあります。治療の基本は鼻の病気を治すことですが、慢性化して治りにくい場合は、生理食塩水による鼻の洗浄(鼻うがい)が効果的なこともあります。ただし、洗浄液の温度、食塩水の濃度、やり方などを間違えると、鼻の粘膜や耳を痛める可能性があるため、耳鼻咽喉科医の指導の下に行う必要があります。
タバコをやめる
喫煙は咳や痰の原因となるので、痰が絡まないようにするためには禁煙することが大事です。しかし、習慣になっているタバコをやめることは困難ですよね。
禁煙をするとイライラしますが、特にタバコを吸いたくなる場面で、どのように対処するかが大切です。厚生労働省のHPで紹介されている対処方法をご紹介します。
タバコを吸いたくなる場面での代替法
朝起きてすぐ…すぐに顔を洗う
食事の後…歯磨き
コーヒーと一緒に…コーヒーを紅茶に代える
出勤中の車の中…大声で歌う
仕事の休憩時間…職場の人に禁煙宣言をする
帰宅時の車の中…深呼吸
アルコールとともに…冷水を一緒に置いておき、吸いたくなったら飲む
禁煙を楽にするためには、お薬で補助する方法もあります。禁煙補助薬には、ニコチンガム、ニコチンパッチ、バレニクリンが良いようです。
まとめ
痰が絡む原因は、喉の炎症や疾患だけでなく、ストレスや神経性の場合もあります。また、膿栓や膿汁ができていることで、喉がイガイガしているかもしれません。
痰が絡む、喉の違和感が続く場合は、我慢しないで耳鼻科を受診することが大事です。