口腔ケアアンバサダー(社団法人日本口腔ケア学会認定資格)の上林登です。
舌苔ができると舌が白くなるだけではなく口臭の原因にもなります。そのため、舌磨きをしていませんか?
知恵袋をみると「舌磨きはした方がいいのですか?」という質問も多くありました。もし舌磨きに迷っていましたら、ダメとは言いませんが、できるだけ舌磨きはしないようにした方がいいです。その理由は、舌磨きを行うと舌を傷つけてしまい口臭を悪化させてしまうからです。
このように言うと、「舌磨きをしなかったら不安だ」と仰るかもしれませんね。しかし、舌苔ができる理由を知ると、舌磨きよりも予防することのほうが効果的だということが理解できると思います。
今回は、舌磨きしないほうがいい理由と、舌苔の予防法についてお伝えします。
舌苔は口臭原因になるのだろうか?
舌苔は、舌乳頭の間に汚れ(食べかす、細胞の死がい、嫌気性菌)が溜まることからできます。
また、嫌気性菌が産生した硫黄化合物は唾液に溶け込むため、舌苔があると口臭の原因になります。日本歯科医師会が「口臭の6割が舌苔から発生する」といわれるゆえんです。
しかし、「ほとんどの口臭は歯周病が原因」というのは歯科医師の中では常識です。その理由は、日本人の成人の8割が歯周病に感染しているからで、口臭の原因は歯周病など口内疾患のほうが多いのです。
口臭原因については、こちらをご参考にしてください。
>>口臭の原因がわからない!?よくある口臭原因と適切な対策方法
もし口臭が気になる場合は、舌苔で悩む前にまず歯科を受診することのほうが大事です。
舌磨きのメリットとデメリット
メリット:
- 舌苔を除去すると、嫌気性菌を減らすことができるため口臭を軽減できる可能性がある。
- 唾液の分泌が充分にあるケースでは、舌磨きによって白い舌をピンク色に近づけることができる。
- 細菌を除去することで、誤嚥性肺炎のリスクを下げる効果がある。
デメリット:
- 舌磨きは習慣になるため、舌の磨き過ぎによって舌乳頭や味蕾を傷つけてしまい、舌痛症や味覚障害を起こすことがある。舌がヒリヒリする場合は、今すぐ舌磨きをやめてください。
- 毎日舌磨きを行うと、舌苔が厚くなり、口腔を乾燥させて口臭を悪化させる可能性が高くなる。
- ドライマウスなど舌苔ができやすい体質の場合には、舌磨きをしても舌苔が取れない。
舌磨きしても舌苔はとれない?
そもそも、舌磨きしても白くなった舌がきれいなピンク色になることはありません。
その理由は、舌苔は細菌の塊であり、乳頭の角質にびっしりとくっ付いているからです。そのため、ブラシを使って、どれだけ舌をごしごしと磨いても、舌苔を完全に取ることは不可能です。
このことを知らないで舌磨きに躍起になる人がいますが、舌を磨くのをやめたら舌苔が直ることだってあります。
それだけではありません。舌苔が直らないのは、ドライマウスなどの根本的な原因を改善しないと効果がないからです。
舌苔は予防が大事!
舌苔の予防
何度も申しますが、舌磨きをしても舌苔は解決できません。大事なことは、舌苔を予防することです。
舌を磨いても口臭がなくなるのは一時的です。それは、口の汚れだけで舌が白いのではないからです。舌苔ができる原因を知らないと、白くなった舌を改善することは難しいです。
舌苔の主な原因は次の二つによるものです。 1、 口腔の不衛生(歯磨き不足、虫歯、歯周病など) 2、 口腔乾燥(唾液量の減少、口呼吸など)
舌苔ができないように予防するためには、ていねいに歯磨きする、こまめにうがいをして、口腔を清潔に保つことが大事です。また、咀嚼回数を増やしたりストレスを減らして、唾液の分泌を良くすることが大切です。
また、口腔乾燥がひどい場合には、舌を保湿するために舌ジェルを塗ると口臭予防になります。
舌苔のケア方法
できるだけ舌磨きしないほうがいいのですが、どうしても舌磨きを行う場合には次のように行ってください。
- 専用の舌ブラシを使用する
- 舌の後方から優しくなぜるように磨く(2回だけ)。
- 舌磨きは一日1回だけにする。
舌苔が厚い場合には、コットン(綿花)にアルカリイオン水を湿らせて舌に塗布すると、舌苔の予防になります。
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まとめ
結論として、舌磨きをしても舌苔や口臭の解決にはならないので、舌磨きはしないほうがいいです。舌磨きをしても、口臭が減少するのは一時的で、逆に舌苔が厚くなる可能性の方が高いです。
そのようなことにならないためにも、舌磨きをしないで、舌に優しいケアを行うことが大切です。丁寧な歯磨きケアで口腔がキレイになると、自然と舌苔もできなくなります。
口臭を予防するためには、歯磨きやうがいで予防する他、舌を動かせて唾液の分泌をよくしましょう。