舌が白いのは?
口腔ケアアンバサダー(社団法人日本口腔ケア学会認定)の上林登です。
漢方医学の基本概念では、心身の陰と陽のバランスが保たれている時は健康状態が良いと考えます。その反対に、心身のバランスが崩れると病気になると考えます。
からだの中でも特に、胃腸は精神的ストレスや過労によって不調を起こす部位です。胃腸の調子が悪くなると、消化器官(胃腸)の延長線上にある舌の粘膜にも影響を及ぼし、舌苔(ぜったい)ができます。
舌(舌苔)の色は、五臓(肝・心・脾・肺・腎)、気・血・水が影響して変化するため、舌の状態を観察することで血液の状態、水分代謝の状態、健康状態を知ることができます。
※漢方では生薬を用いた治療を行います
出典:東京医科大学病院
また、漢方の治療では、陰陽のバランスを取り戻すことを重視しているので、食事や運動のほか睡眠など生活習慣の改善することで胃腸を健康にしていきます。胃腸が健康になると、舌苔が減りピンク色に近い健康的な舌になることで確認できます。
健康状態に不安がある場合は、今回の記事をご参考に舌を観察してみてはいかがでしょう。
舌診(ぜつしん)
漢方では、舌を観察して健康状態を診断する方法を用います。舌を診ると、患者の血液の状態や水分代謝の状態などから様々な情報が得られ、健康状態を診断することができます。
舌を観察するときは、形、色、大きさ、舌苔、舌裏の静脈などを観察して異常がないか調べます。
舌は鏡で簡単に見ることができるので、普段の健康状態を診断するためにお勧めします。
舌の状態
舌の色は、白から赤、紫、黒ぽくなるほど、冷え性から熱になります。
舌の見方は…たとえば、舌が白くぼってりと厚い場合には、疲労や食生活の乱れ、睡眠不足などで全身が弱っている状態です。そのため、風邪をひきやすいので、舌が白い時には注意が必要です。また、風邪をひくと熱が体の中にこもるため、白い苔が黄色く熱の色になります。
健康な舌は、粘膜がピンク色で舌の上にうっすらと白い膜が張っています。
陽虚:舌が湿って苔が生えているように見える場合は、基礎体力に乏しい。
陰虚:舌がカラカラに乾いて溝が出来ている場合は、高血圧や糖尿病の人に多い。
血(おけつ):血の流れが悪い場合には、白色や紫色の舌です。
痰湿:白い舌苔がベッタリとくっついている場合は、身体の水分が溜まった状態。水分・脂肪の代謝が悪い時に現れる。
舌にギザギザの歯型がついている:この場合は、舌が厚いとか歯並びが原因ですが、舌筋が衰える「低位舌」が原因かもしれません、
舌が白い(症状)
舌苔が厚くなっている時は要注意です。疲労やストレスがたまると、体が免疫低下になり舌苔ができます。先ず舌が白いかどうかを見るようにしましょう。
舌が白いと困っている人が多いです。舌が白くなっている部分を舌苔(ぜったい)といいます。舌苔は、舌の中央部に一番多くあり、舌の奥にかけて白くなります。人によっては黄色くなります。
舌苔ができている人に多い症状は、舌が乾燥してパサパサになる、舌が痛い、苦い、変な味がして食べ物の味が分からない、口臭がする、、、などです。舌苔の原因について詳しくは『舌が白い人は舌苔です。舌苔を取り除く7つの方法とは?』をご参考にしてください。
舌が白くなる原因
舌が白くなる原因は2つあります。一つは、唾液が少ないか口呼吸が原因です。もう一つは、免疫力の低下が原因です。
東洋医学の舌診では、舌が白くなっていると「免疫力の低下」が原因だとします。これは、西洋医学でも言っていることです。ですから、日本口臭学会や歯科大学でも教えられます。
東洋医学では、舌苔ができるときには胃腸が弱り消化不良を起こしているといわれています。消化不良を起こせば免疫も下がります。
>> 舌が白いのは胃腸が原因 ❘ 対策はストレス発散と食習慣
舌に分厚い苔が載っているとします。これは、消化が追いつかず、食べ物がたくさんお腹に残っていると判断します。東洋医学では「食積」という消化不良の状態です。ですから、東洋医学からすると、舌苔の厚い人は口臭がして当然なのです。
出典:甲子園鍼灸治療センター 舌診 舌を見て分かること
舌苔対策
ですから、舌苔を取るというか治すためには、対処療法ではなく、消化不良の原因を取り除かないといけないというわけです。
さらに東洋医学では、消化不良を起こしているのは、「自律神経の乱れ」。いわゆるストレスによるものだと。詳しくはこちら『ストレスが舌苔の原因になる!?』もご参考にしてください。
自律神経が乱れると、次のような症状がおきます。当てはまるものはありませんか?
【自律神経が乱れから起きる症状】
- 頭痛
- めまい
- 疲れがとれない
- 食欲不振
- よく眠れない
- 手足がむくむ
- 冷え性
- 肌が荒れる
- 慢性の肩こり、腰痛
- 月経不順、月経痛
- イライラする
- のぼせる
ですから、舌苔(ぜったい)ができる根本的な原因である自律神経を整える必要があるのです。
自律神経を整えるために、東洋医学では鍼灸や整体によって治療しています。もし、西洋医学だけで舌苔が取れない場合は、鍼灸や整体が有効かもしれません。
暴飲暴食で舌が白くなった体験談
私の舌苔(ぜったい)ができた体験をご紹介します。これを読むと漢方でいわれるように「免疫低下が舌苔に影響する」という説明がよくわかると思います。お恥ずかしいですが、勇気をだしてお話します。
なんてことだ!
ずっと舌が白いことなんてなくて、喜んでいたのに…
正月早々に舌が白くなった理由は、帰省して実家の兄と飲んだからです。田舎の空気と水がおいしい!うれしくて、田舎の料理がおいしく酒の量が増えたのです。
しまった!
飲み過ぎてから翌日に反省しても後の祭りです。
いつもは、必ず寝る前には、歯磨きと舌磨きをしますが、その日は酔っぱらってしまい、睡魔に負けたのです。
そんな調子ですから、歯磨きをすることもできずに、寝てしまったのです。
そして、
翌朝、目を覚ますと喉がからから。前日にお酒を飲み過ぎたからです。妻が言うには、いびきもすごかったようです。
いつものことなのですが、飲み過ぎたときには、いびきをかくようです。(本人は知らないので、…ようですと表現しました。)
当然、口呼吸!になり、口もカラカラ。。。
眠い目をこすりながら、洗面台に歯磨きに行き鏡を覗くと、、、、
舌が白い!!
何てことだ!
思わず、ゴシゴシと舌を磨きそうになりました。(皆さまが、舌を強く磨いてしまっていることが良く分かりました。)
舌をゴシゴシと磨きたいのをグッと我慢して、平静を保ち、口臭予防歯磨き粉「美息美人」のビンから一振り、
でも、もう一振り!!!そして、歯磨きをいつもどおりに。
それでも、白くなった舌はきれいになりませんでした。その日の午前中は、お腹の調子も悪く、トイレにも何度か行くことに。
そのためもあり、朝食を抜きお腹を休めていると、お昼には元気が戻ってきました。二日酔いもなく快調に。
午後になっても心配で何度か鏡を見ると、あれ?白くなっていた舌がきれいになっている。漢方でいうところの「陰陽のバランス」が整ったからですね。
いつもの舌に戻っていたのでほっとし、胸を撫ぜおろしました。
皆さまは、乱れた生活をして私のように舌が白くなったことはありませんか?
私の場合は、お正月早々舌が白くなるという経験をしましたが、舌が白くなる原因と治し方も分かりました。
私の舌が白くなった理由
①暴飲暴食
②酒(アルコール)の飲み過ぎ
③口呼吸
④睡眠不足
⑤就寝前に歯磨き・舌磨きをしない
以上のことがいくつか重なると、誰でも舌が白くなるということを身をもって教えられました。
舌が白くなっているときには口臭もひどくなるので、口臭が気になる時は漢方で教えるように生活習慣を改善して心身のバランスを調えることが大切です。
胃腸が原因で舌が白い場合の治し方
胃腸に不調をきたすと消化器の延長上にある「舌」の乳頭が伸びて舌苔が付きやすくなります。舌が白い時には、ストレスや疲労から胃腸が弱っている可能性が高いです。
舌が白くならないようにするためには、普段から胃腸を健康にするようにしないといけません。そのための方法をご紹介します。
- 暴飲暴食を避け、朝食をしっかりとって胃腸のリズムをつくる
- ストレスをためずに、適度な運動をする習慣をつくる
引用:大正漢方胃腸薬サイト「胃と上手に付き合うコツ」より
まとめ
舌苔(ぜったい)ができる原因は、いろいろありますが、その中でも免疫力の低下によって舌苔ができることは多いです。
そして、舌苔がよく出来る人の特徴の一つに、胃腸が弱く消化不良を起こしていることがあります。胃腸の不調はストレスが影響していることが多く、自律神経を乱す原因にもなります。
その場合の対策として、鍼灸や整体が有効なことがあるかもしれません。また、歯型の原因として「冷え」が関係している場合には、漢方薬が有効かもしれません。
でも、自律神経の乱れや冷えについて気になる場合には、自己判断しないで専門のお医者さんに診てもらうことが大事です。
参考文献: