口腔ケアアンバサダーの上林登です。
歯周病は怖い病気です。毎日しっかり歯磨きをしていても、歯周病に感染すると、知らないうちに進行します。
そして、歯ぐきがぶよぶよに腫れ、歯肉が黒ずみ紫色になる。疲れがたまると、化膿し頬まで腫れることもあります。歯周病は、このように進行し最終的には抜歯することになります。
歯が抜ける1番の原因は、虫歯ではなく歯周病だということをご存知でしょうか?最も怖いのは歯周病かもしれないのです。
こんな怖い歯周病にならないために、予防することが大切なのですが、ほとんどの人は、歯周病になる原因を知りません。これでは、予防できないですよね。
今回の記事は、歯周病の原因と予防についてお伝えします。
歯周病は歯が抜ける怖い病気
歯周病は悪化すると出血し臭くなるため、歯槽膿漏(しそうのうろう)とも言われます。しかし、歯周病の初期は痛みもないので自覚症状もないかもしれません。
それでも、歯周病菌による感染によって、歯肉に炎症が起きるので、歯周にポケットができます。ポケットができると汚れがたまりやすくなり、歯石が付きます。歯石にはプラークがつきやすく歯周病菌が増える元になるというように、悪循環になることが多いのです。
歯周ポケットの中には、歯肉炎による膿(血や組織液)がたまるので、口臭が発生するのはこのためです。
初期歯周病の過程では、歯ぐきがぶよぶよに腫れます。特に痛みはありませんが、免疫力が落ちたときに化膿し痛みを生じることも。
噛み合わせが悪い場合にも、歯根膜などの歯周組織に過剰負担がかかり、炎症が起き痛くなることがあります。この段階になると、するめいかなどを沢山食べると、歯ぐき(歯)が痛くなるかもしれません。詳しくは『「さきいか」を噛むと歯や歯ぐきが痛くなる!その原因と対処法』をご参考にしてください。
中程度の歯周病になると、リンゴなど固いものをかじると出血することがあります。進行すると、歯磨きを行うたびに出血がします。パンをかじっても出血するときには要注意です。
重度の歯周病(歯槽膿漏)になると、歯ぐきが下がり歯が長くなります。歯ぐきの色も悪く、食事を行うたびに痛みを生じるかもしれません。歯周病の症状について詳しくは、『歯周病の口臭、出血、歯茎の腫れに効く歯磨き粉の選び方』をご参考にしてください。
歯周病の原因
歯周病の原因で多いのは、糖尿病、喫煙、歯磨き不足、薬の副作用、口呼吸など。それらが、どうして歯周病と関係しているのか、一つずつご説明します。
糖尿病が原因で歯周病になる
歯周病になると血糖値が上がることが分かっていますが、糖尿病になると歯周病にもなるといわれています。それほど、糖尿病と歯周病は深く関係しています。
糖尿病になると体の抵抗力が下がるので、いろんな病気を引き起こすことになります。糖尿病が合併症を起こすのはそういう理由からです。
同じように、糖尿病になり抵抗力が低下すると、歯周病菌にも感染しやすくなるのです。このほかにも、糖尿病になると唾液の分泌量が減るため、口の中の汚れがたまり不衛生になります。そのことも歯周病になりやすい要因の一つです。
歯周病を治療し、症状が改善されていくと糖尿病の症状も改善されたという報告もありますが、これはまだハッキリとはしていません。
ただ糖尿病を同時に治療していかなくては歯周病を完治させる事が難しいことだけは確かなのです!
喫煙が原因で歯周病になる
タバコを吸う人は、吸わない人よりも歯周病にかかりやすいことが分かっています。
喫煙者は、お口が臭い・ヤニがついて汚いだけではなく、歯周病(歯槽膿漏)にかかりやすく、ひどくなりやすいので、更に治療しても治りにくいことが解っています。
ある統計データによると、歯周病にかかる危険は1日10本以上喫煙すると5.4倍に、10年以上吸っていると4.3倍に上昇し、また重症化しやすくなります。
出典:日本臨床歯周病学会 歯周病とタバコの関係
タバコを吸うと、歯周病になりやすいだけではなく、舌苔(ぜったい)や臭い玉(膿栓)ができる原因にもなります。そのため、下水臭や生臭い口臭がします。
ニコチン・タールの臭いが口臭になると思われることが多いのですが、実は、病的な口臭にタバコのにおいが混じっているのが本当なのです。ですから、喫煙者が歯周病になると、とんでもなく臭い口臭を発することになります。このことについては、『タバコの口臭は想像以上に臭い!歯磨きで消えない場合の対処法』をご参考にしてください。
歯周病の原因で多いのは歯磨き不足
歯周病になるのは、プラークが原因。ですから、歯周病にならないようにするためには、ブラッシングをしっかりと行いプラークを除去すれば良いのです。言葉でいえば簡単に聞こえます。
しかし、人によって歯並びが悪かったり、歯肉の形が複雑だったりすると、容易にブラッシングができなく、プラークが残るかもしれません。
また、たいていの人は、朝の出勤前に歯磨きをていねいに行う時間がありません。そのため、ブラッシングをしてもプラーク残しができます。
それに、市販の歯磨き粉の場合、発泡剤や香料が入っているので、サッサとブラッシングしても、磨けた気持ちになります。このことが、歯磨き不足の原因になっていることが多いのです。
降圧剤の副作用で歯肉が腫れる
高血圧になるとほとんどの方は、血圧を下げる「降圧剤」というお薬を服用しています。その降圧剤の副作用で歯肉が腫れることがあります。
皆さん、降圧剤を飲んで歯肉が腫れることをご存じですか?近年、高血圧の患者さんも増えています。それらの多くの方が、降圧剤を服用していますが、ここで問題なのがそのうちの何割かに歯肉増殖症が発症するという事実です。
特に、ニフェジピンによる歯肉増殖症が有名です。これは、一種の副作用です。服用者の2~5割に程度の差こそあれ発症するといわれています。
降圧剤の副作用で歯肉が腫れることについて、内科では教えてもらえないことが多いようです。ですので、このことを知っておくと安心して対処ができます。
そして、薬の副作用だからといっても、歯周病にかかっていない人には起きません。だから、歯周病を治療することで治るとのことです。
出典:降圧剤の服用者は要注意!歯肉増殖症・ケースレポート
口呼吸の習慣が歯周病になる
子どもの口呼吸はよく見かけますが、大人になると、ふだん口呼吸をしている人は少ないものです。
しかし、睡眠中、口呼吸をしている人は案外多いものです。いびきをかくのも口呼吸ですが、鼻炎の人の場合、鼻がつまり口で呼吸することに。
このように、口呼吸をしていると、口内が乾き細菌が増えやすくなります。そのため、歯周病にもなりやすい。
口呼吸が歯周病に悪いというのは、口が乾燥しがちになるからです!
口を開いていることによって、歯と歯茎の周囲が乾燥し、歯周病菌が粘度を持つことで歯にへばりつこうとするのです。
歯周病菌はじめ口の中の細菌は、嫌気性菌とよばれ乾いた環境で繁殖しやすいため、口呼吸が歯周病や虫歯を進行させる原因になるのです。