差し歯の歯磨きの仕方
口腔ケアアンバサダー(社団法人日本口腔ケア学会認定)の上林登です。
差し歯を入れていると口臭が気になる方が多いです。差し歯が古くなると差し歯と歯との間にプラークが付きやすく、また歯肉炎を起こしやすいからです。
そのため、他の歯よりも差し歯の部分を丁寧にブラッシングする必要があります。ブラッシングには、歯ブラシだけでなく歯間ブラシ、デンタルフロス、ワンタフトブラシ、など使い分けると良いでしょう。
また、歯肉の炎症が悪化している場合には、歯周病用歯磨き剤などを適時使用するようにしましょう。歯磨きを丁寧にしても口臭が改善しない場合は、差し歯が合っていないことがありますので、歯科医院を受診して歯医者さんにご相談されることをおすすめします。
差し歯が臭くなる原因は様々ですが、次のことが主な口臭原因です。
- 歯周病
- 虫歯
- 差し歯の樹脂が臭くなる
この中でも、歯周病が口臭原因になっているケースが多いのですが、元々の原因といえば、「差し歯が支台歯に適合しなくなっているから」です。
この記事では、差し歯を入れていると口臭がしやすくなる理由と、差し歯からの口臭がある場合の対策法についてお伝えします。もし、差し歯による口臭が気になっている場合には、今回の記事「差し歯の歯磨きの仕方」がお役に立つことでしょう。
「差し歯」とは
前歯の中にあるのが、差し歯の金属部分です。金属の部分を支台歯といい、その上にセラミックや硬質レジンで作った歯冠を被せます。これが、現在の差し歯の製作方法です。
しかし、10数年前の差し歯の製作方法は、支台歯と人工歯が一体化していました。そして、その差し歯には、セラミックではなく硬質レジンでできたものが多かったです。
差し歯や白い詰め物(コンポジットレジン)を入れている場合には、口臭が起きることがあります。
その理由は、差し歯と歯根の境目に隙間ができやすいことがあげられます。古くなると、差し歯と歯根の隙間に食べかすがたまります。そして、プラークがつき歯肉炎にもなりやすくなります。
そのため、ニオイも出る。ですから、差し歯と歯ぐきの境目はとくにブラッシングをていねいにする必要があります。
差し歯という呼び名は俗称です。少し昔に流行った前歯の人工歯のことですが、現在では、差し歯を入れる歯医者さんはほとんどいないです。
差し歯を入れると口臭になるのはなぜ?
今まで口臭と無縁だった人でも、前歯に差し歯を入れた時から、口臭が出て困ることがあります。その理由は…
差し歯が口臭を引き起こす2つの理由
理由1、人工歯の材料が口臭を引き起こすから
ポーセレンは陶材なので水をはじきますが、硬質レジンやコンポジットレジンには吸水性があります。簡単にいうと、レジンには目に見えない細かい穴が無数に開いているために水を吸います。
水を吸うということは、唾液や細菌も無数の穴に入ってしまうことになるのです。
これって、どういうことか分かりますか?
レジンが腐ったように臭くなるのです。でも、レジン歯を入れている本人には分からないと思います。
こんなことを自信を持って言えるのは、私が若い頃に技工士をしていたからです。
技工士になりたての頃に、こんな嫌な体験をしたことがあります。それは、患者さんが使っている入れ歯を合わすために技工用エンジンで削り磨いていたときです。
臭い!臭い!。。。。
マスクをしても臭いので、その上にタオルで口を覆っても我慢できない臭いでした。今でもハッキリ覚えています。「こんな調子で今後、技工士を続けられるかな?」と将来に不安を抱いたくらい臭かったのです。
でも職業とは不思議なもので、そんな強烈な悪臭にも慣れてしまい、その後、15年も技工士を続けたのです。
レジンの歯が臭くなることについて、分かってもらえましたか?
理由2、差し歯と歯ぐきの間に隙間ができ歯垢がつき口臭がする
この理由による口臭原因というのは、かなり多いです。
考えてみてください。
差し歯を入れている人は虫歯が多いです。もしかしたら歯周病にもなっていて抜歯した経験があるかもしれません。
虫歯や歯周病のどちらにしても、これって歯磨きが上手にできてなかったりドライマウス症であったり、どちらにしても虫歯や歯周病(歯肉炎・歯周炎)になりやすい人です。
ですから、たとえ、虫歯を治療し差し歯を入れたとしても、虫歯や歯肉炎になりやすい人なのです。だから、差し歯を入れたからと言って安心するのではなく、今まで以上に歯磨きをていねいに行う必要があります。
もちろん、人工歯の差し歯は虫歯にはなりませんが、差し歯と歯ぐきの間の歯周ポケットに汚れ(プラーク)がたまります。その結果、歯肉に炎症が。
歯肉炎になると、歯周ポケットが深くなるので、更に汚れ(プラーク)が溜まるという悪循環に。それだけではなく、歯周ポケットには膿がたまります。
すると、食べかすが腐敗した臭いと歯周病菌が産生するメチルメルカプタンガスが混じるために、強烈な口臭が出るように。詳しくは『歯周病は予防できる!早期に症状を見つけ対策しないといけない』をご参考にしてください。
この状態のときに、歯間ブラシを使いニオイを嗅ぐとすごい臭いをします。歯間ブラシが、「うんこ臭い」といわれる方がいますが、その理由は腐敗臭と歯肉炎によるニオイが混じっているからだったのです。詳しくは『歯間ブラシが臭い!その原因と取り方について現役の歯科医が教えます。』をご参考にしてください。
この2つの理由があることで、差し歯を入れていると口臭を引き起こすリスクが高くなります。口臭原因について詳しくは『口臭がドブ臭でもアルカリイオン水うがいで取れるのか?実際にやってみた結果・・・」は意外とカンタン!?』をご参考にしてください。
差し歯による口臭の対処法
だからといって、あきらめる必要はありません!たとえ差し歯を入れていても、口臭を予防することが可能だからです。次に、差し歯による口臭を予防する4つのステップをご紹介しますので是非お試しください。
歯科で診てもらう
差し歯と歯の間に隙間が出来ているとか、歯ぐきの色が変色している、歯周ポケットが深くなっているようなケースでは、差し歯を被せている歯と合ってないかもしれないので、歯科でレントゲン撮影をして調べてもらってください。
その時、差し歯が合ってなければ、新しく作り変える必要があります。
差し歯と歯ぐきの間のブラッシングをていねいにする
差し歯を作り変えても、ブラッシングが上手に出来てなければ、また、口臭が起きるので、正しく歯磨きを行うことが大事です。
ワンタフトブラシで磨く
一般的な歯ブラシだけでは、歯周ポケットの汚れを取るのは困難です。歯周ポケット専用のワンタフトブラシを使用すれば、かなりの効果をあげることができるようになります。
口臭予防歯磨き粉「美息美人(びいきびじん)」で口臭ケア
「口臭は重曹で臭いを消すことができる」と、勧める歯医者さんが多いです。うがいの方法は、重曹を水に溶かしてうがいを行うので簡単です。
しかし、重曹の水溶液はpH8.2で「弱アルカリ」ですので、pH10.5(強アルカリ)の口臭予防歯磨き粉「美息美人」の方が臭いがよく取れます。
美息美人(びいきびじん)はアルカリイオン水なので、歯周ポケット内の汚れをきれいに落とすことが出来ます。また、口内をアルカリにすることで歯肉炎の元となっている細菌の活動を押さえる働きもあります。
この4つのステップを踏むことで、たとえ、差し歯を入れてから口臭がしていたとしても、改善することができます。口臭で困っていましたら、すぐに実行されることをお勧めします。