監修:歯科衛生士 上林ミヤコ/執筆:上林登(口腔ケアアンバサダー)
「面接や会議の前になると口が臭う気がする」「人前で話すときだけ乾いてニオイが気になる」――。そんな不安を感じていませんか?
それは「緊張口臭」と呼ばれる一時的な生理的変化。実は、ほとんどの人が経験している自然な現象です。この記事では、“今日すぐ使える応急ケア”と“再発させない習慣”を、専門家の視点と知恵袋の実例からわかりやすく解説します。
まず結論|緊張すると口が臭くなるのは“生理的口臭”
緊張すると、体は「戦うか逃げるか」のモードになります。このとき自律神経のうち交感神経が優位になり、唾液の分泌がぐっと減少。口内が乾燥し、細菌が増えやすくなることで、ニオイが強く感じられるのです。
つまり、「緊張=悪いこと」ではなく、誰にでも起こる自然な防衛反応。ほとんどの場合、緊張が解けると唾液の量が戻り、ニオイも自然に落ち着きます。
- 水をひと口ゆっくり飲む
唾液の代わりに口をうるおし、飲み込む動作で自然に唾液が出やすくなります。 - 鼻呼吸に切り替える
口呼吸は口内を乾かし、細菌が増えやすくなります。会話の合間に深呼吸を。 - 無糖キシリトールガムを5分だけ噛む
唾液を刺激してニオイ物質を薄めます。甘味入りガムやミントスプレーは逆効果になることも。
・緊張していない時も一日中ニオイが強い
・人から「口が臭う」と指摘された
・歯周病・虫歯・胃の不調がある
→ 歯科(必要に応じて内科)を受診しましょう。
今すぐできる!緊張口臭を30秒で軽くする3つのコツ
① 水を飲んで「口の乾き」を即リセット
緊張で口がカラカラになると、細菌が増えやすくなります。常温の水をひと口、ゆっくり含んで飲むことで唾液が刺激され、口内環境が安定します。
② 鼻呼吸に切り替えて酸素と心を落ち着ける
深呼吸をすると副交感神経が働き、リラックス状態に切り替わります。鼻呼吸を意識すると、口内の湿度が保たれ、緊張も和らぐ一石二鳥の効果があります。
③ 無糖ガムを5分だけ噛んで唾液を出す
ガムを噛むリズムは、緊張による心拍数を安定させる作用もあります。無糖・キシリトール入りのものを選び、5分ほど噛んだら捨てるのがポイントです。甘いガムは逆に細菌を増やしやすくなるので注意しましょう。
緊張すると口が臭くなる“本当の理由”
緊張すると、交感神経が活発になり唾液の量が減少します。唾液には殺菌・自浄・中和といった役割があるため、減ると細菌が急増。これが緊張時のニオイの正体です。
特に舌の上に付着する「舌苔(ぜったい)」はニオイ物質の発生源。詳しくは舌苔の正しい取り方で詳しく紹介しています。
【体験に学ぶ】知恵袋で多い「緊張口臭」3タイプと専門家回答
実際にYahoo!知恵袋で多く寄せられる“緊張時の口臭”の相談を、3つのタイプに整理しました。それぞれに歯科衛生士 上林ミヤコ監修のもと、専門家の視点からアドバイスします。
タイプ①:緊張するとだけ口が臭くなる気がする
「普段は臭わないのに、面接や人前で話す時だけ臭う気がします。相手が顔をそむけるので不安です。」
緊張で交感神経が優位になると唾液が減り、口内温度と細菌量が一時的に上がります。これは「緊張口臭」と呼ばれる生理的な現象で、誰にでも起こります。
対策は「水をひと口→鼻呼吸→無糖ガム」の3ステップを意識しましょう。
タイプ②:実際に臭っていないかもしれないが、人の反応が怖い
「緊張すると周りが鼻を押さえる気がします…。でも家族に聞いても『臭くない』と言われます。」
このようなケースは「心理的口臭(自臭症)」の可能性があります。実際より「臭っているかも」という不安が強く働き、緊張を悪化させてしまいます。
一度「口腔外科」や「心療内科」で相談すると安心です。呼吸法や会話前の深呼吸も効果的です。
タイプ③:緊張していなくても口臭が続く気がする
「リラックスしている時でも口臭がある気がします。胃や体の病気でしょうか?」
一日中続く場合は、歯周病や舌苔、胃腸の不調が関係していることもあります。
まずは歯科でのチェックを受け、それでも改善しない場合は内科へ。
刺激の少ないアルカリ性の洗浄ケア(例:美息美人3ステップ)もおすすめです。
緊張口臭を悪化させる「やってはいけない習慣」
- 香りの強いミントスプレーを多用する
- 甘味入りガムやジュースで口をうるおそうとする
- 舌をゴシゴシ磨く
- 呼吸が浅くなり、口呼吸になる
いずれも一時的にスッキリしても、根本的には乾燥や細菌増加を招く行動です。刺激を与えすぎず、唾液を守るケアを心がけましょう。
再発を防ぐためのリラックス習慣と口腔ケア
緊張体質の人は、呼吸が浅くなりやすく、無意識に口が開きがちです。日常から「鼻呼吸+水分補給+短時間ケア」を意識すると、緊張口臭を予防できます。
また、美息美人のような刺激の少ないアルカリ性洗浄を使うと、舌苔や乾燥によるニオイをやさしく流し出せます。
受診が必要なケースと医療機関の選び方
次のような場合は、緊張口臭ではなく、他の要因が隠れている可能性があります。
- 一日中ニオイが続く/朝・夜も強い
- 歯周病や虫歯がある
- 口内が常に乾く・唾液が出にくい
- 胃のムカつきや逆流がある
まずは歯科(口腔外科・歯周病科)を受診し、必要に応じて内科で全身チェックを。心因性のケースでは、心療内科やカウンセリングで改善することもあります。
まとめ|緊張口臭は“誰でも起こる一時的なサイン”
緊張口臭は、あなたが弱いから起こるのではありません。体が「頑張ろう」と反応しているだけの自然な現象です。正しいケアを覚えれば、人前での不安は驚くほど軽くなります。
緊張している時ほど、呼吸も心も浅くなりがちです。深く息をして、まず自分を落ち着かせること。それが最も即効性のある“口臭対策”でもあります。
参考文献・資料





