口臭は「pHをリセット」で整える|唾液pH測定×緩衝能の見える化と45秒プロトコル
こんにちは、口腔ケアアンバサダー(社団法人 日本口腔ケア学会認定)の 上林登です。
監修:歯科衛生士 上林ミヤコ
「ケアしているのに夕方に口臭が戻ってくる…」――そんな時は、口の中のpH(酸性・中性・アルカリ性の度合い)が鍵かもしれません。pHは一日の中でゆらぎ、酸に傾くと“戻り臭”が出やすい傾向があります。
この記事は、むずかしい話をなるべくやさしく、“測って→中和して→やさしく落とす”の順で再現できる形にまとめました。完璧じゃなくて大丈夫。あなたのペースで、一緒に整えていきましょう。
まず結論:pHリセットの「検査起点45秒プロトコル」
- pHチェック(唾液試験紙を頬の内側に5秒)
- 短時間の弱アルカリで中和(ブクブク10秒×2回=約20秒)
- 舌苔を“なでる”(5秒)→水ですすぎ(5秒)
合計約35〜45秒。刺激に弱い日は水だけから。
※喉うがいの順番(ブクブク→ガラガラ)は別記事で図解しています。
やさしいポイント:最初に“いまのpH”を見える化すると、手順に迷いがなくなります。うまくいかない日があっても大丈夫。続けるほど、あなたのリズムが整います。
pHと緩衝能をやさしく図解(なぜ“戻り臭”が出るの?)
酸性寄りだと何が起こる?
酸に傾くと、唾液の自浄・抗菌・再石灰化が働きにくくなり、舌苔やタンパク残渣が残りやすくなります。結果、夕方の戻り臭につながりやすいのです。
緩衝能=“戻す力”
緩衝能は、酸を中和してpHを元に戻す力。乾燥・口呼吸・ストレス・薬の影響などで弱まることがあり、夕方ににおいが強い人は、一時的に緩衝能が落ちていることがあります。
日内変動をつかむ
- 朝:睡眠中の乾燥でpH低め+唾液量少なめ
- 食後:飲食でいったん酸性寄り→唾液で回復
- 夕方:乾燥・間食・会話量の増加で“山”になりやすい
唾液pHを測る(検査起点で差別化)
自宅でできる「唾液試験紙」の基本
- 飲食・喫煙・うがい直後は避け、15〜30分空ける
- 清潔な手で試験紙を取り、頬の内側に軽く当てて5秒
- 色見本と比較して、おおよそのpHを記録(写真推奨)
※朝・昼・夕で3回測ると傾向が見えます。1回の数値より数日分の傾向を大切に。
歯科でのSMT(唾液検査)という選択肢
歯科ではSMTなどで、緩衝能・酸性度・細菌関連などをチェックできます。メーカー(例:セルスペクト株式会社)の情報や、唾液検査・導入医院の案内(例:まさみ歯科)も参考に、必要に応じてプロの評価を受けましょう。※内容は医療機関により異なります。
pHゾーン別アクション(迷わない行動指針)
判定(目安) | 今やること | メモ |
---|---|---|
pH ≤ 6.2(酸性寄り) | 水→弱アルカリを短時間→水ですすぎ/舌は“なでるだけ” | 糖分・酸の摂取直後は避ける/口呼吸・乾燥も見直す |
pH 6.3–6.8(やや酸性〜中性) | 水中心で流す→必要日だけ弱アルカリを“ちょい足し” | 夕方は乾燥対策をプラス(こまめな水分・口唇閉鎖) |
pH ≥ 6.9(中性付近) | 維持:水ですすぎ+やさしい舌ケアのみ | においが弱ければケアを増やしすぎない |
シーン別「pHリセット」を設計(タイミングが9割)
朝いち(起床直後)
乾燥・舌苔・pH低下が重なりがち。検査起点45秒プロトコルで“朝の山”を下げましょう。
食後
まずは水(または弱アルカリ)で軽く中和→20〜30分置いてからブラッシング。しみ・摩耗を避けるやさしい運用です。
夕方
乾燥・間食・会話量の増加で再び酸性寄りに。pHを測る→短時間の中和→水ですすぎで戻り臭をオフ。
就寝前
フッ素ケアとpHケアは別時間帯でもOK。夜はフッ素の保持を優先、日中はpHリセットでコントロール。
弱アルカリの“やさしい使い分け”(ふやかす→流す)
短時間だけ/最後は必ず水ですすぐ
タンパク汚れは弱アルカリでふやけて動きやすくなります。とはいえ、長時間くわえたままは不要。短時間でサッと使い、最後は水で仕上げましょう。
“順番”の詳しい理屈は別記事へ
本記事はpHの見える化→行動に特化。喉うがい(ガラガラ)を含むうがいの順番は、専用記事で図解しています。
ありがちなつまずき
- 濃度・時間のやりすぎ:ヒリつく日は水だけに戻す
- 最後の水すすぎを省略:残渣が残り、におい戻りの原因に
- 舌を強擦:“なでるだけ”5秒でOK
“実践ログ”で再発を防ぐ(行動が習慣に変わる)
書くのは4行だけ
- 時間帯とpH:例)朝6.5/夕6.1
- 直前の行動:食事・間食・カフェイン・会話量など
- ケア内容:水/弱アルカリ(秒数・回数)/舌ケア
- 体感メモ:ねばつき・乾き・においの自覚
3日で傾向、7日で“自分の山”が見えてきます。できる範囲でOK。
Q&A
Q. 試験紙の色が読みにくい…
同じ場所・照明・時間帯で測り、写真で記録すると比較しやすいです。
Q. 食後すぐ磨くとしみる…
水(または弱アルカリ)で中和→20〜30分置いてからブラッシングが安心。
Q. 弱アルカリでヒリつく日がある…
濃度・時間を短くし、つらい日は水だけに。最後は水ですすぐを徹底。
まとめ|“測って→中和して→やさしく落とす”だけ(検査起点45秒)
- pHチェック:唾液試験紙5秒
- 弱アルカリで中和:ブクブク10秒×2回
- 舌を“なでる”→水ですすぎ:各5秒
※喉うがいの順番は別記事で詳しく。pH記事は“検査起点”に特化しています。
やさしいアルカリケアを試す方へ(LPご案内)
弱アルカリを短時間だけ取り入れると、“ふやかす→流す”がスムーズになります。
具体的な使い方と成分、安全性は、公式LPをご覧ください。
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※うがいは補助ケアです。しつこい口臭・痛み・出血・飲み込みづらさ・発熱などを伴う場合は、歯科や耳鼻咽喉科を受診してください。
※SMTや検査内容は医療機関により異なります。必ず事前にご確認ください。
参考文献
- 厚生労働省「唾液分泌」の解説(e-ヘルスネット): https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/keywords/salivation.html
- 日本歯科医師会シンポジウム報告「ガムで緩衝能改善」: https://www.jda.or.jp/info/2011_04.html
- 日本歯科医師会「口腔診査情報標準コード仕様」(唾液pHや緩衝能の検査コード記載): https://www.jda.or.jp/dentist/program/pdf/Oral-examination-Information-Standard-Code_v1.02.pdf
- 佐々木 泉(2023)「口臭症患者に認められる揮発性硫黄化合物と口腔環境との関連性」: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jdh/73/3/73_197/_pdf
- Choi JE et al. (2017). Diurnal variation of intraoral pH and temperature, PMC: https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5842828/
- Kitasako Y et al. (2006). Oral health status in relation to stimulated saliva buffering capacity among Japanese adults, PubMed: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19902611/
- Sayuti E et al. (2025). Correlation between Salivary pH, Buffer Capacity, and Oral Hygiene, The Open Dentistry Journal: https://opendentistryjournal.com/VOLUME/19/ELOCATOR/e18742106387759/FULLTEXT/