唾液の出ないシェーグレン症候群について
唾液が出ないと「シェーグレン症候群では?」とご心配になるかもしれません。シェーグレン症候群は、難病指定されている膠原病の一つで、免疫が自分の細胞を攻撃してしまう「自己免疫の病気」です。
シェーグレン症候群になると、唾液の出ないドライマウス、涙の出ないドライアイの他、関節痛を起こすのが症状ですが、原因については分かっていません。
そのため、シェーグレン症候群によって唾液が出ない場合には、唾液の分泌を促す薬などを使う対処治療を行います。もし、口が乾きが止まらないなどある場合には、この記事をご参考にして病院を受診されることをおすすめします。
この記事では、唾液の出ないシェーグレン症候群についてお伝えします。唾液が出ないことでお悩みでしたら、是非ご参考にしてはいかがでしょうか。
唾液の出ないシェーグレン症候群とは
一日中、口や喉が乾きカラカラ。こんな風に唾液の分泌が少ないのをドライマウスといいます。
そして、唾液が出ないため、いつも舌が真っ白い。舌の表面がまだら(地図状)に白く苔が着いている。それだけではありません。ドライマウスになると唾液が出ないために、びっしりと白い舌苔は治らない。
舌苔については⇒⇒ 舌が白い!舌苔の原因と取り除き方
そして、お医者さんに教えてもらったように、
- ガムを噛む
- 唾液腺のツボを押す
- 舌を動かす体操
などを実行してみても、唾液は出るのは一時的ではなかったですか?
もし、そうであれば、唾液が出ないのは体質などではなく、シェーグレン症候群という唾液が出ない病気かもしれません。
シェーグレン症候群は1933年にスウェーデンの眼科医ヘンリック・シェーグレンの発表した論文にちなんでその名前がつけられた疾患です。日本では1977年の厚生労働省研究班の研究によって医師の間に広く認識されるようになりました。
本疾患は主として中年女性に好発する涙腺と唾液腺を標的とする臓器特異的自己免疫疾患ですが、全身性の臓器病変を伴う全身性の自己免疫疾患でもあります。シェーグレン症候群は膠原病(関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、皮膚筋炎、混合性結合組織病) に合併する二次性シェーグレン症候群と、これらの合併のない原発性シェーグレン症候群に分類されます。原発性シェーグレン症候群の病変は3つに分けることができます。1つ目は目の乾燥(ドライアイ)、口腔乾燥の症状のみがある患者さんで、ほとんど゛健康に″に暮らしている患者さんもありますが、ひどい乾燥症状に悩まされている人もあります(約45%)。2つ目は全身性の何らかの臓器病変を伴うグループで、諸臓器へのリンパ球浸潤、増殖による病変や自己抗体、高γグロブリン血症などによる病変を伴う患者さんです(約50%)。3つ目は悪性リンパ腫や原発性マクログロブリン血症を発症した状態です(約 5%)。経過を見ますと、約半数の患者さんは10年以上経っても何の変化もありませんが、半数の患者さんは10年以上経つと何らかの検査値異常や新しい病変がみられます。
シェーグレン症候群は難病に認定されている膠原病の一種で、厚生労働省のデーターでは1年間に受診された患者数は15,000人~20,000人と発表されています。
膠原病とは、1つの病気の名前ではなく、20ほどの病気の総称で、自分を守ってくれるはずの免疫細胞が自分の体内の組織を攻撃してしまう「自己免疫の病気」
引用:NHK健康チャンネル
しかし、潜在的な患者数は10万人~30万人ともいわれています。それほど、多い病気です。シェーグレン症候群の主な症状は、涙が出ないドライアイと唾液が出ないドライマウスです。そして、中年女性に多いのが特徴です。
そのため、舌が白くなり困ってる中年女性が多いのですが、その原因がシェーグレン症候群だとは知るよしがありません。シェーグレン症候群により唾液が出ないことで、舌に苔が出来ていることがあります。
ですから、何をしても口の渇きがおさまらない場合には、一度、受診されることをお勧めします。
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シェーグレン症候群のセルフチェック
シェーグレン症候群の主な症状は、唾液量が少なくなることですが、シェーグレン症候群は、この他にも次のような症状があるのでご心配な場合はチェックされてはいかがでしょう。
- 関節炎を起こして、間接に腫れや痛みがありませんか?
- 眼が乾いて疲れやすく、ゴロゴロしたり充血していませんか?
- 唾液が少ないために口が乾き、食べ物を飲み込みにくくないですか?
- 「間質性肺炎」「腎炎」「中枢神経障害」になっていませんか?
シェーグレン症候群で唾液が出ない時の対処法
シェーグレン症候群の診察は、症状によって内科、眼科、歯科、耳鼻咽喉科などを受診されるといいでしょう。
シェーグレン症候群の治療を受ける
シェーグレン症候群は、現在の医学では根本的な治癒はできません。難病指定の病気です。
ですが、一応治療方法としては、次をご参考にしてください。
治療は乾燥症状を軽快させることと疾患の活動性を抑えて進展を防ぐことにあります。目の乾燥、口の乾燥はひどくなると著しく生活の質(QOL)を障害しますので、毎日の点眼、口腔清潔を心がける必要があります。エアコン、飛行機の中、風の強い所、タバコの煙などに注意が要ります。皮膚に対して、石鹸の使用、頻繁に風呂に入ること、特に熱い湯は良くありません。膣の乾燥の原因については、アンケートでは20%の患者さんに性交不快感があり、エストロジェンの内服やエストロジェン入りのクリームなどを使用することが必要となりますので、婦人科を受診するのが良いでしょう。規則正しい生活、休養、バランスのとれた食事、適度の運動、ストレスを取り除く等の注意が必要です。
「未来技術の実現予測」(文部科学省科学技術政策研究所、2001年)では、「2021年に自己免疫疾患が完治可能になる」としていますので、この頃には 「シェ-グレン症候群の治癒」が期待されます。これは日本の専門家たちの予測で、このような予測を頭に入れて患者さんと医師が協力し合って忍耐強く病気に対応することが重要でしょう。
シェーグレン症候群の対策としては、乾燥を防ぐことと、規則正しい生活やストレスを取り除くことが、大切です。
【シェーグレン症候群の症状を改善する方法】
- ドライアイ→人口涙液
- ドライマウス→唾液分泌促進薬
- 臓器障害→ステロイドののみ薬
唾液を出すための治療
最近では、唾液を出すための良い薬も出ているようです。
唾液分泌を促進するものとして:アネトールトリチオン(フェルビテン)がありますが、尿の着色、腹鳴などの副作用が出現することがあります。他にブロム ヘキシン(ビソルボン)、漢方薬(人参養栄湯、麦門冬湯)なども用いられますが、これらの薬剤は、患者さんによっては有効です。副腎ステロイド剤も有効で あり、症状に合わせて使用されます。特に、唾液腺腫脹をくり返す時には有効です。塩酸セビメリン(エポザック、サリグレン)は今までの薬剤に比べて有用性が高く、約60%の患者さんに有効で患者さんの評価もかなり良いものです。副作用として消化器症状や発汗などが約30%の患者さんにあります。本剤は人により作用、副作用に大きな違いが見られますので、1日1錠から始め、副作用を見ながら1錠ずつ増量するなどの慎重な服用が望まれます。また、マレイン酸トリメブチン(セレキノン)の併用は、吐き気などの副作用を予防することが報告されています。さらに、水に溶かしてうがい薬として使う方法も検討されていま す。2007年日本において塩酸ピロカルピン(サラジェン)が保険適用となりました。汗をかきやすいという副作用がありますが、塩酸セビメリンと同様に唾液分泌に有効な薬剤です。頭頚部の放射線治療に伴う口腔乾燥症状の改善に対しては、平成17年9月より保険が適用されています。
サリグレン、サラジェンという薬が、唾液を出すために有効なようです。
しかし、どちらも薬ですから副作用もあります。
この副作用を知ったうえで、医師から処方してもらうことが重要です。
- サリグレンの主な副作用…下痢、吐き気、腹痛、嘔吐、多汗、めまい、頻尿、倦怠感など。
- サラジェンの主な副作用… 下痢、腹痛、多汗、鼻炎、頻尿、ほてり、頭痛、吐き気、寒気、めまい、、咳、倦怠感など。
どちらも、唾液を出す効果が高い分、副作用も強いといわれていますので、医師に十分相談する必要があります。
サリグレンやサラジェンなどの唾液を出す薬には、即効性があるかもしれませんが、一つ忘れてはいけないことがあります。
それは、根本的な治療ではないことです。
シェーグレン症候群の根本治療ではないので、薬の服用をやめたら、元どおり唾液が出なくなるのが普通です。
だからといって、一生、強い薬を服用するのは考えものかもしれません。このようなリスクも考えて処方してもらうほうが良いかもしれません。
ドライマウスの場合には、薬の服用の他にも、水を飲む、うがい、保湿ジェル、軟膏で口の粘膜を守ることも大切です。
また、シェーグレン症候群になると、舌苔(ぜったい)ができやすくなります。アルカリイオン水で歯磨きとうがいを行うことをお勧めします。
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