ドライマウス症状の全て: 原因、対策、予防法まで詳しく解説
口腔ケアアンバサダー(社団法人日本口腔ケア学会認定)の上林登です。
ドライマウス(口腔乾燥症)は、唾液の分泌量が減少し、口の中が乾燥する症状です。これにより、口内炎や虫歯などの口腔トラブルが引き起こされることがあります。更年期やシェーグレン症候群などの病気が原因となることもあります。
本記事では、ドライマウスの症状や原因、診断方法を詳しく解説し、市販薬や漢方薬、食事や飲み物の対策、マッサージや舌のケア方法など、実用的な治療と改善方法を紹介します。また、口腔ケアや生活習慣の改善による予防方法も提案します。ドライマウスに悩む方、特に更年期の方に役立つ情報が満載ですので、ぜひ参考にしてください。
ドライマウス
出典:厚生労働省e-ヘルスネット
ドライマウスの主な症状
ドライマウス(口腔乾燥症)は、唾液の分泌量が低下し、口の中が乾燥することでさまざまな症状が現れます。
ドライマウスになると、口やのどが乾いたり、口の中がネバネバしたり、舌に痛みが出たりすることがあります。また、パンやビスケットなど乾いた物が飲み込みにくくなったり、味覚がおかしくなったり、夜に口が乾いて目が覚めることもあります 。
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ここでは、ドライマウスの主な症状について解説します。
ドライマウスの自覚症状
ドライマウスの自覚症状は個人差がありますが、一般的には以下のような症状が現れます。
- 口の中が乾燥し、ネバネバする
- 唾液が出にくい
- 口臭が気になる
- 乾燥した食べ物が食べにくい、飲み込みにくい
- 舌がひび割れて痛む
- 舌炎や味覚障害を起こす
- 歯周病や虫歯が進行しやすくなる
ドライマウスになると、口臭がひどくなることがあります。唾液が減少すると、口の中の自浄作用や殺菌作用が低下し、細菌が繁殖しやすくなり、口臭が強くなります。また、唾液の減少は虫歯や歯周病のリスクを高めます。これらの病気も口臭を発生させることがあります 。
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これらの症状が現れた場合、ドライマウスの可能性がありますので、適切な対策や治療を行うことが大切です。
舌や喉の痛み、口の乾燥などの症状
ドライマウスには、舌や喉の痛みや口の乾燥などの症状があります。特に、舌は唾液の分泌が減ることで乾燥するとカンジダ菌が急激に増え、炎症が起きて痛みが生じることがあります。また、口の乾燥が進むと、のどの粘膜も乾燥し、喉の痛みや嚥下時の痛みが出現することもあります。
口の乾燥は、唾液の清掃効果が低下し、プラーク(歯垢)がつきやすくなるため、虫歯や歯周病のリスクが高まります。また、口腔内の菌が繁殖しやすくなり、口臭が強くなることもあります。
これらの症状が現れた場合、ドライマウスの診断と適切な治療が必要となります。早期に対策を講じることで、症状の悪化を防ぎ、口腔の健康を維持することができます。
ドライマウスの原因
ドライマウスの原因はさまざまで、更年期やシェーグレン症候群などの病気が関連していることがあります。ここでは、ドライマウスの主な原因について詳しく解説します。
ドライマウス自体は病気ではありません。糖尿病、腎臓疾患、薬剤の副作用、ストレス、老化など、さまざまな原因により、唾液が減ってしまうために起こります。特に唾液減少の3大原因は、「加齢」「常用薬剤の副作用」「噛む力の低下」であることが研究によりわかってきました。
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更年期に関連する要因
更年期は女性ホルモンのエストロゲンの減少が起こり、体内のさまざまな機能に影響を及ぼします。エストロゲンは唾液腺の働きにも関与しており、その減少によって唾液の分泌が低下し、ドライマウスが発生することがあります。また、更年期には自律神経の乱れも引き起こされることがあるため、それが口腔内の乾燥につながることがあります。
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シェーグレン症候群などの病気
シェーグレン症候群は、唾液腺や涙腺などの外分泌腺が炎症を起こし、機能が低下する自己免疫疾患です。これにより、唾液や涙の分泌が減少し、口の乾燥や目の乾燥が引き起こされます。シェーグレン症候群は、女性に多く見られる病気で、中高年に発症することが多いです。
また、糖尿病や高血圧、腎臓病などの病気もドライマウスの原因となることがあります。これらの病気は、唾液腺の働きを悪化させることがあるため、口腔内の乾燥を引き起こすことがあります。
さらに、抗ヒスタミン薬や抗うつ薬、抗高血圧薬などの薬の副作用で、唾液分泌が低下し、ドライマウスが発生することがあります。薬物性口腔乾燥の場合は、薬の使用を中止するか、別の薬に変更することで症状が改善されることがあります。ただし、薬の変更や中止は医師の指示に従って行うことが重要です。
ドライマウスの診断方法
ドライマウスは症状が軽度の場合は自覚しにくいことがありますが、放置すると口腔内の健康に悪影響を及ぼすことがあるため、適切な診断と対処が重要です。ここでは、医師による診断プロセスとセルフチェックの方法について解説します。
医師による診断プロセス
ドライマウスの診断は、まず口腔内科や歯科医師による問診と検査が行われます。問診では、症状の持続期間や程度、口腔内の乾燥に関連する病歴や薬の使用状況などを尋ねられます。次に、口腔内の状態をチェックし、唾液の分泌量や粘度、口腔内の乾燥状態を評価します。
さらに、シェーグレン症候群や他の病気が原因である場合は、専門医による検査が必要になります。血液検査や唾液腺の生検、涙の分泌量を測るシルマー検査などが行われることがあります。
セルフチェックの方法
ドライマウスのセルフチェックは、自宅で簡単に行うことができます。まず、口腔内を鏡で確認し、舌や口の内側が赤くなっていたり、唾液の粘度が高くなっているかどうかをチェックします。また、水分補給や食事後に口の乾燥感が強くなることも、ドライマウスの兆候です。
さらに、舌が乾燥しているかどうかを確認する方法として、舌圧テストがあります。舌を上あごに押し付ける力が弱くなっている場合は、唾液の分泌量が低下している可能性があります。
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これらのセルフチェックでドライマウスの症状が確認された場合は、医師や歯科医師に相談して適切な対処法を見つけましょう。
ドライマウスの治療と改善方法
ドライマウスの症状が確認された場合、医師や歯科医師の指導のもと、適切な治療や改善方法を試すことが重要です。ここでは、市販薬や漢方薬の紹介、食事や飲み物の対策、マッサージや舌のケア方法について解説します。
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市販薬や漢方薬の紹介
ドライマウスの症状を緩和する市販薬として、口腔内用の人工唾液や、唾液分泌促進剤があります。これらの薬は症状に応じて選ぶことができますが、自己判断で使用する前に、医師や歯科医師に相談してください。
また、漢方薬もドライマウスの改善に役立つことがあります。例えば、補中益気湯や五味子湯が、更年期に関連する様々な症状緩和に効果があるとされていますが、ドライマウスに対する直接的な効果は報告されていません。漢方薬は体質や症状に合わせて選ぶ必要がありますので、専門家に相談してください。
食事や飲み物の対策
食事や飲み物にも注意して、ドライマウスの症状を改善しましょう。口腔内の水分量を維持するために、定期的に水分補給を行い、カフェインやアルコールを控えることが望ましいです。また、辛い食べ物や塩分の多い食事も乾燥を促進するため、適度に摂取することが重要です。
マッサージや舌のケア方法
口腔内の筋肉や唾液腺を刺激するマッサージも、ドライマウスの症状改善に役立ちます。唾液腺の位置に指をあてて優しく圧をかけるマッサージや、舌を動かすエクササイズが効果的です。また、舌ブラシを使って舌のケアを行うことで、口腔内の清潔さを保ち、ドライマウスの症状を緩和できます。ただし、強くこすりすぎないように注意しましょう。舌の表面には微妙な突起があり、過度な刺激は舌や口腔内の粘膜にダメージを与える可能性があるためです。舌ブラシを使ったケアは、優しくかつ適度な力で行うことが大切です。
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ドライマウスの予防方法
ドライマウスの予防方法には、口腔ケアや生活習慣の改善が重要です。以下では、具体的なアドバイスを提供します。
口腔ケアのアドバイス
- 歯磨きを徹底する:歯を磨くことで口腔内を清潔に保ち、唾液の分泌を促すことができます。1日2回以上、歯磨きを行いましょう。
- 舌ブラシの使用:舌の汚れや細菌を取り除くことで、口腔内の環境を整えることができます。適度な力で優しくケアしましょう。
- 口腔内の保湿:市販の口内保湿剤を利用することで、口腔内の乾燥を防ぐことができます。また、無糖のガムを噛むことで唾液の分泌を促すことも効果的です。
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生活習慣の改善
- 水分補給をこまめに:一日に十分な水分を摂取することで、口の乾燥を防ぐことができます。特に暑い季節や運動後には、水分補給を意識しましょう。
- 喫煙の禁煙:喫煙は口腔内の乾燥や舌の刺激を引き起こすため、ドライマウスの予防には禁煙が有効です。
- 適度な運動:適度な運動を行うことで、全身の血流が促され、唾液腺の機能が改善されることがあります。
- ストレスの軽減:ストレスは、唾液の分泌を抑制することがあります。リラクセーションやストレス管理法を取り入れて、ストレスを軽減しましょう。
これらの予防方法を実践することで、ドライマウスのリスクを減らすことができます。口腔ケアや生活習慣の改善を心がけて、健康な口腔環境を保ちましょう。
まとめ
本記事では、ドライマウスの症状、原因、診断方法、治療・改善方法、予防方法について解説しました。ドライマウスは、口の乾燥や舌の痛みなど様々な自覚症状があり、更年期やシェーグレン症候群などが原因となることがあります。
医師による診断やセルフチェックを通じて症状を確認し、適切な治療方法を選択することが重要です。市販薬や漢方薬の使用、食事や飲み物の対策、マッサージや舌のケア方法などが効果的な改善策として提案されています。
予防には、口腔ケアや生活習慣の改善が必要です。歯磨きを徹底し、舌ブラシを使用して口腔内を清潔に保ち、水分補給や禁煙、適度な運動、ストレスの軽減などの生活習慣を改善しましょう。
ドライマウスに悩む方は、本記事の内容を参考にして、症状の改善と予防に努めてください。健康な口腔環境を保つことで、日々の生活の質を向上させることができます。
ドライマウスで汚れた口内をキレイにするには、アルカリイオン水を使った歯磨きとうがいが良いです。アルカリイオン水には、プラークなどのたんぱく汚れを分解して除去する働きがあるからです。