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差し歯が口臭の原因かも?臭い対策はこうすれば良い!

差し歯の歯磨きの仕方

口腔ケアアンバサダー(社団法人日本口腔ケア学会認定)の上林登です。

差し歯を入れていると口臭が気になる方が多いです。差し歯が古くなると差し歯と歯との間にプラークが付きやすく、また歯肉炎を起こしやすいからです。

そのため、他の歯よりも差し歯の部分を丁寧にブラッシングする必要があります。ブラッシングには、歯ブラシだけでなく歯間ブラシ、デンタルフロス、ワンタフトブラシ、など使い分けると良いでしょう。

また、歯肉の炎症が悪化している場合には、歯周病用歯磨き剤などを適時使用するようにしましょう。歯磨きを丁寧にしても口臭が改善しない場合は、差し歯が合っていないことがありますので、歯科医院を受診して歯医者さんにご相談されることをおすすめします。

差し歯が臭くなる原因は様々ですが、次のことが主な口臭原因です。

  1. 歯周病
  2. 虫歯
  3. 差し歯の樹脂が臭くなる

この中でも、歯周病が口臭原因になっているケースが多いのですが、元々の原因といえば、「差し歯が支台歯に適合しなくなっているから」です。

この記事では、差し歯を入れていると口臭がしやすくなる理由と、差し歯からの口臭がある場合の対策法についてお伝えします。もし、差し歯による口臭が気になっている場合には、今回の記事「差し歯の歯磨きの仕方」がお役に立つことでしょう。

>>差し歯が臭くなる原因について詳しくはこちら

「差し歯」とは

差し歯が臭い原因

前歯の中にあるのが、差し歯の金属部分です。金属の部分を支台歯といい、その上にセラミックや硬質レジンで作った歯冠を被せます。これが、現在の差し歯の製作方法です。

しかし、10数年前の差し歯の製作方法は、支台歯と人工歯が一体化していました。そして、その差し歯には、セラミックではなく硬質レジンでできたものが多かったです。

差し歯白い詰め物(コンポジットレジン)を入れている場合には、口臭が起きることがあります。

リアル口臭チェックでにおう

その理由は、差し歯と歯根の境目に隙間ができやすいことがあげられます。古くなると、差し歯と歯根の隙間に食べかすがたまります。そして、プラークがつき歯肉炎にもなりやすくなります。

そのため、ニオイも出る。ですから、差し歯と歯ぐきの境目はとくにブラッシングをていねいにする必要があります。

差し歯という呼び名は俗称です。少し昔に流行った前歯の人工歯のことですが、現在では、差し歯を入れる歯医者さんはほとんどいないです。

差し歯を入れると口臭になるのはなぜ?

口臭を治したい女性

今まで口臭と無縁だった人でも、前歯に差し歯を入れた時から、口臭が出て困ることがあります。その理由は…

差し歯が口臭を引き起こす2つの理由

理由1、人工歯の材料が口臭を引き起こすから

ポーセレンは陶材なので水をはじきますが、硬質レジンやコンポジットレジンには吸水性があります。簡単にいうと、レジンには目に見えない細かい穴が無数に開いているために水を吸います。

水を吸うということは、唾液や細菌も無数の穴に入ってしまうことになるのです。
これって、どういうことか分かりますか?

レジンが腐ったように臭くなるのです。でも、レジン歯を入れている本人には分からないと思います。

こんなことを自信を持って言えるのは、私が若い頃に技工士をしていたからです。

技工士になりたての頃に、こんな嫌な体験をしたことがあります。それは、患者さんが使っている入れ歯を合わすために技工用エンジンで削り磨いていたときです。

臭い!臭い!。。。。

臭いと鼻をつまむ男

マスクをしても臭いので、その上にタオルで口を覆っても我慢できない臭いでした。今でもハッキリ覚えています。「こんな調子で今後、技工士を続けられるかな?」と将来に不安を抱いたくらい臭かったのです。

でも職業とは不思議なもので、そんな強烈な悪臭にも慣れてしまい、その後、15年も技工士を続けたのです。

レジンの歯が臭くなることについて、分かってもらえましたか?

理由2、差し歯と歯ぐきの間に隙間ができ歯垢がつき口臭がする

歯間ブラシを使うと血が出る

この理由による口臭原因というのは、かなり多いです。

考えてみてください。
差し歯を入れている人は虫歯が多いです。もしかしたら歯周病にもなっていて抜歯した経験があるかもしれません。

虫歯や歯周病のどちらにしても、これって歯磨きが上手にできてなかったりドライマウス症であったり、どちらにしても虫歯や歯周病(歯肉炎・歯周炎)になりやすい人です。

ですから、たとえ、虫歯を治療し差し歯を入れたとしても、虫歯や歯肉炎になりやすい人なのです。だから、差し歯を入れたからと言って安心するのではなく、今まで以上に歯磨きをていねいに行う必要があります。

もちろん、人工歯の差し歯は虫歯にはなりませんが、差し歯と歯ぐきの間の歯周ポケットに汚れ(プラーク)がたまります。その結果、歯肉に炎症が。

歯周病の口臭

歯肉炎になると、歯周ポケットが深くなるので、更に汚れ(プラーク)が溜まるという悪循環に。それだけではなく、歯周ポケットには膿がたまります。

すると、食べかすが腐敗した臭いと歯周病菌が産生するメチルメルカプタンガスが混じるために、強烈な口臭が出るように。詳しくは『歯周病は予防できる!早期に症状を見つけ対策しないといけない』をご参考にしてください。

この状態のときに、歯間ブラシを使いニオイを嗅ぐとすごい臭いをします。歯間ブラシが、「うんこ臭い」といわれる方がいますが、その理由は腐敗臭と歯肉炎によるニオイが混じっているからだったのです。詳しくは『歯間ブラシが臭い!その原因と取り方について現役の歯科医が教えます。』をご参考にしてください。

この2つの理由があることで、差し歯を入れていると口臭を引き起こすリスクが高くなります。口臭原因について詳しくは『口臭がドブ臭でもアルカリイオン水うがいで取れるのか?実際にやってみた結果・・・」は意外とカンタン!?』をご参考にしてください。

差し歯による口臭の対処法

朝は口臭が気になる

だからといって、あきらめる必要はありません!たとえ差し歯を入れていても、口臭を予防することが可能だからです。次に、差し歯による口臭を予防する4つのステップをご紹介しますので是非お試しください。

歯科で診てもらう

口臭があるような気がする患者

差し歯と歯の間に隙間が出来ているとか、歯ぐきの色が変色している、歯周ポケットが深くなっているようなケースでは、差し歯を被せている歯と合ってないかもしれないので、歯科でレントゲン撮影をして調べてもらってください。

その時、差し歯が合ってなければ、新しく作り変える必要があります。

>>差し歯の値段と寿命は?保険と自費診療の違い

差し歯と歯ぐきの間のブラッシングをていねいにする

歯磨きをしても口臭がする
差し歯を作り変えても、ブラッシングが上手に出来てなければ、また、口臭が起きるので、正しく歯磨きを行うことが大事です。

ワンタフトブラシで磨く

磨き残しをワンタフトブラシで磨く

一般的な歯ブラシだけでは、歯周ポケットの汚れを取るのは困難です。歯周ポケット専用のワンタフトブラシを使用すれば、かなりの効果をあげることができるようになります。

口臭予防歯磨き粉「美息美人(びいきびじん)」で口臭ケア

「口臭は重曹で臭いを消すことができる」と、勧める歯医者さんが多いです。うがいの方法は、重曹を水に溶かしてうがいを行うので簡単です。

しかし、重曹の水溶液はpH8.2で「弱アルカリ」ですので、pH10.5(強アルカリ)の口臭予防歯磨き粉「美息美人」の方が臭いがよく取れます。

唾液の代わりにアルカリイオン水で殺菌洗浄する

美息美人(びいきびじん)はアルカリイオン水なので、歯周ポケット内の汚れをきれいに落とすことが出来ます。また、口内をアルカリにすることで歯肉炎の元となっている細菌の活動を押さえる働きもあります。

この4つのステップを踏むことで、たとえ、差し歯を入れてから口臭がしていたとしても、改善することができます。口臭で困っていましたら、すぐに実行されることをお勧めします。

歯周病の口臭とは?基本の対策と最新のケアを徹底的に解説!

日本人の成人の8割が感染していると言われる「歯周病」ですが、歯周病になると口臭が発生します。

「歯医者で歯周病の治療をして、しばらくは臭いが気にならなかったのに、時間が経つにつれて徐々に口臭がするようになった、、、」「今まで歯周病の歯なんてなかったのに、突然、歯肉炎になり口臭が強くなった、、」

という方も、いらっしゃるのではないでしょうか?

口臭が気になった時は、まず歯周病を疑うといいでしょう。たとえ、歯周病で口臭になっても、対策次第で口臭は大きく改善できます。反対に、歯周病を放置して病気が進行してしまうと、口臭も強烈になっていくので、口臭がひどく感じる場合は、適切な歯周病対策を行うことが必要となります。

今回は、歯周病による口臭と最新の予防方法などについてご紹介します。

>歯茎が臭いそれは歯周病からの口臭です!セルフ対策はこうする

この記事は、口腔ケアアンバサダー(社団法人日本口腔ケア学会認定)の上林登が書いています。

歯周病による口臭とは

歯周病は口臭の原因になります。歯周病菌が代謝の過程で生まれる硫化水素やメチルメルカプタンなどが臭いの発生源となるからです。

歯周病菌の多くは酸素を嫌う嫌気性菌です。歯周病になると歯周組織が破壊されポケットができますが、このポケットに嫌気性菌が繁殖します。

そして、歯周病を進行させていきます。つまり、歯周病が進むほど口臭はひどくなるわけです。ですから、口臭対策のためにも歯周病を治療することは大事です。

歯周病の種類と臭いの特徴

歯周病は大きく、歯肉内に炎症がとどまっている「歯肉炎」と、その奥の組織に病気が進行する「歯周炎」に分けられます。

歯肉炎の症状は、歯肉に炎症が起きることで、歯肉が赤くなり、出血しやすくなります、時には歯肉がむずがゆくなったり、触るとブヨブヨしますが、この段階では異変に気付かない人が多いようです。

ところが、歯周病になると、生臭かったりうんちの臭いがするなど口臭が強烈なのが特徴ですので、口臭がしているのが自分でもわかります。

差し歯やブリッジを入れていると臭くなりがちですが、これは補綴物の隙間部の清掃が困難であるため、歯肉炎になりやすいからです。インプラントの場合も同様にブラッシングケアが上手に出来ていないと、インプラント歯周炎を起こします。

歯周病菌が舌苔の原因になる!?

歯周病が作り出した揮発性硫黄化合物(硫化水素やメチルメルカプタン)は、嫌気性菌と共に唾液に溶け込み、ネバネバの唾液となります。

この臭い唾液が舌に溜まると、舌苔ができる原因となります。口臭の最大原因は「舌苔」だと言われているので、口臭対策をするには、まず歯周病の治療と予防を行うことが重要です。

舌苔は最大の口臭源で、口臭の6割が舌苔から発生します。

引用:日本歯科医師会テーマパーク8020

歯周病の口臭対策

歯周病が原因の口臭対策の基本は歯周病を治すこと。歯周病の治し方は、歯科で歯周病を治療すること(ほかに、定期的な検査・歯石除去など)と、家庭でのブラッシングケアの二つです。

効果的に口臭対策を行うためには、炎症部位に薬用歯磨き粉を塗ったり、アルカリイオン水でうがいを行うと臭いが消せます。

歯科治療

歯石除去

歯槽膿漏の進行を抑え口臭を改善するためには、「歯周病の治療」と「歯石除去」は必須です。この2つを行わないかぎり歯槽膿漏が治ることはありません。もし、歯槽膿漏でお悩みでしたら、まずは歯医者さんで治療と歯石除去を受けてください。

ブラッシングケア

kodmohamigaki

一番良いのは、歯槽膿漏にならないように、日ごろから口腔ケアに力を注ぐことです。

定期的に歯石除去をしてもらい、毎日、時間をかけて、歯間や歯と歯茎の間の溝など狭い部分までていねいにブラッシングを行なうことで、歯槽膿漏にならないように予防できます。

でも、仕事や家事に忙しく時間がないという理由から、ブラッシング不足になり歯槽膿漏になってしまう人が多いのも実情かもしれません。

歯周病で口臭がするようになったら、歯磨きだけではなく、デンタルリンスやマウスウォッシュなど併用されることをお勧めします。

薬用歯磨き粉を塗布する

私の体験ですが、歯周病が治まっても完治しないことから、歯の間を舌でチュッチュッと吸うと膿の味がしました。口臭になるかもしれないとの不安がありましたが、なんとか歯医者に行かずに治したいと。

そこで考え付いたのが、患部に「薬用歯磨き粉」を塗ることでした。早速、歯と歯の間、歯と歯茎の境目の溝(ポケット)に塗ってみたところ、翌朝には歯ぐきが引き締まっていたのです。

そのやり方を数日続けると、完治しなかった歯周病がみるみる内に治っていきました。歯科検診の時に歯科衛生士さんから、ブラッシング指導を受けていると、なんと歯科衛生士さんから「薬用歯磨き粉を塗ると良い」と教わったのです。(知っていましたが、その時は黙って聞いていました。)

それで、この方法に確信を持ちましたが、ただ薬用歯磨き粉を塗るだけではなく、就寝前にやることと、塗布後はできるだけそのままにして薬剤が取れてしまわないよう、うがいをしないことです。

私が使用しているのは、「カムテクト・コンプリートケアEX」ですが、歯周病用の歯磨き粉であれば効果に大きな差はないと思います。

他の歯周病用歯磨き粉…サンスターのガム・デンタルペーストAC、花王のディープクリーン、ライオン、システマ ハグキプラスなどがあります。

アルカリイオン水でうがい

歯周病を改善するには、歯周病菌のすみかとなるプラークを取り除かないといけません。そのためにブラッシングするのですが、うがいを行うと口臭予防に効果があります。

臭いの原因となる揮発性硫黄化合物が、唾液中に混じっているからです。タンパク質から成るプラークは、アルカリの作用で分解されるため、水うがいよりもずっと効果があります。ぜひお試しください。

参考→口臭がドブ臭でもアルカリイオン水うがいで取れるのか?実際にやってみた結果・・・

歯周病対策しても口臭が治らない時は?

ほとんどの口臭は、歯周病が原因だと言われていますが、歯周病が治癒しても口臭が改善しないことがあるかもしれません。その場合は、口臭原因が歯周病のほかのところにあると考えたほうがいいでしょう。

【口臭原因】

  • 舌苔(ぜったい)
  • 扁桃膿栓(のうせん)や副鼻腔炎などの耳鼻咽喉科疾患
  • 便秘や下痢によって腸内に腐敗ガスがたまる(呼気口臭)
  • 糖尿病など内科疾患

参考→ 口臭の原因がわからない!?よくある口臭原因と適切な対策方法

まとめ

日頃からの口臭対策は大事です。なぜなら、口臭がしている時は、歯周病になっていることが多いからです。歯科検診を受けて、必要な場合には治療することも大事ですが、この記事に書かれている方法で口臭を予防することもおすすめします。

口臭予防することが、そのまま歯周病を予防することにつながっているからです。

口臭がうがいでスッキリする美息美人

【参照リンク・参考文献】
日本歯科医師会 歯とお口のことなら何でも分かるテーマパーク8020
日本口臭学会 口臭と口臭症に関連する用語
日本口臭学会誌 口臭への対応と口臭治療の指針2014
日本口腔ケア学会
日本歯周病学会
日本臨床歯周病学会