歯周病に効く市販の薬と歯磨き粉はコレ!正しい使い方はコレ!

口腔ケアアンバサダー(社団法人日本口腔ケア学会認定)の上林登です。

歯周病になると、歯茎が腫れたり出血や口臭で悩まされますよね。その様な時に歯周病用の歯磨き粉を購入するかもしれません。

しかし、歯周病に効く薬用歯磨き粉はありません。たくさんの歯周病の薬用歯磨き粉があるので、「えっ?」と思うかもしれませんね。でも、歯周病は歯周病菌による感染症なので薬や歯磨き粉で治すことができないのです。

実は、歯周病の薬用歯磨き粉が効くのは、「歯周病の症状」です。歯周病の症状には、歯茎の腫れ、痛み、出血、歯茎下がり、知覚過敏、口臭などがあります。
歯周病で臭い!口臭の治し方

歯周病の薬用歯磨き粉には、これら歯周病の症状に効く成分が配合されています。歯周病だといっても症状は様々。ですから、歯磨き粉を選ぶときには、歯周病の症状にあった薬用歯磨き粉を使うようにすると良いでしょう。

今回の記事は、「歯周病の症状に効く歯磨き粉」についてお伝えします。歯周病でお困りでしたら、是非ご参考にしてください。

歯周病に効く薬はない

歯周病は歯周病菌による感染症です。ですから、歯周病を治す薬はありません。だからといってあきらめないでください。歯周病自体を根本的に治すことができなくても、歯周病による歯茎の腫れや痛みなどの症状を取り除くことができます。

→ 歯周病の治し方

このようにいうと、「市販の薬では意味がない」と思われるかもしれませんが、歯周病で困る多くの症状は歯茎の腫れや痛みなのではないでしょうか?

たとえ薬による一時的処置であっても、歯茎が腫れたり痛みを感じながら歯医者に行くことができない時には、それらの辛い症状を緩和できればありがたいものです。薬の服用で痛みが治まり時間に余裕ができた時に歯医者に行けばいいのです。(しかし、薬を塗布しても腫れや痛みがひかないときには、すぐに歯科を受診することが大切です。)

引用:つゆくさ歯科医院 歯周病相談室

薬が効かない理由

歯周病菌はバイオフィルムを形成するため、薬剤から守られるのです。

歯周病は歯周病菌が一番の原因ですが、歯周病になりやすい人には、なりやすい体質があり、また、生活習慣が影響しています。

【歯周病になりやすい要因】

  1. 歯磨き不足による口内の不衛生
  2. 糖尿病
  3. 喫煙習慣
  4. 不規則な食習慣
  5. 降圧剤、睡眠導入剤、安定剤など薬の副作用
  6. ストレス
  7. 噛み合わせが悪くなり歯周組織に咬合負担がかかっている
  8. 口呼吸

など歯周病にはなりやすい場合には、病気などで免疫力が低下していたり生活習慣が影響していることが多いのです。ですから、それらの根本的な要因を改善しないことには、歯周病を治すことはできません。このことが、薬が歯周病に効かない理由です。

何度も申しますが、だからといって、歯周病からおきる様々な症状が治らないわけではありませんので、誤解しないでくださいね。
歯周病の原因・要因について詳しくは『歯茎が臭いのは歯周病のサイン!?原因と対策』をご参考にしてください。

歯周病の薬「ジスロマック」

一部の「歯周病は薬で治る」との歯科医院では、歯周病治療で、ジスロマックという抗生物質の薬を一日1回2錠、3日服用させます。そして、歯周病の程度によっては、歯磨きの後に「ファンギゾンシロップ」というカンジダ症に使う薬を歯ブラシで塗るように磨くようすすめられることがあります。

歯周病の薬「ジスロマック」を全国的に広められたのは、天草市在住の生田図南歯科医師です。従来の歯周病治療の考え方とはまったく異なっています。生田歯科医師の考えは、歯周病の原因は「カンジダ菌」であるため、抗生物質のジスロマックや、カンジダ症の治療薬(抗生物質)ファンキゾンシロップを服用するのが特徴ですが、歯周病学会などから反対する意見が多く発表されています。

一部のグループでは「口膣カンジダ症と歯周病は関連性がある」という見方をしていますが、結論からいうと、まったくもって科学的な根拠はありません。日本歯周病学会からもこの関係を完全に否定する見解が出されており、世界的にもこれを認める動きは一切なく、荒唐無稽な話といえます。
引用:つゆくさ歯科医院 口腔カンジダ症と歯周病は関係あるの?

ジスロマックの治療法を発案した生田歯科医師のサイト『生田歯科医院 歯周病は薬で治る」もご参考にしてください。

中程度以上には薬が効かない

記事をここまで読まれると、歯周病は薬で治らないことが分かってきたと思います。歯周病を治すための方法は次の3つが基本です。この内のどれが抜けても効果がでません。

  1. 歯科治療
  2. 定期健診(歯石除去、クリーニング)
  3. 毎日のブラッシングケア

→ 歯周病を治すコツは、歯磨きの仕方にある! 

歯周病が進行し重度になり、歯周ポケットの深さが改善されない場合や、歯槽骨が退縮しているケースでは、外科的処置が必要になります。このようなケースはもちろんですが、一般的には歯周ポケットが4ミリ以上の中程度歯周病になると、市販の薬だけで治すことは難しいと考えたほうがいいです。

中程度以上の歯周病になると、薬の服用によって症状が抑えることがきたとしても、なんらかの要因が影響するとすぐに歯茎が腫れるなど再発します。ですから、中程度以上の歯周病の場合には、一日も早く歯科で診てもらうことをおすすめします。

歯周病の症状に効く歯磨き粉

関連記事:おすすめの歯磨き粉を選ぶ基準!重要視するポイント

歯周病に効く成分

抗炎症と殺菌

歯周病用に開発された歯磨き粉には、すべて「抗炎症」と「殺菌作用」の成分が入っています。それは、歯周病になると必ず歯茎に炎症が起きるし、その原因となるのが「歯周病菌」だからです。

歯周病の症状を軽減するためには、歯茎の炎症を抑えて歯周病菌をやっつけないといけないからです。この成分が入っていることで歯茎の痛みや腫れに効きます。

血行促進と組織修復

歯周病を治すためには、悪化した歯肉の治癒を助けることが大事です。「血行促進」と「組織修復」に効果がある成分が入っている歯磨き粉がおすすめです。

この成分が入っていることで、痛んだり下がった歯茎の治癒を助けます。

知覚過敏と歯質強化

歯周病になると歯肉が下がり歯の根本が見えるようになるかもしれません。そのような時には「知覚過敏」や「歯質強化」の作用がある歯磨き粉が良いでしょう。

歯磨き粉が効く症状

市販の薬でもある程度の効果が期待できるケースについてご説明します。それは、初期の歯周病です。初期歯周病であれば、歯周ポケットの深さが2ミリから4ミリと症状も軽いので、すぐに歯科医院に行かなくても一時的に症状をおさえるのなら可能です。

【軽度の歯周病の症状】

  • 起床時だけ口がネバネバする
  • たまに出血するときがある
  • 口臭が気になるときがある
  • 歯肉がかゆい
  • 歯茎が少し腫れている感じがする
  • 強く噛むと歯茎が痛い

症状に効く歯磨き粉

薬用歯磨き粉であれば、どの歯磨き粉でも原因菌に効きます。それに加えて症状にも効く成分が配合されている歯磨き粉があります。

歯茎をひきしめる

ガム・デンタルペーストAC薬用、アセス、生葉EX 、システマハグキプラス薬用

歯肉炎になると歯茎がブヨブヨと腫れます。そのような歯茎をひきしめる効果がある。

歯茎の色を良くする

ディープクリーン薬用

歯肉炎で血行が悪くなると、歯茎が紫がかった色になります。そのような歯茎の血行を良くする効果がある。

出血が気になる

システマSP-Tジェル、デントヘルスR

口臭

コンクールジェルコートF

歯周病のための市販薬

ドラッグストアやネットから購入できる歯周病のための市販薬をご紹介します。

アセス

歯周病を治す効果があると認められている第一類医薬品の中に佐藤製薬の「アセス」があります。アセスの効能書きには、歯肉炎・歯槽膿漏の諸症状(歯茎からの出血、腫れ、口臭)の緩和と記載されています。医薬品のアセスでも、歯周病が治るとは記載していませんでした。

デントヘルスR

ライオンのデントヘルスRも第一類医薬品です。効能は、歯肉炎・歯槽膿漏における諸症状(歯ぐきからの出血・発赤・腫れ・膿・痛み・むずがゆさ、口のねばり、口臭)の緩和、口内炎と記載。こちらも歯周病が治るとは書かれていませんでした。

生葉液薬

塗り薬タイプの医薬品です。効能効果は、歯ぐきの腫れ・膿・痛み・むずがゆさ、口臭など歯肉炎・歯槽膿漏における諸症状、口内炎に効きめがある。

システマ エスピーティー メディカルガーグル

医薬部外品。ライオンのメディカルガーグルは、うがいに使うタイプで、効能は口腔内及びのどの殺菌・消毒・洗浄、口臭の除去と記載されています。

ロキソニン

歯茎が痛くなりすぐに歯医者に行けない場合に有効かもしれません。ロキソニンは鎮痛効果や解熱効果があります。痛み止めとしては、「バファリン」「リンクルアイビー」なども同じような効果が期待できます。

コンクールF

医薬部外品のため、効能効果として「歯周病の症状の緩和」は記載できませんが、歯肉炎の予防、歯槽膿漏の予防、口臭の防止に効果があります。

リステリン

医薬部外品。コンクールFと同様にうがいに使用して、口臭、歯垢の沈着、歯肉炎を予防します。

歯周病の市販薬はこのほかにもありますが、代表的なお薬(医薬品と医薬部外品)についてご紹介しました。医薬品や医薬部外品などの表示は、薬事法で効能効果があると決められている成分が含まれているかどうかの違いによるもので、実際は医薬品よりも医薬部外品のほうが効果が出たというようなケースもあるので、あくまでご参考の基準にしてください。

また、素人判断で薬を決めないことが大事です。これらのお薬を購入される時は、ドラッグストアの薬剤師さんにご相談されることをおすすめします。専門家の立場から、あなたの症状にあった市販薬をおすすめしてくれると思います。

歯周病を予防する歯磨き方法

歯周病を予防するには、歯科で治療する。定期健診で歯石を取ってもらう。そして、毎日のていねいな歯磨きケアが重要です。

毎日の歯磨きを効果的に行うには、どの歯磨き粉を使うかでかなり結果が違ってくるかもしれません。市販の歯磨き粉は数多くあり、含有成分も似ているため、どれが良いのか判断に困ってしまいますよね。

歯磨き粉を選ぶ判断基準として重要なことは、効果的に歯周病予防ができることです。歯周病の予防するためには、歯垢を取ることが重要です。ですから、ブラッシングによって歯垢が効率よく取れる歯磨き粉が良いといえます。

だからといって、歯磨き粉に研磨剤が多量に含まれていたり、大きな研磨剤で歯垢を削り取るというのは、いかがなものでしょう?

ワンタフトブラシで溝を磨く

通常のブラッシングでは、歯周病で悪化している歯周ポケットの汚れを取ることは困難です。そのような部位でも良く磨けるのがワンタフトブラシです。

歯磨きの仕上げにワンタフトブラシで磨くと効果がアップします。

アルカリイオン水の歯磨き粉

私のおすすめは、研磨剤が未配合でも歯垢が良く取れる「アルカリイオン水」による美息美人(びいきびじん)という歯磨き粉です。美息美人には研磨剤が入っていないので、ていねいに歯磨きをする必要があります。

でも、アルカリイオンによって歯周病菌を除菌する効果もあるので、歯周病を予防したいのでしたら是非ともお試しください。

歯茎をブラッシングしてはいけない

歯周病で歯茎が腫れるとマッサージが良いと思うかもしれません。しかし、歯ブラシで歯茎をゴシゴシと磨くのはよくありません。炎症している歯茎に傷がつきますし、歯茎下がりの原因になるのでご注意ください。

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