結論:歯石は「見える部分」しか自分では取れない、その先に潜む3つのリスク
こんにちは、口腔ケアアンバサダー(社団法人 日本口腔ケア学会認定)の 上林登です。
「歯石を自分で取ってしまいたい」と思ったことはありませんか?歯科医院の予約が取れない、費用が気になる、そもそも通うのが面倒…そんな理由で、セルフケアの方法を探している方は意外と多いものです。
ですが、結論からお伝えすると——歯石は“目で見える表面”しか自分で取ることができません。しかも、その先には重大なリスクが潜んでいることをご存知でしょうか?
このページでは、歯石の正体やセルフ除去のリスク、そして“安全な予防法”まで徹底解説します。「危険な自己流ケア」から、「正しいプロケア+セルフケアの両立」へ。あなたの歯と健康を守るための最新情報をお届けします。
①歯や歯茎を傷つけるリスク
市販のスケーラーや爪楊枝で無理に歯石を削ろうとすると、歯の表面(エナメル質)や歯茎を傷つけてしまうことが非常に多いです。
目に見えないほどの細かい傷が、後々「知覚過敏」や「歯茎の後退」の原因になることも。また、傷から細菌が侵入し、歯周病のリスクが一気に高まります。
②縁下歯石が残り歯周病を進行させるリスク
実は“本当に厄介”なのは歯茎の中(縁下)に付着した歯石です。これは自分で目視できず、家庭用器具では絶対に取り除けません。
縁下歯石を放置すると、歯周病が進行しやすくなり、最悪の場合は歯を失う原因にもなります。セルフケアだけでは見えない部分のリスクをゼロにはできません。
③器具の衛生管理が難しく感染症の恐れ
ネットや100均で手に入るスケーラーやピックを使う場合、消毒や管理が不十分だと、口内に雑菌を持ち込むリスクも高まります。
特に出血をともなうと、ウイルスや細菌による感染症の心配も…。自己流での歯石除去には“想定外”の危険が潜んでいることを、まずは知っておいてください。
そもそも歯石とは?歯垢が何日で石灰化するメカニズム
「歯石」とは何か、そもそもご存知でしょうか?実は、歯石の正体は“歯垢(プラーク)”が唾液中のカルシウムなどによって石のように固まったものです。
どれだけ丁寧に歯を磨いても、毎日のケアだけでは完全に歯垢をゼロにすることはできません。
歯垢→歯石までのタイムライン
歯垢は、食後わずか8〜24時間で石灰化が始まります。
例えば、寝る前に磨き残しがあると、朝には歯の表面がザラザラと感じる…これが歯石の始まりです。
▶夜に歯磨きをしないと生じる口臭、虫歯、歯周病の問題とその対策
この「石灰化」の速度は個人差があるものの、2日も経てばしっかりとした歯石に変わってしまいます。こうなると、通常の歯ブラシではもう落とせません。
縁上歯石と縁下歯石の違い
歯石には大きく2種類あります。
- 縁上歯石(えんじょうしせき)…歯茎より上の部分。白〜黄色で、鏡で確認しやすい。
- 縁下歯石(えんかしせき)…歯茎の下、ポケット内部。黒っぽく、固く、素人には見えない&取れない。
▶歯垢と歯石の違いについて詳しくはこちら
特に縁下歯石は歯周病・口臭の根本原因。
「表面だけきれいになっても、隠れた部分に歯石が残っていれば意味がない」のです。
どうして歯科での歯石取りを推奨するのか
多くの歯科医が「歯石は自分で取らず、必ず歯科医院で」と繰り返しアドバイスするのは、単なる“営業トーク”ではありません。
その理由を、3つの観点から具体的にご説明します。
専門器具(超音波スケーラー・ルートプレーニング)の精度
歯科医院で使われる超音波スケーラーやルートプレーニング(根面の仕上げ磨き)は、専用の医療器械。
目視できない歯周ポケットの深部まで安全・確実に歯石を除去できます。さらに、プロの技術により、歯や歯茎へのダメージも最小限です。
保険適用でコスパ良<3,000円前後>
実は歯石取り(スケーリング)は健康保険の適用内。
1回あたり3,000円前後(初診料込み)の負担で、口腔全体のクリーニングを受けることが可能です。セルフケアでリスクを冒すより、プロの施術を選ぶほうが結果的に経済的かつ安心といえます。
プロケア+セルフケアのハイブリッド予防
最も効果的なのは、プロの歯石取り+日常のセルフケアを組み合わせること。
定期的に歯科医院で歯石・歯垢を徹底クリーニングし、普段のブラッシングやうがい・フロスで再付着を予防する——この“ハイブリッド型”が、口腔環境を美しく健康に保つ近道です。
【自己責任】どうしても自分で取りたい人への安全ガイド
とはいえ「どうしても今すぐ自分で取りたい…」そんな声もあるでしょう。
その場合は、必ず“自己責任”で、慎重に実践してください。ここでは、安全面を最大限に考慮したセルフ除去のポイントをまとめます。
準備するもの:医療用スケーラー・アルコール消毒・ミラー
セルフケアに最低限必要なのは——
- 医療グレードのスケーラー(使い捨てタイプ推奨)
- アルコール綿や消毒液
- 口腔用ミラー(視界確保のため)
これらの準備と、衛生管理・消毒を徹底しましょう。
市販の安価なスケーラーや爪楊枝は絶対にNGです。
手順(下前歯→側切歯→…)※動画リンク
セルフで歯石を除去する場合、下の前歯(舌側)から始め、1本ずつゆっくりと削ることが基本です。
力を入れすぎず、必ず歯茎を傷つけないよう細心の注意を。鏡でしっかり確認しながら作業してください。
※詳細な歯石の取り方や注意点は、歯科医監修の動画・解説記事を参考にすると安心です。
▶歯石を自分で取る方法-HANA intelligence歯科・矯正歯科
▶動画「黒い歯石と白い歯石の違い 歯石を自分で取る方法はある?」ふかさわ歯科クリニック
中断の目安:痛み/出血/視界不良
痛みや出血が出たら即中止。また、鏡で見えない・手元が安定しない場合も絶対に無理をしないでください。
「自分での限界」を感じたら、必ず歯科医院を受診しましょう。
歯石と口臭の関係|放置が招く悪臭メカニズム
歯石がたまると「口臭がきつくなった」「自分の息が気になる」と感じる方が多くなります。
その理由は——
歯石は、細菌が大量に棲みつく“温床”。特に縁下歯石(歯茎の下の歯石)は、歯周病菌が増殖しやすく、悪臭の原因物質(VSC:揮発性硫黄化合物)を発生します。
歯石を放置すると、口臭が悪化するだけでなく、歯周病・全身疾患のリスクも高まります。
詳しくは、歯石と口臭の関係|最新の研究と対策の記事もぜひご覧ください。
歯石を“付けない”ためのセルフケア5選
「そもそも歯石を付けなければいい」——まさに、その通りです!
今日から実践できる“最強のセルフケア5選”を紹介します。
1. 就寝前の丁寧ブラッシングとフロス
歯石の元になる歯垢を毎晩しっかり落とすことが最優先。
歯ブラシ+デンタルフロスや歯間ブラシで、歯のすき間や奥歯まで念入りにケアしましょう。
2. 美息美人でアルカリうがい(pH10.5)
当サイトおすすめの美息美人は、pH10.5のアルカリイオン水。
歯垢・舌苔などのタンパク汚れを分解し、歯石の石灰化を防ぐサポートに最適です。
毎日のうがいにプラスして、歯科医院との“ダブルケア”を目指しましょう。
3. キシリトールガムで再石灰化サポート
キシリトール入りのガムは、唾液の分泌を促し、歯の再石灰化をサポート。
おやつや間食の代わりにガムを噛むことで、歯石予防に役立ちます。
4. 3〜6か月毎の定期健診
セルフケアで防ぎきれない歯石・歯垢は、歯科医院で定期的にチェック&クリーニング。
3〜6か月ごとにプロの目で見てもらうことが、長期的な口腔健康への最大の近道です。
よくある質問(FAQ)
- Q. 歯石取りは本当に自分でできますか?
A. 表面の一部は可能ですが、歯茎の中(縁下)はセルフケアでは除去できません。むしろリスクが高いため、歯科での除去を強く推奨します。 - Q. スケーラーは市販のもので大丈夫ですか?
A. 衛生管理や操作ミスによるケガ・感染症のリスクがあるため、使用はおすすめしません。どうしても使用する場合は十分に注意してください。 - Q. 歯石を取ると歯がしみるのはなぜ?
A. 歯石を除去すると一時的に知覚過敏が起きる場合がありますが、多くは時間と共に治まります。気になる場合は歯科で相談しましょう。
著者(口腔ケアアンバサダー)から一言アドバイス
歯石は「見える部分」だけ自分で取れても、本当に大切なのは“見えない部分”のケアです。無理なセルフ除去は、思わぬトラブルを招くこともあるのでおすすめできません。
歯の健康を守る一番の近道は、プロケア+日常ケアの両立。
もしセルフケアで不安や疑問があれば、決して一人で悩まず、ぜひ歯科医院に相談してくださいね。
——あなたの笑顔と健康のために、いつも応援しています。
歯石を自分で取る、参考歯科サイト:
- 歯石を自分で取るのは危険?|マナミ歯科クリニック
- 歯石は自分で取れる?答えはNoです|ポラリス歯科・矯正歯科
- 歯石は自分で取れるって本当?その方法やリスクについても解説|Oh my teeth
- 歯石を自分で取る前に知るべきこと|予防歯科サーチ
- 歯石の取り方。スケーラーで自分・自宅でも取れる?|まつもと歯科
参考文献