朝起きた時に、口がネバネバする、息が臭い気がする。「もしかしたら口臭がしているかも。」と口臭が気になっていませんか?
口臭が気になると、一番にやろうとするのは「歯みがき」ではないでしょうか。ところが、ドラッグストアやネット(Amazonや楽天)で歯磨き粉を買おうとしても、種類がいっぱいでどれが良いのか迷ってしまいます。
それに、「口臭予防歯磨き粉」と記載されていても、実際使ってみると効かないなんてこともありますよね。
そこで今回は、「口臭ケア」に効く歯磨き粉の選び方についてお伝えします。ご参考になれば幸いです。
この記事は、口腔ケアアンバサダー(社団法人日本口腔ケア学会認定)の上林登が書きました。
歯磨きしても口臭が治らないのは?
口臭の9割以上が口内に原因があります。それなのに、「歯磨きしてもすぐに口が臭くなる」という人が多いです。どうしてだと思いますか?
歯周病が原因
歯磨きしても口臭が改善しない場合は、「歯周」病になっているかもしれません。なぜなら、口臭の原因で一番多いのが「歯周病」だからです。歯周病(歯肉炎)になると歯周ポケットができるのが特徴です。ポケットに膿(細菌)がたまるようになると硫黄ガスが発生して口臭が起きるのです。
ですから、歯周病が口臭の原因になっている場合には、ポケット内の膿(細菌)を清掃しないといけません。ところが、歯ブラシで狭いポケットの中をブラッシングすることは困難であるため、口臭も治らないケースが多いのです。
そのため、歯周病が疑われる場合は、早目に受診することが大切です。もちろん、歯科治療だけにまかせるのではなく、お家でのブラッシングケアも併用することも大事なことです。
舌苔が原因
意外かもしれませんが、口内からの口臭の6割以上は「舌苔(ぜったい)」から発生しています(日本歯科医師会のサイトで発表)。
舌苔は食べかすや細胞の死がいに細菌が繁殖してできたものです。そのため、舌苔が着くと(口臭となる)揮発性硫黄化合物が多量に増えて唾液中に溶け込んでいます。この口臭物質(硫黄化合物)は、口が乾くとガス化して口臭となるのです。
そのため、舌苔のケアをしていないと、「歯みがきしても口が臭い」ということに。
また、他にも耳鼻科疾患などが原因で、口臭を起こしているケースもあるので要注意ください。鼻やのどからの匂いが気になる場合は、専門の病院を受診することをおすすめします。
口臭ケアに効く歯磨き粉の選び方
それでは、「口臭ケア」に効く歯磨き粉を選ぶ時のポイントについてお伝えいたします。
歯磨き粉を使用して口臭対策を行なうに当たり、重要なポイントは、①プラーク(細菌)の除去効果が高いこと ②歯周病予防ができること。この二つが最も大事です。
細菌を減少させる効果がある
歯磨き粉を選ぶときに重要なポイントは、プラーク(細菌)が良く取れることです。
歯磨き粉に研磨剤が入っているのはプラークを取りやすくするためですが、歯の磨き方が悪いと歯が削れるリスクも起きるのがネックです。
私からのおすすめの方法は、研磨剤無添加の歯磨き粉を使用して、しっかり丁寧に歯磨きを行うことです。(そのためには、電動歯ブラシやフロス、ワンタフトブラシを使用することも必要。)
※研磨剤無添加の「アルカリイオン」による歯磨き粉には、プラークを溶かす作用がある。
口臭の元となるのは、メチルメルカプタン、硫化水素、ジメチルサルファイドなどのガスですが、これらのガスは口内細菌がタンパク質を分解するときにできるものです。
ですから、効果的に口臭対策を行なうには、口臭原因物質を作っている「細菌」をやっつけないといけません。そのためには、薬剤による除菌方法か、丁寧なブラッシングによるプラーク(細菌)の除去が最も効果があります。
口臭ケアで一番効果があるのは、何よりも「丁寧なブラッシング」だと知っておくことが大事です。
口臭ケアに効く成分が入っている
口臭に効くかどうかは、歯磨き粉の成分表示を見れば分かります。特に、歯周病の場合には、歯周病に効く薬剤が含まれていることがポイントです。
一般的な「歯周病用歯磨き粉」には、グリチルリチン酸などの抗炎症剤や塩化セチルピリジニウムなどの殺菌剤が入っています。
口がネバネバしているとか、歯茎からの臭いが気になる場合は、ブラッシング後に歯周病に効く薬用成分が入っている歯磨き粉(または歯周病用塗布薬)をポケットに塗り付けると口臭を軽減できます。
ただし、歯周病は進行する病気なので、早目の歯科治療をおすすめします。
舌苔ケアに効く歯磨き粉
口臭対策するためには、舌苔ケアを欠かすことはできません。どれだけ歯磨きをていねいに行っても、舌苔がびっしりと着いていれば口臭が消えることはないからです。
市販の歯磨き粉では、舌苔ケア用に開発された「花王のピュオーラ泡ハミガキ」が期待できるでしょう。塩化セチルピリジニウムが、舌の上の口臭菌を殺菌して口臭を予防してくれます。
この他、口臭予防歯磨き粉「美息美人」のように、コットン(綿花)にアルカリイオン水を湿らせて舌苔に塗り込む方法もあります。アルカリイオン水には、舌苔のタンパク質を分解する作用があるので口臭予防が期待できます。
おすすめの口臭対策用歯磨き粉
口臭ケアに有効な歯磨き粉とは、歯周病に効く歯磨き粉と舌苔に効く歯磨き粉です。この二つを対策することで、口臭の改善と予防が期待できます。
・歯周病に効く歯磨き粉としては、個人的には(現在使用中の)シュミテクトとカムテクトがおすすめです。
・口臭予防歯磨き粉「美息美人」は、口臭対策に大切なブラッシングと舌苔ケアの効果を高めるので、是非おすすめします。
まとめ
「口臭に効く」と謳っている歯磨き粉がありますが、その多くは香料などで臭いをごまかす「マスキング」タイプの歯磨き粉ですのでご注意ください。
また、口臭菌を殺菌する歯磨き粉には「薬用成分」が含まれていますので、毎日使用する場合にはおすすめできません。
口臭対策の基本は、3か月に1回の定期検診(歯石除去とクリーニングなど)を受けることと、毎日のブラッシングケアです。特に歯磨きをていねいに行うことが重要です。