歯周病

歯周病は歯磨きで治りますか?その答えは?

YAHOO!知恵袋に「歯周病は歯磨きで治りますか?」という質問がありました。

あなたも、歯医者さんや歯科衛生士さんから「歯周病になるのはプラークが付くからで歯石が着いているからだ。だから、ブラッシングが大事です。」と指導されたことがあるのではないでしょうか。

だから、今までよりも丁寧に歯磨きを行うようにしたが、歯周病は治らない。もしかすると、歯磨きの仕方が悪いのかもしれない。そう思われて、この記事が目に入ったのではないでしょうか。

今回は、「歯周病は歯磨きで治りますか?」という問いにお答えしたいと思います。何をしても歯周病が治らないことでお困りでしたらご参考にしてください。

この記事は、日本歯周病学会会員で口腔ケアアンバサダー(社団法人日本口腔ケア学会認定)の上林登が書いています。

歯周病は完治しない病気

歯周病は治ると言っている歯医者さんもいますが、ハッキリお答えすると歯周病は治りません。なぜなら、歯周病は、歯周病菌による感染症だから完治しないのです。。

歯科医が「完治」と言っても、歯周病におかされる前の健康な歯ぐきの状態に戻ることはないので、「完治」という言葉に期待しない方がいいです。たとえ歯周病治療しても、治癒は一時的ですので、その後再発しないように予防することが大切です。

水虫に例えると良く分かると思います。水虫は、抗菌薬を塗るとジュクジュクする化膿や痒みは治まりますが、それは一時的で、不清潔にしていると忘れた頃に水虫の症状が現れます。

この水虫と同じように、歯磨きなど口腔ケアを怠ると歯周病の症状も再発します。

【歯周病の症状】

  • 歯ぐきが腫れる
  • 歯肉がかゆい
  • 口臭
  • 歯磨きの時に出血する
  • 強く噛むと歯ぐきが痛い

歯周病は完治しませんが、再発しないようにすることができます。歯周病を治すことで最も大事なのはプラークコントロールです。

具体的には、歯科医院での専門的な「プロフェッショナルケア」で徹底的にプラークと・歯石を除去することと、そして、お家でのセルフケアによる「ブラッシング」によってプラークが付かないようにすることなのです。

歯周病が治らない理由

歯周病が治らない。どうして何度も再発するのかというと、歯周病は歯周病菌が起こす病気だからです。ですから、歯ぐきが腫れ、たとえ歯医者さんで治療して一時的に治ったとしても、歯周病菌が無くならないかぎり何度でも歯周病菌は悪さをします。

関連記事>> 歯周病に効く市販の薬と歯磨き粉はコレ!正しい使い方はコレ!

その度に、歯を支えている歯周組織や歯槽骨が退縮してしまうと、歯ぐきが自然と元に戻ることはありません。それに、歯槽骨が退縮すると、歯ぐきが下に下がり歯が長く伸びたようになってしまい見た目も悪くなります。

歯周病をその状態でほっておくと、歯がぐらぐらと動揺し、しまいには抜歯することになるかもしれません。これが、歯周病になってからの一般的なプロセスです。

歯周病は歯磨きだけで治らない

結論から申し上げますと、残念ですが、歯周病は歯磨きをしても治す(完治する)ことはできません。しかし、予防のためには歯磨きは重要なので誤解しないでくださいね。

歯周病(歯肉炎と歯周炎)の原因になるのは、プラークと(プラークが固まってできる)歯石です。だから、ブラッシングで歯垢や歯石を除去することは大切です。ブラッシングによってネバネバ状態のプラークは除去できますが、歯石を取ることは不可能です。その訳は、歯石は石のように固いからです。

それだけではありません。歯肉炎になるとポケットが深くなり、そのポケットの奥深くの歯面にプラークが付着します。この部分のプラークは、どれだけ丁寧に歯磨きしても取り除くことは困難です。

そのため、ポケットの中に歯石が形成されて、歯周病菌が増えて炎症を起こす。この悪循環が歯周病の特徴なのです。

ですから、一度歯周病になると、歯磨きだけで治すことはできないと思ったほうがいいです。(※体調など状態が良いと、歯周病は収まっています。)

当然ですが、「うがい」で歯周病を治すことは不可能です。「うがい」は食べかすなどを洗浄できるため、予防効果はありますが、プラークを取ることはできないから歯周病を治せることはないので誤解しないでくださいね。

歯周病は歯科治療しても治らない

それでは、歯科治療で歯周病を治すことはできるのでしょうか?

歯周病は進行する病気です。当初は痛みもなく歯ぐきの色が悪くなる程度かもしれませんが、進行と共に歯周ポケットが深くなり、歯ぐきが腫れ、痛みを伴うようになります。

歯科治療で完治が期待できるのは、歯周ポケットが3ミリ程度までの軽度歯周病です。(※中程度以上の歯周病になると、歯ぐきが元に戻ることはなく、悪化しないようにするための治療がメインです。)治療した後は、定期的なメインテナンスによる予防が主となります。

【歯科の基本歯周病治療】

  • 歯垢・歯石の除去(スケーリング&ルートプレーニング)
  • 定期的メインテナンス(検査と予防処置)

【中程度や重度歯周病の治療例】

  • フラップ手術(歯肉をメスではがして根面を見えるようにして、徹底的にスケーリング・ルートプレーニングをおこない、プラークや歯石を除去)
  • 歯周組織再生療法
  • 歯周形成手術

歯周病が進行すると、歯槽骨が収縮して歯の動揺が起きます。歯肉や骨の再生手術もありますが、重度歯周病の症状になると手遅れです。なぜなら、その後、患者が十分な口腔ケアを行えないからです。歯磨きは毎日の習慣だからです。

歯周病になるのは、これまでに歯磨きによるケアが不十分だったからです。この歯磨きの悪癖を改善しない限り、手術で歯が抜けるまでの期間を延ばすことはできるかもしれませんが、歯周病を完治できることは期待しないほうがいいです。

関連記事>>「歯を抜くしかない」手遅れの歯周病とは?

歯周病は歯磨きとメンテナンスで予防する

歯周ポケットの深さが3ミリ以下の軽度歯肉炎であれば、セルフケアとプロフェッショナルケアで完治することは可能です。

歯周病を治すためのポイントは、早目の対策です。初期段階の内に、歯科を受診して検査を受けるようにしましょう。その際、歯科衛生士さんからブラッシング指導も受けて、お家での歯磨きに活かすようにしましょう。

歯周病になったからといって落ち込む必要はありません。ブラッシングケアを丁寧にして、歯周病と上手に付き合うことで予防することができるからです。

歯周病は歯磨き粉で治る?

歯周病は、体の免疫が低下したときに悪化します。歯ぐきが普段健康な状態でも、体が疲れたりストレスが重なると、歯ぐきが腫れる、血が出る、口臭が出るなどの症状が現れるようになるかもしれません。

そのような時には、放置するのではなく、歯周病用の薬用歯磨きで対処しましょう。薬用歯磨きでブラッシングしても良いですが、効果的なのは、患部に直接薬用歯磨きを塗布する方法です。歯周病の症状が出た時には、この方法で、歯周ポケットが回復するので、是非お試しになってください。

おすすめの歯周病に効く「薬用歯磨き粉」

関連記事:自分で歯周病を治す方法!自宅の歯磨きで歯肉炎が治った!?

歯周病は治せないが悪化しないようにできる

この本では、「歯周病が悪化しないようにどうすればいいのか?」ということが書かれていています。

それは…バイオフィルムをコントロールする環境をつくること ※バイオフィルムとは、細菌の集まった状態またはプラークとも言う場合もあります。

なんか難しそうですが、「バイオフィルムのコントロール」を簡単に説明すると、

  1. 歯周病が悪化しないように、定期的に歯医者さんで歯石を取ってもらう。
  2. 歯周ポケット内のバイオフィルムをかき出すようにブラッシングをていねいにする。
  3. 口腔内を清潔にして細菌が増えないようにコントロールする。
  4. 口腔内が酸性に傾かないようにする。
  5. 唾液の分泌を促すようにする。

歯周病はプラークコントロールが重要

歯周病を治す(改善)ためには、細菌の塊であるプラークを除去することが大切です。

歯医者さんに定期的に行くことはできます。でも、お家でのブラッシングとなると自信がないという人が多いのです。

そんな状態で、どうやって細菌をコントロールしたらいいのか? それどころか、唾液が良く出るようにすることなんて出来ないという方が多いのではないでしょうか?

そうなんです。理屈はよく分かるのですが、歯医者さんでない一般の人にとっては、「歯周病菌をコントロールするために何をすればいいのか」が分からないのです。

プラークコントロールの方法

  1. 歯周病予防の歯磨き粉を選ぶ。
  2. 殺菌剤や歯肉炎を治す薬剤が入っているもの。
  3. 寝る前に10分くらい時間をかけ、すべての歯と歯ぐきの間をていねいにブラッシングする。
  4. 歯科で、2~3か月に一回は歯石除去とクリニーングをしてもらう。。

関連記事>> プラークコントロールとは?効果的なプラークコントロールの方法

ドラッグストアに行けば、沢山の歯周病予防のための歯磨き粉が陳列していますが、どれを使えばいいのか分かりませんよね。本当に困ります。このように、分からないことが多すぎるのが現状ですので、歯周病で悩む前に歯医者さんに相談してアドバイスを受けるのが賢い方法かもしれません。

そして、歯磨きでお口の中を清潔にして細菌が増えないようにコントロールするために、おすすめは、口臭予防歯磨き粉「美息美人(びいきびじん)」です。

 

歯周病の原因は…糖尿病、喫煙、歯磨き不足、降圧剤、口呼吸

歯周病のレントゲン写真

口腔ケアアンバサダーの上林登です。

歯周病は怖い病気です。毎日しっかり歯磨きをしていても、歯周病に感染すると、知らないうちに進行します。

そして、歯ぐきがぶよぶよに腫れ、歯肉が黒ずみ紫色になる。疲れがたまると、化膿し頬まで腫れることもあります。歯周病は、このように進行し最終的には抜歯することになります。

歯が抜ける1番の原因は、虫歯ではなく歯周病だということをご存知でしょうか?最も怖いのは歯周病かもしれないのです。

こんな怖い歯周病にならないために、予防することが大切なのですが、ほとんどの人は、歯周病になる原因を知りません。これでは、予防できないですよね。

今回の記事は、歯周病の原因と予防についてお伝えします。

歯周病は歯が抜ける怖い病気

抜歯

歯周病は悪化すると出血し臭くなるため、歯槽膿漏(しそうのうろう)とも言われます。しかし、歯周病の初期は痛みもないので自覚症状もないかもしれません。

それでも、歯周病菌による感染によって、歯肉に炎症が起きるので、歯周にポケットができます。ポケットができると汚れがたまりやすくなり、歯石が付きます。歯石にはプラークがつきやすく歯周病菌が増える元になるというように、悪循環になることが多いのです。

歯周ポケットの中には、歯肉炎による膿(血や組織液)がたまるので、口臭が発生するのはこのためです。

初期歯周病の過程では、歯ぐきがぶよぶよに腫れます。特に痛みはありませんが、免疫力が落ちたときに化膿し痛みを生じることも。

噛み合わせが悪い場合にも、歯根膜などの歯周組織に過剰負担がかかり、炎症が起き痛くなることがあります。この段階になると、するめいかなどを沢山食べると、歯ぐき(歯)が痛くなるかもしれません。詳しくは『「さきいか」を噛むと歯や歯ぐきが痛くなる!その原因と対処法』をご参考にしてください。

中程度の歯周病になると、リンゴなど固いものをかじると出血することがあります。進行すると、歯磨きを行うたびに出血がします。パンをかじっても出血するときには要注意です。

重度の歯周病(歯槽膿漏)になると、歯ぐきが下がり歯が長くなります。歯ぐきの色も悪く、食事を行うたびに痛みを生じるかもしれません。歯周病の症状について詳しくは、『歯周病の口臭、出血、歯茎の腫れに効く歯磨き粉の選び方』をご参考にしてください。

歯周病の原因

歯周病の原因で多いのは、糖尿病、喫煙、歯磨き不足、薬の副作用、口呼吸など。それらが、どうして歯周病と関係しているのか、一つずつご説明します。

糖尿病が原因で歯周病になる

糖尿病の検査

歯周病になると血糖値が上がることが分かっていますが、糖尿病になると歯周病にもなるといわれています。それほど、糖尿病と歯周病は深く関係しています。

糖尿病になると体の抵抗力が下がるので、いろんな病気を引き起こすことになります。糖尿病が合併症を起こすのはそういう理由からです。

同じように、糖尿病になり抵抗力が低下すると、歯周病菌にも感染しやすくなるのです。このほかにも、糖尿病になると唾液の分泌量が減るため、口の中の汚れがたまり不衛生になります。そのことも歯周病になりやすい要因の一つです。

歯周病を治療し、症状が改善されていくと糖尿病の症状も改善されたという報告もありますが、これはまだハッキリとはしていません。
ただ糖尿病を同時に治療していかなくては歯周病を完治させる事が難しいことだけは確かなのです!

出典:すぎもと歯科 歯周病と糖尿病

喫煙が原因で歯周病になる

タバコを吸う人は、吸わない人よりも歯周病にかかりやすいことが分かっています。

喫煙者は、お口が臭い・ヤニがついて汚いだけではなく、歯周病(歯槽膿漏)にかかりやすく、ひどくなりやすいので、更に治療しても治りにくいことが解っています。

ある統計データによると、歯周病にかかる危険は1日10本以上喫煙すると5.4倍に、10年以上吸っていると4.3倍に上昇し、また重症化しやすくなります。
出典:日本臨床歯周病学会 歯周病とタバコの関係

タバコを吸うと、歯周病になりやすいだけではなく、舌苔(ぜったい)や臭い玉(膿栓)ができる原因にもなります。そのため、下水臭や生臭い口臭がします。

ニコチン・タールの臭いが口臭になると思われることが多いのですが、実は、病的な口臭にタバコのにおいが混じっているのが本当なのです。ですから、喫煙者が歯周病になると、とんでもなく臭い口臭を発することになります。このことについては、『タバコの口臭は想像以上に臭い!歯磨きで消えない場合の対処法』をご参考にしてください。

歯周病の原因で多いのは歯磨き不足

母娘一緒に歯みがき

歯周病になるのは、プラークが原因。ですから、歯周病にならないようにするためには、ブラッシングをしっかりと行いプラークを除去すれば良いのです。言葉でいえば簡単に聞こえます。

しかし、人によって歯並びが悪かったり、歯肉の形が複雑だったりすると、容易にブラッシングができなく、プラークが残るかもしれません。

また、たいていの人は、朝の出勤前に歯磨きをていねいに行う時間がありません。そのため、ブラッシングをしてもプラーク残しができます。

それに、市販の歯磨き粉の場合、発泡剤や香料が入っているので、サッサとブラッシングしても、磨けた気持ちになります。このことが、歯磨き不足の原因になっていることが多いのです。

>>歯周病は歯磨きで治りますか?その答えは?

降圧剤の副作用で歯肉が腫れる

薬

高血圧になるとほとんどの方は、血圧を下げる「降圧剤」というお薬を服用しています。その降圧剤の副作用で歯肉が腫れることがあります。

皆さん、降圧剤を飲んで歯肉が腫れることをご存じですか?近年、高血圧の患者さんも増えています。それらの多くの方が、降圧剤を服用していますが、ここで問題なのがそのうちの何割かに歯肉増殖症が発症するという事実です。

特に、ニフェジピンによる歯肉増殖症が有名です。これは、一種の副作用です。服用者の2~5割に程度の差こそあれ発症するといわれています。

降圧剤の副作用で歯肉が腫れることについて、内科では教えてもらえないことが多いようです。ですので、このことを知っておくと安心して対処ができます。

そして、薬の副作用だからといっても、歯周病にかかっていない人には起きません。だから、歯周病を治療することで治るとのことです。

出典:降圧剤の服用者は要注意!歯肉増殖症・ケースレポート

口呼吸の習慣が歯周病になる

子どもの口呼吸はよく見かけますが、大人になると、ふだん口呼吸をしている人は少ないものです。

しかし、睡眠中、口呼吸をしている人は案外多いものです。いびきをかくのも口呼吸ですが、鼻炎の人の場合、鼻がつまり口で呼吸することに。

このように、口呼吸をしていると、口内が乾き細菌が増えやすくなります。そのため、歯周病にもなりやすい。

口呼吸が歯周病に悪いというのは、口が乾燥しがちになるからです!
口を開いていることによって、歯と歯茎の周囲が乾燥し、歯周病菌が粘度を持つことで歯にへばりつこうとするのです。
歯周病菌はじめ口の中の細菌は、嫌気性菌とよばれ乾いた環境で繁殖しやすいため、口呼吸が歯周病や虫歯を進行させる原因になるのです。

出典:すぎもと歯科 歯周病と口呼吸