口腔ケアアンバサダー(社団法人日本口腔ケア学会認定)の上林登です。
歯周病は静かに進行し気づいた時には、ひどい口臭や歯ぐきが腫れて歯が抜けてしまう病気です。ですから、セルフチェックで早目に歯周病の状態を確認することが大事です。
歯周病かどうかは、臭いを嗅ぐことと出血を見ることで判断できますが、歯周病の状態を調べるには、歯周ポケットの深さを調べることが必要になります。歯周病菌は糖尿病や血管病などの生活習慣病とも関係するので、早目に調べて病気の治療と予防を行うようにしないといけません。
歯周病のチェックが重要なのは、、歯周ポケットを有する人の割合は年齢が増すに従い高い傾向を示し、45歳以上では50%以上を占めていて、全年齢層の約40%に歯肉からの出血が認められているからです。
参考文献:日本歯周病学会、ニュースレター2021年第1号(4月)
しかし、ご自身で、歯科衛生士が調べるように、歯周ポケットの深さを調べることは不可能です。(歯科医院で検査を受けると簡単に分かりますが。)
今回の記事では、ご自身で歯周病をチェックする方法についてご紹介しています。是非ご参考にしてください。
歯周病セルフチェック
当てはまるものにチェックをしてみましょう
□歯肉がときどき赤く腫れる
□歯肉がむずむずする
□歯が浮いた感じがする
□冷たいものがしみる
□歯を磨くと歯肉から出血する
□下の前歯の裏側に歯石がついて、ザラザラしている
□朝起きたとき口の中がネバネバする
□歯肉を押すと血や膿が出る
□口臭を指摘された・自分で感じる
□「サ行」の音が発音しにくい
□歯と歯の間に食べ物がはさまりやすい
□歯を触るとグラグラする
□歯肉が下がり、歯が長くなった感じがする
□以前とは歯並びが変わったような気がする
★一つでもチェックがついたら、歯周病の可能性があります。その場合は、早目に歯科医院を受診しましょう。
口臭
口臭をチェックすることで、歯周病のチェックもできます。
歯周病になると口臭が強くなるので、歯周病かどうか直ぐに分かります。歯周病は、それほど不快な臭いを発します。ですから、口臭を予防するのなら歯周病を治すことが大事です。
歯周病の口臭は、卵の腐ったような臭い(硫化水素)、野菜の腐ったような臭い(メチルメルカプタン)、ごみ臭(ジメチルサルファイド)です。
歯ぐきからの口臭は、ネットでも、「下水のニオイ」、「どぶ臭い」、「玉ねぎの腐ったニオイ」、「うんこのニオイ」などとひどい臭いがするといわれています。
ところが、臭いは麻痺するため、自分自身には分からなくなるのが普通なので、気になったら家族など信頼のおける人に教えてもらうことが必要です。
「歯茎が臭い」と感じたら歯周病の可能性が高いです。詳しくは、『歯茎が臭いそれは歯周病から口臭に発展した証拠。うがいで口臭を消す方法とは?』をご参考にしてください。
歯茎を押すと膿が出る
歯肉炎のチェックは、歯茎の膿で確認できます。
歯肉炎(歯周病)になり歯茎が腫れると、歯周ポケットの中に膿が溜まるようになります。この状態を確認する方法は、指で歯茎を押すと、生臭い膿が出ることで分かります。
口臭の原因を歯医者さんに尋ねると、9割以上の歯医者さんが…「口臭の原因は歯周病菌だ!」と答えられます。本当です。歯周病になっていると、歯ぐきからひどい臭いがしますが、口臭は歯周ポケットの臭い液が原因です。
歯間ブラシでチエックして確かめる
歯周病かどうかを簡単に分かる方法をお教えします。
それは…
歯間ブラシを使うチェックです。
詳しくは、『歯周病のチェックは歯間ブラシを使えばわかる!歯間ブラシ歯周病チェック法』をご参考にしてください。
歯間ブラシで歯周病が疑われる歯と歯茎の間をこすります。
そして、その歯間ブラシをにおって見てください。
くさ~い
そのニオイが食べかすの臭いではなく、異様な臭いであれば、それは歯周病の可能性が大です。
→歯間ブラシが血臭い!その原因と対策について現役の歯科衛生士が教えます。
歯周病による臭いの種類としては…
- 血生臭いニオイ
- 腐った卵のニオイ
- 腐ったたまねぎのニオイ
- 生ごみのニオイ
歯周病になると膿が出ます。その膿とプラーク(細菌のかたまり)が歯間ブラシにつくので、とんでもなく臭いにおいがします。
もちろん、周囲にも臭うことになります。
このような結果になった場合には、至急、歯医者さんに行かれることをお勧めします。
歯周病を治療することで口臭も治るので、まずは、歯医者さんへ行ってください。それを放置すると、いつまでも口臭で悩むことになります。
歯周病かどうかを確かめる簡単な方法は歯間ブラシを使う方法です。歯間ブラシを嗅いで臭いと感じたら、すぐに対策することが大切です。
歯周ポケットの深さを測る
歯周病の程度(進行状態)は、歯周ポケットをチェックすることで分かります。
歯周病は、歯周病菌に感染することで歯茎が侵され、進行すると歯槽骨が退縮し、最後は歯が抜けてしまう病気です。そうならないためにも、早目に進行を止めないといけません。
歯周病が進行すると、口臭も強くなっていくのが歯周病による口臭の特徴です。
歯周病を診てもらうために歯医者に行くと、必ずされることがあります。それは、歯周ポケットの深さのチェックです。
歯周ポケットというのは、歯周病菌によって歯ぐきに炎症がおきることでできる歯と歯ぐきの境目の溝のことをいいます。歯肉炎が進行することで歯周ポケットが深くなるので、歯周ポケットの深さをチェックすると歯周病の程度が判断できます。
一般的に歯科で歯周ポケットの深さを測る方法は、「ポケットプローブ」という棒状の器具を使用し、歯周ポケットの中に差し込んで深さを測ります。
歯周ポケットの深さを測ると「痛い!」と言われる患者さんがいますが、痛い場合は、歯茎が腫れて炎症を起こしているからかもしれません。
健康な歯ぐき:歯周ポケットの深さが2ミリ以下ですが、歯周病が進行すると次のように悪化します。
- 歯肉炎:歯周ポケットの深さが3ミリ程度
- 軽度歯周炎:歯周ポケットの深さが4ミリ程度
- 中等度歯周炎:歯周ポケットの深さが6ミリ程度
- 重度歯周炎:歯周ポケットの深さが8ミリ程度
歯磨きのときに出血する
歯槽膿漏(重度歯周病)のチェックは、歯茎からの出血で分かります。
歯磨きを行った時に、出血することがありませんか?「もしかしたら歯周病ではないだろうか?」と不安になる人が多いのではないでしょうか。血が出る場合は、歯周病によるものが多いのですが、他の病気のこともあるので、出血したらすぐに歯科で診てもらうことをおすすめします。
歯周病で出血する場合の特徴は、炎症による膿の臭いです。出血する部分を舌で吸ってみると、膿の臭いや生臭い味がするので分かると思います。
口の中で膿臭いと、「周囲にも口臭がしているのでは?」と不安になりますよね。でも、残念ですが、歯ぐきから出血する場合のほとんどは歯周病によるものです。出血がなくても、歯ぐきを舌でなめると生臭く感じたら、それは歯肉に炎症がおきているからです。
歯茎が臭い、出血がする場合は、こちらの記事『正しい歯間ブラシを使った歯の隙間の磨き方とは?臭いと出血を抑えます』が参考になると思いますよ。
このような症状があると、口臭が強くなります。口臭の内でも、歯周病による口臭は特に強いといわれているので要注意です。
歯茎の色が悪い
歯茎の色をチェックすることで、歯肉炎(歯周病)かどうかが分かります。健康な歯茎の色はピンクですが、赤や紫になると要注意です。
歯茎の色が悪くなると、他人の前で大きく口を開けることもできないので嫌ですよね。
歯茎の色が悪くなると、「歯周病が原因で歯茎が黒ずんできた。ということは口臭もしているに違いない。。。。。」と考えるかもしれません。
あなたも、このように口臭がしているのではと悩まれていませんか?
自分の口がにおっているのかどうか分からないので、このようにして悩みを持ち続けている人が多くおられます。
しかし、歯ぐきが黒ずむとか、歯ぐきが腫れぼったいのは、歯肉炎の代表的な症状です。このような場合は、一日も早く歯科で診てもらうことをおすすめします。
歯ぐきの色が悪くなる例外もあります。それは、前歯にメタルボンド(セラミック歯)や硬質レジン歯を入れている場合です。人工歯の表面はセラミックやレジンなのですが、その内側は金属でできています。その金属のイオンが歯ぐきに染まり、歯ぐきが黒ずむことがあります。
このようなケースでは、黒ずみは歯磨きでは取れないので歯科で相談されることが大切です。
歯が長くなった
鏡で前歯をじっくりとチェックしてみてください。「歯が長い」「歯が伸びたのだろうか?」と感じたら、歯周病かもしれません。
その時に、指で歯を押してみてください。歯が動いたら、歯周病が進行しているので、早目に歯科で診てもらうことをおすすめします。
歯がしみる
知覚過敏の症状で歯周病かどうかをチェックできます。
冷たい物を食べたり飲んだりした時に、歯がしみることがあります。そのように歯がしみると、「知覚過敏」だと考えるのが一般的。しかし、知覚過敏の原因の一つに、歯周病による歯ぐき下がりが原因になります。
歯周病で歯ぐきが下がると、歯が長く伸びた感じを受けます。そして、歯根部の象牙質が見えるようになります。
象牙質は無数の細い管状の穴が開いていて神経につながっています。ですから、冷たい食べ物や飲み物を飲むと、過敏に感じることになります。
知覚過敏かと思ったら、歯周病による歯ぐき下がりかもしれないのでご注意ください。
→虫歯じゃないのに歯が痛い!それ知覚過敏では?!しみる原因と対策
固いものを噛むと歯が痛む
するめイカなど固い食べ物を食べた翌朝に、「歯が痛い」「歯が浮いている」と感じたら、歯周炎かもしれません。
→「さきいか」を噛むと歯や歯ぐきが痛くなる!その原因と対処法
歯周病が進行すると、歯を支える膜などの歯周組織にも炎症がおきます。歯周組織には神経が多くあるため、歯周炎になると外からの力が加わると過敏に感じるようになります。
そのため、固いものを噛むと「歯が痛い」と感じるように。歯が痛むと虫歯と勘違いする人が多いのですが、虫歯がない時には歯周病が原因になっているかもしれません。
歯周病が進み、食事の度に「歯が痛い」と感じるようであれば、かなり歯周病が進行しています。ここまで歯周病が悪化すると、自然に治癒することはほとんどありません。
歯科で外科的治療(抜歯、ブリッジ、義歯、インプラント、歯肉の移植など)を受ける必要がでてきます。そうならないように、早目に歯周病を検知し予防することが大事です。