子どもの口臭:ケースごとの対策方法
口腔ケアアンバサダー(社団法人日本口腔ケア学会認定)の上林登です。
もし、子どもと会話したときに、口臭を感じたら心配するのではないでしょうか?
子どもの息が臭いと、「友達がなくなってしまうのではないだろうか?」と思うかもしれません。
子供だからといって、口臭がないわけではありません。実際、多くのお母さん方がご自分の子供の息が臭いことで悩んでいます。
ところが、一口に口臭といっても、原因も様々。ですから、その子供の原因にあった口臭対策が必要になります。
今回の記事は、子供の口臭で多い原因とその子供の症状にあった対策法をご紹介します。ご参考にしてください。
この記事の目次
子どもの口臭を放置したときのリスク
子供の口臭だからといって、簡単に済ませていると色んな弊害が起きるかもしれません。
先ほども述べましたが、子供は正直ですから、「○○ちゃん、口が臭い!」と言われることもあります。それがエスカレートすると、子供のお友達からいじめに発展するケースもあります。子供の時に受けた心の傷は、ずっと残ることが多いので、精神の成長に支障を来たすかもしれません。
美息美人(びいきびじん)のお客さまの中にも、「子供の時に母親から息が臭い!」と言われたことで、大人になった現在も自臭症が治らず悩んでいる人たちが多くおられます。ですので、子供に指摘するときは、言葉一つ一つに十分な配慮が必要です。
また、口臭は病気のサイン。お口や喉にばい菌が増えたことで臭いがしているのですから、ほっておいて良いことがありません。専門のお医者さんに診てもらうことが重要です。
それでは、子供の口臭原因で多いものから対策法についてもご紹介します。
子どもの口臭原因
歯磨き不足が原因
子供の口臭で一番多いのは、何といっても歯磨きが十分にできていないこと。低年齢の子供では、長い時間歯磨きをしていても、歯ブラシをほおばっているだけでしっかりと磨けてないことが多いのです。
特に、奥歯や歯の裏側は磨きにくいので虫歯になりやすい。ですから、子供が歯磨きをした後に母親が点検することが大切です。
また、歯並びが悪いとか狭い隙間などは、大人でも磨きにくいものです。そのような箇所は母親が磨いてあげると良いかもしれません。
一度虫歯が出来ると、次から次へと虫歯ができやすくなります。詰め物や銀歯を入れると、歯垢がつきやすくなるため二次カリエスに。
抜歯することになるとブリッジを入れるのですが、残った歯に負担がかかるため、歯周炎のリスクも増えます。
将来、このような悪循環にならないためにも、歯磨きをしっかりと出来るように指導することも大事です。子供が一人できちんと歯磨きができるようになるまでは、母親が手伝うことも大切です。
詳しくは『虫歯を治療してるのに臭い!口臭原因は2次カリエスかも』をご参考にしてください。
口呼吸が原因
母乳よりもミルクで育つ子供が増えたことや、おしゃぶりをしないことが口呼吸の原因ともいわれています。哺乳瓶のミルクは、吸う力が弱くても容易にミルクが出ますが、母乳は力いっぱい吸わないと出ません。赤ちゃんがお乳に吸い付いたまま、鼻で呼吸することに。それが良かったようですね。
また、おしゃぶりを口に入れていると自然と鼻呼吸が習慣になります。口を閉じる筋力もつきます。
これらのことが影響して、子供になっても口呼吸をしていると口臭が起きやすくなります。
その理由は、人は本来、鼻呼吸をするようにできています。鼻から空気を取り入れると、塵や雑菌・ウィルスも一緒に入ってきます。それを防ぐために、鼻の中には沢山の毛が生え、粘液でくっつけるようになっています。
ところが、口呼吸の場合には、口には塵や雑菌・ウィルスへの防御システムがありません。口から喉に直接入ってしまう。喉には、扁桃(へんとう)という免疫システムがあり、ここで雑菌やウィルスとやっつけます。
しかし、これが口臭を起こすことになるのです。
雑菌やウィルスの死骸が粘液と固まり、膿栓(臭い玉)という臭い物質ができてしまいます。膿栓(のうせん)は、乳白色で米粒大の大きさです。扁桃(へんとう)の穴にたまり覗くと白く見えることがあります。悪臭がするので、「臭い玉」とも呼ばれます。
膿栓(臭い玉)が出来た時の対策方法は、耳鼻咽喉科にかかることが大切です。膿栓を放置していると、口臭が強くなるだけではなく喉に炎症が起きることも。詳しくは『口臭の元!膿栓(臭い玉)ができる4つの原因と取り方』をご参考にしてください。
口呼吸をしていると、口腔内が乾燥し自浄作用も低下するため虫歯菌や歯周病菌も増えやすく、将来的に虫歯や歯周病のリスクが高くなります。
ですから、口呼吸から鼻呼吸に変えるためにマウスピースを作ったり、鼻呼吸トレーニングを行なうことをお勧めします。詳しくは『口呼吸⇒鼻呼吸に変えると口臭が消える!?』をご参考にしてください。
鼻炎が原因
アレルギー性鼻炎などで鼻が詰まると、口呼吸になります。慢性的に風邪の症状で鼻が詰まっている子供の場合も鼻で呼吸ができないために、口呼吸になります。
子供が口呼吸をしていると、口臭も発生しやすくなりますので、元々の原因となっている鼻炎などの疾患を治すことが大切です。
ちくのう症(副鼻腔炎)が原因
ちくのう症になりやす子供がいます。それは、風邪をひきやすいとか、アレルギー性鼻炎の子供。他に鼻の形も影響しますが、鼻づまりや鼻水の症状が続くとちくのう症になることがあります。
ちくのう症になると、鼻の奥に副鼻腔という穴に膿がたまります。この膿が悪臭を放つので口臭の原因となります。
ちくのう症は、早期であれば、抗生物質の治療でかんたんに治る病気ですので、早めにお医者さんにかかることが大事です。放置や自己治療をしていると、ちくのう症が慢性化するので注意してください。
また、ちくのう症の場合には、口臭も強烈ですのですぐに判断できます。口臭がひどいと感じたらちくのう症を疑ってみる必要があります。
胃腸虚弱が原因
子供が歯磨きも丁寧にしているし、口呼吸にもなっていない。それなのに口臭がしている場合には、胃腸が口臭の原因になっているかもしれません。
胃腸が弱いと、消化不良を起こし腸内で発酵したガスが、呼気として出てくるため臭うことがあります。
子供の胃腸が弱い場合には、食生活の見直しも大切です。だらだらとお菓子など食べさせないで一日3食、おやつは1回(または2回)ときちんと決めて食べさせることも大切。その他、柔らかい食べ物やお菓子を食べていると咀嚼が少なくなるため唾液分泌が悪くなります。唾液が少ないと舌が白くなりやすく口臭も起きやすくなります。
また、ストレスが多いと胃腸の調子を悪くするので、十分遊びや運動をさせることも大事です。この他、睡眠不足もよくありません。少ない場合には十分睡眠時間をとり規則正しい生活習慣を作ると良いです。詳しくは『胃腸が弱ると舌が白くなる!口臭がする!対策はこれ!』をご参考にしてください。
子どもの口臭で一番気を付けること
はじめにお伝えしたように、子供の心は傷つきやすく、その傷は大人になっても残ってしまいます。ですから、間違っても「口が臭い!」と言わないことが肝心です。
もし、子供の時に「口が臭い!(嫌われている。)」と感じてしまうと、一生を通じて「私は口が臭いからみんなに迷惑をかけている。」というように、悲観してしまうかもしれません。それが自臭症です。
そのようなことにならないためにも、「きちんと歯磨きを行なえば口臭は治る」ということを正しく教えてあげてくださるようお願いします。
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