こんにちは、口腔ケアアンバサダー(一般社団法人 日本口腔ケア学会認定)の上林登です。監修:歯科衛生士 上林ミヤコ
30秒で分かる結論
電動歯ブラシには、低発泡で、目的に合った研磨性とフッ素濃度の歯磨き粉が向いています。むし歯予防なら1,450ppmFの低発泡ジェル、歯ぐきケアなら歯周病予防成分を配合した薬用ジェル、着色除去なら機種が使用を認めている清掃剤配合製品が候補です。使用量や使える歯磨き粉は機種によって異なるため、取扱説明書も確認してください。

電動歯ブラシ用の歯磨き粉は、目的や年齢、使用機種に合わせて選び、強く押し付けないことも大切です。
「普通の歯磨き粉を使ってもよいのか」「研磨剤で歯を傷つけないか」「ジェルとペーストのどちらがよいのか」と迷う方は少なくありません。
多くの電動歯ブラシでは一般的な歯磨き粉を使用できます。ただし、泡立ちが強い製品や、ヤニ取りなどを目的とした特殊な歯磨き粉は、機種によって使用を控えるよう案内されています。
この記事では、電動歯ブラシに合う歯磨き粉の選び方と、目的別の5製品を比較します。製品情報は2026年8月20日時点のメーカー公式情報をもとにしていますが、購入前には容器の表示も確認してください。
電動歯ブラシに合う歯磨き粉の選び方
商品名だけで決めず、「発泡性」「研磨性」「フッ素」「使用目的」の4点を確認すると選びやすくなります。
| 重視すること | 選ぶ目安 | 注意点 |
|---|---|---|
| むし歯予防 | 年齢に合ったフッ化物配合歯磨剤 | フッ素濃度、年齢、使用量を確認する |
| 歯ぐき・歯周病予防 | 歯周病予防の効能が表示された医薬部外品 | 出血や腫れが続く場合は歯科を優先する |
| 飛び散りにくさ | 低発泡のジェルタイプ | ブラシを口に入れてから電源を入れる |
| 摩擦への配慮 | 無研磨または低研磨タイプ | 無研磨でも強く押し付けない |
| コーヒー・茶渋の着色 | 着色除去用の清掃剤配合製品 | 機種が使用を認めているか確認する |
歯磨き粉を選ぶ前に受診した方がよいサイン
- 歯ぐきの出血や腫れが続く
- 歯がぐらつく、噛むと痛む
- 冷たい物や歯磨きで強くしみる
- 一部分から繰り返し悪臭がする
これらは歯周病、むし歯、知覚過敏、詰め物や被せ物の問題などでも起こります。歯磨き粉は治療の代わりにはなりません。
電動歯ブラシ用歯磨き粉を選ぶ3つのポイント
1.低発泡なら磨いている場所を確認しやすい
電動歯ブラシはブラシが高速で動くため、発泡性の高い歯磨き粉では泡や唾液が飛び散りやすくなります。泡が多いと、歯と歯ぐきの境目など、毛先を当てている場所も確認しにくくなります。
低発泡ジェルなら泡が増えにくく、奥歯、歯の裏側、歯と歯ぐきの境目を順番に確認しながら磨きやすくなります。
ただし、低発泡であれば歯垢が自動的によく落ちるわけではありません。大切なのは、機種に合った角度と力で毛先を当てることです。
2.研磨剤・清掃剤は有無だけでなく目的で選ぶ
研磨剤や清掃剤は、歯の表面に付着した汚れや着色を落とすために配合されます。配合されているだけで、すべての製品が歯を傷つけるわけではありません。
一方で、電動歯ブラシを強く押し付けたり、着色除去用の歯磨き粉を同じ場所へ長時間当てたりすると、歯や歯ぐきへの負担が増える可能性があります。
- 毎日の基本ケアには、無研磨または低研磨タイプが候補になる
- 着色が気になる場合は、清掃剤配合製品と機種の説明書を確認する
- 知覚過敏、歯ぐき下がり、補綴物がある方は歯科で相談する
「研磨剤入りはすべて危険」「無研磨なら強く磨いても安全」という考え方は、どちらも適切ではありません。
3.むし歯予防ではフッ素濃度と使い方を確認する
成人のむし歯予防を重視する場合は、フッ化物配合歯磨剤が基本的な選択肢です。
厚生労働省のe-ヘルスネットでは、6歳から成人・高齢者について、1,400~1,500ppmFの歯磨剤を歯ブラシ全体の1.5~2cm程度使用する方法が示されています。歯磨き後は軽く吐き出し、うがいをする場合は少量の水で1回とされています。
一方、パナソニックのドルツなど、飛び散りを抑える目的から歯磨き粉を米粒大と案内する電動歯ブラシメーカーもあります。
使用量を一律に「米粒大」と決めない
公的機関の案内はフッ化物によるむし歯予防、機器メーカーの案内は飛び散り防止や機器の使用方法など、目的が異なります。使用する機種、年齢、フッ素濃度、むし歯リスクを確認し、判断しにくい場合は歯科医師や歯科衛生士へ相談してください。
電動歯ブラシに合う歯磨き粉おすすめ5選
ここでは総合順位を付けず、目的別に5製品を比較します。全員に共通する1位はなく、むし歯、歯ぐき、飛び散り、研磨性、着色のどれを優先するかによって適した製品は変わります。
| 商品名 | 向いている目的 | 発泡・研磨性 | フッ素 | 主な注意点 |
|---|---|---|---|---|
| クリニカアドバンテージ ジェルハミガキ | むし歯予防 | 低発泡・研磨剤無配合 | 1,450ppmF | 6歳未満は使用を控える |
| システマ ハグキプラス ジェルハミガキ | 歯ぐき・歯周病予防 | 低発泡・研磨剤無配合 | 配合あり。公式ページに濃度表示なし | 出血や腫れが続く場合は歯科受診 |
| ガム歯周プロケア デンタルジェル | 電動用の使いやすさ・歯周病予防 | 飛び散りにくいジェル・低研磨 | 配合あり。公式ページに濃度表示なし | 無発泡・無研磨ではない |
| ジェルコートF | 無研磨・無発泡とむし歯予防 | 発泡剤・研磨剤無配合 | 1,450ppmF | 6歳未満、クロルヘキシジンアレルギーの方は使用を控える |
| ルシェロ 歯みがきペースト ホワイト | コーヒー・茶渋などの着色除去 | 清掃剤として炭酸カルシウム配合 | 950ppmF | 電動歯ブラシ専用品ではない。機種の使用条件を確認 |
※製品情報は2026年8月20日にメーカー公式ページで確認しました。成分、処方、表示、容量は変更される可能性があります。購入時は最新の容器表示を優先してください。
1.クリニカアドバンテージ ジェルハミガキ
むし歯予防を優先する方に合わせやすい、電動歯ブラシ向けのジェルハミガキです。
- 研磨剤無配合
- 低発泡タイプ
- 高滞留処方
- フッ素1,450ppm配合
電動歯ブラシ向けとしてメーカーが案内しており、泡立ちと研磨性を抑えながら、フッ化物によるむし歯予防を取り入れたい方の候補です。1,450ppmFのため、6歳未満の子どもは使用を控えてください。
2.システマ ハグキプラス ジェルハミガキ
歯ぐきの健康と歯周病予防を重視したい方に向く、電動歯ブラシ用の薬用ジェルです。
- 研磨剤無配合
- 低発泡タイプ
- 高滞留処方
- 歯周病予防の薬用成分を配合
- フッ素配合
着色汚れの除去を主目的とする製品ではありません。また、出血や腫れを繰り返す場合は歯磨き粉だけで様子を見続けず、歯科で歯周ポケットや歯石の状態を確認してください。
3.ガム歯周プロケア デンタルジェル
電動歯ブラシでの磨きやすさと歯周病予防の両方を重視する方の候補です。
- 電動歯ブラシ用としてメーカーが案内
- 飛び散りにくいジェルタイプ
- 低研磨処方
- 歯周病予防、口臭防止、口中浄化の効能
- 清掃剤、発泡剤、フッ素を配合
ジェルタイプですが、無研磨・無発泡ではありません。「ジェルなら研磨剤や発泡剤が入っていない」と思い込まず、成分表示を確認しましょう。
>4.ジェルコートF
発泡剤と研磨剤を避けながら、フッ化物によるむし歯予防も重視したい方の候補です。
- 発泡剤・研磨剤無配合
- フッ素1,450ppm配合
- 電動歯ブラシとの併用が可能
- 歯科専売のジェル歯磨き剤
6歳未満の子どもと、クロルヘキシジンにアレルギーのある方は使用を控える必要があります。無研磨でも、電動歯ブラシを強く押し付けてよいわけではありません。
5.ルシェロ 歯みがきペースト ホワイト
コーヒー、紅茶、赤ワインなどによる着色汚れを落としたい方の候補です。
- 清掃剤として炭酸カルシウムを配合
- 着色汚れやタバコのヤニの除去を目的とする
- フッ素950ppm配合
- 電動歯ブラシ専用品ではない
着色除去用の歯磨き粉は、電動歯ブラシの機種によって使用を控えるよう案内されることがあります。必ず取扱説明書を確認し、同じ場所へ長時間当て続けないでください。
着色が落ちないときは強く磨かない
歯石、むし歯、詰め物や被せ物の変色、歯自体の色は、歯磨き粉では改善できないことがあります。力を強くするのではなく、歯科で原因を確認してください。
目的別ではどの歯磨き粉が合う?
- むし歯予防を優先:クリニカアドバンテージ ジェルハミガキ
- 歯ぐき・歯周病予防を優先:システマ ハグキプラス ジェルハミガキ
- 電動用としての使いやすさを優先:ガム歯周プロケア デンタルジェル
- 無研磨・無発泡を優先:ジェルコートF
- 着色除去を優先:ルシェロ 歯みがきペースト ホワイト。ただし、機種の使用条件を確認
むし歯、歯周病、知覚過敏、歯ぐき下がり、詰め物や被せ物の状態は人によって異なります。迷う場合は、歯磨き粉の選び方30秒診断で目的を整理してください。
電動歯ブラシと歯磨き粉の正しい使い方
- 電動歯ブラシの取扱説明書を確認する
- 年齢と目的に合う歯磨き粉を選ぶ
- 機種と製品表示に合った量をつける
- ブラシヘッドを口の中に入れてから電源を入れる
- 毛先を歯面へ軽く当て、強く押し付けない
- 歯と歯ぐきの境目、奥歯、歯の裏側を順番に磨く
- 同じ場所へ長時間当て続けない
- 使用後は歯磨き粉の表示に従って吐き出し、必要に応じてすすぐ
電動歯ブラシは「自動で全部磨いてくれる歯ブラシ」ではありません。機種によって当て方や動かし方が異なるため、手磨きと同じように大きく往復させない方がよい機種もあります。
ブラシの当て方や押し付けすぎが不安な方は、電動歯ブラシの効果と正しい使い方も確認してください。
歯間の汚れは電動歯ブラシだけでは残ることがある
電動歯ブラシを使用しても、歯と歯が接している部分や、歯並びによって毛先が届きにくい部分には汚れが残ることがあります。
必要に応じてデンタルフロスや歯間ブラシを併用してください。歯間ブラシはサイズが合わないと歯ぐきを傷つけることがあるため、無理に押し込まないことが大切です。
フロスで口臭が改善しない原因と正しい歯間ケアも参考になります。
電動歯ブラシを舌へ直接当てない
歯を磨いた電動歯ブラシを、そのまま舌の奥へ当てることはおすすめしません。強い振動や摩擦によって、舌の粘膜を刺激する可能性があります。
舌を清掃する場合は、舌専用器具や電源を切った柔らかいブラシを使い、無理なく見える範囲を奥から手前へやさしく動かします。痛み、ヒリヒリ感、出血が出た場合は中止してください。
専用の舌ケア機能や舌用ブラシヘッドが付属する機種は、メーカーの説明書に従いましょう。
電動歯ブラシでも口臭が残る場合の確認順序
電動歯ブラシや歯磨き粉を替えても、口臭が必ず解消するわけではありません。次の順序で原因を確認すると、対策を増やしすぎずに済みます。
- 歯間:フロスや歯間ブラシを通した特定の場所が臭わないか
- 歯ぐき:出血、腫れ、歯のぐらつきがないか
- 舌:厚い舌苔がないか、強く磨きすぎていないか
- 乾燥:朝のネバつき、口呼吸、服薬による乾燥がないか
- 鼻・喉:鼻づまり、後鼻漏、喉の違和感がないか
口臭相談で感じること
これまでの相談では、電動歯ブラシや歯磨き粉を替えても口臭が気になるという訴えが繰り返し寄せられています。その場合、歯間の汚れ、歯周病、舌苔、口の乾燥など、複数の要因が重なっていることがあります。
私は、対策を次々と増やすよりも、磨き残し、歯ぐき、舌、乾燥の順に確認し、次の行動を1つに絞ることが大切だと考えています。
自分の口臭原因が分からない場合は、30秒口臭タイプ診断で、歯ぐき、舌、乾燥、鼻・喉のどこを優先して確認するか整理できます。
泡立ちや刺激が苦手な方の別の選択肢
強い泡立ちやミントの刺激が苦手で、舌苔、朝のネバつき、口の不快感も気になる場合は、一般的なチューブ型歯磨き粉以外の口腔ケアを検討する方法もあります。
美息美人は、水に溶かして、うがいと歯・歯ぐき・舌のやさしいブラッシングに使用する口臭予防歯みがきです。界面活性剤、研磨剤、香料、発泡剤、甘味料を使用していません。
ただし、美息美人にはフッ素が配合されていません。フッ化物配合歯磨剤と同じむし歯予防効果を期待する製品ではなく、歯周病やむし歯を治療するものでもありません。
次のような方は違いを確認してください
- 強いミントや泡立ちが苦手
- 舌を強くこすらないケアを探している
- 朝のネバつきや舌苔も気になる
- うがいとブラッシングを一つの流れで続けたい
電動歯ブラシと歯磨き粉のよくある質問
電動歯ブラシに普通の歯磨き粉を使えますか?
多くの機種では使用できます。ただし、発泡性の高い製品や、ヤニ取りなどの特殊な歯磨き粉を使用できない機種があります。必ず取扱説明書を確認してください。
電動歯ブラシでは歯磨き粉をどれくらい使いますか?
機種、年齢、フッ素濃度、使用目的によって異なります。米粒大を案内する機器メーカーがある一方、厚生労働省は6歳以上の1,400~1,500ppmF歯磨剤について1.5~2cm程度を示しています。むし歯リスクが高い方や判断に迷う方は、使用製品を歯科へ持参して相談してください。
研磨剤入りの歯磨き粉は使わない方がよいですか?
研磨剤や清掃剤が配合されているだけで、すべて避ける必要はありません。使用目的、機種の指定、ブラシ圧を確認してください。知覚過敏や歯ぐき下がりがある方は、低研磨または無研磨タイプについて歯科で相談しましょう。
歯磨き粉なしでも電動歯ブラシを使えますか?
歯垢はブラシによる機械的な清掃で除去できますが、歯磨き粉にはフッ化物によるむし歯予防などの役割があります。歯磨き粉を使わない状態を続けるかどうかは、むし歯リスクも含めて判断してください。
美息美人とフッ素歯磨き粉は併用できますか?
役割が異なるため、併用を検討できます。美息美人はフッ素無配合です。使用する順序や回数は口内の状態によって異なるため、むし歯リスクが高い方や治療中の方は歯科医師、歯科衛生士へ相談してください。
まとめ|電動歯ブラシの歯磨き粉は目的と機種で選ぶ
- 低発泡ジェルは飛び散りにくく、磨く場所を確認しやすい
- 研磨剤・清掃剤は有無だけでなく、目的と使い方で判断する
- むし歯予防では年齢に合ったフッ素濃度と使用量を確認する
- 歯周病予防用の歯磨き粉は、歯周病治療の代わりにはならない
- 着色除去用製品は、電動歯ブラシの取扱説明書を確認する
- 電動歯ブラシを舌へ直接当てない
- 口臭が残る場合は歯間、歯ぐき、舌、乾燥の順に確認する
むし歯予防ならフッ化物配合、歯ぐきケアなら歯周病予防用、飛び散りや摩擦が気になるなら低発泡・低研磨または無研磨というように、最も優先したい目的から選びましょう。
参考にした公的機関・メーカー公式情報
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「フッ化物配合歯磨剤」
- ライオン「電動ハブラシ向け ジェルハミガキ」
- ライオン「システマ ハグキプラス ジェルハミガキ」
- サンスター「ガム歯周プロケア デンタルジェル」
- ウエルテック「ジェルコートF」
- ジーシー「ルシェロ 歯みがきペースト ホワイト」
- パナソニック「ドルツの基本の使いかた」


