こんにちは、口腔ケアアンバサダー(一般社団法人 日本口腔ケア学会認定)の上林登です。監修:歯科衛生士 上林ミヤコ
「喉の奥から臭う気がする」「後鼻漏があるので、上咽頭炎が口臭の原因ではないか」「鼻うがいやBスポット治療でよくなるのか」と悩んでいませんか。
結論からいうと、上咽頭炎や後鼻漏があると、喉に残る粘液、鼻づまり、口呼吸による乾燥などが重なり、口臭が気になることはあります。
ただし、上咽頭炎が強い口臭を直接起こすとは限りません。口臭の大部分は口の中に原因があり、特に舌苔と歯周病が重要です。上咽頭炎だけに原因を絞らず、鼻・喉と口の両方を確認する必要があります。
この記事では、上咽頭炎と口臭の関係、後鼻漏・膿栓・副鼻腔炎・歯科原因との見分け方、安全な鼻うがい、Bスポット治療(EAT)を相談する目安を整理します。
30秒でわかる結論
- 鼻水が喉へ落ちる、鼻づまり、咳払いが続く:耳鼻咽喉科で後鼻漏や副鼻腔炎、上咽頭の状態を確認します。
- 舌が白い、口が乾く、歯ぐきから血が出る:舌苔や歯周病など口腔内原因も確認します。
- 鼻うがい:補助ケアにはなりますが、上咽頭炎や口臭を治すものではありません。
- Bスポット治療:すべての口臭に行う治療ではなく、慢性上咽頭炎と診断された場合に医師と検討する選択肢です。

口臭の原因を広く確認したい方は、先に口臭の原因を30秒で見分けるチェック表をご覧ください。
上咽頭炎と口臭の関係
上咽頭は、鼻の奥とのどの境目にある部分です。ここに炎症があると、喉の違和感、粘液が張り付く感じ、後鼻漏、咳払いなどが続くことがあります。
上咽頭炎がある人の口臭は、次の3方向から整理すると分かりやすくなります。
| 関係 | 起こり得ること | 確認したい点 |
|---|---|---|
| 鼻・喉の影響 | 後鼻漏などの粘液が喉に残り、不快な味や臭いを感じる | 鼻づまり、咳払い、喉の粘液 |
| 乾燥を介した影響 | 鼻づまりから口呼吸になり、舌苔や口のネバつきが残りやすくなる | 起床時の乾燥、白い舌、口呼吸 |
| 別原因の併存 | 上咽頭炎とは別に、歯周病、舌苔、膿栓、虫歯などがある | 歯ぐきの出血、フロス臭、白い粒 |
厚生労働省のe-ヘルスネットでは、口臭の大部分は口腔内に原因があり、主に舌苔と歯周病が関係すると説明されています。そのため、喉の奥が臭うように感じても、症状だけで上咽頭炎が原因と判断することはできません。
上林登からの一言
これまでの相談でも、「歯の治療を受けたのに喉の奥から臭う」「臭い玉や後鼻漏が原因ではないか」という訴えは繰り返し寄せられています。私は、喉だけに原因を決めず、後鼻漏、口の乾燥、舌苔、歯ぐきの状態を一つずつ確認するようお伝えしています。
後鼻漏・膿栓・副鼻腔炎・歯科原因の見分け方
次の表は診断ではありませんが、受診先を選ぶ目安になります。
| 主なサイン | 考えられる状態 | 次の行動 |
|---|---|---|
| 鼻水が喉へ落ちる、咳払い、鼻づまり | 後鼻漏、鼻炎、副鼻腔炎、上咽頭炎など | 耳鼻咽喉科 |
| 喉に白い粒が見える、臭い玉が出る | 膿栓、扁桃周囲の汚れ | 自分で押し出さず耳鼻咽喉科 |
| 黄色や緑色の鼻水、片側の臭い、頬や歯の痛み | 副鼻腔炎、歯性上顎洞炎など | 早めに耳鼻咽喉科。必要に応じて歯科 |
| 白い舌、起床時の臭い、口の乾燥 | 舌苔、口呼吸、唾液減少など | やさしい口腔ケア。続く場合は歯科 |
| 歯ぐきの出血、フロス臭、1本の歯だけ臭う | 歯周病、虫歯、被せ物周囲の問題など | 歯科 |
鼻水が喉へ落ちる症状が中心なら、後鼻漏と口臭の関係で原因と対策を確認してください。
白い粒や臭い玉が見える方は、膿栓を自分で取らない方がよい理由と受診目安が参考になります。
黄色い鼻水、片側だけの臭い、頬の痛みがある方は、副鼻腔炎の臭いと周囲に気づかれる可能性も確認してください。
慢性上咽頭炎はどう診断される?
喉の違和感や後鼻漏があるだけで、慢性上咽頭炎と決まるわけではありません。
2025年に日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会の会報で紹介された診断基準案では、次の3項目をすべて認めることが示されています。
- 慢性上咽頭炎を疑う症状が1か月以上続き、薬物療法などで改善しない
- 鼻・副鼻腔、中・下咽頭、喉頭に、症状を説明する別の器質的疾患がない
- 内視鏡で上咽頭の発赤、腫れ、後鼻漏粘液などを認め、擦過時に出血する
つまり、自己チェックだけで診断する病気ではありません。耳鼻咽喉科では、内視鏡などで鼻腔、副鼻腔、上咽頭、扁桃や喉頭の状態を確認し、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎など、ほかの原因も調べます。
Bスポット治療・EATは口臭に効く?
Bスポット治療は、現在「上咽頭擦過療法(EAT)」と呼ばれることがある治療です。医療機関で上咽頭を観察し、塩化亜鉛溶液を含ませた器具などで患部を擦過します。
ただし、EATは口臭そのものを対象にした標準治療ではありません。慢性上咽頭炎と診断された人の症状に対して検討される治療であり、すべての医療機関で行われているわけでもありません。
EATを考える前に確認したいこと
- 耳鼻咽喉科で慢性上咽頭炎が疑われているか
- 副鼻腔炎、鼻炎、扁桃疾患など別の原因がないか
- 歯周病や舌苔など口腔内原因を確認したか
- 期待できる効果、痛み、出血、通院回数について説明を受けたか
「EATを受ければ口臭が改善する」とは断定できません。上咽頭の炎症が軽くなっても、舌苔や歯周病、口腔乾燥が残っていれば口臭が続く可能性があります。受けるかどうかは、診察結果と治療の目的を医師に確認して判断しましょう。
鼻うがいで上咽頭炎や口臭は治る?
鼻うがいは、鼻腔内の粘液、ほこり、花粉などを洗い流す補助ケアとして使われます。後鼻漏による不快感が一時的に軽くなることはありますが、上咽頭炎、副鼻腔炎、歯周病や口臭の原因そのものを治療する方法ではありません。
鼻うがいを安全に行う4つのポイント
- 専用製品の説明書に従う
自己流で塩分濃度や洗浄圧を変えないでください。 - そのままの水道水を使わない
市販の洗浄液、蒸留水・滅菌水、または一度沸騰させて冷ました水を使用します。 - 器具を使用後に洗浄して乾燥させる
家族との共用は避け、製品の交換時期も守ります。 - 痛みや出血があれば中止する
耳の痛み、強い鼻づまり、鼻血、症状の悪化がある場合は耳鼻咽喉科へ相談します。
免疫機能が低下している方、鼻の手術後の方、耳の病気がある方は、始める前に医師へ確認してください。
自宅でできる口臭対策
1. こまめに水分を取る
口や喉が乾くと、粘液や舌苔が残りやすくなります。一度に大量に飲むのではなく、日中に少量ずつ水分を取りましょう。水分制限を受けている方は、医師の指示を優先してください。
2. 鼻づまりを放置しない
鼻づまりが続くと口呼吸になり、口腔乾燥を招きやすくなります。無理に口を閉じて我慢するのではなく、鼻づまりの原因を耳鼻咽喉科で確認します。
3. 歯間部と歯ぐきの境目を清掃する
歯ぐきから出血する、フロスや歯間ブラシが臭う場合は、歯周病などの口腔内原因が疑われます。歯ブラシだけでなく、歯間清掃用具も無理のない範囲で使用し、出血が続く場合は歯科を受診してください。
4. 舌を強くこすらない
舌苔が気になっても、硬い歯ブラシで何度もこすると舌を傷つけることがあります。舌清掃を行う場合は、起床時などに弱い力で奥から手前へ動かし、痛みやヒリヒリ感が出たら中止します。
舌がしみる、赤い、磨くほど不快感が増す場合は、舌磨きを中止した方がよいサインを確認してください。
やってはいけないこと
- 喉の臭いだけで上咽頭炎と決めつける:舌苔や歯周病など、より一般的な口腔内原因を見落とす可能性があります。
- 膿栓を指や綿棒で押し出す:扁桃を傷つけ、出血や炎症を起こすおそれがあります。
- 鼻うがいにそのままの水道水を使う:必ず安全な水と清潔な器具を使用してください。
- 市販薬を長期間自己判断で使う:症状を隠し、受診が遅れる可能性があります。
- Bスポット治療を口臭の万能治療と考える:治療対象になるかは耳鼻咽喉科の診察が必要です。
- 舌を何度も強く磨く:粘膜への刺激や乾燥感を強めることがあります。
耳鼻咽喉科・歯科の受診目安
耳鼻咽喉科を優先する症状
- 後鼻漏、鼻づまり、喉の違和感が2週間以上続く
- 黄色や緑色の鼻水、膿のような痰が続く
- 片側だけ鼻や喉の臭いが強い
- 頬の痛み、頭重感、嗅覚低下がある
- 咳払い、痰、声のかすれが続く
- 鼻うがいで痛みや出血、耳の違和感が出る
歯科を受診したい症状
- 歯ぐきから出血する
- フロスや歯間ブラシがいつも臭う
- 特定の奥歯や被せ物の周囲だけ臭う
- 歯の痛み、しみる症状、ぐらつきがある
- 舌苔や口腔乾燥とともに口臭が続く
- 家族など第三者から繰り返し口臭を指摘される
早急に医療機関へ相談したい症状
- 息苦しさや呼吸困難がある
- 唾液も飲み込みにくい、よだれが出る
- 高熱と強い喉の痛みがある
- 顔や目の周囲が腫れている
- 強い頭痛、意識の変化、急速な症状悪化がある
- 血の混じった痰や鼻血が繰り返し出る
よくある質問
上咽頭炎が治れば口臭もなくなりますか?
必ずしもなくなるとは限りません。鼻・喉の症状が軽くなっても、舌苔、歯周病、口腔乾燥などが残っていれば口臭が続く可能性があります。
鼻うがいは1日何回行えばよいですか?
回数は製品の説明書または医師の指示に従ってください。回数を増やせば効果が高まるとは限らず、痛み、出血、耳の違和感が出た場合は中止します。
Bスポット治療はどこの耳鼻咽喉科でも受けられますか?
すべての耳鼻咽喉科で実施しているわけではありません。受診前に医療機関の案内を確認し、まず診察を受けて治療対象になるか相談してください。
口臭が実際にあるか、自分で確認できますか?
口臭は自己評価と実際の強さが一致しにくいため、家族など信頼できる人への確認や、歯科・口臭外来での検査が参考になります。相手のしぐさだけで口臭があると判断しないことも大切です。
まとめ|上咽頭炎だけに決めつけず、鼻・喉と口を分けて確認
上咽頭炎や後鼻漏があると、喉に残る粘液、鼻づまり、口呼吸による乾燥を介して、口臭が気になることがあります。
しかし、口臭の大部分は口腔内に原因があり、特に舌苔と歯周病の確認が欠かせません。鼻づまりや後鼻漏が続くなら耳鼻咽喉科、歯ぐきの出血やフロス臭があるなら歯科を受診しましょう。
鼻うがいは安全な水と清潔な器具を使う補助ケアです。Bスポット治療・EATは口臭の万能治療ではなく、慢性上咽頭炎と診断された場合に医師と検討する選択肢です。
鼻・喉の治療と一緒に、毎日の口内清掃も見直したい方へ
舌苔、朝のネバつき、口の乾燥も気になる場合は、強い香りで隠すより、うがいと歯・舌のやさしいブラッシングを組み合わせた基本ケアが大切です。
美息美人は、上咽頭炎や後鼻漏を治療する商品ではありません。口内を清潔に保つ毎日のホームケアとして、ご自身に合うかを次の記事で確認できます。
参考文献・参考リンク
- 口臭|厚生労働省 e-ヘルスネット
- 口臭の原因・実態|厚生労働省 e-ヘルスネット
- 鼻の病気|日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
- 口腔・咽頭の病気|日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
- 慢性上咽頭炎に対する上咽頭擦過療法|日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報、2025年
- How to Safely Rinse Sinuses|米国CDC


