口腔ケアアンバサダー(社団法人日本口腔ケア学会認定)の上林登です。
口臭は性別や年齢に関係なく起きますが、40歳50歳と年齢を重ねるに従い口臭発生率は高くなる傾向にあります。中高年男性の体臭や口臭の悩みが増えるのは同時期です。そのため、「口臭」と「加齢臭」を混同されていませんか?
「加齢臭」は、50歳を過ぎてから本格的に発生します。年齢を重ねるごとに、皮脂に含まれる脂肪酸「パルミトレイン酸」が増加することが原因です。皮脂成分が酸化されると、胸や背中などに枯草のようなニオイを発生します。
「口臭」は、子どもや若い女性でも発生します。口臭原因の9割は、歯科疾患と舌苔など口内に原因があるからです。ですから、根本的に加齢臭と口臭は違うはずです。それなのに、高齢になると口が臭くなるのは何故でしょう?
今回は、加齢口臭についてお伝えしますので、ご参考になれば幸いです。
関連記事>> 舌が白い!舌苔の原因と取り方
この記事の目次
加齢による身体の変化
40歳、50歳と年齢が増えると、誰でも若い頃より体力が衰えていきます。そして、視力、特に老眼になる人が多い。私も45歳頃から急激に視力が落ちました。老眼は一説によると、目の中の筋力が低下することによってなるそうです。
加齢は体力が低下したり老眼を引き起こす原因になりますが、皮膚の老化(酸化)によって加齢臭を引き起こします。
還暦を過ぎて加齢臭(お陰で口臭は大丈夫です)が気になっています。
加齢臭と口臭のダブル臭の人からすると、羨ましいことかもしれませんね。(笑;)
でも、枕は臭いし、爪で首の後ろを掻いたあとニオイを嗅ぐと「懐かしいニオイ」がするし。
子供の頃に嗅いだオヤジの加齢臭のニオイと同じです。
筋力低下は、目だけではありません。ジムで体を鍛えていれば別ですが、普通は体中の筋力が低下します。筋力が落ちると疲れやすくなるため、運動量も減ります。運動量が減るため、活気も減退するというように悪い循環になってしまいます。
運動不足になると、腸の動きも悪くなります。運動不足は便秘や下痢の原因ですが、そのため、お腹にガスもたまりやすくなります。
お年寄りの人がよくおならが出るのはそのせいです。そして、腸にガスがたまると吐く息がくさくなるので注意しないといけません。運動不足が口臭の原因になっていることを知らない人は多いです。
この他にも、加齢によってすべての細胞が老化します。ですから、いろんな病気の元になります。
老化が原因の病気
- 高血圧
- 動脈硬化
- 不整脈
- 心不全
- 骨粗しょう症
- 低血圧による めまい、ふらつき
加齢口臭の原因
加齢(老化)によって口臭が起こるのは、多くは次のことが原因になっています。
- 歯みがき不足:清潔にしていなくても気にしなくなる。(個人差がある)
- 義歯やブリッジの装着:通常の歯みがきだけでは清掃が難しく汚れが残る。
- 口腔乾燥:唾液の分泌量が減少する。(薬の副作用や自律神経の乱れなどが原因)
口腔の汚れ
口内が汚れると細菌が増えるため口臭が強くなります。その一番の原因は口腔ケアが十分にできていないことです。
一般的に高齢者になるほど歯の本数が減っていきます。抜歯すると義歯やブリッジ、インプラントで抜けた部分を補うことになりますが、狭い隙間に食べたものが詰まりやすく口臭原因になります。
ていねいに歯磨きケアを行うことが重要ですが、定期的に歯科で検診やケアを受けるようにしましょう。
舌苔(ぜったい)
精神に活気がなくなると、自律神経にも悪影響を及ぼします。自律神経の働きの中には、唾液の調節もありますが、うつやストレスは唾液が減る原因の一つにもなっています。唾液が減ると舌に苔ができるので口臭が起きやすくなります。
>> 舌が白いと口臭になる!舌磨きのポイントは粘膜を傷つけないこと
加齢口臭の対策
唾液の分泌量を増やす
加齢口臭の直接的な一番の原因は、唾液が少ないこと。だから、唾液を出すようにすることが重要です。唾液が多量に出るようになると口臭がなくなるのは早いです。
口腔乾燥の対策については、こちらの記事「唾液を出す7つの方法…ドライマウス対策」をご参考にしてください。
免疫を高める
加齢口臭が起きる二番目の原因は、免疫力が下がっていること。
免疫力を高めるためには、栄養バランスの取れた食事と適度な運動が必要です。
他に、笑うなど良い気分を作ることが免疫力を高めると言われています。嫌なことを我慢したり頑張るのではなく、好きなことに没頭すると良いかもしれません。好きなことを実行していると、心身ともにリラックスし自律神経の働きを良くします。
これらを実行すると細胞を若返らすことができます。すると、気分も若返ります。
口内と喉のケア
そして加齢口臭の対策としては、次のことが最も重要です。
それは、口腔ケアと喉のケアです。
現在行っている歯磨き方法を続けていては、大きな変化は望めません。というのも、その歯磨き方法だから、磨き残しが沢山出来て口臭がしているかもしれないからです。
歯磨きに時間と労力をかけるというと、辛く感じていませんか?
口臭を消すことに痛みを感じてはいけません。口臭が消えることは幸せなのですから、「歯磨きに時間をかけることが幸せ!」だと、意味づけを変える必要があります。
正しい歯磨き方法については
>> 現役歯科衛生士が教える「正しい歯磨き」の仕方
加齢によって起きる口臭の原因で多いのは、喉からの口臭です。
今まで歯磨きを行なっても口臭が改善しない場合には、喉に原因があることが多いです。
たとえ口呼吸をしていなくても、睡眠中にいびきをしていれば、喉が乾燥します。そのため、喉に菌が増殖し、膿栓(のうせん)や膿汁(のうじゅう)が出来ているかもしれません。
膿栓(のうせん)を取ることも必要ですが、膿栓(のうせん)は何度でもできるもの。出来ないように喉を清潔に保つことが大事です。
そのためには、こちらの記事「膿栓、臭い玉が簡単に取れるアルカリイオン水うがいとは?」をご参考にしてください。
加齢口臭のまとめ
加齢臭と加齢口臭は異なっていることが理解できたのではないでしょうか。もちろん男性高齢者だからって口臭になるわけではありません。(※ただし、加齢臭同様、口臭がひどくなる傾向にある)
加齢臭を直すことは難しいですが、口臭は改善することが可能です。そのためには、次の3つの対策を行なうことがポイントです。
- 唾液を出す
- 免疫力を高める
- 毎日の口腔ケアと喉のケア
この3つの対策法を心がけることで口臭を改善できますので、是非お試しください。
関連記事>> 唾液を出す方法7つ ❘ 口臭予防