喉の奥が臭い原因と対処法 – 口臭から病気まで

喉の奥が臭い

口腔ケアアンバサダー(社団法人 日本口腔ケア学会認定)の上林登です。

「あの人と話すと、なんだか喉の匂いが気になる…」。喉が臭いと感じると、周囲の人に不快な印象を与えてしまうこともあります。Yahoo!知恵袋の中にも、「のどの奥から臭い匂いがしてきます」「喉の病気でしょうか?」「どうすれば口臭が治まりますか?」などの質問がたくさんありました。

しかし、その原因は一体何なのでしょうか?

口臭だけでなく、喉の臭いも気になる方に向けて、本記事では喉の臭いの原因や対処法について解説します。喉が臭いことに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

耳鼻科的疾患も口臭の原因となり得る

出典:「もう口臭で悩まない!」日本口臭学会常任理事 本田俊一著

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喉が臭い:相談でよくあるケース

喉が臭い、口臭を心配している人がいます。その中でも特に多い相談事例をご紹介しますので、ご参考にしてくだされば幸いです。

喉からの不快な臭いへの心配

太郎さん(仮名)は35歳のITエンジニア。彼は最近、自分の喉から発せられるドブ臭い口臭に気づき、社会生活において周囲に迷惑をかけているのではないかと心配しています。特に、閉鎖的な空間である会議室や電車内で、他人にこの臭いが気になるのではないかと不安を感じています。

背景:ライフスタイルと喉の臭い

太郎さん(仮名)の日常は、長時間のデスクワークとリモートワークが中心。そのため、ストレスや不規則な食生活が続いており、これらが喉の臭いに影響を与えている可能性があります。

太郎さん(仮名)へのアドバイス

太郎さん(仮名)には、日常生活の中で口内環境に注意を払い、適切な食生活と水分摂取を心がけることで喉の臭いを改善できるでしょう、とアドバイスをしました。また、ストレスの軽減にも努めることが大切ですと。これらの対策を実践することで、社会生活での自信を取り戻し、日常生活の質を向上させることが可能になります。

以下では、喉からの口臭原因と改善策について具体的に説明します。

喉の奥が臭い原因

「喉の奥が臭い」場合の原因としては、扁桃腺やアデノイドの慢性感染、胃食道逆流症、舌苔などが考えられます。これらの状態は、それぞれ異なる治療法を必要とするため、原因の特定と適切な治療が重要です。

「喉の奥が臭い」場合の原因については、以下のように科学的根拠に基づいて説明できます。

  1. 扁桃やアデノイドの慢性感染 : 扁桃腺やアデノイドの慢性的な感染や腫れは、口臭を引き起こす可能性があります。これらのリンパ組織が感染すると、悪臭を発する物質(膿栓)が生成され、口臭の原因となることがあります【Wetmore, Muntz, & Mcgill, 2012】。

  2. 胃食道逆流症 (GERD ): 胃食道逆流症では、胃酸が食道に逆流し、その酸が口腔に達することで、口臭を引き起こす可能性があります。特に、寝ている間や横になっているときに、胃酸が喉の後ろに達しやすくなります【Gillessen & Virchow, 2003】。

  3. 舌コーティング: 舌の裏側や奥に蓄積した細菌や食物の残骸は、口臭の一般的な原因です。これらは口腔内で分解され、悪臭を引き起こす揮発性硫黄化合物を生産します【Rosenberg, 1996】。

・関連記事:喉に膿汁(のうじゅう)が着くと臭い!?膿汁とは?その原因と対策

さらに、生活習慣も喉の臭いに関係して、喫煙や飲酒、ストレス、食生活の乱れなどが原因となり、臭いを引き起こすことがあります。

喉が臭い、または喉からの悪臭が発生する主な原因はいくつかあります。以下にその詳細を説明します。

  1. 口腔衛生の問題 : 歯や歯茎の問題、特に歯周病は口臭の一般的な原因です。ブラッシングやフロスが不十分だと、食べ物のかすが舌や口の中に残り、バクテリアの増殖を助け、口臭の原因となります。
    ・関連記事:舌の奥の舌苔が取れない!効果的な取り方とは

  2. 扁桃腺の炎症や感染 : 扁桃腺には食べ物のかす、粘液、死んだ細胞などが捕捉されやすく、これが「扁桃結石」または「臭い玉」として知られる塊を形成することがあります。これが分解されると非常に強い臭いを放ちます。
    ・出典:日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会

  3. 上気道感染症 : 鼻や喉の感染症(例えば、風邪、副鼻腔炎、咽頭炎など)は、臭いを伴う粘液の生産を引き起こし得ます。これが喉に留まると、悪臭の原因となることがあります。

  4. 胃腸の問題 : 逆流性食道炎などの胃腸の問題は、消化された食物や胃酸が食道に戻ってくることで、喉が臭くなる原因となることがあります。この状態では、特有の酸っぱい臭いがすることが一般的です。

  5. 乾燥した喉 : 水分不足や口呼吸によって口が乾燥すると、自然な唾液の生産が減少し、バクテリアの除去が妨げられます。このため、喉の臭いが強くなることがあります。

喉の奥からの臭いの対処法

喉の奥からの口臭を治すためには、良好な口腔衛生の維持、レーザークリプトリシス、そして必要に応じて多角的な治療アプローチが効果的です。これらの方法は、口臭の原因を特定し、それに対応する適切な治療を行うことで、口臭を減少させることができます。

「喉の奥が臭い」場合の対策については、以下のような治療法が効果的です。

  1. 良好な口腔衛生の維持 : 定期的な歯磨き、デンタルフロスや歯間ブラシを使用した歯間の清掃、深い舌の清掃、オプションで効果的な口腔洗浄剤の使用などの日常の口腔衛生習慣は、口臭改善に役立ちます【Rosenberg, 1996】。

  2. レーザークリプトリシス : 慢性の臭い扁桃炎が原因の口臭に対する治療法として、レーザークリプトリシスが効果的です。(※膿栓を根絶できる)この手順は局所麻酔のもとで行われ、口臭を完全に排除するために1回から数回のセッションが必要なことがあります【Finkelstein et al., 2004】。

  3. 多角的なアプローチ : 口臭は、耳鼻咽喉科関連の障害や胃腸/内分泌系の障害など、さまざまな要因によって引き起こされることがあるため、診断、治療、臨床管理には多角的なチームアプローチが必要です【Bollen & Beikler, 2012】。

喉からの臭いに対処するためには、以下のようなステップを踏むことをお勧めします。

  • 口腔衛生の維持 : 定期的な歯磨きやフロス、歯科での検診を行うことで、バクテリアの増殖と口臭を減らすことができます。
  • 水分補給 : 十分な水分を摂ることで、口の中を清潔に保ち、臭いを最小限に抑えることができます。
  • 医療の利用 : 慢性的な喉の臭い、特に通常の口腔衛生のルーティンでは改善されない場合、より深刻な健康問題の可能性があるため、医師の診断を受けることが重要です。

個人的におすすめする方法は、入浴時に喉の右左にそれぞれシャワーを3秒ずつ当て粘膜を洗浄します。そして、喉の上方と舌奥にシャワーを3秒ずつ当てる。これを毎日続けると、喉を清潔に保つことができ、口臭予防になります。

・参考記事:膿栓(臭い玉)の正しい取り方と予防法|口臭を撃退する究極のガイド

これらの対策により、喉の臭いの問題を把握し、効果的に管理することができます。

基本的な口腔ケア

喉の臭いの原因の多くは、口の中の細菌によるものです。そのため、基本的な口腔ケアを行うことが大切です。歯磨き、フロス、口臭予防用のマウスウォッシュなどを定期的に行い、喉のケアをすることで、口の中の細菌を減らすことができます。

喉の保湿

喉が乾燥すると、喉の臭いが強くなります。そのため、喉の保湿を心がけることが大切です。喉の保湿には、水分補給が効果的です。十分な水分を摂ることで、喉の乾燥を防ぐことができます。また、加湿器を使ったり、空気の乾燥を防ぐために部屋を湿度を調整することも大切です。

喉を清潔に保つ方法

喉を清潔に保つことも、喉の臭いを改善するためには重要なポイントです。口の中の細菌や食べかすが喉に付着することで、喉の臭いが引き起こされることがあります。

そのため、食事の後にはうがいを行い、喉の中の食べかすを取り除くことが大切です。また、喫煙は喉の臭いの原因になるため、禁煙を心がけることも重要です。

喉の臭いに効果的な食べ物や飲み物

喉の臭いを改善するためには、食べ物や飲み物も効果的です。例えば、酸味のある食べ物や飲み物は、喉の中の細菌を減らす効果があります。レモンやグレープフルーツ、ヨーグルトなどが良いでしょう。

また、水やお茶などの無糖の飲み物も喉の保湿に効果的です。ただし、コーヒーや紅茶、アルコールなどは、喉を乾燥させるので、摂りすぎには注意が必要です。

喉からの臭いは病気のサインかも?

喉の臭いが口臭と同様に病気のサインになることがあります。喉の臭いが続く場合は、原因を特定して治療する必要があります。

喉からの臭いと病気の関係

喉の臭いは、口臭と同様に病気のサインになることがあります。喉の炎症や喉の病気が原因となって喉の臭いが発生することがあるからです。喉の病気には、扁桃炎や喉頭炎、喉頭がんなどがあり、これらの病気の症状としては、喉の痛みや腫れ、発熱、喉の臭いなどがあります。

・関連:膿栓は見えないけど臭い?原因や対処法を解説!

喉からの臭いと扁桃炎、咽頭がんの関係

喉の臭いが続く場合は、扁桃炎や喉頭がんの可能性があるため、早期に医師に診てもらうことが大切です。

扁桃炎は扁桃が炎症を起こした病気で、喉の痛みや腫れ、発熱、口臭などの症状が現れます。

喉頭がんは、喉の内側にある喉頭がん細胞が異常増殖する病気で、喉の痛みや腫れ、咳や喀血、喉の臭いなどの症状が現れることがあります。

出典:「咽頭がんとは」国立研究開発法人 国立がん研究センター 東病院

喉からの臭いを改善するための歯科医師のアドバイス

喉の臭いは、歯科医師の診断やアドバイスを受けることで改善することができます。以下では、歯科医師がおすすめする喉の臭い対策方法や、歯科医院での口臭検査について説明します。

歯科医師がおすすめする喉の臭い対策方法

喉の臭いを改善するためには、まずは口腔内の清潔を保つことが重要です。以下は、歯科医師がおすすめする喉の臭い対策方法です。

1.正しい歯磨きを行う:歯垢や食べカスが歯と歯の間に残ってしまうと、細菌が繁殖し、口臭の原因となります。歯ブラシの他に、歯間ブラシやデンタルフロスを使い、歯と歯の間の汚れをしっかり取り除くことが大切です。

2.口腔洗浄剤の使用:マウスウォッシュやうがい薬を使用することで、口腔内の雑菌を減らし、口臭を改善することができます。
うがいにおすすめなのは、「美息美人のアルカリイオン水」です。アルカリの作用で痰(膿汁)がよく切れます。

うがいで膿栓を予防する

3.正しい食生活を心がける:偏った食生活や食べ物の嗜好が、口臭の原因となることがあります。野菜や果物を積極的に摂取し、食物繊維を多く含む食品を意識的に取り入れましょう。

4.タバコやアルコールの摂取を控える : タバコ(ニコチン・タール)やアルコールは喉の粘膜に付着し、喉の臭いを引き起こすことがあります。できるだけ控えるようにしましょう。

歯科医院での口臭検査について

歯科医院での口臭検査には、以下のような方法があります。

呼気検査:口の中に特殊なセンサーを入れ、呼気中の揮発性有機化合物(揮発性有機化合物、VOCs)を計測する方法です。

喉頭鏡検査: 喉の奥を確認するため、喉頭鏡と呼ばれる器具を使って喉を観察する方法です。この検査では、扁桃炎や咽頭がんなど、喉の病気が原因で口臭が発生している場合に特に有効です。

口臭検査の前には、口の中をしっかりと清潔に保つことが大切です。また、口臭の原因となる食べ物や飲み物を摂取しないようにするなどの注意も必要です。口臭の検査は、自分で気になる方や周りから指摘された方は、定期的に受けることをおすすめします。

まとめ

喉の奥が臭い場合は、口内環境の乱れが原因となることが多く、適切な歯磨きや口腔ケアが必要です。口臭が続く場合は歯科医院で検査し、適切な治療を受けることで改善することができます。定期的な口臭検査を受けることで、健康な口内環境を維持し、健康リスクの低減にもつながります。

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