膿栓の取り方|ためしてガッテンの取り方は安全?押し出さない手順・赤旗サインと受診目安

臭い玉の取り方

膿栓(臭い玉)の安全な取り方|NG行為・赤旗サイン・受診の目安

こんにちは、口腔ケアアンバサダー(社団法人 日本口腔ケア学会認定)の上林登です。
監修:歯科衛生士 上林ミヤコ

自己流で押し出さない——これが安全の大前提。本ガイドは、ぬるま湯や蒸気で“やさしく促す”手順に一本化し、ためしてガッテンの取り方は安全かの整理、NG行為赤旗サインと受診の目安再発予防までを網羅します。

膿栓とは?——“におい玉”の正体とできやすい条件

膿栓について説明する医師のイラスト

膿栓は扁桃のくぼみ(陰窩)にたまった老廃物が固まったもの。成分は食べかす・剥離した上皮・唾液成分・細菌・代謝物などで、乾燥や口呼吸が続くと固着しやすくなります。小さいものは自然に外れることもありますが、強引に押し出すと粘膜損傷や出血のリスクが上がります。

  • 体質差:くぼみが深い人ほど溜まりやすい(個人差)。
  • 季節差:冬季や花粉時期は乾燥・後鼻漏で増えやすい。
  • 連鎖:違和感→口呼吸→乾燥→固着…の悪循環に注意。

まず安全に:やっていいこと/避けたいこと

やっていいこと 避けたいこと(NG)
40℃前後のぬるま湯うがい、低圧のやさしい洗浄、蒸気でふやかす 指・綿棒・ピンセットでの圧出/ジェットウォッシャーの高圧直撃
短時間×少回数(目安:10秒×1〜2セット 長時間の連続トライ、喉に強い力をかける行為
痛み・出血があれば即中止→経過観察 or 受診 痛み・出血があるのに続行すること

※「ためしてガッテン」で紹介された“洗浄・うがい”は粘膜を傷つけにくい方向ですが、高圧・高温はNG。安全側で運用しましょう。

手順(約5分):押し出さない“やさしい促し方”

  1. 準備:手洗い/常温〜ぬるま湯(40℃前後)/清潔なコップと鏡。乾燥が強い日は先に少量の水分を。
  2. ぬるま湯うがい:上を向き「ア〜」と声を出し、喉奥に水を当てるイメージで10秒×1〜2回。強く吐き出さない。
  3. 蒸気でふやかす:洗面器の湯気をタオルで覆い、5分前後鼻呼吸。やけどに注意。
  4. 再トライ(必要時のみ):うがいをもう1セット。痛みや出血があれば中止
  5. 終了後ケア:口をすすぎ、水分補給。乾燥を避ける。

外しやすい時間帯と条件(ミニ理屈)

  • 入浴後・就寝後の起床時:湿度と温度でふやけて外れやすい。
  • 食後のうがい直後:唾液分泌↑で流動性が上がる。
  • 強い炎症時は不可:痛み/発熱がある日は自宅ケアより休息。

家庭ケアの比較表(メリット/注意点)

方法 期待できること 注意点
ぬるま湯/塩水うがい 付着物をふやかし流す 高濃度の塩は刺激。常温〜ぬるま湯で
低圧シャワー洗浄 広範囲を穏やかに洗える 高圧・高温はNG。短時間で
蒸気吸入 保湿で外れやすく やけど注意。長時間は不要

失敗しやすいポイントと代替策

  • 乾燥下でいきなり圧出 → まずふやかし→低圧の順序に。
  • ジェット直撃 → 粘膜損傷の危険。歯間清掃用途に限定。
  • 綿棒の深追い → 出血・炎症リスク。自己処置の線引きを。

赤旗サイン:自己処置は中止して受診へ

  • 出血強い痛み、腫れが続く
  • ほぼ毎週のように大量・頻発
  • 発熱・強い倦怠感など全身症状
  • 片側だけの強い腫脹や違和感が悪化

医療機関では吸引除去・洗浄・投薬などが選択されます。最終手段として扁桃摘出が検討されることもあります。

再発を減らす4つの習慣

  1. 鼻呼吸と保湿:就寝時テープ等で口乾燥を防ぐ/室内湿度40〜60%
  2. こまめな水分:唾液の自浄作用を維持
  3. 舌苔・歯間ケア:磨き残しとVSCの源を減らす
  4. 食習慣の見直し:刺激物・アルコール過多を控える

セルフチェック(3問)——自宅ケアで続けて良い?

  1. 痛み/出血はない(ある→受診)
  2. 頻度は月数回以下(毎週レベル→受診)
  3. うがい/蒸気で改善傾向(悪化→受診)

受診の流れと費用の目安

  1. 問診・視診:症状の頻度/量/発熱の有無を確認
  2. 処置:吸引除去・洗浄・必要時に薬
  3. 再発対策:鼻炎治療・生活指導

費用は地域・保険条件で変動します。詳細は受診先に確認してください。

よくある質問

Q. 「ためしてガッテン」の取り方は真似してよい?

A. 方向性(押し出さずやさしく促す)は安全側ですが、高圧/高温/器具圧出はNG。痛み・出血・頻発があれば受診を。

Q. 綿棒やピンセットで押し出してもいい?

A. 推奨しません。粘膜損傷と感染のリスクが上がります。

Q. 取ってもすぐ再発します…

A. 乾燥・口呼吸・後鼻漏・食習慣など原因の同時ケアが必要です。

Q. 朝や入浴後に取れやすいのはなぜ?

A. 湿度と温度でふやけて外れやすいタイミングだからです。

Q. 片側だけ・黒い・見えない等のケースは?

A. 片側の強い腫れや出血などは赤旗。鑑別や状況別ガイドを参照し、必要時は受診しましょう。

参考・注記

  • NHK「ためしてガッテン」2014年10月22日放送回で「臭い玉(膿栓)」を扱った当時の告知・記録が残存。現在は公式詳細ページに掲載なし(本記事は番組紹介を推奨・提携の示唆とせず、注意喚起の文脈で引用)。
  • 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会、大学病院の解説ページ等を参照。
  • 医療上の判断は専門医へ。本記事は一般的な情報提供です。

参考文献・参考リンク


おわりに
膿栓に悩んでいる方が、この記事をきっかけに少しでも症状が改善できれば幸いです。自分でできる対策を地道に続けながら、気になる症状があれば早めに専門家へ。快適な毎日を取り戻しましょう。

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