口腔ケアアンバサダー(日本口腔ケア学会認定)の上林です。
ところで、「新型コロナウイルスは、口の中で直接感染する」とのYAHOO!ニュースをご覧になられたでしょうか?
2021年6月28日にYAHOO!ニュースに掲載された、アメリカのノースカロライナ大学などの研究チームが発表した内容は、これまでの「新型コロナウイルスは気道(喉・鼻)から肺に達し感染する」という常識を更に発展させた興味ある研究データです。
これが正しければ、新型コロナの予防として、うがいと歯磨きを徹底する、そして、舌の汚れ(舌苔)を清掃する、この3つの口腔ケアによって、新型コロナの重症化リスクを低く抑えることが可能になります。
今回の記事は、コロナの感染の仕組みと、うがいと歯磨きによるコロナの予防方法についてお伝えします。
新型コロナの感染の仕組み
新型コロナの感染経路には、ウイルスを口や鼻から吸いこむ飛沫感染と、ウイルスが付いた手で口や鼻を触ることで粘膜から感染する接触感染があります。
「飛沫感染」とは: 感染者の飛沫(くしゃみ、咳、つばなど)と一緒にウイルスが放出され、他の方がそのウイルスを口や鼻などから吸い込んで感染することを言います。
「接触感染」とは: 感染者がくしゃみや咳を手で押さえた後、その手で周りの物に触れるとウイルスがつきます。他の方がそれを触るとウイルスが手に付着し、その手で口や鼻を触ることにより粘膜から感染することを言います。
引用:厚生労働省HP 「新型コロナ感染症には、どのように感染しますか?」より
【潜伏期間】1〜14日、平均5日程度。
【感染力のある期間】発症の2日前から発症後7〜10日間程度。感染力は発症直後に最も強く、発症後8日で大幅に弱まる。
新型コロナウイルス感染症は、風邪とおなじ呼吸器系(鼻・のど・肺など)の感染症です。…従来の定義
① 鼻・のどの感染
症状は比較的軽いのですが、感染力は強いと言われています。上気道感染後に肺へ感染し、肺炎を生じることもあります。
② 肺の感染
肺炎から重症化すると、呼吸困難を伴い生命の危険が生じます。
新型コロナウイルスは口の中で直接感染する
今回、アメリカのノースカロライナ大学などの研究チームが発表した研究データでは、これまで分かっていた「目、鼻、唇などに付着して、そこから気道や肺などの細胞に侵入して感染する」というだけでなく、「口内、頬の内側、歯茎、舌粘膜にも新型コロナのウイルスが直接感染して増殖してしまう」ということがわかったのです。
たとえ、ウイルスが口内粘膜に感染したとしても、その後、上気道、肺へと感染すると、重症化するかもしれないので、徹底的に口内ケアを行ってウイルス量を増やさないようにすることが大切です。
そのため、口の中のウイルス増殖を防ぐには、「うがい」で口内をきれいにすると良いと言われています。
新型コロナの口内感染は、うがいと歯磨きで予防できる
唾液中のウイルス
新型コロナの口内感染を防ぐためには、うがいによって唾液中のウイルスを洗浄することが有効です。うがいは水だけで十分です。
殺菌作用のあるポピドンヨードを含む、うがい薬(イソジンガーグルなど)を用いると予防効果が高くなりますが、薬用のうがい薬は長期間使用するには不適かもしれません。
歯と歯ぐきに付着しているウイルス
歯と歯ぐきの境目にはポケット(溝)があるため、うがいだけでウイルスを除去することは難しいです。また、歯と歯の間や狭い隙間のウイルスも、うがいで取り除くことは困難です。
しかし、歯ブラシを用いてブラッシングすることによって、このような部位にあるウイルスでも除去することが可能になります。
粘膜のウイルス
ほっぺの内側や歯肉に付いているウイルスであれば、指でなぜてから、うがいを行うとウイルスを洗い流しやすくなります。
しかし、舌の上に付いたウイルスは、指でなぜた程度では取れないでしょう。その理由は、舌の表面は乳頭がいっぱいで絨毯のようにザラザラしているからです。口内では、乳頭と乳頭の隙間に汚れ(舌苔)とともにウイルスがくっ付いているケースが最も多いと予想されます。
舌に付いているウイルスを除去するには、うがいだけでなく、舌ブラシなどを用いて舌磨きをすることも必要です。
コロナ予防に効果的な口内ケアの方法
うがい
口の中に水を含み、クチュクチュとうがいをして、ペッとしたあとで、ガラガラうがいをして喉のウイルスも洗い流す。
うがいは水で十分ですが、アルカリイオン水を用いると、口内を洗浄する効果を高めることが期待できます。
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歯磨き
歯磨きは起床時すぐと就寝前の2回が基本です。就寝中は(抗菌作用のある)唾液がほとんど分泌しなくなるため、寝ている間にウイルスが増殖することが予想されます。
そのため、寝る前にしっかりと歯磨きをするようにしましょう。そして、朝起きたらすぐに歯磨きやうがいをして、口内に増えたウイルスを洗い流すと効果的です。
舌のケア
舌の上にスポンジ状の舌苔(ぜったい)があると、ウイルスがくっつきやすくなります。舌ブラシで磨いて舌苔を除去するといいでしょう。ただし、舌粘膜を磨き過ぎると舌を傷つけるのでご注意ください。
舌苔が厚く、口が乾く場合は、唾液中のウイルスが増えやすくなると考えられるので、こまめにうがいを行うようにしましょう。口の中がきれいになると舌苔も薄くなるので、うがいを行うのは良いことです。
まとめ
新型コロナの感染拡大を防ぐためには、三密を避ける、マスクをする、消毒、手洗いをすることが大事ですが、今回ご紹介した、うがいや歯磨き、舌清掃などの口腔ケアも取り入れると、さらに予防効果を高めることができるでしょう。