シェーグレン症候群とは?口・目の乾燥の原因と受診の目安、口腔ケアまで徹底解説【専門家監修】

こんにちは、口腔ケアアンバサダー(社団法人 日本口腔ケア学会認定)の上林登です。この記事は、歯科衛生士 上林ミヤコ監修のもと、AIアシスタント「ChatGPT(OpenAI)」の協力を得て執筆しています。

「口がカラカラに乾く」「目薬をさしても目がゴロゴロする」「シェーグレン症候群と書いてあって不安」──そんな思いでこのページにたどり着かれたかもしれません。

シェーグレン症候群は、自己免疫が関わる全身性の病気で、口や目の乾燥、関節痛、倦怠感などが続くことがあります。ただし、口の乾き=シェーグレン症候群とは限りません。薬の副作用や更年期、ストレスなど、ドライマウスの原因は他にもたくさんあります。

この記事では、公的機関(難病情報センターや厚生労働省など)の情報をもとに、シェーグレン症候群の「全体像」をやさしく整理しつつ、口臭・ドライマウス専門サイトならではの視点で「口の乾きとの付き合い方」をお伝えします。

※診断や治療は必ず主治医と相談してください。この記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断・治療を代替するものではありません。

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まず結論:シェーグレン症候群は「自己免疫による乾燥の病気」。口の渇きだけで決めつけないで

シェーグレン症候群の一言まとめ

シェーグレン症候群は、自分の免疫が、唾液腺や涙腺などを攻撃してしまう自己免疫疾患です。その結果、

  • 口が乾く(ドライマウス)
  • 目が乾く(ドライアイ)
  • 関節痛・強い疲れ・皮膚やその他の粘膜の乾燥

といった症状が続きます。日本では指定難病の一つとして扱われ、リウマチ膠原病内科や眼科、口腔外科などで診断・治療が行われています。

こんな人はシェーグレン症候群を一度は疑ってほしいサイン

「口が乾く」だけであれば、多くは生活習慣や薬の副作用、更年期などで説明できるケースが多いです。ただし、次のようなサインが複数あてはまるときは、シェーグレン症候群など自己免疫疾患の検査が役立つことがあります。

  • 3か月以上、強い口の乾燥が続き、水が手放せない
  • 目の乾き・ゴロゴロ感・異物感が長く続き、点眼しても改善しにくい
  • 唾液腺(耳の下・あごの下)が繰り返し腫れたり、痛むことがある
  • 関節痛、原因不明のだるさ、発熱、レイノー現象(手足の冷え・色の変化)など全身症状も気になる
  • 虫歯・歯周病・口内炎が繰り返しやすくなった気がする
  • 目・口に加えて、皮膚・鼻・のど・腟など、体のあちこちの乾燥が目立ってきた
  • 自己免疫疾患(リウマチ・膠原病など)をすでにもっている/家族に多い

こうしたサインは、あくまで「受診のきっかけ」にすぎません。「シェーグレンかどうか」を決めるのは検査と専門医の総合判断です。自己判断で不安を膨らませ過ぎないことも同じくらい大切です。

この記事の位置づけ:公的情報をかみくだき、口腔ケア目線を足した“橋渡し役”

シェーグレン症候群については、

  • 難病情報センター
  • 厚生労働省研究班の診断基準資料
  • 大学病院・医療機関の解説ページ

など、医学的に信頼できる情報源がすでに整備されています。一方で、専門用語が多く「結局、自分は何から始めればいいの?」と迷う方も少なくありません。

そこで当サイトでは、

  • 病気そのものの解説は、公的情報の要約+リンクで補う
  • 「口の乾き・口臭・虫歯リスク」など、口腔ケアに特化した部分を深掘りする
  • シェーグレンではないドライマウスの代表的な原因は、別記事で詳しく解説する(役割分担)

という方針で整理しています。この記事は「シェーグレン症候群って何? 口の乾きとどう関係するの?」を全体像としてつかむための“ハブ記事”だと考えてください。

シェーグレン症候群とは?(公的情報をやさしく要約)

どんな病気?──自己免疫・膠原病・指定難病

シェーグレン症候群は、涙腺や唾液腺など、体の中の「外分泌腺」に炎症が起こる自己免疫疾患です。免疫システムが誤作動し、自分の組織を攻撃してしまうタイプの病気の一つで、膠原病の仲間に入ります。

代表的な変化は、唾液腺・涙腺の働きが落ちること。これにより、

  • 唾液が減って口が乾く
  • 涙が減って目が乾く

という症状が出やすくなります。さらに、全身の関節や内臓などにも炎症が及ぶことがあり、関節リウマチや肺・腎臓・神経・血液(リンパ腫など)の合併症が話題になることもあります。

どんな人に多い?──中高年女性に多いが、誰でもなりうる

公的な調査では、シェーグレン症候群は中高年の女性に多いとされています。発症のピークは40〜60代ごろとされ、女性が圧倒的に多い病気です。ただし、

  • 若い世代(20〜30代)でも発症することがある
  • 男性の患者さんも一定数いる

ことが報告されています。「女性・中高年じゃないから大丈夫」とは言い切れませんし、逆に「自分は年齢・性別がドンピシャだから絶対そうだ」と決めつけてしまう必要もありません。

原因として分かっていること/まだ分からないこと

シェーグレン症候群のはっきりした原因は、まだ完全には解明されていません。現時点で分かっているのは、

  • 体質(遺伝的な要因)
  • ホルモンバランスの変化(特に女性ホルモン)
  • 何らかのウイルス感染など、外的なきっかけ

が組み合わさり、免疫が暴走してしまうのではないか、ということです。

「ストレスが原因ですか?」とよく聞かれますが、ストレスだけで発症するとは考えられていません。ただ、ストレスは免疫や自律神経に影響するため、症状を悪化させる要因になりうるとされています。

シェーグレン症候群の主な症状

口の渇き(ドライマウス)と口臭・虫歯リスク

シェーグレン症候群で多くの方が最初に気づくのが、口の乾きです。具体的には、

  • パンやビスケットが飲み込みにくい
  • 夜間・起床時に口がネバネバする、カラカラになる
  • 水やお茶が手放せない
  • 話していると舌や唇が貼りつきやすい

といった形で現れます。唾液には、口の中を洗い流し、細菌の増殖を抑える「自浄作用」があります。そのため、唾液量が減ると、

  • 虫歯が一気に増えやすくなる
  • 歯周病が進行しやすくなる
  • 舌苔が厚くなり、口臭(卵の腐った臭い・生ごみのような臭いなど)が強くなる
  • 口内炎・ヒリヒリ感・しみやすさが続く

といった、「二次的なトラブル」が起こりやすくなります。

口臭については、シェーグレン症候群そのものではなく、「唾液不足+舌苔+歯周病」が重なって強くなるケースが多い印象です。これは、シェーグレンがない方のドライマウスでも同じですので、「口臭がある=シェーグレン」というわけではありません。

目の乾き(ドライアイ)と日常生活への影響

涙の分泌が減ると、

  • 目がゴロゴロする、砂が入ったような感じがする
  • 光がまぶしく、目を開けているのがつらい
  • 長時間のスマホ・PCがとにかくしんどい
  • コンタクトレンズが合わなくなってきた

といったドライアイ症状が出やすくなります。シェーグレン症候群では、目と口の乾きがセットで長く続くのが特徴の一つです。目の症状については、眼科の専門的な評価(涙液量・角膜の状態など)が欠かせません。

全身症状(関節痛・倦怠感など)と合併症

シェーグレン症候群は、乾燥だけの病気ではありません。人によっては、

  • 関節痛(手指・膝など)
  • 強い倦怠感・微熱
  • 皮膚の乾燥・発疹
  • 肺・腎臓・神経などの臓器の異常

が出ることもあります。また、長い経過の中で、悪性リンパ腫などの合併症が話題になることもあります。

ここは、歯科や口臭の専門家だけではフォローしきれない領域です。少しでも「全身がおかしい気がする」と感じたら、早めにリウマチ膠原病内科や総合内科に相談してください。

シェーグレン症候群はどう診断される?

「もしかして?」と思ったときの受診先

シェーグレン症候群が心配なとき、まずどこを受診すべきか迷う方が多いです。一般的には、

  • 全身症状も含めて相談したい → リウマチ膠原病内科・内科
  • 目の症状がつらい → 乾燥性角結膜炎に詳しい眼科
  • 口の乾き・虫歯・口臭が気になる → 歯科(口腔外科)

のいずれか、またはかかりつけ医からの紹介が入り口になります。最終的な診断は、複数の検査結果を総合して決めるため、歯科・眼科・内科が連携するケースも珍しくありません。

病院で行われる主な検査(唾液・涙・血液・画像など)

診断の際には、厚生労働省研究班がまとめた診断基準(改訂版)をもとに、次のような検査が行われます。

  • 唾液の量を調べる検査(ガムテスト・サクソンテストなど)
  • 涙の量を調べる検査(シルマーテストなど)
  • 血液検査(抗SSA/Ro抗体、抗SSB/La抗体、リウマチ因子、免疫グロブリンなど)
  • 唾液腺の画像検査(超音波、造影など)
  • 小唾液腺生検(耳の下ではなく、口の中の小さな唾液腺を一部採取して顕微鏡で確認)

すべての検査を必ず行うわけではなく、年齢・症状・他の病気との関係を見ながら、必要な検査が選ばれます。

自己判断で決めつけないほうがいい理由

インターネット上には、シェーグレン症候群のチェックリストや体験談が数多くあります。参考にはなりますが、

  • 「口が乾く」「目が乾く」は、シェーグレン以外の原因でも起こる
  • 逆に、シェーグレンがあっても症状が軽く、気づきにくい人もいる

ということも忘れてはいけません。

不必要に不安を膨らませてしまうことも、逆に「自分は違う」と決めつけて受診を遅らせてしまうことも、どちらも避けたいところです。迷ったら、チェックリストは「あくまで受診のきっかけ」と割り切り、主治医に相談するのがおすすめです。

シェーグレン症候群の治療と付き合い方

根本的に「完治」させるのは難しいが、症状は軽くできる

現在の医学では、シェーグレン症候群そのものを完全になくしてしまう治療(いわゆる「完治」)は難しいとされています。ただし、

  • 乾燥症状(口・目・その他)を軽くする
  • 関節痛・臓器の炎症などをコントロールする
  • 将来の合併症リスクを減らす

という意味での「うまく付き合うこと」は十分可能です。治療の目標も、「症状の軽減」「生活の質(QOL)の維持・向上」に置かれます。

乾燥症状への治療(唾液・涙を補う/守る)

代表的な治療・ケアとしては、

  • 唾液分泌を促す薬(唾液腺を刺激する内服薬)
  • 人工唾液スプレー・保湿ジェルなどの外用剤
  • 人工涙液・ヒアルロン酸点眼など、目の保湿
  • 鼻・皮膚・腟などの保湿ケア

などがあります。ここに、日常の口腔ケア(歯磨き・舌ケア・マウスウォッシュの選び方)を組み合わせることで、虫歯・歯周病・口臭のリスクをかなり減らすことができます。

全身症状への治療と、医科歯科連携の大切さ

関節痛や臓器の炎症が目立つ場合は、

  • 鎮痛薬・消炎薬
  • 免疫抑制薬・生物学的製剤

など、リウマチ膠原病内科での専門的な治療が必要になることがあります。治療薬には効果と同時に副作用もあるため、定期的な血液検査や診察がかかせません。

また、シェーグレン症候群では口腔内のトラブル(虫歯・歯周病・口臭・義歯の調整など)が生活の質に直結します。「医科(内科・眼科など)+歯科」の連携は、QOLを守るうえで非常に重要なポイントです。

口臭対策ネット流「口の渇き」とどう付き合うか

シェーグレンがある人の口腔ケアで大事な3つのポイント

シェーグレン症候群がある方の口腔ケアは、一般的な口臭・ドライマウス対策と重なる部分が多いものの、特に次の3つを意識すると負担が少なくなります。

  1. 「こすらない」「短時間」で終えるケアを選ぶ
    乾燥した粘膜はとても傷つきやすい状態です。ゴシゴシ磨き・強いアルコール入りマウスウォッシュの長期使用は、かえってヒリヒリや炎症を悪化させることがあります。舌ケアは「なでるだけ」、歯磨きは「やさしく・細かく・短時間」を意識しましょう。
  2. 唾液の「代わり」と「助っ人」を上手に使う
    人工唾液スプレー・保湿ジェル・アルカリ性の洗浄水などを、「今つらい時間帯」に狙って使うのがおすすめです。水180cc+補助洗浄剤でうがい→やさしいブラッシング→仕上げに水でしっかりすすぐ、という3ステップは、多くの方に共通する安全なベースになります。
  3. 歯科での定期チェックを“保険”として活用する
    虫歯・歯周病・入れ歯の擦れは、乾燥した口の中で一気に悪化しやすい要素です。3〜6か月に一度、歯科でクリーニングとチェックを受けておくと、「気づいたらボロボロ」を防ぎやすくなります。

詳しいドライマウスのセルフケアや口臭対策は、以下の関連記事でより具体的にまとめています。

シェーグレンではない「ドライマウス」の代表的な原因

「シェーグレンが不安で検索したけれど、検査の結果はシェーグレンではなかった」というご相談も多くいただきます。その場合、ドライマウスの主な原因としては、

  • 薬の副作用(降圧薬・抗うつ薬・抗アレルギー薬など)
  • 更年期・ホルモンバランスの変化
  • 口呼吸・いびき・睡眠時の環境
  • ストレス・緊張・長時間の会話やパソコン作業
  • 糖尿病など、その他の全身疾患

といったものがよく見られます。これらは、生活習慣の工夫や薬の調整、歯科・内科でのフォローによって改善していく余地が大きい領域です。

当サイトでは、こうした「シェーグレン以外のドライマウス」については、上記の専門記事で詳しく解説しています。

関連記事の読み分けガイド

  • シェーグレン症候群が気になる人の入口・全体像 → 本記事
    病気の概要・診断・治療の方向性・受診の目安をざっくり把握するためのページです。
  • 「自分のドライマウスは何が原因?」を詳しく知りたい → ドライマウス関連記事
    更年期/薬剤性/口呼吸/全身要因など、タイプ別に切り分けたいときは、ドライマウスの口臭特化記事更年期ドライマウス記事を参考にしてください。
  • 口臭そのものを総合的に立て直したい → 総合ガイド
    舌苔・歯周病・胃腸・ストレスなど、口臭の全体像を整理したい場合は、口臭を本気で改善!即効〜根本ケアまで完全ガイドで、時間軸と原因別に対策をまとめています。

まとめ:不安をひとりで抱え込まないで

「まずは受診」+「同時に、できることから口腔ケア」

シェーグレン症候群は、名前だけ聞くととても怖く感じるかもしれません。けれど実際には、

  • 専門医と連携しながら
  • 乾燥症状や全身症状をコントロールしつつ
  • 歯科での口腔ケア・セルフケアを組み合わせる

ことで、長く上手に付き合っている方がたくさんいらっしゃいます。

「もしかして…」と感じたら、まずはかかりつけ医や、リウマチ膠原病内科・眼科・歯科などに相談してみてください。同時に、「今の自分にできる口腔ケア」を整えておくことで、虫歯・歯周病・口臭といった二次的な悩みを抑えやすくなります。

もう一度読みたい関連記事リスト

著者の一言アドバイス

「シェーグレン症候群かもしれない」と感じたとき、一番つらいのは「正体のわからない不安」と「誰にも相談できない孤独感」だと思います。診断がつくこと自体が怖く感じられる方も多いでしょう。

けれど、病名がはっきりすると、治療の選択肢や支援制度、情報源が一気に整理されていきます。「知らないまま我慢する」よりも、「知ったうえで一緒に対策を考える」ほうが、長い目で見ると心も体もラクになります。

この記事は、あくまで“入り口”です。気になるところは何度読み返していただきつつ、具体的な治療や薬の選択は、かならず主治医と相談してください。口臭・ドライマウスについては、当サイトの他の記事もフル活用しながら、一歩ずつ「自分のペース」で整えていきましょう。

参考文献・公的情報リンク

口臭はアルカリうがいでケアするのがおすすめ