口臭の種類から口臭の原因と対策がわかる
口腔ケアアンバサダー(社団法人日本口腔ケア学会認定)の上林登です。
口臭の種類と強さは、人によって異なります。それは、口臭は細菌がタンパク質を分解・腐敗することにより発生するのですが、口臭の原因となる疾患や部位によって臭いの種類が違ってくるからです。
ですから、自身の口臭の種類を調べることで口臭の原因が予想できます。口臭の種類によって、それが生理的口臭なのか病的口臭なのか?
また、口臭が漬物臭かどぶ臭のようなひどい口臭なのか分かれば、それが、問題のない生理的口臭なのか、舌苔や膿栓が原因なのか、おおよその見当がつきます。
口臭の原因が分かれば、どのような対策が良いのか判断できるようになるので、口臭の種類を調べることはとても大事です。自身の口臭の種類が分かれば予防も効率よくできるようになるでしょう。
今回の記事は、口臭の種類から口臭の原因を調べるためのポイントをお伝えしています。是非ご参考にしてください。
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人の嗅覚とにおい物質
嗅覚
私たちの周りには色々なにおいがあります。ステーキやウナギの焼ける美味しそうなにおい、洗濯洗剤の爽やかなにおい、花の甘い香り。においの種類は、気持ちのよくなる匂いだけではなく、生ごみや便のように人を不快にするにおいもあります。
自然界には、生物が嗅ぎ分けられるにおいは20万~40万種類もあるといわれていますが、人が感じるにおいは1万種類(5,000種類とも)だそうです。
それらの「におい物質」は空気中を浮遊してますが、人が呼吸したときに「におい物質」は鼻に入ります。においは、鼻の奥にある「嗅覚受容体」というにおいセンサーに感知され電気信号を生じます。
においの電気信号が神経を通って脳に届くと、始めて「におい」として感じるのです。人のにおいセンサーの数は400種類と言われていますが、かなりの数になるため、色んなにおいのかぎ分けができるということになります。
口臭物質
口臭の80%は口腔内のガスです。口内のにおい物質には、硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルサルファイド、アンモニア、アミン、スカトーラエタノール、にんにくなどの臭気物質などがあります。
この中でも、硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルサルファイドの3種類が90%を占めています。ですから、これらを感知するにおいセンサーがある簡易口臭チェッカーで測ると、口臭があるかどうかを確かめることができます。
口臭の種類
口臭は誰にでもあるものですが、「口臭」に対して不安を感じている人が多いのではないでしょうか?
口臭の悩みを解決するためには、不安の原因となっている「口臭」について理解することが大切です。口臭の原因が分かれば、適切な対策ができるようになるからです。
口臭を分けると2つの種類しかありません。口臭は、生きている限り発生する「生理的口臭」と病気の症状による「病的口臭」の2つの種類に大きく分けることができます。厄介な口臭を解決するために、この2つの口臭をさらに種類分けしますね。
口臭症
・生理的口臭
・病的口臭→①器質的口臭(歯周病などの原因がある)
→②心理的口臭(ストレスなど神経性口臭、精神病性口臭)
口臭の種類を調べる
口臭を調べるには、家族や親しい友人に自分の吐く息をかいでもらうのが一番です。
だからといって、たとえ家族でも、口の臭いを嗅いでもらうことは躊躇すると思います。それでも、口臭原因を知るためには勇気をだして嗅いでもらうことをお勧めします。
市販の口臭チェッカーなどで口臭を測る方法もありますが、他人に嗅いでもらう方が正確にわかります。そのため、口臭外来でも最後はお医者さんの鼻を使い嗅いで調べています。
わたしの口臭はどんなニオイ? そして、どれぐらい臭うのだろうか?
私たちが知りたいのは、自分の口臭を他人がどう感じているかではないでしょうか。そのためにも、家族や気を許せる人に口臭を嗅いでもらうことが大切です。
あなたの口臭は、どんなニオイだと言われましたか?
そして、どれほど臭いと教えてもらいましたか?
でも、やはり他人に自分の口臭を嗅いでもらうことができない場合には、次のうちのどれかの方法でお試しください。
- コップに息を吹きかけ蓋をする。5秒深呼吸してからにおいを嗅ぐ。
- 手をなめて乾くまで待つ。乾いたらにおいを嗅ぐ。
- 1時間ほどマスクをして過ごしビニル袋に入れておく。深呼吸をした後に嗅ぐ。
生理的口臭
食後や空腹時に起こるような、人が生きている限り誰にでも起きる口臭を「生理的口臭」と言います。ところが、「口臭がしていないか」と過剰反応して不安になっている人が多いのも事実です。このストレスが口腔乾燥を引き起こし口臭を悪化させるのでご注意ください。
対策方法としては、
- ブラッシング・うがいによって口腔清掃を徹底する
- 唾液を出すようにする
- 間違った口腔ケア方法をなおす
- 口臭に対するストレスを軽減する
生理的口臭は次のような時に起きます。
- 加齢
- 起床時
- 空腹の時間帯(夕食前に多い)
- 緊張
- 疲労
このような生理的口臭がある場合の対策は次のように行うと良いです。
中でも起床時の口臭が一番強いです。朝起きた時に口が臭くなるのは、睡眠中に唾液が減ることが原因です。人によっては、口呼吸やいびきで口腔乾燥が原因になっていることもあります。
⇒⇒ 歯磨きしても口がネバネバする原因8つ!唾液の粘つき改善方法はこれ!
起床時に口がすっきりしていれば、朝から気分が良くなりますよね。そのためには、寝床に着く前にきちんと歯磨きを行うのが一番効果的です。
緊張して口臭がする場合はリラックスすることが大切ですが、リラックスするのが難しい時には水を飲むと良いです。緊張で乾いた口内を水で潤すことが出来るので、口臭を抑えることができます。
夕方の空腹時に口臭が起きるというご相談が多いです。空腹時口臭の対策は、少し食べることです。食べ物が無い時には、お茶や水を飲むと良いです。
女性ホルモンの影響
口臭は男女関係なくありますが、女性の場合には女性ホルモンの変調が影響して口臭が起きることがあります。次のような時に口臭が強くなりやすく、悩む女性が多いのではないでしょうか。
- 妊娠時
- 月経時
- 思春期(男性でもあります。)
- 更年期
⇒⇒ 女性のための口臭ケア
飲食物などによる口臭
ニンニク、アルコール、たばこ、薬物(活性型ビタミン剤など)
病的口臭
歯周病になると口臭が発生しますが、副鼻腔炎などの耳鼻咽喉科の疾患ほか、糖尿病など全身疾患も口臭の原因になります。もし当てはまるものがあれば要注意です。
歯科疾患が原因の口臭
歯周炎、歯肉炎、舌苔(ぜったい)、舌がん(口腔がん)などになると口臭が発生しますが、歯周病による口臭は血臭い(生臭い)のが特徴です。これらの原因の場合は、次の記事が参考になります。
舌磨きはしないほうがいい!なぜなら口臭をひどくする原因だからです。どうしたらいいかというと・・・
耳鼻咽喉科が原因の口臭
副鼻腔炎による後鼻漏、咽頭炎、喉頭炎、喉・鼻の癌などが原因で口臭が起きることがあります。この他にも、口臭が治らない場合には、慢性扁桃炎から膿栓や膿汁が口臭原因になっているケースもあります。
膿栓が長期にわたり扁桃腺にたまると、口臭の原因になることがあります。
だからといって、無理に膿栓を取るのは危険です。喉の中は見えにくく、簡単には取れないために、喉を傷つけてしまうかもしれないからです。
引用:喉の白い塊って知っていますか?
膿栓を自分で取ろうとする人がいますが、危険ですのでおやめになってください。それに、膿栓は一度取ることができたとしても、その後も出てくるので解決できません。
全身疾患が原因の口臭
糖尿病の場合はアセトン臭がします。しかし、糖尿病は歯周病と密接に関連しているので、糖尿病の人は歯周病になり口臭が発生することもあります。
他にも、肝疾患(アミン臭)、腎疾患(アンモニア臭)の場合も口臭が起きます。
においの種類
どぶの臭い
喉から「もあっ~」と、ドブのニオイを感じることはありませんか?
喉(のど)からドブ臭を発している場合には、膿栓(のうせん)や膿汁(のうじゅう)が原因になっている他に胃潰瘍の疑いもありますのでご注意ください。
膿栓や膿汁は、後鼻漏などが原因となり扁桃炎を引き起こすことで出来ます。扁桃炎になると、細菌と戦った白血球の死がいや細菌が粘液に混じり膿汁や膿栓をつくります。そのため、膿汁や膿栓ができるとドブ臭や下水臭が発生するのです。
腐敗臭・うんこ臭
- 卵が腐ったようなにおい(硫化水素)
- 生臭い野菜の腐った臭い(メチルメルカプタン)
- 魚のはらわたのにおい(トリメチルアミン)
- 生ごみのにおい(ジメチルサルファイド)
- 公衆便所のようなにおい(アミン)
- うんこ・おならのにおい(スカトーラ)
- 柿の腐敗臭腐ったような生臭いニオイがする口臭の場合は…歯周病の可能性が高い!
腐敗臭の臭いがしたら、虫歯や歯周病(歯肉炎)が原因かもしれません。特に歯周病菌による口臭ガスは物が腐ったニオイが特徴です。
舌苔(ぜったい)が着いている場合も腐敗臭がします。
舌苔(ぜったい)ができると臭い物質が唾液に溶けるために、唾液自体が臭いだけではなく、緊張などで口が乾燥したときに臭く感じます。
舌が白いと恥ずかしいだけでなく、口臭も強くなります。
だからといって、歯医者さんで相談することもできないし。。。
舌が白くなった時には、舌清掃など舌ケアを行うことをおすすめします。舌苔が取り除くと口臭を減らすこともできます。
引用:舌が白くなる原因が何なのか知っていますか?
口臭原因は人によって様々で、いくつもの口臭原因が重複していることもあります。
腐敗臭を強く感じても、臭う原因が単独ではなく色んな所から臭っていることが多いです。特に、ドライマウスが原因となって起きる歯周病、舌苔(ぜったい)、膿栓(のうせん)、膿汁(のうじゅう)は、重なっているケースが多いということを知っておいてください。
腐ったにおい、生臭い、ごみのにおい、腐敗臭など、どのニオイも、微生物が発生するガスのニオイです。微生物は、食べ物カスや口腔内の粘膜が剥離した細胞、血液を分解しますが、その時に口臭物質を産生します。
表現が悪いですが、うんこ臭い口臭がする場合もあります。うんこ臭(便臭)の口臭が起きる原因は様々ですが、一つは便秘によるものです。便秘になると腸内で発生した腐敗臭が血管に吸収され肺を通り呼気口臭となります。
このケースで多いのは、胃腸が弱い人、ストレスが多い人ですので、ストレスの解消も課題かもしれませんね。また、うんこ臭(便臭)の口臭が起きる原因で意外なのが、膿栓(のうせん)、舌苔(ぜったい)の他、喉の臭い粘液です。この粘液は、膿栓になる前の段階の膿汁(のうじゅう)という臭いねばねばした痰のような粘液です。
うんこ臭い口臭がしている場合は、これらが原因になっているかもしれないのでご注意ください。詳しくは「うんこ臭い口臭がするのは便秘だから?本当の原因は?対策はこうする!」をご参考にしてください。
腐敗臭や生臭いニオイを感じたら、悩むよりも先に、歯医者さんへ行って虫歯や歯周病(歯肉炎)でないか診断を受けることが大切です。
虫歯による腐敗臭
虫歯ができると、そこに食べカスがたまりプラーク(歯垢)がくっつきます。プラーク(歯垢)が着くと虫歯が進行し溝も深くなり微生物が増殖。微生物(細菌)が増えると更に口臭も強くなります。
銀歯がうまく合ってないと、銀歯と歯の間にすきまができ、そこに食べカスが溜まります。銀歯と歯の狭い隙間は、歯磨きだけではきれいに清掃できない。
そのため、2次カリエス(虫歯)になり腐敗臭を発しているケースもよくあります。2次カリエスのようなケースは、銀歯を作り替えることで口臭も解決できるので早めの治療が大事です。
歯周病による腐敗臭
歯周病(歯肉炎)になると歯周ポケットができる。そこに食べ物カスや膿(うみ)がたまり、歯周ポケット内で歯周病菌が増え膿臭い口臭が発生する!
ひどい腐敗臭を感じる場合は、早く歯医者さんに行くことが大切です。歯周病は痛みもなくどんどんと進行していくので口臭を感じたらすぐに行くことをお勧めします。でも、歯医者さんに行ったからといって安心してはいけません。口臭を予防する上で大事なのは、その後の口腔ケアです。
歯周病が原因となっている口臭を予防するために大事なことは、日々の口腔ケアです!歯周病になると、歯間ブラシが臭くなることがあります。
たばこのニオイ
喫煙者は、必ずといっていいほどたばこのニコチン・タールのにおいがします。たばこを吸うと。ニコチン・タールが舌の粘膜や義歯などの補綴物にくっつきます。ニコチン・タールは唾液中にも混じり、吐く息もたばこ臭くなります。
ニコチン・タールが口臭原因になっている場合は、舌の表面や義歯をきれいに清掃しないと臭くなります。喫煙の度にうがいをしてニコチン・タールを洗い流すことも大事です。
ニコチン・タールがついた義歯をきれいにするためには、義歯洗浄剤だけでは汚れが落ちないかもしれません。
また、普通の歯磨き粉で汚れを落とすことは難しいので、ニコチン・タール専用の歯磨き粉を使うことも必要かもしれません。しかし、研磨剤入りの歯磨き粉で樹脂製の義歯を磨くと、細かい傷がつき、かえって汚れやすくなることがあるのでご注意ください。
それと、舌をゴシゴシと磨くことは禁物です。舌をゴシゴシと磨いてしまうと、舌乳頭が削れてしまいます。剥がれ落ちた細胞上皮は、微生物のエサになってしまうので、口臭には逆効果です。
舌磨きをすると舌苔(ぜったい)ができやすくなり口臭原因にも。だから、舌を磨くときには、よほどの注意が必要です。舌が汚れてからきれいにしようと思わないで、日々の口腔ケアで口臭を予防するように心がけることが大切です。詳しくは、『舌磨きをしてもすぐに白くなる理由』をご参考にしてください。
喫煙による口臭は、ニコチン・タール臭だけではありません。
喫煙をしていると歯周病になるリスクが高くなります。歯周病菌は腐敗臭を発しますので、これがニコチン・タール臭に混じることで口臭が強くなります。
おなら臭い臭い
おなら臭い口臭がする場合には、肺から出る呼気が混じったり、食べたものが影響していることもあります。このような呼気口臭を発するのは、胃腸が弱い下痢患者に多いです。
おなら臭い口臭については、こちらの記事「おなら臭い口臭!?臭くなる原因と対策方法」をご参考にしてください。
甘酸っぱい・漬物臭・チーズの臭い
- 甘酸っぱいにおい
- たくあんのようなにおい
- チーズのにおい
- 納豆くさい
このようなニオイがする原因は、食べ物カスが唾液中の酵素によって分解、醗酵することで起こります。
舌苔(ぜったい)のほか、歯間や義歯・レジンなどの補綴物に食べ物カスがくっつくことで、口臭が起きます。日々の口腔ケアが充分できていれば、このようなにおいの口臭は簡単に予防できます。
ニンニクの臭い
- ニンニク臭い
- ネギ臭
においの強い食べ物が口臭原因になっている場合は、一過性のため特別気にする必要はありません。時間が経つと自然に消えていきますが、気になる場合は、にんにくを食べるのを控えるか、人と合わない時に食べるようにすることです。
薬品臭・すえた臭い
- すえたようなにおい
- 薬品臭いにおい
- 甘ったるいにおい
このようなにおいがしている口臭では、糖尿病や肥満、脂質代謝異常が考えられます。遅れるとよくありませんので、出来るだけ早く内科で受診されることをお勧めします。
ガス臭い・ゴム臭い
- ガスくさい
- ゴムくさい
このようなニオイを感じる口臭をしている場合は、老化、肥満によるコレステロールの代謝異常が原因かもしれません。また、ビタミンEが不足することでもこのようなニオイがすることがあります。自分勝手に判断しないで、内科で相談することが大事ですね。
アンモニア臭
- 便所のにおい
- おしっこのにおい
アンモニア臭のにおいがする場合は、肝臓や腎臓の疾患が考えられますので内科受診することをお勧めします。
すべてに当てはまらない臭い
以上のすべてにも当てはまらず、歯医者さんにかかっても口臭が解決しないケースがあります。
そして、他人に自分の吐く息をかいでもらっても、「臭わないよ。」と片付けられてしまい、口臭に対して過敏になっているケースもあります。
他人には分からない、理解してもらえない。でも、「私は口が臭い!」、「自分の口臭が周りに臭っているかもしれない。」と不安な生活を送ってしまう。
このような症状が、自臭症だといわれていますが、、、現在、日本人の8割以上が自臭症だとも。でも自臭症だからといって、まったく口臭がないわけではありません。生物である限り、誰でも多少は息が臭うからです。
だからといって、口臭をそのままにはできませんよね。少しでも口臭を感じる場合には、先ず口臭原因を一つずつ解決していきます。一つずつ解決することでどのような口臭でも改善に向かいます。
そのためには…
歯医者さんにかかる。お家での口腔ケアを充分に行うことが大切。特に毎日の歯磨きとうがいをどのように行うかがポイントになります。
今までどおり歯磨きをしても、口臭は改善できない人が多いです。口臭を効率よく改善するには、『口臭の原因がわからない!?よくある口臭原因と適切な対策方法』をご参考にしてください。
もし口臭でお困りでしたら、口臭予防歯磨き粉「美息美人(びいきびじん)」をお試しください。
口臭の種類から口臭原因がわかる
一言に口臭といっても、口臭が出ているところも違えば、口臭原因も異なります。人によっては、差し歯が口臭の原因のこともあれば、喉から口臭が出ている場合もあります。
具体的に口臭が出ている部位別に分類すると、
- 歯(プラーク)
- 歯周ポケット
- 唾液
- 舌の上(舌苔ぜったい)
- 喉(膿栓・膿汁)
- 鼻(蓄膿症によって副鼻腔に膿がたまっている)
- 鼻からの呼吸
これらが、口臭の主な発生源です。そして、口臭が出ている部位によって、ニオイの種類が異なります。
唾液のニオイ
健康な人の唾液のニオイは、嫌なにおいではありません。唾液は99%以上が水分であり酵素が含まれているので、濡れているときにはほとんどにおいません。指をなめて乾燥させるとヌカくさい臭いがする程度です。
このように通常、唾液は無色透明でサラサラして臭いもないもの。しかし、人によっては唾液が強く臭うことがあります。唾液が臭くなる原因は人によって様々ですが、次のようなことが原因になっていることが多いです。ご参考にしてください。
- 歯周病
- 虫歯
- プラーク(歯垢)
- 口内環境が悪くなり細菌が異常に増える
- カンジダ、歯肉炎、口内炎、舌炎など。
- 舌苔(ぜったい)。舌苔で作られるニオイの元が唾液に混じる。
- 膿汁(のうじゅう)。膿汁は、扁桃腺から分泌される粘液に白血球や細菌の死がいが混じり膿となったもの。この液が唾液に混じる。
- 唾液が少ない。唾液量が減ると、ニオイ菌や汚れを洗い流すことができなくなる。
- 免疫力の低下。病気・疲労・ストレスにより体の免疫力が低下すると、たとえ唾液が出ていても抗菌力も下がる。そのため、ニオイ菌が増えることになります。
唾液の臭いを消すには、アルカリイオン水を使ううがいが効果的です。
歯垢(しこう)が臭い
歯垢(プラーク)は歯磨きが十分にできていないと磨き残しから細菌が歯に付着し臭くなります。歯垢をそのままにすると24時間から48時間で固い歯石になります。歯石には歯垢がつきやすくなるため、さらに口臭もひどくなるという悪循環に。
指で歯をこすってみて口臭がする場合は、歯垢が原因のことが多いです。歯垢の臭いはひどい口臭ではありませんが、ほっておくと虫歯や歯周病になるので歯磨きをていねいにする習慣をつけることをおすすめします。
歯周病は「血生臭い」におい
歯周病になると、口が臭くなります!
歯周病が少し進行すると、歯肉を舌で吸ってみると、生臭いというか、血の臭いがします。更に進行すると、歯磨き時に出血がするし、歯磨きが終わったあとも血生ぐさい臭いは一向に消えません。
引用:歯周病に効く市販の薬と歯磨き粉はコレ!正しい使い方はコレ!
歯間ブラシを使用した時に血生臭いにおいがしたら、歯周病が原因かもしれません。
歯周病菌が発するニオイが最も悪臭です。歯周病菌は硫黄ガス(VSC)を発生するので、それ自体が臭いのですが、歯肉炎になると歯周ポケットに膿がたまるため、血生臭いニオイがするようになります。
舌苔・膿栓・膿汁の臭いは「どぶの臭い」
舌の表面には、細菌が増殖し苔をつくります。苔の細菌はタンパク質を分解して臭い物質をつくり蓄積しているのですが、舌が乾燥すると臭い物質がガス化し口臭となるのです。
舌を指でこすって嗅ぐと臭いのは、苔が指に付き臭い物質がガス化するからです。
引用:舌が臭い、口臭がするそれは舌苔が原因です。舌苔を取り除く方法とは?
舌苔や膿栓・膿汁ができると、ドブ臭や腐敗臭がするようになります。
膿栓がよくできて困っている場合は⇒⇒ 喉が臭い、喉からの口臭原因と対処法
蓄膿症は膿の臭い
蓄膿症(副鼻腔炎)は、鼻の根本にある副鼻腔に膿がたまる病気で、膿が鼻汁と混じり喉にたれるため鼻が臭くなります。そして、副鼻腔に膿がたまることでよく頭痛を引き起こします。
蓄膿症(副鼻腔炎)になると、鼻から動物園の臭いとか生ごみの腐った臭いがするようになります。また、緑色(黄緑色)の痰が出ることもあるので、口臭や後鼻漏がひどいと感じたら、耳鼻科を受診されることをおすすめします。
逆流性食道炎は酸っぱい臭い
逆流性食道炎は、食べた物が消化されずに胃から食道に逆流して食道に炎症を起こす病気です。胃酸が口の方に戻るために、「酸っぱい」味や臭いがするのが特徴です。
逆流性食道炎は、強酸性の胃酸によって食道に炎症を起こすため、胸やけや胸の痛みを生じます。
また、消化不良の食べ物が喉や舌に付着するとばい菌が増殖するので、膿栓、膿汁、舌苔ができる原因にもなり、「下水臭」や「便臭」のような強い口臭を発します。
逆流性食道炎による口臭について詳しくは、『胸焼け・呑酸を感じたら口臭がするかも?逆流性食道炎による口臭対策』をご参考にしてください。
【逆流性食道炎の原因】
健康な人の場合には、胃液が食道へ逆流しないように身体ができています。しかし、様々な原因から食べた物や胃液が胃から逆流することが起きます。逆流性食道炎の原因としては次のようなものがあります。
- 加齢
- 肥満
- 姿勢が悪い
- 不健康な食生活(暴飲暴食、早食い、食後すぐに横になるなど)
- ストレス
最近では、一時的な逆流に伴う粘膜の炎症やストレスなどによって、食道の過敏性を異常に高めてしまうこと(知覚過敏)が、逆流性食道炎の症状発生に大きな役割を果たしているとの報告もあります。
引用:厚木胃腸科医院
反すう症はゲロの臭い
逆流性食道炎と似ている症状に「反芻(はんすう)症」があります。反すうは一度食べた物を口に出し噛んでまた胃に戻すことを繰り返す症状です。
食べた物が口に出るので、その時には「ゲロ」の臭いがしますが、喉や舌に消化不良の食べ物が付着するため、舌苔や膿汁が出来る原因にもなります。
舌苔が出来ると、下水臭や便臭のような強い口臭を感じるため、口臭を心配する方が多いようですが、重症になると栄養失調や脱水症状を起こすこともあります。
ですから、反すうの疑いがある場合は、早目にお医者さんにご相談されることをおすすめします。
反芻症は珍しい障害です。男児により起こりやすく、典型的には生後3~12ヵ月の間に生じます。成長発達が正常な乳幼児にもみられますが、適切ではない養育を受けた乳幼児にもみられます。
まれに、年長の子どもや青年、大人も反芻症になることがあります。知的能力障害の子どもや青年、成人では反芻が続いていることが多いようです。
口臭の予防と対策
歯磨き
口臭予防の基本は歯磨きです。口臭の原因が口内にある場合は、ほとんどが歯磨き不足から起きています。磨き残しがあると歯垢が出来、虫歯や歯周病になるためです。歯周病などによって口内細菌が増えると、舌苔(ぜったい)もでき口臭がひどくなるからです。
口臭を予防するためには、1回の歯磨きに5分以上かける、そして、起床時と就寝前に歯磨きを行うことが大事です。
うがい
口臭がある人の多くは、唾液の分泌が少ないです。そのため、口内環境が汚くなり口臭が出ています。唾液を出すことは大事なことですが、うがいで口内を洗浄することも大切です。
うがいや歯磨きで口内の清潔を保つことは、副交感神経を刺激するこができ唾液分泌を促す効果もあります。
歯科治療と歯科検診
自宅でのセルフケアだけでは、歯垢や歯石を予防することは難しいです。2~3か月に1回の割合で歯科検診を受けられることをおすすめします。
また、歯科検診の時には、PMTC(歯科衛生士による歯石除去と歯のクリーニング)もしてもらえるので予防効果が高まります。
まとめ
口臭の種類は、人によってこれほど違いがあるのだと分かったと思います。そして、あなたの口臭の種類についても大体の見当がついたのではないでしょうか。
もし、口臭の原因が病的な場合には、すぐに歯科で診察や治療を受けられることが大事です。たとえ問題がないと思われても、口臭が治らない場合は、歯科治療を受けられるほうが早く治せるかもしれません。
しかし、口臭は歯科によるケアだけでは不十分です。口臭予防で一番大事なのは、歯磨きによるセルフケアですので、正しい歯磨き習慣をつけられることをおすすめします。
参照リンク