舌が白い(舌苔)

舌磨きは今すぐやめて!?代替の方法で口臭対策

硬い歯ブラシで強く舌を磨いてはいけない

「舌磨きは今すぐやめて」口臭対策と舌ケアの正しい方法

口腔ケアアンバサダー(社団法人 日本口腔ケア学会認定)の上林登です。

「舌磨きは今すぐやめて」という警告を耳にしたことはありますか?このアドバイスは、適切でない舌磨き方法が口内の健康に逆効果である可能性があるため、止めることは重要な意味を持ちます。

舌を強く磨くこと、硬い毛先の歯ブラシの使用、舌ブラシの長期間交換しないことは、実は口臭の問題を悪化させかねません。

ですから、舌苔が治らない場合は、一度舌磨き習慣をやめてみましょう。そして、代わりに、水分摂取を増やし、定期的な歯科検診を受け、バランスの良い食生活を心がけることをおすすめします。

たいていは、このように舌を磨くのを止めただけで、舌の状態を改善することができます。これらの方法は、舌の健康だけでなく、全体の口内環境を改善し、より健康な生活を送るための鍵となります。

正しい知識と方法で、より健やかな生活を送りましょう。

※この記事は、現役歯科衛生士(上林ミヤコ)が監修しております。安心してご参考にしてください。

舌磨きは今すぐやめて:体験談より

読者から私のところへ「舌磨きしてるけど、一向に舌苔が取れない」という相談がありました。その方のケースをご紹介します。

相談者の体験談

相談者Aさんは、継続的な口臭に悩まされ、インターネットで調べた結果、舌磨きが口臭対策に有効であるという情報を得ました。そこで、市販の舌クリーナーを購入し、毎日の口腔ケアルーチンに取り入れました。最初のうちは効果があるように感じたものの、時間が経つにつれて舌苔は完全には取れず、むしろ舌が痛くなり、一部には損傷を感じるようになりました。

すぐに私から「舌磨きをストップしてください。」とアドバイスしました。Aさんは舌磨きをすぐにやめ、代わりに他の口腔ケア方法を探し始めました。

舌磨きをやめた後の変化

舌磨きをやめた後、Aさんは以下の変化を経験しました。

  • 舌の痛みと損傷の軽減 : 舌磨きを中止したことで、舌の痛みが徐々に和らぎ、損傷した部分も回復し始めました。
  • 口腔内の細菌叢の改善 : 舌磨きをやめてからは、口腔内プロバイオティクスを含む自然な方法で口腔ケアを行うようになり、口臭が改善されたと感じました。

他者の体験談との共有

Aさんは、自身の体験をYAHOO!知恵袋で共有し、同じように舌磨きで苦労している人々からのフィードバックや代替方法についてのアドバイスを求めました。この共有を通じて、多くの人が似たような問題を抱えていることが明らかになり、舌磨き以外の口腔ケア方法に関する有益な情報交換が行われました。

結論

舌磨きで失敗した相談者の体験談は、個々の口腔衛生へのアプローチが異なるべきであることを示しています。また、個人的な経験の共有とフィードバックは、他者の知識と経験を活用し、自分にとって最適な口腔ケア方法を見つけるための重要なステップになりました。

Aさんの体験によって分かったことは、舌磨きが必ずしも全員に適しているわけではなく、口腔ケアは個人のニーズに合わせてカスタマイズする必要があることです。

舌磨きは「今すぐやめて」というケース

舌磨きをストップすべき具体的なケースを以下に示します。

  1. 舌の過敏性や損傷 : 舌磨きによって舌が赤くなったり、痛み、出血、または損傷が生じている場合は、すぐに舌磨きを中止すべきです。過度な圧力や硬いブラシの使用は、舌の敏感な組織を傷つける可能性があります。

  2. 舌の炎症や感染症の症状 : 舌に炎症、腫れ、痛み、異常な斑点や潰瘍がある場合、これらは舌磨きを中止し、専門家に相談するべきサインです。これらの症状は、舌磨きによって悪化することがあります。

  3. 舌の乾燥や燃焼感 : 舌磨き後に舌が非常に乾燥している、または燃焼感がある場合、これは舌の自然な保湿バランスが崩れている可能性があります。この場合、舌磨きの頻度を減らすか、完全に中止することを検討すべきです。

  4. 口腔内の細菌叢の乱れ : 舌磨きが口腔内の健康的な細菌叢に悪影響を及ぼし、悪化した口臭や他の口腔問題を引き起こしている場合、舌磨きの方法を見直す必要があります。特に、舌磨きによって有益な細菌が過度に除去されると、不健康な細菌が増殖しやすくなります。

  5. 既存の医療状態 : 心臓疾患、免疫系の問題、または特定の医療処置を受けている人々は、舌磨きによって細菌が血流に入り込むリスクが高まるため、特に注意が必要です。これらの状況では、舌磨きを中止し、医師や歯科専門家と相談することが重要です。

これらのケースは、舌磨きの実践を再評価し、必要に応じて代替の口腔ケア方法を探すべき明確なサインです。安全かつ効果的な口腔衛生の維持には、個々の健康状態とニーズを考慮することが不可欠です。

・関連記事:舌磨きをしない方がいい理由とは?あなたのオーラルケアに必要な知識

舌磨きの代替方法

舌が痛いと訴える人に「今すぐ舌磨きをやめてください。」と指導すると、「では、舌苔はどうすればいいのですか?」と心配する人が多いです。ここでは、舌磨き以外に検討すべき代替的口腔ケア方法について、以下に詳細を述べます。

  1. 水分摂取の増加 : 水分を十分に摂取することは、口腔内を潤し、細菌や食べかすが口内に滞留するのを防ぎます。米国口腔衛生協会(American Dental Association)によると、水分摂取は唾液の生成を促進し、口臭の原因となる細菌の成長を抑えるのに役立ちます。

  2. 食生活の調整 : 食生活を見直すことで口臭を軽減できます。特に、砂糖の多い食品や飲料の摂取を控えると良いでしょう。砂糖は口腔内の細菌が好む食料であり、これを減らすことで細菌の増殖を抑えることができます。また、繊維質の高い食品を摂取することで、口内を自然に清潔に保つことができます。

  3. プロバイオティクスの使用 : 善玉菌の一種であるプロバイオティクスは、口腔内の細菌バランスを改善するのに役立ちます。ヨーグルトや乳酸菌飲料に含まれるプロバイオティクスが有効であると、多くの研究で示されています。これらは、口腔内の有害な細菌の成長を抑制し、健康な口腔環境を促進します。

  4. 天然の口臭対策 : 例えば、緑茶に含まれるカテキンは、口臭の原因となる細菌を抑制する効果があります。また、パセリやミントなどのフレッシュなハーブを噛むことで、一時的に口臭を軽減することができます。

  5. 定期的な歯科検診 : 定期的な歯科検診を受けることで、口腔内の問題を早期に発見し、適切な治療を受けることができます。歯科医師は、個々の口腔状態に合わせた最適なケア方法を提案してくれます。

これらの代替的口腔ケア方法は、舌磨きだけに頼るのではなく、口臭の管理と全体的な口腔衛生の向上に役立ちます。各方法を適切に実践することで、口腔内の健康を保ち、口臭を効果的に管理することができます。

・出典:口臭を防ぐ秘訣!『奥から手前』の正しい舌苔の取り方

白い舌苔が過剰にあると思うときは物理的に取り除くのではなく、舌磨きなどの物理的刺激や界面活性剤の入った歯磨き剤の使用を停止して、しっかりと舌の運動を常に行い、舌を機能させ、口腔内の生理を安定させることで、健康的な子供のような舌の状態を取り戻せます。

引用:Dr,HONDA 口臭バイブル

舌磨きの利点とリスク

舌磨きの利点とリスクについての科学的な根拠は、以下の研究結果から明らかになります。

舌磨きの利点

口臭の原因は、ほとんどが舌苔(ぜったい:舌の表面につく白い苔状のもの)です。したがって舌の清掃による舌苔の除去が最も有効な予防法です。

引用:e-ヘルスネット厚生労働省

  1. 口臭の改善 : 舌磨きは、特に朝の口臭を減らすのに効果的です。これは、舌の表面から有害な硫黄化合物を取り除くことにより、口臭の原因となるバクテリアの量を減らすからです。(Quirynen et al., 2004; Pedrazzi et al., 2004)
  2. 味覚の向上 : 舌磨きは味覚を改善する効果があります。特に、苦味や塩味の感覚が明らかに向上します。(Quirynen et al., 2004)
  3. 口腔内の細菌減少 : 舌磨きはミュータンス連鎖球菌や乳酸菌などの細菌の数を減少させ、全体的な口腔衛生の改善に寄与します。(Danser et al., 2003)。

舌磨きのリスク

  1. 効果の持続性に限界 : 舌磨きによる細菌数の減少は一時的であり、持続性には限界があります。定期的な舌磨きが必要です。
  2. 感染症のリスク : 稀ではありますが、舌磨きは感染症のリスクを増加させる可能性があります。特に、心臓弁膜症のある人は、舌磨きによる細菌血症のリスクが高まる可能性があります。

これらの情報は、舌磨きに関する研究から得られたものであり、舌磨きが口臭の改善や味覚の向上に有効である一方で、一定のリスクも伴うことを示しています。したがって、舌磨きを行う際には適切な方法を用い、過度に行わないよう注意が必要です。


上記の結論は舌磨きに関する一般的な知識と専門家の指導に基づいています。舌磨きの効果やリスクについて更に詳細な情報を得るためには、口腔衛生に関する専門家に相談することをお勧めします。

危険な舌磨きをやめて「舌苔を治しましょう」

舌苔や口臭で悩まれている方から多くの相談を受けてきた経験から、舌磨きに関しての是非をお答えします。

毎日、舌磨きをしているにもかかわらず、舌苔・口臭が治らない人は高い確率で存在します。磨いても治らないのであれば、今すぐ舌磨きは止めるべきです。何故なら、、舌苔が取れないから、余計にゴシゴシと磨くようになるからです。すぐに舌苔が厚くなり、口臭もドブのように臭くなってしまいます。

関連記事:舌の奥の舌苔が取れない!効果的な取り方とは

舌苔を改善する方法

舌苔で困っている人から「舌磨きを止めたらどうなりますか?」と質問されることがあります。その場合は、舌磨きの代替法として、アルカリイオン水を舌苔に塗り付ける「コットン法」を紹介しています。

アルカリイオン水には、舌苔を構成するタンパク質を分解する働きがあり、また、口内pHを中性にするため、口腔環境を改善することが期待できるのです。さらにアルカリイオン水を、うがいやブラッシングにも使用すると、より早く舌を清潔にすることができます。

・参考記事:コットン(綿花)で舌苔を取る方法

まとめ

この記事を通じて、舌磨きの重要性と正しい方法、口臭対策との関連性について理解を深めることができました。

舌磨きは口臭対策にとって重要な要素であり、正しい方法で行うことで口腔内の細菌バランスを維持し、口臭の予防に役立ちます。しかし、強くこすりすぎたり、不適切な道具を使用したりすると、口腔内にダメージを与える可能性があります。そのため、適切なブラシを選び、正しい手順と頻度で舌磨きを行うことが大切です。

この記事が、あなたの口臭対策と舌磨きの理解に役立つことを願っています。健康的な口腔環境を維持するために、今日から舌磨きを正しい方法で始めましょう。

・関連:口臭がアルカリイオン水のうがいで取れるのか?実際にやってみた結果・・・

舌磨きに関するよくある質問とその答え

Q1) 舌は歯ブラシで磨いても大丈夫ですか?

A1) 舌を磨く際は注意が必要です。特に固い歯ブラシで強く磨くと、舌乳頭を傷つける可能性があります。舌を磨くときは、後ろから前に向かって、ブラシをやさしく円を描くように動かすか、スクレーパーを滑らせるようにします。また、舌が出血したり、痛みを感じたりするのは目指すべき結果ではないため、舌ブラシやスクレーパーを押し付けすぎないように注意が必要です​​。

Q2)舌を適切に磨かないと何が起こりますか?

A2) 舌はスポンジのように機能し、多くの微生物を吸収します。これらの有害なバクテリアが舌に残されると、舌苔が付着し増える可能性があります。これは、さまざまな健康問題や歯科問題を引き起こす可能性があります。したがって、毎日舌を清掃すべきです。そうしないと、悪臭が発生する可能性があります。

Q3)舌はどのように磨くべきですか?

A3) 以下に舌を磨くための歯科医が推奨するステップをいくつか紹介します:

  • 舌を磨く前に、専用の舌用ブラシを暖かい水で洗います。
  • 歯ブラシを使う場合は、45度の角度で保持して、やさしく滑らかな清掃を確保します。
  • 口全体にバクテリアを広げないように、舌の上の汚れている部分だけを磨きます。(2往復までに留める)
  • 専用の舌ブラシか柔らかい歯ブラシを優しく使って、舌乳頭を傷つけないようにします。
  • 最後に、磨いた後に残った細菌を排除するために、ぬるま湯で口を洗います。

Q4) 電動歯ブラシで舌を磨いてはいけませんか?

A4) (舌清掃モード付きの)電動歯ブラシで磨くことは問題ありません。なぜなら、フィリップス電動歯ブラシのようなブランドのいくつかは、より優しく磨くための舌ブラシヘッドを備えているからです。ただし、使用説明書どおりに使ってください。

Q5) 舌は毎日磨くべきですか?

A5) 舌の清掃の重要性を知らない多くの人は、舌が汚れていても、数ヶ月や数年間もそれを行わないかもしれません。しかし、鶴見大学歯学部歯学講座教授の花田信弘先生などは、この習慣を日常的に取り入れる重要性を示しています。(出典:サワイ健康推進課

舌の汚れは、舌の動きによって自然とある程度まで清掃できますが、舌苔ケアなしにきれいにするには限界があります。舌磨きをやめても効果的な方法は、アルカリイオン水を使った「うがい」です。口臭がある場合は特におすすめです。

うがいで舌苔を取る

口腔カンジダはうつる?キスや家族との接触、そのリスクと真実

赤ちゃんとキスする母

口腔カンジダ感染の真実と安心のケア法

口腔ケアアンバサダー(社団法人 日本口腔ケア学会認定)の上林登です。

「口腔カンジダは人から人にうつる」と聞いて、不安になる人も多いのではないでしょうか。カンジダは、私たちの口腔内に生息する常在菌の一つであり、通常は問題を引き起こさない平和な存在です。しかし、体の抵抗力が低下したり、口腔環境が乱れることで、カンジダが増えすぎると、感染症の原因となることがあります。

・出典:口腔カンジダ症 – The American Academy of Oral Medicine

このカンジダ感染には多くの誤解があります。一部の人々は、キスや日常の接触で容易に感染すると考えて過度に心配していることも。実際には、感染リスクや感染するメカニズムにはさまざまな要因が絡むため、単純な答えは存在しません。

この記事では、口腔カンジダの真実に迫り、安心して日常生活を送るためのケア方法を紹介します。誤解を恐れず、正しい知識とケアで、健やかな口腔環境を手に入れる手助けをします。

この記事は、上林の監修の元、Chat GPT-4が書いています。

口腔カンジダとは

口腔カンジダ(口内カンジダ症)は、カンジダ・アルビカンスというカビ(真菌)の一種によって引き起こされる感染症で、カンジダ菌は通常、人間の口腔内にも存在する自然な菌群の一部です。

発症は、免疫力の低下、口腔内の変化、糖尿病、HIV感染、特定の薬剤の使用(抗生物質やステロイドなど)など、様々な要因によってカンジダ菌が過剰に増殖したときに起こります。

口腔カンジダの症状

カンジダ菌は通常、人の皮膚や粘膜に存在し、免疫力が低下すると増殖し、症状を引き起こします​​。

  • 口腔カンジダの主な症状には、口内に白い斑点や苔のような白い層が現れることが挙げられます。この斑点はしばしば痛みや不快感を伴います。
  • 他の症状としては、口の乾燥、味覚の変化、飲食時の苦痛などがあります。

口腔カンジダ症:

  • 偽膜性カンジダ症: 口腔内に白い白苔(膜)が出現し、これはガーゼで拭い取ることができます。
  • 萎縮性カンジダ症(紅斑性): 白苔はなく、口腔内の発赤やびらんがあり、ヒリヒリとした痛みを伴うことが多いです。
  • 慢性化: 慢性化すると肥厚性カンジダ症に進行し、白苔が落ちにくくなり、上皮の厚みが増すなどの変化が生じます​​。

これらの症状は、加齢、ステロイドの使用、がん治療、唾液の減少、義歯や入れ歯の問題などに関連していることがわかっています​​。

・関連:口腔カンジダ症のすべて – 原因、症状、治療法、予防方法まで徹底解説

口腔カンジダ感染の原因

他人からうつる「口腔カンジダ」は、カンジダ・アルビカンスという真菌によって引き起こされる病気です。通常、この真菌は人の口の中に常在していますが、特定の条件下で増殖することにより感染症状が発現します。

口腔カンジダ感染のリスク要因

  1. 免疫系の低下: 免疫力の低下は、口腔カンジダ感染の主要なリスク要因です。これにはエイズ、癌、糖尿病、ステロイドや免疫抑制剤の使用などが含まれます​​​​。
    ・出典元:口腔カンジダ症(鵞口瘡)  | MEDLEY(メドレー)

  2. 口腔内の変化: 長期間の抗菌薬の使用や口腔乾燥は、口腔内の微生物叢の変化を引き起こし、カンジダ菌の過剰な増殖を促進することがあります​​​​。
    ・出典元:口腔カンジダ症について | メディカルノート (medicalnote.jp)

  3. 年齢関連の要因: 高齢者および乳幼児は、口腔カンジダ感染のリスクが高くなります。高齢者では唾液の減少や免疫力の低下が、乳幼児では免疫システムの未成熟が原因です​​。
    ・出典元:口腔カンジダ症とは?症状・原因・治療・病院の診療科目|病気スコープ (fdoc.jp)

  4. 口腔衛生の問題: 不十分な口腔衛生や義歯の使用も、口腔カンジダ感染のリスクを高めます​​。
    ・出典元:口腔カンジダ症患者の臨床的検討 (jst.go.jp)

  5. タバコの使用: 喫煙は口腔カンジダの発生リスクを高めるとされています【Rao, 2012
  6. 高炭水化物食: 炭水化物が豊富な食事は口腔カンジダのリスクを高める可能性があります【Khan et al., 2014

感染の伝播方法

口腔カンジダは、人との接触によって移ります。これにはキスや共有物品の使用(例えば、食器や歯ブラシなど)が含まれます。その他、タオルなどの個人用品の共用も感染リスクを高める可能性があります。しかし、一般的に健康な個人では感染することは稀です。

新生児においては、出産時に母親から子への垂直感染の可能性もあります。乳幼児においては、哺乳瓶の口やおもちゃなどにカンジダ菌が付着していることで感染することがあります​​。

感染リスクは、上記のようなリスク要因を持つ個人において高まります。

キスでうつるリスク

口腔カンジダがキスによって伝染する可能性については、必ずしもキスで伝染するわけではありませんが、カンジタ菌は接触によって人から人へ移動することができるため、発症している人とのキスによって感染リスクが高まることが示されています​​​​​​。

口腔カンジダがキス以外の接触行為によって伝染するリスクが高いのは、性器カンジダを持つ人とのオーラルセックスです。また、一方が性器カンジダを発症した場合、性交渉を介して再感染する可能性があるため、パートナーの検査と治療が推奨されています​。

・関連記事:キスで口臭がうつる?科学的真相と確実に防ぐ方法

口腔カンジダの治し方

治療

口腔カンジダ症の治療には様々な方法があります。一般的な局所抗真菌薬としてはニスタチンやアンホテリシンBがありますが、フルコナゾール経口懸濁液が特に効果的で、耐性株にはイトラコナゾールやケトコナゾールが検討されます。

また、抗真菌薬への耐性増加と非アルビカンス種への対応のため、プロバイオティクスや抗菌光力学療法(aPDT)を含む代替療法にも関心が高まっています。

新しい治療法としては、組み合わせ療法、義歯クレンザーやうがい薬、天然化合物、光力学療法が研究されており、従来の治療に反応しない場合の補助的治療として検討されています。

家庭での治し方

家庭での口腔カンジダ症の治療については、医師の指導のもとで行うことが重要ですが、以下に症状の緩和や感染の予防に役立ついくつかの方法を簡潔にまとめましたのでご参考にしてください。

  1. 口腔衛生の維持:

    • 定期的に歯を磨き、デンタルフロスを使用して口腔内を清潔に保つ。
    • 歯ブラシや歯間ブラシは定期的に交換する。
  2. 砂糖と糖分の多い食品の摂取を控える:

    • カンジダ菌は糖をエネルギー源として増殖するため、砂糖や糖分の多い食品の摂取を控えることが効果的。
  3. プロバイオティクスの摂取:

    • ヨーグルトやサプリメントなど、プロバイオティクスを含む食品を摂取して、健康的な口腔内細菌叢のバランスを保つ。
  4. 適切な水分補給:

    • 十分な水分を摂取して口腔内を湿らせ、カンジダ菌の増殖を抑制する。
  5. 義歯の場合は適切なケア:

    • 義歯を使用している場合は、就寝前に取り外し、専用のクリーナーで清潔に保つ。

これらの家庭でのケアは、医師が処方する治療と併用することで、口腔カンジダ症の管理に役立ちます。しかし、症状が改善しない場合や悪化する場合は、医師の診察を受けることが重要です。

口腔カンジダの感染リスクを減らす対策

口腔カンジダがうつりやすくなるのは、免疫力が弱まっている人、特定の薬剤を使用している人、糖尿病患者、高齢者などに特に高まります。口腔カンジダを予防するためには、 適切な口腔衛生、健康的な生活習慣、免疫力を維持することが重要です。

そのため、口腔カンジダの感染リスクを減らすためには、以下が重要です。

1,徹底した口腔衛生:

  • 歯磨きを毎日2回行うことで、口腔内を清潔に保ちます。特に就寝前の歯磨きは重要です。
  • フロスや歯間ブラシを使用して、歯と歯の間や歯茎のラインのプラークを除去します。
  • 練り歯磨き粉の代わりに抗真菌作用のある口腔洗浄液を使うことも効果的です。
  • 定期的に歯科医でのクリーニングを受け、プロフェッショナルなケアを行います。

2,定期的な歯科検診:

  • 定期的な歯科検診により、早期の問題を発見し、適切な治療を行うことができます。
  • 歯科医は、口腔カンジダの早期発見に役立つ専門的な視点を持っています。

3,健康的なライフスタイルの維持:

  • 免疫力を維持するためにバランスの良い食事を心がけます。特にビタミンやミネラルが豊富な食品を取り入れることが推奨されます。
  • 定期的な運動によって全体的な健康状態を向上させ、免疫系を強化します。
  • 十分な睡眠を取ることも免疫力を高める上で重要です。

4,特定の状況下での注意:

  • 抗生物質やステロイドなど、特定の薬剤を長期間使用している場合は、医師に相談し、必要に応じて代替治療を検討します。
  • 糖尿病などの慢性疾患がある場合は、その病状を適切に管理し、口腔カンジダのリスクを低減します。

これらの対策を通じて、口腔カンジダの発生および拡散のリスクを効果的に減少させることができます。また、親密な接触を伴う行為、特にキスや共有される食器の使用においては、相手との健康状態を考慮し、必要に応じて保護策を講じることも重要です。

感染に関するQ&A

  1. キスでの感染リスク
    Q: キスをするとカンジダ感染のリスクが高まるのでしょうか?
    A: キス自体は感染リスクを直接高めるわけではありませんが、相手が感染症を持っている場合や、自分の口腔環境が不安定な場合にはリスクが高まることが考えられます。

    ・出典:お風呂でうつる?カンジダ症とは – 新宿駅前婦人科クリニック

  2. 家族間での感染の可能性
    Q: 家族の中で一人が感染している場合、他の家族に感染するリスクは?
    A: 日常の接触や食器の共有、タオルの共有などを避けることでリスクは低減します。但し、家族内での接触が多い場合には注意が必要です。

  3. 日常での感染を防ぐポイント
    Q: 日常生活でカンジダ感染を防ぐためのポイントは?
    A: 口腔ケアをしっかり行い、乾燥を避けること。また、免疫力を維持するための健康的な生活習慣を心掛けることが重要です。公共の場所や他人との接触が多い場面では、手洗いやうがいを忘れずに行うことも大切です。

安全な口腔ケアと予防方法

健康な口腔環境は、全身の健康にとっても重要です。特にカンジダ菌の過度な増殖を防ぐためのケアと予防が必要です。以下では、安全な口腔ケアの方法や予防に効果的な生活習慣を詳しく解説します。

自然治癒の可能性

  1. 口腔ケアの基礎知識 正しいブラッシング方法や、舌のケア、適切な歯磨き粉の選び方など、日々の口腔ケアの基本を身につけることで、カンジダ菌の増殖リスクを低減できます。

  2. 予防とケアの推奨アイテム アルコールフリーのマウスウォッシュや、菌の増殖を抑える効果のある歯磨き粉、舌ブラシなど、カンジダ菌対策に特化したケアアイテムの利用がおすすめです。

口腔カンジダ症の原因を取り除くためには、口の中の掃除(口腔清掃)が欠かせません。口の中の衛生状態を保つことがとても重要です。口腔清掃は消毒ではないため、口の皮膚や粘膜を保護する常在細菌叢(健康な体にも存在する菌)を守るためにも、抗生物質、ヨード、アルコールなどを含むうがい薬を長期的に使用してはいけません。

引用:口腔カンジダ症は予防できる? – メディカルトリビューン

うがいで舌苔を取る

生活習慣での予防

  1. 口腔環境を整える食事 乳酸菌を豊富に含むヨーグルトや、抗酸化作用のある緑茶など、口腔の健康をサポートする食材の摂取を心掛けましょう。また、糖分の摂取を控えることで、菌の増殖を抑えることが可能です。

  2. 必要な環境整備 口腔の乾燥は、カンジダ菌の増殖リスクを高める原因となります。適切な水分補給や湿度の管理、また、定期的な歯科検診を行うことで、健康な口腔環境を保つことができます。

結論

人から人にうつる「口腔カンジダ」は、私たちの日常生活の中で意識しづらいかもしれませんが、実は多くの人が一度は経験する健康問題の一つです。感染リスクがあること、その主な経路やケアの方法を理解することは、健康な口腔を保ち続けるために非常に重要です。

この記事を通して、口腔カンジダへの正しい理解を深めた上で、安心して日常のケアを行ってもらえることを強く願っています。感染経路の理解、適切なケア方法の取り入れ、そして日常生活での予防策をしっかりと実践することで、安心して健康な日々を送ることができます。

最後に、予防やケアは大切ですが、何か異変を感じた場合は、専門家の意見を求めることを忘れずに。口腔の健康は全身の健康に直結していますので、適切な対応とケアが必要です。


舌苔や口臭のない健康な口腔環境の維持と、口腔カンジダ感染のリスク低減のための情報を提供することを目的として、本記事をまとめました。

参考文献・資料

  1. 口腔カンジダ症の診かた,治療,予防ー日本環境感染学会
  2. 2040 年を見据えた歯科ビジョン – 令和における歯科医療の姿-日本歯科医師会
  3. 口腔カンジダ症の診断と治療 – Gc.dental
  4. 口腔カンジダ症治療薬 「フロリードゲル経口用2%」の特徴
  5. 口腔粘膜疾患|口腔外科相談室
  6. 高齢者における口腔カンジダ症の治療と予防ーJ-STAGE