こんにちは、口腔ケアアンバサダー(社団法人 日本口腔ケア学会認定)の 上林登です。
「家族やパートナーにうつるの?」に、最短で答えます。口腔カンジダは誰の口内にもいる常在菌が増えた状態。成人同士の通常のキスでは、原則として感染性は低い=非感染性とされています。
ただし、発症中(白い苔・赤み・ヒリつき・痛み)は一時的に控え、症状が落ち着いてから再開が安心です。乳幼児・高齢者・免疫が下がっている人には配慮を。
結論:
成人間のキスでうつる心配は通常は低く、成人の口腔カンジダは非感染性とされます。ただし発症中は控えるのが無難。乳幼児・高齢者・免疫低下の方、授乳(母乳)では移り合うことがあるため注意。自己判断で長引かせないよう、症状が強い/広がる/繰り返す場合は受診を。
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うつる/うつらないの境目
“増えやすい条件”がそろうとうつりやすい
カンジダは常在菌。カギは「増えやすい環境」です。乾燥(口呼吸・ドライマウス)、摩擦(合わない義歯・強い舌磨き)、免疫低下(疲労・基礎疾患・薬の影響)、糖分過多(甘味飲料のダラダラ摂取)が重なると症状が出やすくなります。
舌苔や口内炎との違い(まぎらわしいポイント)
- 口腔カンジダ:白いカッテージチーズ様の苔。無理にこすれば赤いびらん。
- 舌苔:細菌・食べかすの付着。体調・乾燥で増減。削らないのが基本。
- 口内炎(アフタ):丸い浅い潰瘍で、白苔とは性状が異なる。
家庭での予防10のルール(チェックリスト)
タオル・食器・歯ブラシは個別管理
共有は避け、使用後は洗浄・乾燥。コップやストローなど“口が触れるもの”は個別に。
キス・スキンシップの再開目安
症状が消えてから。相手が乳幼児・高齢者・免疫低下なら、さらに慎重に。
手指衛生と“触り癖”対策
指・爪で口内を触らない。ケア前後の手洗い・アルコール手指衛生を徹底。
義歯・マウスピースの毎晩洗浄と湿潤保管
毎晩外して洗浄→十分すすぎ→翌朝まで湿潤保管。合わない場合は調整を。
口角炎のケア
口角のひび割れは真菌や細菌が混在しやすい部位。保湿と清潔、悪化時は受診。
乳幼児の哺乳瓶・おしゃぶり
熱水消毒などで清潔に。母乳育児では乳頭ケアも同時に行い、痛みや発赤が強いときは相談。
ストロー飲み・回し飲みの工夫
家庭内でも一人一つを固定。発症中は共有を避ける。
歯みがきは“やさしく”
強い舌磨き・粘膜の強擦はNG。白苔は削らず、ぬるま湯うがいで保湿。
砂糖の“ちびちび摂取”を減らす
甘い飲み物・間食のダラダラ摂取は、増殖の追い風に。
服薬・基礎疾患の確認
吸入ステロイドや抗菌薬、糖尿病・ドライマウスなどはリスク因子。主治医にケア方法を相談。
乾燥を作らない生活(口呼吸対策・水分・環境湿度)
- 口呼吸→鼻呼吸:鼻づまりが続く場合は耳鼻科相談。就寝時は加湿・テープなどで口唇乾燥を抑える。
- 水分補給:こまめな水分で口を潤す。カフェイン・アルコールの摂り過ぎは乾燥を助長。
- 環境湿度:就寝時40〜60%を目安。エアコン直風を避ける。
再発防止の週間ルーティン(ミニ計画)
- 睡眠・ストレス管理:免疫の土台。寝不足の週は無理をしない。
- 義歯ナイトケア:“外す→洗う→湿潤保管”を固定化。
- 口腔の保湿週間:ぬるま湯うがいや保湿ジェルを上手に活用。
- 服薬後のうがい:吸入ステロイド後は水でリンス。
- 血糖・栄養:甘味飲料を減らし、たんぱく質・鉄・B群を意識。
症状があるときは:受診の目安
- 白い苔(こすると赤くなる)+痛み/しみるが数日続く。
- 範囲が広がる・繰り返す(再発)。
- 乳幼児・高齢者・授乳中のトラブル(乳頭痛など)。
- 糖尿病・免疫低下・吸入ステロイド/抗菌薬の使用。
受診先の目安:のど側・広範囲→耳鼻咽喉科/義歯や口腔粘膜の処置→歯科・口腔外科。
よくある質問(FAQ)
Q. キスでうつりますか?
A. 健康な成人同士では通常は非感染性です。発症中は控え、症状が落ち着いてから再開を。乳幼児・高齢者・免疫低下の相手には配慮を。
Q. 家族にうつさないポイントは?
A. 共有物を分ける(歯ブラシ・コップ・タオル)、手指衛生、義歯の毎晩洗浄と湿潤保管、口を乾かさない。発症中はキスや回し飲みを控える。
Q. オーラルセックスはどうする?
A. 活動期は避けるのが安全です。粘膜の刺激・乾燥は悪化要因。治療・症状軽快後に再開し、不安があれば医師・歯科医・薬剤師へ相談を。
Q. 繰り返すのはなぜ?
A. 乾燥・摩擦・免疫低下・糖分過多など環境要因が残っている可能性。睡眠・栄養・薬のリンス・義歯ケアを週間化し、改善しない時は受診を。
関連ガイド
編集部より:口の“うるおい設計”は再発防止の近道。乾燥ケアの一例として、サイト内の口臭ケア『美息美人』ガイドも参考にどうぞ(使い方はやさしく・過度な期待はNG)。
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