
口臭を予防できる食べ物
口腔ケアアンバサダー(社団法人日本口腔ケア学会認定)の上林登です。
舌の上の白い苔を舌苔といいます。舌苔は、粘膜からはがれ落ちた細胞の死がいや食べかすなどのたんぱく質に細菌が集まってできた塊です。
舌苔が取れないとお困りでしたら、舌苔を溶かす働きがあるパイナップルや納豆などのネバネバ食材を食べてみてはいかがでしょう。パイナップルやキウイを食べると一時的ですが、すぐに口臭を予防できるのでおすすめな方法です。
嫌気性菌によってできる舌苔は、唾液の分泌量が多いとできないものです。普通は、食べ物を噛むことで舌と歯の表面の汚れは取れてしまうものですが、舌苔がよくできる場合には、唾液が少なくよく噛まないことが、原因になっていることが多いです。
舌苔が付き舌が白くなると、舌磨きで除去するのが一般的ですが、舌苔は容易には取れないものです。その頑固な舌苔が、タンパク質分解酵素によって溶けることが分かりました。
タンパク質分解酵素は、パイナップルやキウイなどの果物に含まれていますが、毎日、食べるのは難しいかもしれません。それに、果物の酸が歯を溶かして虫歯になるというデメリットもあります。
そこで、舌苔を除去するためにご紹介したいのが、酵素が含まれるタブレットです。
また、歯磨きとうがいの時にアルカリイオン水を使うと、舌苔を分解して口臭予防ができます。舌が乾いて痛い場合には、舌ジェル(保湿用)を塗布するといいでしょう。
ネットを検索してみると、昆布などのねばねば食材や、はちみつ、ココナッツオイルなどが舌苔除去と口臭予防に効果があると紹介されているサイトもありますが、はたして本当でしょうか?
>>舌苔がはちみつで取れた!?蜂蜜で舌苔ケアが出来るか調べました
今回の記事では、舌苔を溶かすことが出来る食べ物についてお伝えします。舌苔の除去でお悩みでしたら是非ご参考にしてください。
舌が白くなる原因

舌の表面が白くなっているモノを舌苔といいます。苔が味蕾を覆うと味覚障害を起こすこともあります。
一般的に舌が白くなって苔(こけ)ができたようなものを舌苔(ぜったい)と言います。
引用:舌が白いのは舌苔(ぜったい)!原因・対策・予防・よくある質問
舌苔ができる原因で多いのは、胃腸の不調などの体調不良による場合と、唾液の分泌量の不足による場合です。舌が白くなる主な原因は次のようなものです。
- ドライマウス
- 病気
- ストレス
- 喫煙
- 虫歯・歯周病
- 過剰なダイエット
- 加齢妊娠・生理
引用:舌が白い人は舌苔です。舌苔を取り除く7つの方法とは?
舌苔が治らない、常に口臭があるという場合には、ドライマウスを改善したりストレスを軽減することも大切です。
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舌苔(ぜったい)を効果的に除去したいなら、知っておかなければいけない3つの調査結果
舌苔を溶かす食べ物
舌磨きを行ったことがある人なら経験があると思いますが、舌磨きをしても舌苔を完全に除去することはできませんし、磨きすぎると舌乳頭を削ってしまい、舌がヒリヒリすることにも。
→ 舌磨きは絶対にしてはいけない!なぜなら口臭をひどくする原因だからです。どうしたらいいかというと・・・
それほど、舌苔は厄介です。ところが、舌苔を溶かす食べ物があるということを知ったら、驚きではないでしょうか。舌苔がなぜ溶けるのでしょう?
それは、舌苔はタンパク質と角質、皮脂汚れからできているからです。
舌苔は、お口の中の汚れ(食べかすと舌や口腔からはがれ落ちた粘膜)に細菌が繁殖して固まって出来る苔(こけ)のようなものです。
舌苔ができると舌が白くなり、口臭が出るため、舌苔を取り除きたいという人が多いです。
引用:舌苔の取り方って知っていますか?
単に舌を磨いた程度では、舌苔を取ることができませんし、過剰な舌磨きは舌苔と口臭を悪化させてしまいます。しかし、適切な舌苔ケアを行うことで、舌はきれいにすることができます。効果的な舌苔ケアの方法は、こちらをご参考にしてください。
>>口臭の原因「舌苔」を除去し予防する方法を知っていますか?
食べ物で舌苔を溶かす
食べ物の中には、タンパク質を分解する酵素があります。また、アルカリもタンパク質を溶かすことが知られています。
キウイやパイナップルにはタンパク質分解酵素が含まれているため、それらの食べ物を舌の上に乗せると、タンパク質からなる舌苔を溶かします。
パイナップルを食べた後に、舌にピリピリと感じた経験があると思いますが、それは、舌の表面を覆っていた唾液や舌苔が溶けたことで、粘膜に強く刺激を感じたからです。
この図は、舌に舌苔が付着しているイメージです。

そして、これが分解酵素で舌苔が溶けるイメージ図です。

(タンパク質分解酵素とは)タンパク質のペプチド結合を加水分解(消化)する酵素。プロテアーゼともいう。
引用:コトバンク
タンパク質分解で有名なのは消化酵素「プロアテーゼ」ですが、食べ物の中にもタンパク質を分解できる酵素が数多くあります。
- パパイン酵素…青パパイヤ
- パイン酵素(ブロメライン)…パイナップル
- キウイ酵素(アクチニジン)…キウイフルーツ
- プロアテーゼ…天然酵母
- 海洋複合酵素…マリンプロテインエキストラクト
プロアテーゼが含まれる食品は、固いお肉を柔らかく調理する時によく使われます。ですので、舌苔を溶かすことも可能なのです。
食事
タンパク質分解酵素「プロアテーゼ」が含まれる食品には、イチジク、しょうが、玉ねぎ、大根、ヨーグルト、ハチミツなどがあります。
プロアテーゼが含まれる食べ物を食事に取り入れると、舌苔の除去が期待できます。
タンパク質分解酵素が入っていなくても、野菜のように繊維が多い食べ物は、舌苔除去に効果があります。繊維が多いと咀嚼が多くなるため、唾液の分泌がよくなり舌苔の予防にもなるのでおすすめです。

タンパク質分解酵素はキウイフルーツやパパイヤ、しょうがなどに、でんぷん分解酵素は山いもや大根などに豊富ですが、いずれも酵素パワーを生かすなら生で利用しましょう。
引用:Dole
パイナップルやキウイのほかにも、タンパク質を分解するプロテアーゼ酵素が含まれる食物が沢山あります。
果物…パパイヤ、いちじく、梨、バナナ、りんご、ビワ、マンゴー
野菜…キャベツ、セロリ、玉ねぎ、ピーマン、パセリ、生姜、にんにく、赤パプリカ、黄パプリカ、さつまいも、ジャガイモ、大根、ねぎ、ニンジン、
他…納豆、麹などがあります。
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パイナップル

舌が白くなっているときに、パイナップルやキウイフルーツを食べると舌がきれいになります。どうしてかご存知ですか?
それは、タンパク質分解酵素の働き。
パイナップルにはプロメリンというタンパク質分解酵素が含まれていますが、その働きを生かすには、肉を焼く前に、生肉に生のパイナップルをカットして混ぜたり、果汁を加えてしばらくおくなど、加熱しない状態で使いましょう。
引用:Dole
パイナップルやキウイには、タンパク質を分解する酵素が多く含まれています。
舌苔(ぜったい)は、細菌とその死骸や舌細胞の死骸、食べ物カスが固まってできているのですが、成分はタンパク質。そのため、パイナップル酵素を口に入れると舌苔(ぜったい)を分解するのです。
パイナップルを食べた後、舌がピリピリします。
これは、唾液中にもタンパク質が含まれていて、その成分で舌の粘膜を保護しているのですが、パイナップルを食べると、酵素の働きで舌舌を覆っているぬるぬる(タンパク質)も取れてしまう。そのため、舌がピリピリと感じるのです。
でも、ご心配ありません。むき出しになった舌に唾液が着くため、すぐに保護されます。だから、パイナップルを食べたからといって、いつまでも舌が痛いということはありませんよね。
このように、食物によっては、タンパク質を分解するプロテアーゼという酵素が含まれているものがたくさんあります。
ということは、プロテアーゼ酵素が含まれる食物を積極的に摂取することで、あなたの舌がいつもピンク色になるかもしれません。パイナップルなどの酵素で舌苔を取る方法については、『重曹では舌苔は取れない?はちみつ飴は逆効果になる!?正しい舌苔予防はこうする!』をご参考にしてください。
果物

果物のキウイには、タンパク質分解酵素プロアテーゼが豊富に含まれています。そのため、タンパク質で構成されている舌苔(ぜったい)を溶かすことが期待できます。
プロアテーゼが含まれる果物の、キウイ、イチジク、パイナップル、パパイヤのタンパク質分解活性をテストすると次の順になり、イチジクが一番だったそうです。
イチジク>パイナップル>キウイ>パパイヤ
キウイフルーツのプロテアーゼ活性は,アゾカゼインを基質とした時,イチジク,パイナップルのプロテアーゼ活性よりやや低く,パパイヤのプロテアーゼ活性より僅かに高かった。
更に面白いことに、熟している方が溶かす力が強いそうですので、舌苔を溶かすときには、熟してから使った方がいいかもしれません。
プロテアーゼ活性は熟度の進んだ果実に強く,果実内では果心部より果肉部に多く存在していた
引用:日本食品工業学会誌
アロエ

植物のアロエで有名なのは、日本に多いキダチアロエと、沖縄など南国に生えるアロエベラです。
アロエは昔から「医者いらず」といわれ、傷ややけどに効果があります。これは、アロエにはアロインという植物フェノール系成分が含まれているからなのですが、舌磨きで傷んでいる場合に効果があると思います。
植物フェノール系成分には、下剤・鎮静鎮痛・細菌繁殖阻止・酵素活性抑制など。多糖類系成分には、美肌・消化吸収・キズの治癒・血糖値降下・抗がん・強壮・消炎・細胞活性化・殺菌など。その他の成分には、強い抗菌・抗カビ作用を持つアロエチン、解毒・抗がん作用を持つアロミチンなどの効果が確認されています。
舌磨きのし過ぎで舌が傷ついている場合には、医者いらず「アロエ」を塗るといいです。(※2020,1,29追記;舌が乾燥してヒリヒリしている場合には、舌の保湿ジェルを塗るほうが簡単で舌のケアができます。)
→舌が白いなら保湿ジェルをつけるのがおススメ。なぜおススメなのか・・・
それだけではありません。じつは、アロエにはアロエマンナン、グルコン酸など多糖類が多く含まれています。多糖類というのは、アロエの肉がネバネバする成分のことです。
じつは、この多糖類には、乾いた舌を保湿する働きがあります。舌が白くなる場合は舌が乾燥しているので保湿することが大切です。
頑固に舌苔ができている場合には、アロエの肉を舌にこすりつけると苔が浮き出し除去できる。そして、保湿できます。ぜひお試しください。口臭予防になります。
はちみつ

ネットでは、はちみつで舌苔を取る方法が多く紹介されていますが、はちみつで舌苔を落とすことはできません。
スーパー等で売っているはちみつなら何でも構いません。小さじ一杯を舌の上に乗せてお口の中で転がします。はちみつには「プロテアーゼ」と呼ばれるタンパク質を溶かす成分が含まれているので舌苔も溶かしてくれるのです。
2~3分程度でも効果がありますが個人差もあります。いろいろな間隔で試してください。そのまま飲み込んでも健康に害はないと思いますがなんせ舌苔は細菌だらけ・・・・。その後、吐き出してお口をすすいでください。
出典:Beauty&Healthy-Life

しかし、本当にはちみつで舌苔が取れるのでしょうか?ネットで調べると、はちみつに含まれる「ピノセンブリン」という成分に殺菌作用があるということです。ですので、まったく効果がないわけではなさそうです。
はちみつの中でもマヌカハニーは、殺菌作用が強いそうなので、はちみつで舌苔を取ろうとするのなら良いかもしれません。でも、はちみつで舌苔を取ることについては、過剰に期待しないほうが良いと思います。
それは、はちみつは薬ではないので、即効性がないからです。長時間、はちみつを口に含んでいれば良いかもしれませんが、そのようなことをしたら、虫歯になるかもしれまないのでおすすめできません。
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タブレット
舌苔を溶かす成分である「タンパク質分解酵素」を含むタブレットが販売されています。タンパク質分解酵素はキウイやパイナップルに含まれているものと同様なものなので、舌苔除去にある程度の効果が期待できそうです。
また、タブレットであれば、舌苔が気になったときに口に入れることもできるので使い勝手も良いかもしれません。

ネットで「舌苔を溶かすタブレット」と検索すると、出てきたのは「グリコ ブレオEX」でした。江崎グリコ株式会社より販売されている口臭予防用のタブレット。気になる価格は、アマゾンで66g入り5袋で3,712円でした。
キウイパウダー(非加熱)配合。(酵素が生きています)。タブレットの表面がザラザラしているので、舌苔が取れやすい。
潤い成分(6種類の有機酸)新配合。 タブレットをなめて溶かすとお口が潤います。カテキン配合。
引用:Amazon
口臭予防用のタブレットは他にも多くありますが、舌苔を溶かす成分を配合しているのは、「グリコ ブレオEX」だけでした。
健康科学研究所が着目したのは、キウイフルーツ由来のタンパク質を分解する成分「アクチニジン」を利用した生化学的舌清掃だ。アクチニジンを含んだタブレットを舌の上で溶かせば、舌苔除去に有効であることが実験によって証明された。
引用:グリコ健康科学研究所
一般の口臭予防用タブレットでは、「口の乾き」や「口内細菌」の予防だけなので、「舌苔を溶かす」効果まではないようです。
口臭を予防する食べ物
加齢などで唾液の分泌が減少すると舌がパサパサに乾燥するため、舌苔ができるようになります。このように乾燥するケースでは、ネバネバ食材で舌を保湿すると舌苔の予防になります。
ネバネバ食材…納豆、山芋、オクラ、昆布などのネバネバ食材
意外かもしれませんが、舌苔のできやすい食べ物があります。それは、牛乳やケーキなどの乳製品。牛乳を飲むと舌が白くなるだけでなく、舌苔が着いている場合には口臭を発生するのでご注意ください。牛乳を飲んだ後も口臭は続くので、舌苔がある場合は避けたほうがいいでしょう。乳製品をどうしても飲むとか食べる場合には、水を飲んで流すようにしてください。
反対に、舌苔を予防する食べ物もあるのでご紹介します。じつは、胃腸の調子が悪くなると、舌苔ができて舌が白くなります。これは、胃腸壁に傷ができたり炎症がおきると、免疫反応が舌組織に伝わるからです。
そのため、暴飲暴食やストレス、疲労によって胃腸が弱ると舌乳頭が角化し、舌苔ができるのです。
舌が白くなったときには、胃腸に優しい食事を摂ることが大切です。食べ物としては、にら、山芋、白菜、ヨーグルト、麦飯などが良いですが、温かい白湯も胃腸を元気にします。
消化不良の時には、ビオフェルミンなどの胃腸薬を服用することも大事です。
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消化不良が口臭原因になる!胃腸が口臭原因か調べる方法と予防方法
アルカリイオン水で舌苔と口臭を予防

アルカリイオン水といってもPHが低いアルカリイオン水では舌苔を除去することはできません。舌苔を除去するには、強アルカリのアルカリイオン水が必要です。
アルカリイオン水のうがいとコットン法を併用すると、舌苔の除去と予防がより効果があります。
アルカリイオン水には、たんぱく質や油の汚れを落とす効果があり、アルカリイオンを利用した洗濯洗剤やカーシャンプーなどもあるのはそのような理由からです。
ですから、アルカリイオン水を口に含むことによって、口臭の元になっている舌苔の汚れを浮かし分解することができます。
使い方はかんたんで、アルカリイオン水でうがいをして吐き出し、何もつけずにブラッシングするだけ。これを繰り返すだけで口内の汚れを落とすことができます。

さらに、毎日の歯磨きにアルカリイオン水を使用することによって、舌苔と口臭の予防にもなります。

細菌は酸性を好みますが、アルカリ性では弱ります。ですからアルカリイオン水で歯磨きやこまめにうがいを行なうと、いつも口腔内が清潔です。
細菌が増えなければ、舌もスッキリしきれいな息になります。

詳しくは『舌苔や口臭をうがいだけで取り除くことができる美息美人とは?』をご参考にしてください。

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口臭がドブ臭でもアルカリイオン水うがいで取れるのか?実際にやってみた結果・・・
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まとめ
今回の記事は、キウイフルーツなど食べ物を利用する舌苔除去についてご説明しましたが、牛乳や生クリームなど乳製品を口に入れると舌が白くなるのでご注意ください。
舌苔は口臭原因になるだけではなく、舌が白いことの恥ずかしさから、舌苔を取りたい人が多いです。舌苔を取ることは難しく舌磨きで舌を傷めることもあります。
ところが、キウイやパイナップルに含まれているタンパク質分解酵素を使うと舌苔が溶けるということが分かりました。しかし、実際舌苔を取るために使ってみると、舌苔は取れても元に戻ってしまいます。
舌苔の問題を解決するには、毎日の舌ケアしかありません。でも、ていねいな舌のケアが習慣になると、口内細菌が減り舌苔もつきにくくなります。
【参照リンク・参考文献】
日本食品工業学会誌
駒沢大学・駒沢女子大学 キウイフルーツによるタンパク質消化促進効果について
東京農業大学 胃腸は忙しい消化酵素も多種多様
神戸女子短期大学 果実によるタンパク質分解酵素の活性検査
金沢大学工学部物質化学工学科 働くタンパク質
日本歯科医師会 歯とお口のことなら何でも分かるテーマパーク8020
日本口臭学会 口臭と口臭症に関連する用語
日本耳鼻咽喉科学会 代表的な病気
日本口臭学会誌 口臭への対応と口臭治療の指針2014
日本口腔ケア学会