口臭原因

歯根破折(歯の根のヒビ)は自然治癒する? 抜歯しない条件・診断の流れ・費用まで【専門家監修】

監修:歯科衛生士 上林ミヤコ/執筆: 上林登(口腔ケアアンバサダー)

2018年の全国調査では、歯の喪失原因の第3位が「歯の破折(17.8%)」でした(8020推進財団 第2回永久歯の抜歯原因調査)。
本記事は、「今できる判断 → 受診までのつなぎ → 検査の選び方」を最短で示します。抜歯回避の可能性が残るケースも整理しました。

まず結論(最短回答)

  • “一点に深い歯周ポケット(≧6mm)+膿・局所腫脹+咬むとズキッ”は歯根破折の赤旗。無理に噛み続けない。
  • レントゲンで写らない破折は珍しくない口内法X線の多角撮影→CBCT(小照射野)の順で検討(根拠[5][6][7][10][11])。
  • 金属ポストや根充材がある歯はCBCTの診断能が下がるため、臨床所見の総合判断+場合により外科的探索が必要(根拠[5][6][10][11])。
  • 抜歯以外では、ヘミセクション・意図的再植・根切などが状況により検討可(詳細へ)。
  • 痛みが強い/腫れが広がる/発熱は早めに歯内療法専門医へ。都道府県別の探し方を掲載。

日本データ|破折は抜歯理由の第3位

2018年の全国調査(8020推進財団)では、抜歯原因は①歯周病37.1%、②う蝕29.2%、③歯の破折17.8%。 働き盛りの世代では歯周病比率が増える一方、破折も一定割合を占めます(出典:8020読本第2回 永久歯の抜歯原因調査(報告書PDF))。

30秒セルフ判定|今すぐの判断と受診目安

  • 噛んだ瞬間の鋭い痛みが続く/一点だけ異常にしみる → 破折の疑い。硬いものは避ける。
  • 歯ぐきに小さな膿の出る点(サイナストラクト)が周期的にできる → 歯根病変/破折の疑い。
  • 一点のみ深い歯周ポケット(≧6mm)プロービングで金属感 → 破折サイン。
  • 発熱・顔の腫れ・口が開けづらい当日受診(歯内療法または口腔外科)。

検査の比較表|何が分かる?どこに限界?

検査 分かること(長所) 限界・注意 根拠
口内法X線(多角撮影) 骨吸収像や根尖病変、破折線のヒント。まず第一選択。 破折線は方向次第で写らない。2Dの重なりあり。 [6][7][10][11]
CBCT(小照射野) 3Dで骨欠損や裂溝の走行を把握。感度はX線より高い傾向 金属ポスト/根充材のアーチファクトで診断能低下。適応は慎重に。 [5][6][7][10][11]
プロービング 一点限局の深いポケットは破折サイン。 歯周病との鑑別が必要。創傷を広げない。 [12][13]
咬合・咬合紙テスト 咬合痛の再現、疑い部位の特定。 偽陰性・偽陽性あり。他所見と統合判断。 [12][13]
外科的探索(最終手段) 直視で破折確認=確定診断 侵襲大。適応は限定的。 [5][10][12]

※放射線量の目安:口内法X線 約1–8μSv、パノラマ約14–24μSv、小照射野CBCTはおおむね<100μSv(機種・設定による)。出典は下部参考文献[8][9]

抜歯せずに済む可能性は?|保存療法が検討できる条件

  • 破折が根の一部に限局し、感染コントロール可能:根切・ヘミセクションを専門医で検討。
  • 意図的再植:抜去→破折部処置→再植。歯根膜の扱い・時間管理が予後鍵。
  • 咬合力コントロール:ナイトガード・高負荷習癖の是正。

ただし長軸に及ぶ完全な縦破折は予後不良で、感染の再燃を繰り返す場合は抜歯が選択されます([12][13])。

受診先の探し方(都市別チェックリスト)

以下は「歯内療法専門医・CBCT小照射野対応・外科的探索の可否」を基準にした探し方の要点です(各都市の小見出しにページ内ジャンプ)。

受診先の探し方(都市別|すぐ電話できる行動テンプレ)

各都市での探し方は共通ですが、電話での聞き方・持ち物・当日の流れを具体化しました。迷ったら、この順番で進めてください。

全国どこでも共通:予約前に確認する3点
  1. 根の治療が得意か(歯内療法の専門性・再根管治療の実績)
  2. 小さな範囲のCT(CBCT)撮影が可能か(金属があっても見やすく撮る工夫があるか)
  3. 必要時に外科的確認や意図的再植に対応できるか(提携でも可)
費用に不安がある方へ: 費用と保険の早見表で、保険/自費の線引きと目安を先に確認できます。

東京

  • 行動のコツ:山手線内と郊外(中央線・東急沿線など)で候補を2〜3件に絞る。予約前に下の「電話スクリプト」を読み上げ。
  • 電話スクリプト:歯根破折の疑いで、小さな範囲のCT撮影と、必要なら外科で直接確認までお願いできますか? 過去に再根管治療や意図的再植の症例はありますか?
  • 持ち物:過去のレントゲン/紹介状/服用中のお薬手帳。差し歯が外れやすい方はマスクと小袋。
  • 費用の目安:詳しくはページ上部の「費用と保険の早見表」をご覧ください。

大阪

  • 行動のコツ:梅田〜本町〜天王寺の「多角撮影が標準」の医院を優先。痛みが強い場合は「当日の応急可否」を最初に確認。
  • 電話スクリプト:レントゲンは角度を変えて複数枚撮れますか?小照射野CBCTはありますか?痛みが強いので本日、応急だけでも可能でしょうか?
  • 持ち物:保険証・現金/キャッシュレス・鎮痛薬(指示があれば)。
  • 費用の目安:詳しくはページ上部の「費用と保険の早見表」をご覧ください。

横浜

  • 行動のコツ:再根管治療の症例掲載がある医院を優先。港北・青葉・戸塚など自宅最寄り+乗換1回圏で候補抽出。
  • 電話スクリプト:根の先の炎症に対する再根管治療の実績はどのくらいありますか?破折疑いの場合の診断手順を教えてください。
  • 持ち物:痛みの出方・腫れの周期をメモにして渡す。
  • 費用の目安:詳しくはページ上部の「費用と保険の早見表」をご覧ください。

札幌

  • 行動のコツ:大通・札幌駅周辺で「FOV(撮影範囲)とボクセル(画質)の説明あり」を目印に。冬季は予約の取りやすさも確認。
  • 電話スクリプト:小さな範囲でCT撮影できますか?金属の被せ物があっても見やすく撮る設定(ボクセル・FOV)の説明は受けられますか?
  • 持ち物:雪道移動を考えて保温具・鎮痛薬・保険証。
  • 費用の目安:詳しくはページ上部の「費用と保険の早見表」をご覧ください。

名古屋

  • 行動のコツ:名駅〜栄エリアを起点に、ヘミセクション/根切の説明がある医院を候補化。術後フォロー体制を最初に確認。
  • 電話スクリプト:破折の位置によってはヘミセクションや根切は可能ですか?術後の通院間隔とフォロー内容も教えてください。
  • 持ち物:差し歯が外れやすい場合は予備マスク・小袋。
  • 費用の目安:詳しくはページ上部の「費用と保険の早見表」をご覧ください。

福岡

  • 行動のコツ:天神・博多で「咬み合わせ調整〜ナイトガード」まで一連対応の医院を優先。噛みしめ癖が強い旨を予約時に伝える。
  • 電話スクリプト:診断後、必要なら噛み合わせの調整や就寝用マウスピース作製まで同院で対応いただけますか?
  • 持ち物:歯ぎしりの有無を家族に確認したメモが役立ちます。
  • 費用の目安:詳しくはページ上部の「費用と保険の早見表」をご覧ください。
迷ったらもう一度: 費用と保険の早見表

※CBCT=歯科用CT。小さな範囲で撮るほど被ばくを抑えやすく、目的部位を明瞭にできます。
※費用・保険の適用は医院・症例で異なります。まずは説明を受け、同意のうえで進めてください。

FAQ

Q. レントゲンで「異常なし」でも痛いのはなぜ?
破折線は方向次第で写らず、骨変化が出る前は画像所見に乏しいことがあります。多角撮影やCBCTで追加評価します([6][7][10][11])。
Q. CBCTは必須?放射線は大丈夫?
適応はケースバイケース。小照射野CBCTの実効線量は概ね<100μSvで、口内法X線の追加撮影と比較しても妥当な範囲で用いられます([8][9])。
Q. 抜歯以外の現実的な方法は?
破折の範囲が限局的なら、根切・ヘミセクション・意図的再植など。長軸に及ぶ完全縦破折では抜歯が第一選択になりやすいです([12][13])。
編集方針(E-E-A-T)
  • 国内統計(8020)と国際的ガイドライン(AAE/AAOMR・ESE)に基づく記述
  • 学術レビュー・メタ解析の根拠番号を主要主張に付与
  • 治療可否は一般論であり、最終判断は担当医の診査所見に依存

関連記事・参考文献

関連記事(外部・患者向け)

診療ガイダンス・レビュー(臨床家向け)

  1. AAE/AAOMR Joint Position Statement:CBCTの歯内療法における使用(2015/2016更新): PDFPubMed
  2. ESE Position Statement(CBCT in Endodontics): 概要
  3. Systematic review/meta-analysis(CBCT vs 口内法X線のVRF検出能): 2024 Shokri et al.2021 PradeepKumar et al.2016 Chang et al.
  4. MDPIレビュー・研究(CBCT診断の特性・課題): Mizuhashi 2022Efeoglu 2025Diagnostics 2024 Review
  5. 被ばく線量の参考: AAP 2024Lofthag-Hansen 2010
  6. 日本データ: 第2回 永久歯の抜歯原因調査(全文PDF)

口臭はアルカリうがいでケアするのがおすすめ

歯石 口臭|原因の見分け方と今すぐ効く対処・受診目安【歯科衛生士監修】

歯周病口臭がひどいので歯石除去とクリーニングをしてもらっているイラスト

監修:歯科衛生士 上林ミヤコ/執筆:上林登(口腔ケアアンバサダー)

口臭の原因は歯垢だけではありません
歯石と歯周炎、舌苔やお口の乾燥(口呼吸)などが重なると、においの元・VSC(硫化水素/メチルメルカプタン)が増えやすくなります。

まず結論|歯石が原因の口臭か見分ける → 今日やる3つ

最短回答(10秒で要点)

こんなサインが複数あれば、歯石由来の可能性↑

  • 歯と歯の間がザラつく/フロスが引っかかる
  • 歯ぐきがときどき出血する、歯間がネバつく
  • 朝いちのニオイが「生臭い・ドブ臭い」

今日から即効の3手

  1. 水分をちょこちょこ補給・口は鼻呼吸
  2. 舌は「なでるだけ」1日1回の軽い清掃
  3. 夜は必ずフロス/歯間ブラシ→仕上げにうがい

受診の目安(歯科:一般/歯周病)

  • 出血・膿・動揺がある/口臭が2週間以上つづく
  • 歯面のザラつきが取れない(自宅で限界)

※受診導線は下の「保険適用と費用」を参照

3分セルフ判定:出血・歯面のザラつき・フロスの引っかかり・ニオイ例

  • 歯間や下前歯の裏にザラつきを指や舌先で感じる
  • フロスがほつれる/引っかかる
  • 朝いちのニオイが「生臭い/ドブ臭/玉ねぎ系」
  • 歯ぐきから時々出血する/触ると痛い
  • 舌に厚めの白い苔が乗りやすい

2つ以上当てはまる → 歯石・歯周炎が関与している可能性が高め。次の「自宅/プロの線引き」へ。

今日から即効の3手:水分・鼻呼吸/やさしい舌ケア/フロスor歯間ブラシ

  • 1日6〜8回の少量給水(乾燥対策)+鼻呼吸に戻す
  • 舌清掃は1日1回・軽圧で「前へなでる」2〜3回のみ
  • 夜は必ずフロス/歯間ブラシ→歯ブラシ→うがいの順

受診目安と行く科:出血/膿/動揺が続く・口臭が2週間以上改善しない

  • 出血・膿・グラつき:歯科(歯周病科)に相談
  • 痛み/腫れが強い:急性炎症の可能性→早期受診
  • 2週間の自宅ケアで改善しない:プロの清掃(スケーリング)

原因別の詳しい対処はこちら:

なぜ歯石で口が臭う?|歯垢→歯石→歯周病→VSCの科学

歯垢が石灰化して“ザラつき”になる→細菌温床化の流れ

歯垢(プラーク)は数時間で成熟し、数日で鉱質化→歯石に。歯石のザラつきは新たな歯垢の足場となり、炎症とニオイを慢性化させます。

VSC(硫化水素・メチルメルカプタン)とニオイの具体例

歯石/歯周ポケット内の嫌気性菌 → タンパク分解 → VSC(硫化水素・メチルメルカプタン)産生 → 生臭い/ドブ臭い/玉ねぎ様のニオイ

舌苔・ドライマウスとの相乗悪化(複合要因の見抜き方)

  • 舌苔が厚い:舌清掃と給水を併用しないと改善が鈍い
  • 口呼吸・乾燥:唾液の自浄作用が落ちVSC濃度↑
  • 胃腸・鼻咽腔の影響:持続する/金属臭・酸臭は鑑別が必要

自宅でできること/できないことの線引き

自宅ケアの範囲:歯垢・舌苔・乾燥対策(正しいやり方)

  • フロス/歯間ブラシ:毎晩。サイズは無理なく通るものを選ぶ
  • 歯磨き:小刻み・軽圧・1部位10回前後、就寝前は丁寧に
  • 舌:軽圧2〜3ストロークまで。やりすぎはヒリつき/逆効果
  • 給水+鼻呼吸:日中の「ちょこちょこ給水」を習慣化

プロに任せる範囲:歯石除去(スケーリング)

歯石は自宅では除去困難。超音波スケーラー等での除去+再付着を防ぐブラッシング指導が基本。

やりがちNG:強擦・アルコール強いうがい・磨きすぎ

  • 強くこする→歯ぐき退縮/知覚過敏の誘発
  • 刺激の強いうがいの多用→乾燥を助長
  • 舌を毎回ゴシゴシ→微小外傷でニオイ悪化

歯石取り(スケーリング)の効果と限界

改善が見込めるケースと期間の目安

  • 歯石・歯周炎が主因:数日〜2週間でニオイ/出血が軽快しやすい
  • 中等度以上の歯周病:複数回の治療+メインテナンスで段階的に改善

限界と他原因:舌苔/上咽頭/GERDなどが主因のとき

スケーリングで歯面は改善しても、舌苔・乾燥・鼻咽腔・逆流が残ると口臭は持続。併走ケアが必須。

よくある不安:出血・しみる・一時的に口臭が強く感じる理由

  • 一時的な出血/しみ:治癒過程のことが多く数日で軽快
  • 血のニオイを強く感じる:短期間で収まることが多い
  • 違和感が長引く/腫れ・痛みが増す:早めに再受診

保険適用と費用の最短理解(早見表)

状況・目的 保険の目安 自己負担の目安 補足
出血/腫れ/痛み/口臭など症状あり→歯周病治療の一環でスケーリング 適用されることが多い 初再診+処置で数千円台〜(3割負担の例) 検査/説明/再評価で数回通院のことあり
審美・健診目的のみのクリーニング 適用外のことが多い 自費:数千〜1万円台目安(院により幅) メニュー/時間/範囲で変動
重度歯周病でのスケーリング・ルートプレーニング等 適用されることが多い 検査・処置ごとに加算→合計はケース次第 部位ごとに段階的実施

※金額は目安。地域・保険種別・診療内容で異なります。詳細は受診先でご確認ください。

もっと詳しく知りたい方へ:

2週間ロードマップ|行動プランで定着させる

バス法・フロス・舌ブラシ・洗口液の4ステップセルフケアを示すイラスト

Day1–3:予約・生活習慣リセット(水分/鼻呼吸/やさしい舌ケア)

  • 歯科に予約(症状がある旨を伝える)
  • 給水を1日6〜8回、口は鼻呼吸へ
  • 舌清掃は「やさしく最小回数」へ切替

Day4–7:フロス/歯間ブラシ定着、就寝前ケアの型化

  • 夜にフロス/歯間ブラシ→歯磨き→うがいの固定ルーチン
  • 間食後は水リンスでタンパク汚れを流す
  • 朝いちのニオイをメモ(変化の見える化)

Day8–14:出血・ザラつき・ニオイの再評価→次の一手

出血回数↓ ザラつき↓ 朝いち臭の軽減

改善が乏しい/悪化:歯科での再評価(深い歯周ポケット/他要因の確認)。

図で即理解:原因マップ&比較表

原因マップ:歯垢→歯石→歯周病→出血/膿→VSC口臭

歯垢(プラーク) → 石灰化 → 歯石 → 歯周ポケット形成 → 炎症/出血/膿 → 嫌気性菌↑ → VSC口臭

比較表:歯垢/歯石/舌苔/歯周病の違い・除去方法・再発防止

対象 正体 除去できる場所 口臭への影響 再発防止の要
歯垢 細菌+食残渣の軟らかい膜 自宅(ブラシ/フロス) 強い(VSCの前段) 毎晩のフロス・丁寧なブラッシング
歯石 石灰化した歯垢(硬い/ザラつき) 歯科(スケーリング) 強い(再付着の足場) 定期メインテナンス3〜6か月
舌苔 舌の角化上皮+細菌の堆積 自宅(軽い舌清掃) 中〜強(乾燥で悪化) 給水・鼻呼吸・軽い清掃
歯周病 歯周組織の炎症/感染 歯科(治療+指導) 強い(出血/膿/深部VSC) 治療継続+ホームケア徹底

FAQ|よくある疑問を先回りで解決

歯石を取れば必ず口臭は治る?

主因が歯石/歯周炎なら改善が期待できます。ただし舌苔・乾燥・鼻咽腔など他要因を併発しやすく、併走ケアが必要です。

何回でニオイは軽くなる?頻度は3〜6か月で良い?

軽度なら数日〜2週間で実感することが多いです。再付着を防ぐため、3〜6か月のメインテナンスが推奨されます。

歯石取り後のホームケアは何をどれだけ?

  • 夜のフロス/歯間ブラシは毎日
  • 舌は軽く1日1回まで(やりすぎ厳禁)
  • 日中のこまめな給水+鼻呼吸

関連記事(内部リンク)

根拠・参考資料

歯磨きで取れない口臭がうがいでスッキリ