舌の口内炎とその対策 – 白いできものの原因と治療法
口腔ケアアンバサダー(社団法人 日本口腔ケア学会認定)の上林登です。
舌の上に突然、痛みを伴う白い点や斑点を発見したことはありますか?それは、舌の口内炎かもしれません。舌炎は非常に不快な症状を引き起こすことがあり、日常の食事や話すことを困難にすることがあります。
一般的に、この症状は1〜2週間で自然に治ることが多いですが、それにもかかわらず、私たちはできるだけ早く痛みを和らげ、治癒を促進したいと思うものです。
本記事では、舌の口内炎の主な原因とそれを予防する方法、さらに家庭での対策について詳しく解説します。口腔ケアアンバサダーであり、口臭予防歯磨き粉「美息美人」の開発者としての専門知識と経験をもとに、信頼性の高い情報を提供します。症状の早期発見や正しいケアにより、快適な口内環境を保つ手助けをしましょう。
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舌の口内炎の概要
舌の口内炎は、舌の表面や周辺に白いできものが現れ、痛みや不快感を伴う口腔内の炎症です。様々な原因やリスク要因があり、適切な対策が求められます。
口内炎の種類と症状
口内炎にはいくつかの種類がありますが、主なものは次の通りです。
- アフタ性口内炎:白いできものが周囲に赤い炎症を伴い、痛みが強い。
- カタル性口内炎:歯ブラシや食べ物による刺激が原因で一時的に発生。
- カンジダ性口内炎:舌や頬の内側に、白い苔のようなものが、点やまだら状に現れる。
- ヘルペス性口内炎:ヘルペスウイルスなどのウイルス感染が原因で、水疱や潰瘍ができる。
症状は種類によって異なりますが、共通しているのは痛み、不快感、発熱や食欲不振などの全身症状です。
舌炎の原因とリスク要因
舌の裏のひだに痛みがある場合、なんらかの原因で炎症が起こっていると考えられます。
引用:EPARK
舌の口内炎における白いできものは、主に「アフタ性口内炎」が原因だと言われています。その原因としては、以下のような要素が考えられます。
- 栄養・ビタミン不足
- 睡眠不足やストレス・疲労
- 歯の噛み合わせが良くない
- 口の中の火傷、義歯(入れ歯)や補綴物(銀歯等)が合っていない
- 全身疾患
- 清掃不良
- 唾液の減少
これらの要因を把握し、適切な予防や対策を行うことで、舌の口内炎による白いできものを軽減または回避することが可能です。例えば、ストレスを軽減する方法を取り入れたり、口腔内の乾燥に対処するために水分補給を心掛けたり、適切な口腔衛生を維持したりすることが効果的です。
また、免疫力を向上させる生活習慣や、アレルギー原因の特定と避けることも重要な対策となります。舌の口内炎を予防し、健康な口腔環境を維持することで、口臭対策にも繋がります。
舌炎の治るまでの期間
舌にできる口内炎は一般的に「舌炎」とも呼ばれ、多くの場合、自己免疫のプロセスにより自然治癒します。ただし、その期間は個人差があり、原因や口内炎の種類、免疫力の状態、治療方法にもよります。
通常、軽度の口内炎であれば、約1週間から2週間程度で改善することが多いです。この期間中、体の自然の治癒力が作用して、炎症は徐々に引いていきます。ただし、これは一般的なケースであり、中には数日で治る場合もあれば、症状が続く場合もあります。しかし、症状が2週間以上続く場合や痛みがひどい場合には受診することをお勧めします。
病院治療によっても、重度の場合や、慢性的な症状が現れる場合、特に免疫システムが弱っている場合には、治癒にもっと長い時間がかかることがあります。また、ストレスやビタミン不足、他の健康問題が原因で繰り返し口内炎が発生することもあります。
舌炎と間違えやすい他の症状
舌が白くなる現象は、多くの人が経験するものです。しかし、それが単なる一時的なものか、またはもっと深刻な健康問題の兆候かを知ることは重要です。舌の表面の変化は、時には口内炎(舌炎)であることもありますが、他の病状と間違えやすいものです。
舌癌や白板症と口内炎の違い
白板症は、舌や口内の他の部分に白い斑点や板状のものが現れる状態です。これは、細胞の異常増殖によるもので、時として悪性(癌)に進行する可能性があります。
一方、口内炎は主にストレス、栄養不足、あるいは細菌・ウイルス感染によって引き起こされ、一般的には痛みを伴いますが、白板症は痛みが少ないかまたは無いことが特徴です。定期的な口腔検診が、これらの状態を早期に発見し、適切な対処をするためには不可欠です。
・関連:ただの口内炎?それとも舌癌?初期症状を見分ける方法と、適切な受診先の選び方
地図状舌
地図状舌は、舌の表面に赤と白の斑模様が現れる状態で、見た目が地図のようになります。これは一般的には無害で、特に治療の必要はありませんが、時に舌が痛んだり炎症を起こすことがあります。口内炎とは異なり、地図状舌は慢性的な状態であり、舌の見た目の変化が主な特徴です。
口腔カンジダ症
口腔カンジダ症は、カンジダという真菌が口内のバランスを乱して増殖することによる感染症です。これは、舌や口の中に白いカスのようなものが現れることで知られています。抵抗力の低下や特定の薬剤の使用、糖尿病や不適切な口腔衛生が原因となることがあります。口腔カンジダ症は、しばしば痛みや舌の炎症を伴い、口内炎と誤認されることがありますが、専門医による抗真菌薬治療が必要な場合があります。
これらの症状が現れた場合、自己診断せずに専門の医療機関で診察を受けることが重要です。舌の健康は全身の健康と密接に関連しており、早期発見と適切な対応が必要です。毎日の適切な口腔ケアと定期的な歯科検診が、これらの問題を予防するための鍵となります。
舌にできた口内炎(舌炎)をすぐに治す方法
舌にできた口内炎が発生した際、完全な即時治療は難しいものの、症状を軽減し、治癒プロセスを加速する方法はいくつかあります。以下に、口内炎の痛みを和らげ、治癒を助けるための一般的な対策をいくつか紹介します。
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塩水でうがい : 温かい塩水でのうがいは、口内を清潔に保ち、細菌の量を減らすのに役立ちます。これにより、感染リスクが減少し、治癒プロセスが促進されます。塩水はまた、炎症を減少させるのにも効果があります。
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イソジンの使用 : イソジンなど抗菌性のうがい薬を使用して口をすすぐことで、細菌を殺し、感染を防ぐことができます。ただし、これらの薬剤は指示に従って正しく使用する必要があります。
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痛みを和らげる製品の利用 : 薬局で入手できる、口内炎専用の塗り薬やスプレーには、痛みを和らげる成分が含まれていることがあります。これらの製品は一時的な痛みの緩和に役立ちますが、根本的な原因を治療するものではありません。
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アイスキューブの使用 : アイスキューブや冷たいドリンクを舐めることで、痛みや腫れを一時的に和らげることができます。冷たさが局所的な麻酔作用を提供し、不快感を減少させます。
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ストレスの管理 : ストレスが口内炎の原因の一つとなる場合がありますので、リラクゼーション技術(深呼吸、瞑想、ヨガなど)を実践することで、痛みを軽減することができます。
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栄養バランスの取れた食事 : ビタミンB、ビタミンC、鉄、亜鉛など、必要な栄養素を含むバランスの取れた食事をとることで、体の自己修復プロセスをサポートします。
これらの方法は、症状を軽減し、舌の口内炎の治癒をサポートするのに役立ちますが、それぞれの人によって効果は異なる可能性があります。もし症状が重い場合、または改善が見られない場合には、専門の医療機関で診察を受け、適切な診断と治療を受けることが重要です。
舌炎の予防方法
舌の口内炎(舌炎)を予防するためには、日常生活での口腔ケアや食生活の改善、ストレス管理と免疫力向上が重要です。ここでは、それぞれの予防方法について詳しく解説します。
歯磨きと口腔ケア
適切な歯磨きや口腔ケアは、舌の口内炎を予防する基本です。歯磨きは1日2回、食後に行うことが理想的です。
炎症を起こしている舌を刺激しないように、舌磨きは止めて、うがいだけに留めましょう。舌の表面の汚れを除去するために、口内洗浄剤やうがい薬を使って口腔内の細菌を減らすことも効果的です。
食生活の改善
バランスの取れた食事は、舌の口内炎予防に役立ちます。特にビタミンB群やビタミンCが豊富な食品を摂取することが重要です。ビタミンB群は、卵や肉、魚、穀物などに含まれており、ビタミンCは柑橘類や緑黄色野菜などに多く含まれています。また、辛い料理やアルコール、カフェインの摂取を控えることで、口内炎の発生リスクを低減できます。
ストレス管理と免疫力向上
ストレスは、口内炎の原因のひとつです。ストレスを解消する方法は人それぞれですが、適度な運動や趣味に没頭すること、十分な睡眠を確保することが有効です。また、免疫力を向上させることも重要で、適切な栄養摂取や運動習慣、ストレス管理などを心掛けることで、舌の口内炎を予防することができます。
舌の口内炎の自宅でできる治療法
舌の口内炎は、自宅でできる治療法がいくつかあります。
市販薬による治療
口内炎に効果的な市販薬はいくつかあります。たとえば、「トラフル」シリーズは、飲む・塗る・張る・スプレータイプの5つの治療薬とディリ―ケアのビタミン剤があります。
これらを使用する時は、薬剤師に相談し、症状に応じて選び、使用方法や使用期間に注意して使用しましょう。ただし、市販薬による治療が効果がない場合や症状が悪化する場合は、医師の診断を受けることが重要です。
自然療法とホームリメディ
自然療法やホームリメディも、舌の口内炎の治療に効果的です。例えば、重曹うがいは、口内炎の炎症を和らげ、細菌の繁殖を抑制する効果があります。また、ココナッツミルクを溶かした水を沸かし、うがいに使う方法もあります。
口内炎の症状が改善しない場合の対処法
口内炎の症状が1週間以上改善しない場合や症状が悪化する場合は、専門医の診断を受けることが重要です。口内炎が他の病気の症状である場合もありますので、早期の対処が必要です。医師は、症状に応じて処方薬や検査を行い、適切な治療法を提案してくれます。
口臭対策と舌の口内炎
舌の口内炎は、口臭の原因にもなることがあります。口臭と舌の口内炎の関連性を理解し、日常ケアに取り入れることで、口臭対策にも繋がります。
口臭の原因と舌の口内炎の関連性
口臭の主な原因は、口腔内の細菌によるものです。舌の口内炎が発生すると、細菌が繁殖しやすい環境が整い、口臭が発生しやすくなります。また、口内炎が痛みを伴うことで、十分な歯磨きができず、口腔内の清潔さが低下し、口臭が悪化することもあります。
口臭を防ぐための日常ケア
口臭対策には、以下の日常ケアが効果的です。
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歯磨きと舌ブラシ : 歯磨きだけでなく、舌ブラシを使用して舌の汚れを除去しましょう。舌の汚れは、細菌の繁殖を促し、口臭の原因となります。
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口内洗浄剤 : 口内洗浄剤を使って、口腔内の細菌を減らしましょう。ただし、アルコール入りのものは、口内炎に悪影響を与えることがあるため、選び方に注意しましょう。
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水分補給 : 口が乾くと、唾液の分泌が減少し、口臭が発生しやすくなります。こまめな水分補給で、口腔内を潤わせましょう。
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定期的な歯科受診 : 歯周病や虫歯など、口臭の原因となる病気の早期発見・治療が重要です。定期的な歯科受診を心がけましょう。
これらの日常ケアを行うことで、口臭対策と舌の口内炎の予防・治療が同時に進められます。
まとめ
舌の口内炎は、白いできものが現れる症状で、様々な原因があります。予防方法として、歯磨きと口腔ケア、食生活の改善、ストレス管理と免疫力向上が重要です。自宅でできる治療法には、市販薬や自然療法、ホームリメディがありますが、症状が改善しない場合は医師の診察を受けることが望ましいです。
口臭対策と舌の口内炎の予防・治療は密接に関連しており、日常のケアを適切に行うことで、両方の問題に効果的に対処できます。これらの対策を実践し、健康的な口腔環境を維持しましょう。
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【引用・参考文献】
徳島県医師会 アフタ性口内炎
東京医科歯科大学 癌口腔外科 舌がん治療
北海道大学歯学部 口腔診断内科 舌のひりひりピリピリ
日本口腔外科学会 口腔外科相談室 舌が痛い