こんにちは、口腔ケアアンバサダー(一般社団法人 日本口腔ケア学会認定)の上林登です。監修:歯科衛生士 上林ミヤコ
30秒でわかる結論
歯ぐきの血をわざと出す必要はありません。ただし、出血が怖いからといって歯磨きをやめるのも適切ではありません。強くこすらず、歯と歯ぐきの境目をやさしく清掃してください。
歯磨きのたびに出る、同じ場所から繰り返す、腫れ・口臭・膿・歯のぐらつきがある場合は、早めに歯科を受診しましょう。
歯磨き中に歯ブラシが赤くなると、「もっと磨いて血を出した方がいいのか」「今日は磨かない方がいいのか」と迷いますよね。
歯ぐきからの出血は、歯肉炎や歯周病のほか、強すぎるブラッシングや歯間清掃による傷でも起こります。大切なのは血を出すことではなく、なぜ出血したのかを確認し、原因に合った対処をすることです。

歯茎から血が出たときは、血を出すことより原因の確認が大切です。
30秒チェック|歯茎からの出血で確認すること
一度だけの軽い出血と、炎症によって繰り返す出血では対応が異なります。次の表で現在の状態を整理してください。
| 状態 | 考えられること | 次の行動 |
| 強く磨いた直後に少量出た | ブラッシングによる傷の可能性 | 力を弱めて経過を確認する |
| 歯磨きやフロスのたびに出る | 歯肉の炎症が続いている可能性 | 早めに歯科で検査を受ける |
| 腫れ・ネバつき・口臭もある | 歯肉炎や歯周病の可能性 | セルフケアだけで様子見しない |
| 何もしていないのに出る、止まりにくい | 歯周病以外の確認も必要 | 歯科または医科へ早めに相談する |
このチェックは診断ではありません。出血が繰り返す場合は、見た目だけで判断せず、歯科で歯周ポケットや歯石の有無を調べてもらいましょう。
歯茎から血が出る主な原因
最もよく考えられるのは歯ぐきの炎症ですが、原因は一つではありません。
1.歯肉炎・歯周病
歯と歯ぐきの境目にプラークが残ると、歯ぐきに炎症が起こり、歯ブラシや食べ物による軽い刺激でも出血しやすくなります。
歯磨き時の出血に加えて、次の症状がある場合は歯周病を疑う手がかりになります。
- 朝起きたときに口がネバネバする
- 歯ぐきが赤い、腫れている
- 口臭が気になる
- 歯ぐきが下がってきた
- 硬いものが噛みにくい
- 歯が浮く、または動く感じがする
歯周病の症状と治療の流れは、歯周病による口臭・出血・腫れの確認方法で詳しく解説しています。
2.歯磨きの力が強すぎる
硬い歯ブラシで大きくゴシゴシ動かすと、健康な歯ぐきでも傷つくことがあります。毛先が短期間で開く人や、歯ぐきがヒリヒリする人は、磨く力が強すぎる可能性があります。
歯ブラシは鉛筆を持つように軽く持ち、1~2本ずつ小さく動かしてください。
3.フロスや歯間ブラシによる傷
フロスを勢いよく歯ぐきへ当てたり、大きすぎる歯間ブラシを無理に押し込んだりすると出血することがあります。
一方、歯間部に炎症があるため、適切に使っても出血する場合があります。毎回同じ場所から出る場合は、血を出し続けようとせず歯科で確認してください。
使い方に迷う場合は、フロスで血や臭いが出る原因と正しい歯間ケアも参考にしてください。
4.歯石や合わない詰め物・被せ物
歯石の周囲にはプラークが付着しやすく、歯ぐきの炎症が続く原因になります。歯石は歯磨きだけでは取り除けないため、歯科での処置が必要です。
一か所だけ繰り返し出血する場合は、詰め物や被せ物の段差、食べ物の詰まり、歯のひびなどが関係していることもあります。
5.妊娠や体調、薬の影響
妊娠中はホルモンの変化によって歯ぐきに炎症が起こりやすくなることがあります。また、血液を固まりにくくする薬などを服用していると、出血が長引く場合があります。
薬は自己判断で中止せず、処方した医師や歯科医師、薬剤師へ相談してください。
6.口の粘膜や全身状態の影響
頻度は高くありませんが、口内の傷や粘膜疾患、血液に関係する病気などで出血することもあります。歯ぐきの出血だけで病名を判断することはできません。
何もしていないのに出血する、圧迫しても止まりにくい、あざが増えた、発熱や強いだるさが続く場合は、歯科に加えて医科への相談も検討してください。
歯茎の血は出した方がいい?
「悪い血を出せば治る」という考え方は誤りです。血を出すこと自体に、歯肉炎や歯周病を治療する作用はありません。
ただし、「血を出してはいけない」と考えて出血する場所を避け続けるのも適切ではありません。プラークが残ると、炎症が続きやすくなるためです。
正しい考え方は次の3つです。
- 血を出すことを目的に強く磨かない
- 出血が怖くても歯磨きを完全にやめない
- やさしく清掃しながら、繰り返す場合は歯科で原因を調べる
口臭相談で見られる傾向
「血を出した方が歯ぐきによいと思い、強く磨いていた」という相談があります。しかし、出血を目的にする必要はありません。同じ場所から繰り返す出血や口臭がある場合は、磨き方だけでなく、歯石や歯周ポケットの確認が必要です。
歯茎から血が出たときの対処
出血しているときは、血を何度も拭き取ったり、同じ場所を繰り返し磨いたりしないでください。
1.出血が続く場合は清潔なガーゼで圧迫する
清潔なガーゼを出血部位へ当て、数分間そっと圧迫します。こすったり、出血を確認するために何度もガーゼを外したりしないことがポイントです。
圧迫しても止まりにくい、出血量が多い、気分が悪い場合は、速やかに医療機関へ相談してください。
2.やわらかめの歯ブラシでやさしく磨く
出血が落ち着いたら、歯磨きを完全に中止するのではなく、力を弱めて清潔を保ちます。
- やわらかめの歯ブラシを使う
- 鉛筆を持つように軽く握る
- 歯と歯ぐきの境目へ毛先を当てる
- 1~2本ずつ小刻みに動かす
- 痛みが強い場所を無理にこすらない
3.歯間清掃の器具と使い方を見直す
フロスは歯ぐきへ勢いよく落とさず、歯の側面に沿わせてゆっくり動かします。歯間ブラシが曲がる、強い抵抗がある、痛い場合はサイズが合っていない可能性があります。
適切なサイズは歯の場所によって異なるため、歯科衛生士に選んでもらうと安心です。
歯茎から血が出たときに避けたいこと
- 血を出し切ろうとしてゴシゴシ磨く
- 指で歯ぐきを押して血や膿を出そうとする
- 同じ場所へ何度もフロスを通す
- 合わない歯間ブラシを無理に押し込む
- 痛いからと何日も歯磨きをしない
- しみる洗口液を我慢して使う
- 出血を薬のせいと決めつけ、自己判断で服薬を中止する
特に膿のようなものが見えても、自分で押し出してはいけません。歯の根元や歯周組織に問題がある可能性があるため、歯科で確認してください。
早めに歯科・医療機関へ相談したいサイン
歯科を早めに受診する目安
- 歯磨きのたびに出血する
- 同じ場所から繰り返し出る
- 歯ぐきの腫れ、赤み、痛みがある
- 口臭や朝のネバつきが強くなった
- 膿、歯の浮く感じ、ぐらつきがある
- 何もしていないのに出血する
- 治らない傷やしこりがある
- 赤色や白色の変化が2週間以上続く
次の状態では、歯科だけでなく医科への相談も検討してください。
- 圧迫しても出血が止まりにくい
- 口以外でも出血しやすい
- 身に覚えのないあざが増えた
- 発熱、強いだるさ、体重減少などがある
- 血液を固まりにくくする薬を服用している
出血だけで、がんや白血病などの病気と判断することはできません。不安を抱えたまま自己判断せず、症状の組み合わせを医療機関へ伝えてください。
歯科では何を調べる?
歯科では、出血部位を確認し、必要に応じて次のような検査や処置を行います。
- 歯ぐきの腫れや出血の確認
- 歯周ポケットの測定
- プラークや歯石の付着状態の確認
- 歯のぐらつきや噛み合わせの確認
- 必要に応じたエックス線検査
- 歯石の除去とブラッシング指導
受診時には、いつから、どの場所から、どのようなときに出血するかを伝えましょう。服用中の薬がある場合は、お薬手帳も持参してください。
出血が落ち着いた後の毎日のケア
歯科で必要な確認を受け、強い出血や腫れが落ち着いた後は、歯と歯ぐきの境目、歯間、口の乾燥を無理なく整えることが大切です。
- 歯ブラシは軽い力で小さく動かす
- フロスや歯間ブラシは適切なサイズで使う
- 舌は強くこすらない
- 口が乾くときは水分補給や鼻呼吸を意識する
- 定期的に歯科で歯石や磨き残しを確認する
出血や歯周病の治療には歯科受診が必要です。一方、歯科で大きな問題がないことを確認した後も、朝のネバつきや舌苔、口臭が気になる場合は、原因を分けて考える必要があります。
口臭タイプを30秒で確認するチェック表では、歯ぐき、舌苔、乾燥、鼻・喉など、口臭の原因を整理できます。
美息美人を使う場合の注意点
出血、腫れ、膿、痛み、歯のぐらつきがある間は、美息美人より歯科受診を優先してください。美息美人は、歯周病や歯ぐきの出血を治療する商品ではありません。
歯科で必要な確認を受け、出血が落ち着いた後に、朝のネバつきや舌苔、強い香りに頼らない口臭予防を希望する場合は、毎日の口内清掃を補助する選択肢になります。
美息美人は、水に溶かして、うがいと歯・舌のやさしいブラッシングに使用する口臭予防歯みがきです。歯みがきによる口内清掃を目的とし、毎日のセルフケアを補助します。
よくある質問
歯茎から血が出たら歯磨きをやめるべきですか?
完全にやめる必要はありません。強くこすらず、やわらかめの歯ブラシでやさしく清潔を保ちます。ただし、強い痛みや止まりにくい出血がある場合は無理に磨かず、医療機関へ相談してください。
フロスで血が出ても続けてよいですか?
歯ぐきに炎症があると、適切に使用しても出血することがあります。ただし、血を出すことを目的に何度も通してはいけません。毎回同じ場所から出る場合は、使い方や歯周状態を歯科で確認してください。
歯茎から血が出るのは白血病やがんですか?
歯ぐきからの出血だけで白血病やがんと判断することはできません。出血が止まりにくい、あざや発熱がある、治らない傷やしこり、赤白色の変化が続く場合は、歯科・口腔外科または医科へ相談してください。
ストレスが原因で歯茎から血が出ますか?
ストレスだけが直接の原因とは断定できません。睡眠不足、口の乾燥、セルフケアの乱れなどが重なることはありますが、出血が続く場合は歯周病などを先に確認しましょう。
口臭と歯茎の出血は関係しますか?
関係することがあります。歯ぐきの炎症や歯周ポケット、歯間の汚れは口臭の原因になり得ます。ただし、舌苔、口の乾燥、鼻や喉の不調などもあるため、口臭の原因を歯周病だけに決めつけないことが大切です。
まとめ|血を出すのではなく原因を確認する
- 歯ぐきの血をわざと出す必要はない
- 出血が怖くても歯磨きを完全にやめない
- 強くこすらず、歯と歯ぐきの境目をやさしく清掃する
- 繰り返す出血、腫れ、口臭、膿、ぐらつきは歯科で確認する
- 自然出血や止まりにくい出血、全身症状がある場合は医科相談も検討する
歯ぐきからの出血は、歯周病に気づくきっかけになる症状です。血を出し切ろうとしたり、怖くて磨くのをやめたりせず、早めに原因を確認しましょう。
次の一歩
歯磨きで一度でも出血に気づいた場合、特に同じ場所から繰り返す場合は、かかりつけの歯科医院で歯ぐきと歯石の状態を確認してもらいましょう。
参考情報・出典
- 厚生労働省 e-ヘルスネット:歯周疾患の自覚症状とセルフチェック
- 日本歯周病学会:歯周病の症状
- 日本歯周病学会:歯周病の治療
- 日本歯科医師会:お口のなんでも相談「出血する」
- 国立がん研究センター:口腔がんの原因・症状について


