はじめに:低位舌を放置しないで!健康と口臭の鍵は“舌の位置”にあり
こんにちは、口腔ケアアンバサダー(社団法人 日本口腔ケア学会認定)の上林登です。
「自分や子どもが“低位舌”かも?」と気になるあなたへ。低位舌は歯並びや滑舌だけでなく、口臭や健康にも深く関係しています。
本記事では、専門家の視点と実体験をもとに、誰でも簡単にできる見分け方・デメリット・治し方(トレーニング)・マウスピース治療の可否まで徹底解説!
「今すぐ知りたい・治したい」という方は、まず見分け方&トレーニングから読んでもOK。
あなたの疑問や不安がこの記事一つでスッキリ解決できるよう、やさしくナビゲートします。
低位舌(ていいぜつ)とは?正しい舌の位置と原因
正しい舌の位置(スポット)とは
健康な人の舌は、リラックスして口を閉じているとき、舌全体が上あごにピタッと密着し、舌先は上の前歯のすぐ後ろ、“スポット”と呼ばれる位置についています。
この状態が「正しい舌位置」で、呼吸も自然と“鼻呼吸”に。
逆に、舌が下の歯ぐきや下あごに落ちている状態を「低位舌」(落ちベロ)といいます。
- 舌が上あごについている=正しい舌位置
- 舌が下あごや下前歯に触れている=低位舌の疑い
この違い、鏡で見れば一目瞭然。
まずは自分の「普段の舌の位置」を意識してみてください。
唾を「ごくん」と飲み込むとき、舌の全体(特に舌先)が上あご(前歯のすぐ後ろ、スポットと呼ばれる位置)にしっかりつくのが“正常な舌位置”です。
この動きが自然にできていれば、舌の筋肉や嚥下機能がしっかり働いている証拠です。
ふだん意識することが少ないポイントですが、まずは一度、ご自身で試してみてくださいね。
低位舌の主な原因
低位舌になってしまう理由は一つではありません。代表的なものは以下の通りです。
- 舌の筋力低下:やわらかい物中心の食生活、加齢、運動不足などで舌の筋肉が衰えると、舌が自然と下がりやすくなります。
- 口呼吸の習慣:アレルギー性鼻炎・花粉症などで鼻呼吸が苦手な方は、口をポカンと開けがち=舌も下がりやすい。
- 舌小帯異常:舌の裏側の“すじ”が短い・硬い場合、上あごにつけづらく、舌が下に落ちやすい(生まれつき・個人差あり)。
- 姿勢やストレス:猫背・うつむき姿勢が多いと、舌が下がる原因に。
実は現代人の多くが低位舌傾向にあります。「子供の歯並び悪化」や「大人の口臭・ドライマウス」にも深く関係しているのです。
低位舌のデメリット・リスク(起こり得る悪影響)
低位舌は「見た目」の問題だけでなく、全身の健康や生活の質にもさまざまなリスクをもたらします。
代表的なデメリットは以下の通りです。
- 歯並び・かみ合わせが悪くなる:舌が下にあると、前歯が押されて“出っ歯”や“開咬”などの不正咬合を起こしやすくなります。
- 口呼吸・ドライマウス:口が半開きで舌が下がることで、常に口呼吸→口の中が乾燥→唾液の自浄作用ダウン。
- むし歯・歯周病・口臭リスク:唾液減少で虫歯菌・歯周病菌・臭いの元となる細菌が増えやすい。
- 滑舌・発音障害:舌先が上あごにつかないため、サ行・タ行・ラ行などが聞き取りづらくなる。
- いびき・睡眠障害:舌が喉奥に落ち込みやすくなり、いびき・無呼吸の原因になることも。
- 顔やあごのラインの乱れ:顎下がたるみ、“二重あご”や顔のたるみの一因にも。
- 食べ物をうまく飲み込めない:嚥下力が落ちてむせやすくなる。
※これらは低位舌に起因する可能性のある問題例です。「ちょっと気になる」段階での対策が将来の健康リスク予防になります。
▶低位舌で舌が白い、口臭が気になったら、こちらを参考にして。
低位舌の見分け方:誰でもできるセルフチェック
簡単セルフチェックの方法
まずは下記のセルフチェックを試してみてください。
1つでも当てはまる方は低位舌の可能性があります。
- リラックス時、舌先が「上あご(前歯の裏)」ではなく「下前歯の裏・下あご」にある
- 鏡で舌を見ると、舌のふちに“歯型”がついている
- 何もしていない時、口が半開き・口呼吸が多い
- 「さ行」「た行」「ら行」などの発音がしにくい・舌足らずと言われる
- 朝起きると口の中がカラカラになっている
1つでも該当すれば、今日から「低位舌トレーニング」を始めてみましょう!
医学的なチェックポイント(専門的セルフ判定法)
さらに詳しく知りたい方は、以下の5つのポイントでもセルフ判定できます。
- 舌の位置:口を閉じた時、舌全体が上あごに密着しているか?(下に落ちていたら低位舌)
- 歯型の有無:舌の側面に歯型がついているか?(ついていれば舌が常時下がっている可能性大)
- 嚥下時の舌の動き:飲み込む時に、舌が上あごにしっかりついているか?
- 発音の状態:「さ行」「た行」「ら行」が不明瞭・滑舌が悪い
- 唾液の分泌量:いつも口の中が乾く・唾液が少ないと感じる
低位舌による代表的な症状(子ども・大人別)
【子どもによくある症状】
- 常に口が半開き(ポカン口)
- 食べる時にクチャクチャ音がする(クチャラー)
- 歯並びが乱れ始める・前歯が出る
- 滑舌が悪い・舌足らず
【大人によくある症状】
- 舌の縁に歯型がしっかりつく
- 舌が白くなりやすい(舌苔)
- 朝起きると口の中が乾燥・ネバネバ
- いびき・睡眠時無呼吸の指摘
- 慢性的な口臭・ドライマウス症状
どれか一つでも「これ、あるかも」と思った方は、舌の位置と生活習慣を今日から見直してみましょう!
低位舌の治し方・改善方法【大人もOK】
今すぐできるおすすめ舌トレーニング
「低位舌は治るの?」――結論から言うと毎日のトレーニングで改善が可能です。
しかも、今日から誰でも簡単に始められます!下記に代表的な即効トレーニング法を紹介します。
- 舌打ちトレーニング
1. 口を軽く閉じて、舌先を上あごの“スポット”にピタッとつける
2. そのまま「ポン」と舌打ちをする(10回×2セット目安)
舌全体をしっかり上あごに密着させることで、舌の筋力が効率よく鍛えられます。 - あっかんべえ体操
1. 鏡の前で口を大きく開け、「あっかんべえ」と舌をまっすぐ前に突き出す
2. 舌の先端で「鼻→あご→左右の口角」を順番にタッチ(5往復程度)
舌の柔軟性アップに効果的。子供でも楽しく続けられます。 - パタカラ体操(発声トレーニング)
「パ・タ・カ・ラ」と大きく口を開いて10回ずつ発音(合計30回)。
舌と口の周りの筋肉を一緒に鍛えることができます。
ポイント:毎日少しずつ、無理のない回数から続けてみてください。
2週間程度で「舌の位置が変わった」「口が乾かなくなった」と実感できる方も多いです。
その他の舌トレーニング一覧(毎日続けやすい方法)
- ガムトレーニング
キシリトールガムなどを舌全体で押しつぶしながら咬むことで、自然と舌を上あごに引き上げる感覚が身につきます。 - レロレロ法
口を軽く開けて、舌を“レロレロ”と前後左右に動かすだけ。口腔筋がバランスよく鍛えられます。 - 発声法(あいうえお体操)
「あいうえお」をしっかり口を開けて繰り返すだけ。舌と口周りの筋肉が連動して動くことで、全体的な口腔機能がアップします。
すべて道具不要・どこでも手軽にできる方法ばかりです。
“習慣化”が成功のカギ。朝・夜の歯磨きタイミングなど、生活の一部に組み込むのがおすすめです。
マウスピース矯正や専門治療は有効?
「子どもや大人でも、マウスピースで低位舌は治るの?」という疑問も多いですね。
- 子どもの場合:
歯並びや顎の発達に悪影響が強い場合、歯科医院で“マウスピース型矯正装置”や専用プレートを勧められることがあります。
これは、舌を自然と正しい位置へ誘導しやすくするサポート器具です。
ただし、並行して家庭での舌トレーニングが必須。装置だけで完璧に治るわけではありません。 - 大人の場合:
一般的なマウスピース矯正(インビザライン等)は歯並び改善が主目的で、舌の筋力・位置改善はトレーニングが基本です。
歯科医院によっては「MFT(口腔筋機能療法)」指導も行われていますので、気になる場合は専門医に相談しましょう。
いずれにせよ、“治療の主役は日々のセルフトレーニング”。
医療機関を活用しつつ、毎日のケアを継続するのが成功への近道です。
低位舌を治すメリット:口臭や健康面の改善も!
低位舌が改善できると、下記のようなうれしい変化が期待できます。
- 鼻呼吸がしやすくなり、口の乾燥や口臭が軽減
- いびきや睡眠時の無呼吸リスクの低減
- 歯並びやかみ合わせの改善サポート
- 発音・滑舌がハッキリする
- 顎・顔まわりのラインがスッキリ(むくみ予防・二重あご解消)
- 虫歯・歯周病・舌苔リスクの減少
特に「口臭が気になる」「朝のネバつき・乾燥が気になる」という方には、舌トレーニング習慣がとてもおすすめです!
「正しい舌の位置」は、健康と自信を生み出す“新しい当たり前”です。
まとめ:正しい舌位置で人生を変えよう
低位舌は、毎日の意識とトレーニングで必ず改善できます。
本記事で紹介したセルフチェックや簡単な体操を続ければ、口臭や歯並びだけでなく、全身の健康までサポートできます。
不安な方は一度歯科や口腔機能の専門医へ相談し、自分に合ったトレーニングも取り入れましょう。
「なんとなく自信がない…」そんな方こそ、今日から一歩、始めてみてください。
小さな舌の動きが、あなたの未来を大きく変えるきっかけになります!
「低位舌は、ちょっとした意識と毎日のトレーニングで大きく変わります。
完璧を目指さず、まず“自分の舌の位置”を知ることからスタートしましょう!
困った時は専門家に相談して、無理なく続けるコツを一緒に見つけてくださいね。」
参考文献リスト:
- 日本歯科医学会:「急速歯列拡大(RME)は鼻腔通気状態と低位舌を改善する可能性」
- CDC(Centers for Disease Control and Prevention):「Oral Health in Healthcare Settings to Prevent Pneumonia Toolkit」
- MedlinePlus(NIH傘下):「Tongue problems」
- PMC(PubMed Central):「The Influence of the Tongue on the Development of Dental Arch…」
- PubMedエントリ:「Association Between Low Tongue Pressure and Physical…」
- X線VTRによる低位舌を有する成人不正咬合者の嚥下時の舌運動に関する研究…東京歯科大学大学院歯学研究科歯科矯正学講座