口腔ケアアンバサダー(社団法人日本口腔ケア学会認定)の上林登です。
口呼吸をしていると口臭が強くなるということを知っていましたか?
恥ずかしながら、私も口呼吸でした。
でしたというのは、努力し口呼吸を改善できたからです。
生まれつきではないのですが、振り返ってみるといつのまにか口呼吸になっていました。どのようにして口呼吸であると気づいたかというと、布団に入り上向きになると自然と口が開いてしまうのです。だから、唇を閉じると息が苦しい。
私の場合には、それだけではなく、「いびき」という問題がありました。
今となって分かるのですが、口呼吸といびきが原因で虫歯や歯周病にもなりやすく、口臭も出やすい体質だったのです。
もし、あなたも口呼吸やいびきをしているのでしたら、口臭を気に掛ける必要があるかもしれません。
今回の記事では、口呼吸が口臭を引き起こす原因と口呼吸の改善方法についてお伝えします。是非ご参考にしてください。
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口呼吸は口臭を引き起こす
口呼吸をしているとどんな問題があるかというと、口や喉が乾燥します。口が乾くとばい菌が繁殖します。そのため、虫歯や歯周病になりやすい。虫歯も歯周病も口臭を引き起こします。
口で呼吸をしていると、舌も渇くので舌が白くなりやすい。舌の白いものを舌苔(ぜったい)といいますが、悪化すると、舌全体が真っ白い苔で覆われます。
舌苔(ぜったい)ができると、コーヒーやカレーライスなどの色素が苔に付着し、黄色や茶色に変色します。
そして、食べ物の味や匂いもいつまでも残るので口臭も気になります。
本来、人は鼻で呼吸をするようにできています。
そのため、鼻には、塵だけではなく菌やウィルスを体に入れないようにフィルターの役割もあります。鼻毛や鼻汁などがその役割を担っています。
ところが、口呼吸では、その役割が果たせません。
口から空気を取り込むと、直接喉に入ります。そのため、風邪などに感染しやすくなります。口呼吸はアレルギー性の鼻炎にもなりやすいといわれています。
喉にばい菌やウィルスが付着し感染すると、扁桃から免疫が分泌されます。ばい菌と戦うための体の仕組みなのですが、免疫とばい菌の死がいの固まりが、膿栓(のうせん)や膿汁(のうじゅう)というひどい口臭の原因になることを知らない人が多いのではないでしょうか。
だから、口呼吸をしている人に口臭がひどい人が多いのです。
しゃべらなくても息が臭い場合は、口呼吸の可能性が高いです。 口呼吸を覚えると、口腔内は乾燥しやすくなり、喉も鼻も弱くなります。さらには、頭脳の発達にも影響を与えたり、喘息やアトピーとの関連も示唆されています。 当然、口臭は常に起こるケースがあり、とりわけ鼻が詰まると、完全な口呼吸になり、口腔内に鼻汁も逆流するために悪臭がします。
出典:ほんだ歯科口臭バイブル
口呼吸をしていると口臭を起こしやすいのは事実ですが、口呼吸以外にも口臭原因になっていることがあります。詳しくは、『日本口臭学会から学んだ最先端の「口臭の治し方」は意外とカンタン!?』をご参考にしてください。
口呼吸が引き起こすリスク
口呼吸をしていると口腔や喉が乾燥します。実は、この口腔乾燥が様々な問題を起こす原因になっています。
口腔が乾燥すると細菌が増えやすくなるので、虫歯や歯周病にもなりやすい。また、口臭原因となる舌苔(ぜったい)や臭い玉(膿栓)・膿汁(のうじゅう)ができやすくなるので、口呼吸をしている人は口臭が強くなりやすいといえます。
【口呼吸が原因で起きやすくなる病気や症状】
- 口腔乾燥
- 口臭
- 歯周病
- 虫歯
- 舌苔(ぜったい)
- 膿栓(のうせん)・膿汁(のうじゅう)
- 風邪にかかりやすい
- 扁桃腺炎など喉の炎症や疾患にかかりやすい
- 歯が着色しやすい
- 歯並びが悪くなる
- 口元がたるんだ顔になる
- アレルギー性疾患のリスクが高まる
このように、口呼吸は多くの病気や症状を引き起こすリスクがあります。ですから、今すぐ口呼吸を鼻呼吸に変えることをおすすめします。
特に口臭が気になっている場合には、是非とも実行してください。
口呼吸になる原因
口呼吸になっているからといって、その原因は人により異なります。代表的な口呼吸の原因についてご説明します。
口輪筋(口周りの筋肉)の衰えから口呼吸になっている
口唇の周りには、口輪筋という筋肉があります。口輪筋は唇をすぼめるなど口を閉じるときに使う筋肉です。この筋肉を使う習慣がないと、常に口がポカンと開いてしまいます。子供のころから口を閉じることが苦手な人の場合には、成人になってからも口が開き口呼吸になっていることが多いです。
口輪筋が衰えている場合は、お口の体操などによって筋肉を鍛えることが効果的です。お口の体操については、『歯型はパタカラ体操でなおる!』をご参考にしてください。
歯並びが悪く口呼吸になっている
前歯が出っ張っているなど歯並びが悪いことで、きちんと口を閉じることができなく口呼吸になっているケースがあります。この場合は、歯列矯正をすることで改善できるので、あきらめずに治療されることをおすすめします。
鼻づまりで鼻呼吸ができない
アレルギー性鼻炎や蓄膿症で鼻づまりになっていると、鼻呼吸ができません。そのため、口呼吸をしている人がいます。耳鼻科疾患が口呼吸の原因になっている場合は、根本的な病気を治すことが大事です。
鼻づまりの原因となる後鼻漏については、『後鼻漏(こうびろう)が原因の口臭!臭い対策と予防方法』をご参考にしてください。
睡眠中に口呼吸になる
日中は鼻呼吸の人でも、寝ている時には口が開いている場合があります。特にいびきをかく人に多いですが、いびきをかかなくても、習慣的に口唇が開いてしまっているケースがあります。
このようなケースでは、いびきを改善することも大切ですが、歯科でマウスピースを作成してもらったり、口輪筋を鍛えるためのトレーニングが必要かもしれません。
口呼吸を確かめる方法
口呼吸がいろんな弊害を引き起こしていることが理解できたと思います。でも、自分が口呼吸なのかどうか分からないかもしれません。
ポカンと口を開けていれば、口呼吸だとすぐにわかりますが、普段は分からない人が多いです。誰でも、人前では意識をするので口を閉じているものです。人目を気にしないでリラックスしているときに口呼吸をしていることがあります。
そのような方のための口呼吸のチェック方法をお教えします。
一つでも当てはまるものがあれば、要注意です。
【口呼吸のチェックポイント】
- 口が乾きやすい
- リラックスした状態になると、唇の間から前歯が見える
- 口を閉じて鼻呼吸をすると苦しくなる
- 風邪にかかりやすい
- 鼻が詰まりやすい
- 舌が白くなりやすい
- 起床時、口がカラカラになる
- 長期間、口臭がしている
- いびきをしている
もし、これらの症状があれば、今からお伝えする「口呼吸の治し方」をご参考にされてはいかがでしょう。
口呼吸の治し方
テープ
唇にテープを貼って口呼吸を鼻呼吸に変えるという方法があります。
睡眠中の口呼吸を予防するためのものですが、寝つきが悪くなるかもしれません。なれるまでは、寝ているときに知らずにテープをはがしてしまうこともあるので、2枚重ねて貼るなどの工夫も必要です。
また、鼻呼吸を習慣づけするには、平均して65日間(25日から90日間)必要だそうです。もう大丈夫だと思っても、テープを貼ることを続けないといけません。鼻呼吸を定着させるには、毎日の努力が実を結びますので、じっくりと取り組まれることをおすすめします。
市販の医療用テープがいくつか出ています。お値段は、テープが30枚入って500円から1000円程度です。
医療用テープのほかに絆創膏でも代用できますが、人によっては肌が荒れるかもしれませんので、肌にやさしい素材のものを使うようにしてください。
マウスピース
市販のマウスピースもあるようですが、オーダーメイドではないのでおすすめではありません。マウスピースは歯科医院で作ると保険が適用できます。3割負担で1万円程度。睡眠時に使用するタイプでどちらかというと「いびき防止」です。
私も過去に、いびきと歯ぎしり予防のために作ったことがあります。でも、中々なれず睡眠不足になり途中でやめてしまいました。ご参考までに。
マスク
マスクを着用しても口呼吸を治すことはできません。しかし、マスクを着けることで口呼吸の弊害である口腔乾燥やウイルスの侵入を防ぐ効果があります。
マスクを着けることで、鼻呼吸のように空気を清浄することが可能になるし、呼気によって口腔を保湿することができます。口呼吸が治らなく障害がおきている場合は、マスクを着けると良いかもしれません。
口呼吸を鼻呼吸に治すトレーニング
口呼吸になっている場合には、さまざまな原因があります。舌の癖、口腔習癖が悪かったり、舌や口唇、顔面の筋肉が弱いことも影響しています。
それらを総合的に改善するために、口腔筋機能療法(MFT)というものがあります。
その中で、簡単にできる方法をご紹介します。
スポット法
鼻呼吸をしている人は、上顎のスポットという所にいつも舌が触れています。このことで、口から空気が入らなくなる。でも、口呼吸の人の場合には、いつも舌が垂れ下がっているため、容易に空気が口から喉へと入る。このように、舌の癖ができていることとそのため筋力が弱っていることで、悪い口腔習癖になっています。
口呼吸を鼻呼吸に変えるためには、舌の位置をスポットに置くようにしなければなりません。
ポイント1、意識して舌をスポットに置くようにする
トレーニング1、このスポットに舌を触れ3秒間維持。これを5回繰り返します。
トレーニング2、スポットに舌を触れてから、離すときに「ポン」と音を出す。これを10回。
トレーニング3、「ラッ!ラッ!ラッ!…」と20語。これを2回。
トレーニング4、割り箸を噛んだ状態で、鼻呼吸を30秒。これを3回。
トレーニング5、舌を出して左右に2回、そして、スポットに。これを5回、慣れたら10回します。
以上のトレーニングによって、正しい舌の位置を体で覚えます。そして、舌と顔の筋肉を鍛えることで自然と舌が上あごに持ち上がるようになります。また、顔の筋肉を刺激することで唾液の分泌も促進され、口臭予防にもなります。
箸をくわえる方法
割りばしを口にくわえて鼻呼吸をする。この状態でテレビを見るなど一定時間続けることで鼻呼吸を習慣づける方法。
もし、口呼吸でお困りでしたら、ぜひ、ご紹介したトレーニング方法をお試しください。
まとめ
鼻呼吸だと思っていても口呼吸になっている人が多いです。だれでも呼吸は意識していません。それに呼吸の仕方は習慣です。
でも、口呼吸をしていると、虫歯、歯周病、舌苔、膿栓・膿汁のほか、風邪や喉の炎症も起こしやすくなります。そして、そのことが原因で口臭も強くなっている人が多いのです。
ですから、今回の記事を読まれて、もし口呼吸かもしれないと思いましたら、今回ご紹介した方法で鼻呼吸に治すトレーニングを行ってみてはいかがでしょう。