舌苔がすぐにたまる!原因と対処について
口腔ケアアンバサダー(社団法人 日本口腔ケア学会認定)の上林登です。
Yahoo!知恵袋を見ていたら、「舌磨きをしてもすぐに舌が白くなります。友達はいつもピンクの舌なのに何が違うのでしょうか?」「舌苔がすぐたまるのは何が原因ですか?」という質問が多くありました。あなたは、舌苔や口臭についての不安はありませんか。
参考:分厚い舌苔の画像 Google
舌苔が付き舌が白くなると、口臭を発生するようになるのは…
舌苔(ぜったい)は、食べかすやはがれ落ちた細胞に細菌が集まってできた固まりの「プラーク」です。プラーク(細菌)は唾液にも混じってネバネバに。ネバネバ唾液が気化し口臭を発生させるのです。
舌苔の原因は、口呼吸や消化器系の疾患などと言われていますが、ストレスなど精神的なものが影響していることもあり、多くの要因が重なって舌苔ができます。心身の健康状態が悪いと、舌磨きをしてもすぐに白くなるのは、そういう理由からです。
舌苔は口臭原因になりますが、過剰な舌磨きはかえって口臭を強くするため逆効果です。舌ブラシなどで舌を磨くと、舌の表面に溜まっている唾液まで取ってしまい、口腔を乾燥させるからです。
それだけではありません、唾液は舌粘膜を保護しているので、唾液を取ってしまうと舌乳頭の角化を進めてしまい舌苔の原因になるのです。
そのため、ほんだ式口臭治療では、プラークコントロールを意識する歯磨き方法や、自律神経を整えるための生活指導と食事指導を行っています。
今回は、舌苔が出来る根本的な原因とプロセスについて説明します。これまで、どうして舌苔が改善できなかったのか、何をすれば治すことができるのか、腑に落ちると思います。
舌磨きしても取れない原因は?
舌をブラシで磨いても舌苔が取れない主な原因は、舌苔が取れにくい舌の表面の構造と口内環境にあります。
舌苔が取れない場合は、プロテアーゼ含有タブレットや専用の舌ブラシを用いた方法が有効です。舌苔を化学的に分解する製品と舌磨きの組み合わせによって効果的に舌苔を除去することができます。
舌苔が取れない原因と、その除去方法に関する科学的根拠は以下の通りです。
舌苔が取れない原因 : 舌の表面にある舌苔は主に細菌や死んだ細胞で構成されており、これらが舌の細かい溝や突起に詰まることで取り除きにくくなります。舌の細かい溝や突起に舌苔が詰まると、これが舌苔の物理的な除去を困難にすることがあります。さらに、舌の生理的特徴や個人の口内環境も舌苔の形成に影響を与えます(Mauricio, 2021)。
舌苔除去方法 : 舌苔を効果的に除去するためには、化学的および機械的な方法の組み合わせが推奨されます。たとえば、プロテアーゼ含有タブレットや専用の舌ブラシを用いた方法が有効です。プロテアーゼは舌苔を構成する細胞の分解を促進し、舌ブラシや舌クリーナーは物理的に舌苔を除去するのに役立ちます(Mugita et al., 2017)(Mauricio, 2021)(Sugimoto et al., 2015)。
舌苔がすぐにたまり白くなる
内容を分かりやすくするために、患者と先生との会話方式でご説明します。
ユミさん(患者):現在妊娠中、 |
ユミさん「舌が白くなっているのですが、歯ブラシで磨けば舌苔は取れますか?」
先生「舌苔(ぜったい)は舌磨きをしても取れませんよ。それに、ゴシゴシ舌を磨くと傷つけるので良くないです。」
※過剰な舌磨きによるリスク
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ユミさん「白くなっているのは、舌が汚れているからだ、と思ってました。」
先生「舌の白いのがタダの汚れなら誰でも汚れるはずです。だったら、みんな舌が白くなりますよ。」
ユミさん「そうですよね。それじゃあ、白くなっているのは何ですか?まさか病気じゃないですよね。」
舌の状態を自己診断
舌の健康状態を自宅でチェックする方法は以下の通りです。
- 色の観察: 鏡を使って舌の色をチェックします。健康な舌は淡いピンク色をしています。白っぽい被膜や異常な斑点があれば注意が必要です。
- 質感の確認: 舌の表面を見て、異常な厚さやしこりがないか確認します。通常、舌は滑らかで均一な質感を持っています。
- 湿度のチェック: 舌の湿度を確認し、乾燥していないかチェックします。乾燥している舌は脱水や他の健康問題のサインである可能性があります。
- 臭いの確認: 舌の臭いを確認します。不快な臭いは口腔内の問題や消化器系の問題を示唆することがあります。
- 変化の記録: 定期的に舌の状態を観察し、変化があった場合は記録しておくと良いでしょう。特に新しい症状や変化が見られる場合は、専門医の診察を受けることをお勧めします。
これらの自己診断の方法を通じて、舌の健康状態に関する早期の警告サインを見逃さずに済みます。
・関連:ChatGptで舌診断:スマホのカメラで舌を撮影すると健康状態や口臭程度を診断できます。
関連記事:舌が白いのは口腔カンジダ症!? |
舌がすぐ白くなる原因
舌の白変(舌苔・ぜったい)は様々な健康問題を示唆する可能性があります。以下はその主な関連点です。
- 栄養不足: 舌の白変はビタミンやミネラル不足のサインであることがあります。特にビタミンB群や鉄分の不足が関係している場合があります。
- 消化器系の問題: 舌の色や質感の変化は、消化器系の疾患、特に胃腸の問題を反映していることがあります。
- 免疫系の問題: 免疫系の低下や自己免疫疾患が原因で、舌に異変が現れることがあります。
- 口腔疾患: 口内炎や歯周病などの口腔内疾患が、舌の白変を引き起こすことがあります。
- 全身性疾患: 糖尿病や感染症など、体全体に影響を及ぼす疾患が原因で、舌に変化が生じることがあります。
これらの健康問題は、舌の白変を通じて早期に発見されることがあります。したがって、舌の変化に気づいた場合は、専門医の診察を受けることをお勧めします。
先生「舌が白くなってても、ふつうは病気じゃなくて、カビのように細菌が集まって出来ているんです。この図を見てください。」
舌苔(プラーク)は、糸状乳頭の 角化(タンパク質)と食べかすや 細胞の剥がれ落ちた死がい(タン パク質)をエサとする嫌気性菌 が集まって形成している。 |
ユミさん「舌乳頭(糸状乳頭)って、こんなに長いのですか?」
先生「舌乳頭(糸状乳頭)の長さは個人差があって、便秘や下痢症の人ほど乳頭が伸びて長くなるようです。」
※過度のストレスがかかると腸内環 境が崩れて腸壁に炎症を起こし、 消化器官の延長上にある舌の細 胞もどんどん作られ乳頭が長くなる。 出典:TBS 白い舌は胃腸のSOS!? |
ユミさん「舌乳頭(糸状乳頭)が伸びることが、舌苔の原因になってるのですか?」
先生「はい。乳頭が長くなると、すき間に汚れもよく溜まるので、舌苔が厚くなります。」
参考:舌苔が厚いのは糸状乳頭が 長いから |
ユミさん「それじゃあ、胃腸の悪い人はみんな、舌苔が多いのですかぁ?」
口臭の大部分(80%以上)は(中略)硫化水素とメチルメルカプタンで約90%占めます。(中略)歯周病・舌苔が原因のほとんどを占めています。
先生「そんなことはありません。ふつうは、舌苔が付着しても、食事の時に食べ物が舌と上あごの間を転がるので、舌苔が擦れて取れてしまうものです。」
ユミさん「それでは、食事をしても舌苔が取れない人は、何が悪いのでしょうか?まさか病気じゃないでしょうね。」
先生「原因とすれば、、老化で舌筋が弱っていると舌と上あごが接触できないので、舌苔が取れません。それと病気じゃないですが。唾液の分泌が減少していたり口呼吸をしていると、細菌の増える原因になるでしょうね。」
※シェーグレン症候群という唾液の分泌が減る病気がある。
先生「今お話したことは一般論です。ただ、舌苔の量が多いのは細菌に適した口内環境なので、口臭に気をつけないといけません。」
ユミさん「細菌が好きな環境、ですかぁ?」
先生「はい、細菌が活動するためには、エサとなるタンパク質と高温多湿な環境が必要なんです。」
※舌苔の細菌のエサ(タンパク質)…舌乳頭の角化、細胞のはがれ落ちたもの、唾液成分、食べかすなど。
出典:価格.comマガジン
先生「たとえば、掃除しないまま台所の排水口を何日も置けば、ぬめぇとして臭いですよね。これは、排水口の中が、細菌のエサが豊富で常に湿っているからです。」(※舌苔や唾が臭いのとおなじ)
※水道の蛇口を開けて水を出しっ ぱなしにすると、排水口は洗浄さ れてぬめりにくい。これと同じ ように、唾液が充分分泌してい るとネバネバしない、また、舌苔 も出来なくなる。 |
ユミさん「じゃあ、舌苔による口臭は、生ゴミが入ってるビニル袋を開けた時に臭い、のと同じってことですかぁ?」
出典:ARUHIマガジン
先生「はい。ゴミ袋が臭いのは、お口の中で腐敗してガスが溜まっているからなんです。」
(お尻より)口の中のほうが、細菌数がはるかに上回りますが、(中略)口の中には、700種類以上の細菌がいます。●よく歯を磨く人で1,000~2,000億個の常在菌がある。
出典:STデンタルサロン
ユミさん「ゴミ袋と口の中(舌の表面、舌苔)は同じくらい汚いのですかぁ。だから臭いのですねぇ。もう1つ質問していいですか。口のネバネバは何が原因ですか?」
先生「実は、口のネバネバ(ムチン:糖とタンパク質)が口臭の原因です。唾液の中にタンパク質と細菌が増えてネバネバになっているんです。だから、舌苔や口臭を防ぐには、このネバネバ唾液を取り除く必要があるんです。」
※潤滑作用唾液の成分にムチンと いう粘性のタンパク質があります が、タンパク質が過多になると細 菌が活発になる。 |
ユミさん「え、でも、どうやれば舌のネバネバを取ることができるんですか?」
先生「納豆のネバネバをイメージしてもらうと良いです。納豆のネバネバはタンパク質を分解したものなんです。ですから、納豆を食べた後お皿がネバネバしていても、水に5~10分漬けるだけで取れてしまいます。」
ユミさん「それ、知っています。水に付けると、納豆の汚れが綺麗に取れるので不思議ですよね。」
先生「実は、お口の中もこれと同じで、唾液(サラサラ)が舌の上のタンパク質を溶かして洗浄しているんです。だから、サラサラ唾液がよく分泌されている人は、舌苔も出来にくく、口臭の心配もないんです。」
・緊張すると交感神経が働いて ネバネバ唾液が分泌する。 ・リラックスすると副交感神経が 働いてサラサラ唾液が分泌する。 |
ユミさん「じゃあ、私のようにストレスが多かったり口呼吸をしていると、舌苔がなくならない、ってことですよね。」
先生「そうなりますが、ドライマウスを改善することは容易ではありません。本来は、サラサラ唾液がたくさん出ていると、汚れ(タンパク質と菌)を洗い流すことが出来るんです。」
参考:自宅でできるドライマウス対策 |
舌苔が治らない?知恵袋で見つけた解決策とは
Yahoo!知恵袋には、「舌苔が治らない」という悩みを抱える人たちの声が数多く寄せられています。その中から、特に有効とされる解決策を集めてみました。これらのアドバイスには、歯科医師の推奨するケア方法や、同様の問題を克服した人々の実体験が含まれています。
舌の健康を保つライフスタイルの改善
舌苔の蓄積を防ぐためには、日々の生活習慣が重要です。食事はよく噛むこと、水分を十分に摂取することで、口内環境を潤し、細菌の増殖を抑えることができます。また、バランスの取れた食事は、栄養素の不足による舌苔の蓄積を防ぎます。加えて、禁煙や適度なアルコール摂取は、舌の健康のためには重要なことです。
口内フローラのバランスを整える
口内フローラ、つまり口内の細菌のバランスを整えることは、舌苔を防ぐ上で非常に重要です。プロバイオティクスを含むヨーグルトや発酵食品を摂取することで、口内の善玉菌を増やし、健康な口内環境を維持することができます。また、定期的な歯磨きとフロス使用により、悪玉菌の増殖を抑えることも重要です。
専門家によるチェックとケアの重要性
舌の状態がなかなか改善しない場合は、歯医者さんの診断を受けることが重要です。歯科医や歯科衛生士は、舌苔の原因を特定し、個々の状況に合わせた治療法やケア方法を提案してくれます。定期的な診察は、舌の健康維持において欠かせない要素です。
自宅でできる簡単な舌ケア方法
毎日の舌ケアは、舌苔の予防に効果的です。舌ブラシや舌クリーナーを用いて、優しく舌表面を清掃することで、細菌や食べかすを取り除きます。この際、強くこすりすぎないことが重要で、舌の表面を傷つけないように注意しましょう。
舌苔が繰り返す場合の注意点
舌苔が頻繁に繰り返す場合、それは単に日常的な口腔衛生の問題だけでなく、他の健康上の問題を示唆している可能性があります。例えば、胃腸の不調や、ビタミン不足、免疫系の問題など、舌の状態は体全体の健康状態を反映することがよくあります。
もし舌苔が改善しない、または他の症状と併せて現れる場合は、医師に相談することが重要です。特に、痛み、違和感、味覚の変化など、舌苔以外の症状が見られる場合は、速やかに専門家の診断を受けるべきです。
ユミさん「やっぱり、舌苔を治すことは難しいのですね。」
先生「そんなことはないです。ドライマウスの場合は、こまめに水を飲むと舌苔の予防になりますよ。血液中の水分量が少なくなると唾液量も減少するので、水分摂取が大切です。」
※唾液は健康な成人で一日1.0~1.5リットル分泌される
出典:唾液の分泌 厚生労働省e-ヘルスネット
ユミさん「お茶でもいいんですか?」
先生「お茶やコーヒでも構いませんが、それらは利尿作用があるので、排尿した分の水分補充が必要かもしれませんね。」
ユミさん「これを機に舌苔を治したいんですが、他に何をすれば良いですか?」
先生「舌磨きも大事ですが、磨き過ぎに注意してください。こまめにうがいすることをおすすめします。口内環境を清潔にすると菌の増殖を防げるので、舌苔も出来にくくなります!」
ユミさん「口臭も改善できますか?」
先生「もちろん。うがいをすれば、口臭の予防にもなります!美息美人のアルカリイオン水でうがいすれば、舌苔を溶かすので取れやすくなりますよ。」
まとめ
舌がすぐ白くなる現象は、口腔衛生の問題、脱水、特定の病気、ライフスタイルの選択、食事の影響など、多くの原因によって引き起こされます。この状態は、栄養不足や消化器系、免疫系の問題など、様々な健康状態と関連があります。
舌苔の治療と予防には、適切な口腔衛生の実践、健康的な食生活、十分な水分摂取、禁煙や節酒が含まれ、これらは舌の健康を保つ上で重要です。
定期的な自己診断も役立ち、舌の色、質感、湿度のチェックを通じて、健康問題の早期発見に寄与します。舌の状態は全体的な健康状態のバロメーターとなり得るため、変化に注意を払い、必要に応じて専門医の診察を受けることが推奨されます。