舌磨きで口臭が改善したのは32%
口腔ケアアンバサダー(社団法人日本口腔ケア学会認定)の上林登です。
口臭予防のために舌を磨いている方が多いと思いますが、舌磨きにはどの程度の予防効果があるのかご存知ですか?
舌磨きにより口臭予防効果を調べるために、鶴見大学歯学部(中村幸香先生ほか)が臨床テストを行った調査結果があります。この中で、舌磨きによって口臭を改善できたのは32%だけだったのです。
この事実から、舌磨きを行っても口臭を防ぐことは難しく、今より効果的な舌苔を除去する方法が必要と結論づけられていました。
現在、舌苔の除去で効果があるのは、アルカリイオン水を使った舌清掃です。今回の記事は、舌磨きよりも効果があるアルカリイオン水を使用する舌清掃をご紹介します。是非ご参考にしてください。
この記事の目次
舌磨きの効果テスト
私「歯医者さんでは、舌苔や口臭のことで相談してくる患者さんに、どうやって答えてる?」
三女「院長先生は、舌ブラシを使って舌磨きすることを勧めてるけど、私は、磨きすぎたら口臭が悪化するから、舌を磨くときは優しくしてねって指導しているよ。」
引用:舌苔のケア方法。完全に除去する必要はないってホント!?
臨床試験の目的
口臭の主な成分には揮発性硫黄化合物(VSC)がある。VSCは歯垢や歯周ポケットが発生源となるほか、舌表面に由来するものが少なくない。
その場合は、舌清掃を併用しないかぎり口臭は消滅しない。このように舌清掃は口臭予防において重要だと考えられているが、歯科大学衛生科の調査では舌清掃は必ずしも普及していなかった。(学生でも正しい舌清掃を知らないのが実体。)
→ 舌が臭い、口臭がするそれは舌苔が原因です。舌苔を取り除く方法とは?
口臭外来の受診者が日常行っている舌清掃が効果的になされているかどうかを検討した。
1回目の調査結果(初診時)
2015,7,1から8,25までに口臭外来に受診した初診患者は66名。
66名の内、口臭なしが15名。口臭ありが51名。(口臭なしと診察された患者さんが22.7%もあったのです!)
さらに、口臭あり51名の内、「自分で舌磨きをしている」患者さん25名(約半数が独自の方法で舌磨き等を行っているという事実。)を対象にして、歯科医師が正しい舌清掃を指導した結果が2回目の調査結果です。
2回目の調査結果(舌清掃を指導後)
歯科医師から正しく舌清掃を指導してもらった結果、なんと、25名の内8名が口臭なしに。(32%に指導の効果が。)
ところが、残りの17名の患者さんは依然として効果がありませんでした。(歯科医師から直接指導を受けても68%が効果なし、口臭ありのままだったのです。)
この結果を受けて、舌清掃の指導効果がなかった17名の患者さんに対して、歯科医師が専門的に舌清掃を行った。
※専門的舌清掃…舌表面をガーゼで拭き取る。必要に応じて吸引法(機械を用いて舌苔を吸引する)を行う。
この結果が3回目の調査結果です。
3回目の調査結果(歯科医師による舌清掃後)
歯科医師によってガーゼと吸引法で舌清掃を行った結果、指導効果のなかった17名の患者さんの内、12名が口臭なしと測定されました。(歯科医師による舌清掃では、70%の効果があったのです。)
それでも、残りの5名の患者さんは、依然として効果がなかったのです。(30%の患者さんには、歯科医師による清掃を受けても効果がないという事実が。)
結論
口臭外来受診者において、対象者の80%以上が舌清掃を行っていたことから口臭対策としての舌清掃の重要性は広く認識されていたが、患者自身が日常行っている舌清掃では25人中8人しか口臭の改善が認められず、その口臭除去効果は低かった。このため、より効果的な舌清掃方法の普及が必要だと考えられた。
引用:日本口臭学会会誌より抜粋
舌磨きの効果
鶴見大学歯学部の今回の調査結果を知ることで、どのように感じられたでしょう?
舌が白くなるとほとんどの人が舌磨きをしますよね。舌磨きを行ったからといって口臭がなくなるわけではないのですが、「舌磨き以外に舌苔を除去する方法を知らない」ということが一番の問題なのかもしれません。
また、舌磨きが習慣になり、舌磨きをしても綺麗にならないのでいつまでもごしごしと舌を磨き、舌苔が悪化するケースも。
⇒⇒ 舌磨きはしないほうがいい、舌苔は磨かなくても除去できる!?
舌磨きだけで舌苔を取るのは、歯科医師でも難しい技術を要します。素人の私達が舌を磨いて良いはずがありません。
だからといって、舌が汚れる度に口臭外来で舌清掃を受けることは困難ですよね。だから、舌苔(ぜったい)は厄介です。
舌苔(ぜったい)が出来る原因
舌苔(ぜったい)が出来る人と出来ない人には、どんな違いがあると思いますか?
舌苔ができる原因は、、、
1. 唾液の分泌量の減少(加齢、ストレスなど)
2. 薬の副作用(降圧剤、安定剤、睡眠誘導剤など)
3. 胃腸の疾患や不調(便秘、下痢)
4. 喫煙(ヘビースモーカー)、飲酒
この重要なことを知らないで、単純に舌磨きをしても舌苔(ぜったい)は改善しません。舌苔(ぜったい)が出来たといっても人によって原因は様々なのです。
舌苔について詳しくは「舌が白い人は舌苔です。舌苔を取り除く7つの方法とは?」をご参考にしてください。
口呼吸
口が乾くと舌粘膜の細菌が増えます。そのため、口呼吸をしている人の場合には、舌が白くなりやすいです。
ところが、普段は鼻呼吸をしていても、睡眠中だけ開口して口呼吸になっている場合には、ご本人が口呼吸を自覚していないこともあります。
「いびきも口呼吸もしていないけれど、朝起きた時に舌が白くなって口臭がする。」ということも。
ですから、舌が白いとか口臭が治らない場合には、一度、口呼吸になっていないか調べることも必要です。
調べる方法としてお勧めなのは、スマホのアプリです。無料で色んなものがあります。いびきの音や寝息の他、熟睡している時間帯なども分かります。「いびき アプリ」で一度お調べください。
唾液分泌量が少ない
舌苔(ぜったい)は細菌が作ります。そのため、唾液が十分分泌していると細菌が増えることもなく舌もきれいな状態で保たれます。
ところが、唾液量が少ないと細菌が増え舌苔(ぜったい)が出来ます。それだけではありません、唾液に舌苔(ぜったい)で作られる口臭物質が唾液に交じり、唾液自体も臭くなります。
唾液分泌が減少する要因
- ストレス
- 加齢などによる唾液腺の衰え
- 抗うつ剤などお薬の副作用
- 内科疾患
- シェーグレン症候群
などがあります。
膿汁(のうじゅう)
咽喉には、口や鼻から細菌やウィルスが入ってきます。それらを扁桃(へんとう)というリンパ組織で免疫物質を分泌しやっつけます。
免疫物質は粘ついた液で、細菌と戦った後は強いニオイを発します。この粘液を膿汁(のうじゅう)といいます。
膿汁(のうじゅう)が舌に付着すると、舌苔(ぜったい)が出来やすくなるので、舌苔を予防するためには、膿汁対策が必要です。
舌粘膜の状態
糸状乳頭が長い
舌の表面には、糸状乳頭がびっしりと立っています。この糸状乳頭と乳頭の隙間に食べかすや細菌がくっつき舌苔(ぜったい)ができます。
ですが、人によっては糸状乳頭が長い場合があります。この場合には、余計に汚れや細菌が溜まりやすくなるので舌苔(ぜったい)も出来やすくなります。
溝状舌(こうじょうぜつ)
舌の表面に溝が出来ることがあります。舌が乾燥したときに特に溝ができやすく、普通は体調が良くなれば無くなります。
この溝が出来ている舌のことを溝状舌(こうじょうぜつ)といいます。溝の深さや長さは色々です。
人によっては、ずっと深く長い溝が出来ていることがあります。溝には汚れや細菌が溜まりやすく、そこから舌苔(ぜったい)が大きくなります。
口臭予防法
舌苔(ぜったい)ができると口臭も強くなります。鶴見大学歯学部の報告のように、口臭を予防するには舌をきれいにすることは必須といえます。
しかし、人によって糸状乳頭が長いとか溝があるという場合には、舌磨きを行っても完全に清掃することは出来ず、ついつい過剰に磨いてしまいます。(舌の磨き過ぎによって更に糸状乳頭が長くなることも。)
無意識に過剰な舌磨きを行っているのですが、舌乳頭が傷つき化膿してしまうのです。そして、舌苔(ぜったい)が悪化し口臭も治らないという悪循環に。
舌磨きをやめる
舌磨きを行っていて、舌苔(ぜったい)が取れずに口臭が継続している場合には、先ず舌磨きをやめることです。舌苔を取ることが出来ないので怖いかもしれませんが、舌磨きをやめないことには、悪いスパイラルから抜けることはできません。
口呼吸を鼻呼吸に変える
口呼吸をしている限り、口臭を改善するのは困難です。鼻呼吸に変えると舌だけではなく、口腔環境がよくなるので健康になります。
唾液を出す
口臭を予防するためには、唾液の分泌量を増やすことが最も重要です。
【唾液を出す方法】
- よく噛み咀嚼回数を増やす
- よく喋る
- 舌を動かす、顎を動かす(お口の体操)
- 唾液腺を刺激(唾液腺マッサージ)
水を飲む
口臭を予防するには、口腔を乾燥させないことが大切です。その役目を本来は唾液が補っているのですが、舌が乾燥しやすい場合には、小まめに水を口に含み飲むことが必要です。
口腔ケア
口臭細菌は、歯や歯周ポケットのほか喉にも存在しています。ですから、丁寧に歯磨きケアを行うことやうがいを行うことが大切です。
しかし、市販の歯磨き粉には合成界面活性剤などの刺激のある成分が含まれています。唾液分泌が多い場合には、たとえそれらの物質が入っていても唾液が洗い流します。
ところが、唾液が少なく舌が乾く人の場合には、添加物がいつまでも舌に沈着し舌乳頭を痛めるため、舌苔(ぜったい)が悪化させることが多いです。
ドライマウスの場合は、無添加の歯磨き粉を使用することをおすすめします。
効果的な舌の清掃方法
口臭を改善するためには舌苔を除去しないといけません。しかし、舌磨きでは舌苔を除去することは困難で、舌磨きで口臭を改善することは望めないでしょう。
そこで、おすすめなのは、口臭予防歯磨き粉「美息美人」のアルカリイオン水を使用する舌清掃です。
美息美人のアルカリイオン水は、PH11.4の強アルカリのため、殺菌力だけではなく、舌に付着したタンパク質を分解する働きがあります。
このアルカリイオン水を歯磨きとうがいに使うことで、舌苔がふやけるため、歯磨きの後に軽く舌ブラシでふき取ることができます。
また、舌苔が厚い場合には、コットンにアルカリイオン水を浸み込ませて舌苔に塗布します。アルカリの殺菌作用により、舌苔の予防になります。
舌苔を除去し、口臭を改善するためには、美息美人のアルカリイオン水がおすすめです。