
こんにちは、口腔ケアアンバサダー(社団法人 日本口腔ケア学会認定)の上林登です。
「歯磨き粉=必須」という常識をくつがえす流れがじわじわ広がっています。フッ素や発泡剤への不安、過剰な研磨剤によるエナメル質への影響を気にして、「歯磨き粉なしで本当に磨けるの?」と疑問を抱く人が増加中です。
もちろん、歯磨き粉には便利なサポート成分が多く含まれていますが、実際に汚れを落とすのはブラシの“機械的な動き”がメインです。
筆者からのアドバイスとしては、歯磨き粉を使わなくても丁寧にブラッシングすることのほうが何倍も大切。(おすすめは電動歯ブラシ)
もし黄ばみやステインが気になる場合は、週に一度だけ研磨剤入りの市販歯磨き粉を使えば、十分にケアできます。
フッ素配合品を使う際のポイントは、『フッ素入り歯磨き粉の安全な使い方』で詳しく解説しています。
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歯磨き粉を使わない派が急増中?その理由と背景
近年、「ノーファーマウスウォッシュ派」に続き、「ノートゥースペースト派」がSNSやQ&Aサイトで注目を集めています。その背景には大きく3つの要因があります。
- 成分への不安
フッ素や合成界面活性剤、合成甘味料など、歯磨き粉特有の化学成分を避けたいというナチュラル志向の高まり。 - コスト・準備の手軽さ
外出先や旅行先で歯磨き粉が手元になくても、「水だけ」「重曹だけ」で磨けるなら経済的&スマート。 - 泡=磨き残しの兆候
泡立ちに安心して短時間で済ませてしまい、結果的に磨き残しが多くなることへの気づき。
こうした声は、Yahoo!知恵袋やInstagramの歯科ケアハッシュタグでも散見され、実際に「泡なしで30秒以上しっかり磨けるようになった」という体験談も多く寄せられています。
専門家が語るメリット5・デメリット5【最新研究付き】
メリット5
- ブラッシング技術の向上
泡を頼らず、ブラシの動きや圧のかけ方に集中することで、機械的清掃の精度が高まります。 - 化学成分への曝露削減
フッ素や合成界面活性剤、研磨剤などへの過度な曝露リスクを避けられます。 - コスト・保管スペースの節約
歯磨き粉を買わない分、経済的で収納場所も不要。ミニマリストにもぴったりです。 - 環境への配慮
チューブや包装のプラスチックごみを減らし、エコな口腔ケアが実現します。 - 自然派ケアアイテムとの相性
重曹やオイルプリングなど、シンプルな代用品との併用がスムーズになります。
さらに詳しくは、舌苔のセルフケアがくわしくわかる『舌苔ケアの裏ワザ6選』をご覧ください。
歯磨き粉なしでも、正しいブラッシングだけでプラーク除去率は80%以上に達することが報告されています日本歯科保存学会 2024 年度シンポ資料。
また、ADA(米国歯科医師会)2023年ガイドラインでは、フッ素濃度1000〜1500ppmの歯磨き剤を少量使用することで再石灰化が最も促進されるとされています。
デメリット5
- フッ素再石灰化効果の喪失
フッ素配合の再石灰化作用が得られず、むし歯リスクがやや高まる可能性があります。
そもそもの口臭メカニズムや日常ケアを知りたい方は、『生理的口臭との上手な付き合い方』も参考にどうぞ。
- ステイン除去の限界
市販の研磨剤によるステイン除去効果がないため、黄ばみが蓄積しやすくなります。 - 清涼感不足で継続困難
ミントやメントールの爽快感がないと、歯磨きのモチベーション維持が難しいことがあります。 - pH調整機能の不在
歯磨き粉に含まれる中和成分がないと、口内のpH変動が大きくなる可能性があります。 - 誤ったブラッシングリスク
研磨剤がない分、過度な力をかけたり磨き残しが生じやすく、歯や歯肉を傷つける恐れがあります。
歯磨き粉“無し or 少量”を使い分ける判断チャート
次のフローチャートで、あなたに合った歯磨き粉の使い方をチェックしてみましょう。
- ① 普段からステインが気になる → 週1回は研磨剤入り歯磨き粉を使用
- ② フッ素でむし歯予防を最重視 → 少量(米粒大)を毎日使用
- ③ 自然派だが黄ばみも抑えたい → 重曹+週1回研磨剤入り歯磨き粉併用
- ④ とにかくシンプルケア重視 → “水だけ”または“オイルプリング”中心
歯磨き粉の代わりになるもの比較(重曹/塩/オイルプリング/水だけ)
重曹
重曹についてさらに深掘りしたい方は、『重曹で歯を白くするメリット・デメリット』もチェックしてください。
重曹(炭酸水素ナトリウム)は低刺激の弱研磨剤。ステイン除去効果があり、口内のpHを中和する働きも期待できます。
使い方:水少量に小さじ1/4ほどを溶かし、ペースト状にして歯ブラシで2分ほどブラッシング。
メリット:安価で手に入りやすく、エナメル質へのダメージが少ない。
注意点:頻繁に使いすぎると研磨が強くなりやすいので、週1~2回が目安です。
塩
食卓塩も天然の研磨剤および殺菌剤として利用可能です。ミネラル分が歯ぐきの保湿にも役立ちます。
使い方:コップ1杯の水に小さじ1/4の塩を溶かし、うがいの要領で30秒ほど含んでからブラッシング。
メリット:抗菌効果が高く、口内細菌のバランス改善にも◎。
注意点:塩分が歯ぐきを刺激することがあるため、痛みやトラブルがある場合は中止してください。
オイルプリング
ココナッツオイルやセサミオイルを使ったうがい法。抗炎症・抗菌成分が含まれ、口内の保湿にも効果的です。
使い方:ティースプーン1杯の油を口に含み、10〜15分間ゆっくりすすいでから吐き出し、通常ブラッシング。
メリット:化学成分ゼロで自然派志向の方にぴったり。
注意点:時間がかかることと、すすいだオイルは必ずティッシュに吐き出し、水道に流さないこと。
水だけ
最もシンプルに「水だけ」でブラッシング。歯磨き粉なしでも、正しい技術でしっかり汚れを落とせます。
使い方:適量の水を歯ブラシに含ませ、1本の歯につき10〜15秒、正しい45°アングルで磨く。合計2〜3分が目安。
メリット:コストゼロ、いつでもどこでも実践可能。
注意点:泡なしのため「磨けた実感」が乏しく、つい手抜きになりやすいのでタイマーなどで時間管理を。
よくある質問(Yahoo!知恵袋厳選Q&Aをエビデンスで回答)
Q1: 歯磨き粉なしでむし歯予防できる?
むし歯予防の基本は「プラークコントロール」と「フッ素の再石灰化促進」です。歯磨き粉を使わない場合は、丁寧なブラッシングに加えて、フッ素洗口剤やフッ素ジェルを併用すると◎。特に夜間は再石灰化が進むため、寝る前にフッ素ケアを取り入れましょう。
Q2: 子どもや高齢者が使わない際の注意点は?
ブラッシング技術が未熟な子どもや、握力・咬合力の弱い高齢者は、歯磨き粉なしだと十分な清掃が難しい場合があります。少量(米粒大)の研磨剤・フッ素配合歯磨き粉を使うか、デンタルプロによる仕上げ磨きを定期的に受けることをおすすめします。
Q3: 泡立たないブラッシングのコツは?
泡立ちがなくても、ブラシの動きと圧のかけ方がすべて。歯と歯ぐきの境目にブラシ毛先を45°に当て、往復20回×各部位30秒を目安に。スマホのストップウォッチやタイマーを使うと、時間を意識しやすく効果的です。
まとめ:歯磨き粉“なし”でもできる、正しい口腔ケア
今回のポイントをおさらいします。
- 歯磨き粉がなくても、丁寧なブラッシングこそが最強の汚れ落とし。
- ステインが気になる人は、週1回だけ研磨剤入り歯磨き粉を併用すれば十分。
- フッ素による再石灰化が心配な場合は、少量(米粒大)の使用かフッ素洗口剤でカバー。
- 重曹やオイルプリングなど、代用品を上手に取り入れて、環境にも優しいケアを。
まずは今晩から、水だけで2分間、タイマーを使ってじっくりブラッシングを試してみましょう。
参考文献リスト
- 日本歯科保存学会 学術大会案内 大会プログラムや演題集(資料集)はこのページ内リンクからご覧いただけます。 https://www.hozon.or.jp/meeting/ hozon.or.jp
- 日本歯科保存学雑誌 電子ジャーナル(PDFダウンロード) 学会誌に掲載された論文や抄録をPDFで公開中。資料集代替として「第68巻1号(2025年2月発行)」などを参照できます。 https://www.hozon.or.jp/member/publication/journal/journal_list.html hozon.or.jp
- ADA トピカルフッ化物 臨床ガイドライン フッ化物塗布剤(ジェル、ペースト等)の使用指針を掲載。歯磨き剤のフッ素濃度に関する最新情報はこちらから。 https://www.ada.org/resources/research/science/evidence-based-dental-research/topical-fluoride-clinical-practice-guideline Home
- ADA 歯磨き剤(Toothpastes)に関する情報 ADA承認の歯磨き剤に関する成分・安全性・効果の概要を解説。 https://www.ada.org/resources/ada-library/oral-health-topics/toothpastes Home
- 歯磨き粉など歯科衛生製品の推薦について-日本歯科医師会
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