差し歯がドブ臭い!お家での対策ポイント

差し歯が臭い原因と匂いの取り方

口腔ケアアンバサダー(社団法人日本口腔ケア学会認定)の上林登です。

差し歯から出る臭いは、多くの人々にとって悩む問題です。食事の後や歯磨きの時などに、差し歯から不快な臭いが漂うことがあります。この記事では、差し歯から出る臭いの原因と解決法のほか、セラミックをやり替えたほうが良いのか、などについて解説します。

注)差し歯表記について…この記事では、支台歯と上部歯の一体化したものの他に、支台歯を立てた後にクラウンを被せた歯を含めて表記しています。

差し歯から出る臭いの原因

差し歯から出る臭いの原因は虫歯や歯周病などさまざまで、歯科で診察しなければ自身での特定は大変難しいです。一般的な原因としては、食べ物が差し歯と歯茎の隙間に付着したり、細胞のはがれや唾液が溜まったり、プラーク(細菌)などが繁殖することがあります。

歯肉や歯周に炎症が起きると、歯茎から膿が出るため、きついニオイを発します。このように、差し歯が臭いと感じるようになる原因には歯周病が多いです。

古い差し歯が入っていると口臭原因になる可能性があります。Yahoo!知恵袋には「臭いからキスできない!」と困っている方もおられました。他にも「差し歯を作り替えたけど臭いが取れない」という方も。

差し歯がドブ臭い場合の原因

  1. 差し歯が古い(一般的に差し歯は5年ほどで適合しなくなり歯茎との間に隙間ができる)
  2. 保険適用のレジン歯(樹脂製)には臭いが付く
  3. 差し歯が取れ再接着した(差し歯と支台歯が適合していない)
  4. 歯茎が腫れている(歯肉に炎症がある)

差し歯が臭い場合には、これらが原因となっているケースが多いです。差し歯がすぐ取れる場合には、歯肉炎を引き起こすのでご注意ください。

→ 口臭の原因がわからない!?よくある口臭原因と適切な対策方法

差し歯からドブ臭いにおいが発生するのは、歯周病菌(嫌気性菌)がVSC・揮発性硫黄化合物(硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルサルファイド)という臭い物質を産生することが原因です。

むし歯によって神経(歯髄)が腐ると、腐敗臭を発生するため、差し歯がドブ臭く感じるようになります。外れた差し歯のにおいを嗅ぐと嫌なにおいがするのは、そういう理由からです。

差し歯のあたりから変な臭いがする場合は、むし歯や歯周病が疑われるので、早目に歯科で検査を受けることが大事です。

関連記事:歯周病はうがいで治る!?アルカリイオン水のうがいで進行が防げる

差し歯からの臭いを解決するには?

差し歯からの臭いを解決するには、最も重要なのは定期的な歯科検診とメンテナンス、そして毎日の口腔セルフケアを入念にすることが大事です。差し歯を付けている人は、毎日、2〜3回食事の後に、洗口剤(マウスウォッシュ)などで洗浄する必要があります。

口臭チェッカーで歯磨き後に差し歯の臭いをチェックすると、歯周病などの状態確認ができるのでおすすめします。

歯科治療

差し歯から不快な臭いを感じたら、まず歯科を受診しましょう。

  1. 歯科でレントゲン撮影などで検査をしてもらい、適合性を診てもらうことが重要です。
  2. 差し歯が古くなっているとか適合していない場合には、治療をして補綴物を作り替えます。
  3. 歯肉炎の治療をしてもらい、その後も定期的に歯石除去をしてもらう。

セラミックの差し歯にやり替える

差し歯がグラグラしていると臭いの原因になります。状態によっては再装着も可能ですが、そのままにしておくと再装着できなくなるので、早目に歯科に行きましょう。

適合性に優れるセラミックの差し歯に替えることで、今まで感じていた嫌な臭いを回避することが可能です。また、セラミック差し歯は金属製の材料よりも耐久性が高く、日常生活の中で変形および傷付きやすくな
ないため、差し歯を汚れにくくすることが出来ます。

差し歯の寿命は、保険の硬質レジンが平均7年、保険外のセラミックが平均9年と言われますが、個人差が大きいです。また、セラミックの費用は保険外のため、病院によって大きく違ってきます。

関連記事:差し歯の値段と寿命は?保険と自費診療の違い

入念なセルフケア

差し歯からの臭いを回避するためには、歯垢の付着を防ぐことが重要です。鏡を見ながら、歯の裏もしっかりと歯磨きしましょう。この時、歯間や歯と歯ぐきの間の隙間も特に注意が必要です。

差し歯をブラッシングする時は、フロス、歯間ブラシ、ワンタフトブラシを使用するようにしましょう。このほかにも、更に臭いを取るためには口腔洗浄器を使用すると効果を発揮できます。

差し歯の臭いのとり方

差し歯がドブ臭い場合は、次のようにケアを行うといいでしょう。

⇒ 気になる口臭の臭い対策と口腔ケア

また、朝の歯磨きの後にデンタルリンスを使用すると、効果が持続します。

歯間ブラシで歯垢を除去する

差し歯がブリッジで狭い隙間がある場合には、歯間ブラシを使うといいです。歯間ブラシのサイズは、0(SSSS)〜6(LL)まであるので、一番細いサイズの「SSSS」を使うと狭い隙間の掃除も可能です。

また、差し歯と隣在歯の間の歯垢は、フロスを使うといいでしょう。ただし、何回フロスや歯間ブラシをしても臭いが取れない場合は、虫歯や歯周病が進行している可能性があるので早目に歯科を受診してください。

洗口剤で臭いを消す

起床後や食後に、洗口剤(マウスリンス・マウスウォッシュ)を使うことをオススメします。代用として重曹を使ってもいいです。重曹は弱アルカリ性のため、口内を中和させる効果がありますが、殺菌作用はないので誤解しないようにしてください。

ブラッシングケア

差し歯が臭くなる原因で多いのは、歯肉炎によるニオイです

差し歯の歯ぐき部分が歯肉炎になるのは、適合が悪くなってるからです。ブリッジの場合は磨きにくいため汚れが溜まるので、臭いを取るには、より丁寧にブラッシングすることが重要です。

詳しくは『歯間ブラシが臭い!その原因と取り方について現役の歯科医が教えます。』をご参考にしてください。

ワンタフトブラシで磨く

差し歯から嫌な臭いがする部分は、前歯の裏、差し歯と歯茎の間の隙間からが多いです。この部位は歯ブラシが届きにくく磨き残しができます。

ワンタフトブラシを使用すると、このような部位でも上手に磨くことができるので、臭い対策になります。

参考:Amazon エビス プロフィッツワンタフトブラシ

薬用歯磨き粉を塗る

差し歯の臭いを抑えるためには、薬用歯磨き粉(歯周病用歯磨き粉)が効果を発揮します。ひと通りブラッシングしたら、ワンタフトブラシや歯間ブラシに薬用歯磨き粉を少量取り、差し歯の臭い部分を中心に塗り付けます。塗布後は、歯磨き粉の薬剤が流れていかないよう、1回ゆすぐ程度にするのがコツです。

関連記事:歯周病で口臭がひどい!臭いを消す方法

まとめ

差し歯が臭い場合は、不適合が原因かもしれませんので、臭わないようにするためにはセラミックなどへの作り替えを検討する必要があります。差し歯を入れてから年数が経ってないのに臭いがする場合は、歯周病などが原因かもしれないので、早目に歯科を受診することをおすすめします。

口臭が気になる場合は、小まめに重曹水やアルカリイオン水でうがいを行うことも大切です。

アルカリイオン水でうがいを行うと口臭が防げる

【参照リンク・参考文献】
日本歯科医師会 歯とお口のことなら何でも分かるテーマパーク8020
日本口臭学会 口臭と口臭症に関連する用語
日本口臭学会誌 口臭への対応と口臭治療の指針2014
日本口腔ケア学会
日本歯周病学会
日本臨床歯周病学会

 

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