こんにちは、口腔ケアアンバサダー(社団法人 日本口腔ケア学会認定)の上林登です。
「差し歯や銀歯からドブのような臭いがする…」
そんなお悩みはありませんか?
被せ物のトラブルは見た目に気づきにくいぶん、進行すると一気に強烈な口臭を放つことがあります。この記事では、原因の仕組みをやさしく解説し、今すぐできる応急ケアから歯科治療の選択肢、再発させない生活習慣までを徹底ガイドします。
クリックできる目次
なぜ被せ物は臭いやすい?5大メカニズム
①セメント劣化で生じるミクロの隙間
被せ物は接着用セメントで固定されていますが、加齢や咬合力、酸性飲食物の影響でセメントが徐々に溶け出します。わずかな隙間に唾液と細菌が入り込み、二次カリエス(再び虫歯)を誘発。そこから発生する揮発性硫黄化合物(VSC)が悪臭の主因です。
②銀歯・レジンの経年腐食と吸水性
保険適用の銀合金やレジンは耐久年数5〜7年が目安。銀は錆び、レジンは水や色素を吸収し、表面が粗くなることでプラークが定着。結果、嫌気性菌が増殖して腐敗臭を放ちます。
③根管内で起こる隠れ虫歯・感染
差し歯の芯となる根管治療が不完全だと、歯の内部で感染が再燃することがあります。自覚症状がないまま膿が溜まり、
「噛むとじんわり痛む」「歯茎を押すと膿が出る」などのサインとともに強い臭いが出ることも。
④歯周病・歯肉炎との合わせ技
被せ物の縁が歯茎に食い込んで段差を生むと、歯周ポケットが深くなり歯周病菌が繁殖。
歯周病由来の腐敗臭と被せ物由来の臭いが重なると、ドブ臭・鉄臭さが顕著になります。
⑤噛み合わせ不良による欠け・浮き
噛む力が一点に集中すると被せ物が欠けたり浮いたりして微細な隙間が出現。そこに食片が入り込み腐敗するため、フロスや爪楊枝で触れた瞬間に強烈な臭いを感じることがあります。
自宅でできるセルフチェック3ステップ
フロス匂いテスト
フロスを被せ物と隣の歯の間に通し、抜いた直後に臭いを嗅ぎます。
生ゴミ様・玉ねぎ様の臭いがあれば二次カリエスや歯周病が疑われます。やり方はデンタルフロス完全ガイドで詳しく解説しています。
デンタルミラーで隙間確認
100円ショップでも手に入る小型ミラーを使用し、被せ物の縁を観察。黒ずみや線状の影は虫歯の兆候です。
“味”の変化から疑うサイン
金属味・苦味を感じたら銀歯の腐食や膿の漏出の可能性大。特定の歯を舌で触れたときにのみ味がするかをチェックしましょう。
応急ケア:今すぐ臭いを抑える方法
高濃度フッ素+フロス+マウスウォッシュ
市販の1450ppmフッ素入ペーストでブラッシング→フロス→抗菌タイプのマウスウォッシュの順で徹底洗浄。
ただしこれは一時しのぎに過ぎず、原因部位の治療が前提です。
舌苔ケア・口呼吸改善ワザ
被せ物由来の臭いに舌苔臭・口腔乾燥臭が加わると倍増します。「舌苔を安全に除去する方法」を参考に舌ブラシで優しく清掃し、寝る前の鼻呼吸テープで乾燥を防ぎましょう。
歯科での治療オプションと費用感
被せ物再製(保険銀歯 vs 自由診療セラミック)
保険適用の銀合金は3割負担で約5,000〜8,000円前後。
セラミッククラウンは自由診療で8万〜15万円が相場です。
長期的に見ればセラミックは
・変色・腐食がほぼなくプラークが付きにくい
・金属アレルギーリスクゼロ
と再発防止に有利ですが、初期費用は高め。ライフサイクルコストで比較し、自身の優先度で選択しましょう。
根管再治療が必要なケース
レントゲンで根尖部(歯の根の先)に影が見られる場合、被せ物を外して根管を再消毒する必要があります。
費用は保険で約5,000円(再診料別途)。
マイクロスコープやラバーダムを用いる自由診療の精密根管治療は8万〜15万円ほどですが、成功率が高く再発リスクを下げられます。
完了までの期間・通院回数
- シンプルな被せ物交換:2〜3回・約2週間
- 根管再治療+新規クラウン:4〜6回・1〜2か月
早期受診ほど治療ステップが短縮でき、費用も抑えられます。「様子見」は結果的に高くつくので注意です。
再発させない!被せ物を長持ちさせる生活習慣
プラークコントロールとメインテナンス周期
・デンタルフロス or 歯間ブラシを毎晩必ず
・電動歯ブラシは毛先が入れ替えられる「密集タイプ」を選択
・歯科でのプロクリーニング(PMTC)を3〜6か月ごとに受診
メインテナンスのたびに噛み合わせを微調整することで、クラウンの欠け・浮きも防げます。
食習慣・噛み癖の見直し
硬すぎる食材(氷・骨付き肉など)や夜間の歯ぎしりは被せ物に大ダメージ。
・ナイトガードの装着
・片側ばかりで噛む癖の矯正
・酸性飲料のダラダラ飲みを避ける
これらを習慣化すると寿命が延びます。
よくある質問(FAQ)
臭いけど痛みがない…放置していい?
痛みがなくても感染は進行しているケースが大半。放置すると歯根破折や歯周病が悪化し、抜歯になる恐れがあります。早期受診が鉄則です。
自費のセラミックなら絶対臭わない?
セラミック自体は腐食せず清潔ですが、接着部の管理が不十分だと隙間が生じて臭いの原因になります。
日常ケアと定期検診は必須です。
被せ物の寿命は何年?
平均寿命は
・銀合金:5〜7年
・ハイブリッドレジン:7〜10年
・セラミック:10〜15年
ケア次第で+3〜5年は延命可能と覚えておきましょう。
まとめ&次のアクション
被せ物の臭いは「隙間」×「細菌」がキーワード。
セルフチェック→応急ケア→歯科受診の順で早めに手を打つことで、痛みも費用も最小限に抑えられます。
今この瞬間の不安を軽減するために、
- フロス匂いテストを実施
- 口腔内を徹底清掃
- 信頼できる歯科医院へ相談予約
この記事が、あなたの笑顔と自信を取り戻す一助になれば幸いです。
うふふ、今日も爽やかな息で過ごしましょう!
関連記事:差し歯がドブ臭い!お家での対策ポイント
参考文献: