ブリッジの歯が臭いと口臭原因になります。「ブリッジ」は、抜歯した両隣の歯を削り橋のように連結する歯冠補綴物ですが、ダミーの底は食べ物が詰まりやすく、食べかすも残りやすいのがデメリットです。
ブリッジの短所はそれだけではありません、狭い隙間があるため、ブラッシングが困難です。そのため、歯周病になりやすく嫌気性菌が増え、口臭の原因物質である揮発性硫黄化合物(VSC)を多く産生します。ブリッジの歯が原因の口臭は、食べ物の腐敗臭や生臭いのが特徴的です。
病的口臭の90%以上は口の中にその原因があり、歯周病、むし歯(う蝕)、歯垢(しこう)「歯の周りに付く細菌の固まり」、歯石、舌苔(ぜったい)「舌の表面に付くコケ状の細菌の固まり」、唾液の減少、義歯(入れ歯)の清掃不良などがあげられます。
口臭を治すためには、寿命の来たブリッジは作り直すことも検討する必要があります。また、作り直した後も、ホームケア(ブラッシング)をていねいに行うことが大切です。ブリッジ部分に歯磨き残しがあると、また歯周病になり悩む人が多いです。
今回の記事では、ブリッジのやり替えで失敗しないように、また、ブリッジを作り直さずにご自身で対処する方法についてお伝えします。ブリッジの口臭についてお悩みでしたら是非ご参考にしてください。
この記事は、口腔ケアアンバサダー(社団法人日本口腔ケア学会認定)の上林登が書きました。
この記事の目次
ブリッジを作り直すと臭わなくなる?
私自身、院内とラボの両方の歯科技工士の経験があり、沢山のブリッジを製作しました。、そのため、ブリッジをやり替えるメリットとデメリットについてはかなり詳しいです。
新しくブリッジを入れると、審美的にもきれいになるし、良く噛めるようになります。もちろん、その時は歯ぐきの状態も良くなるため臭いがしなくなります。
しかし、装着してから年数が経過すると、ブリッジ(冠)の縁部と歯肉の間に隙間ができるようになります。この隙間に汚れが溜まることで臭くなるのですが、これは歯周病の序章だと思ってください。口臭が始まると徐々に歯肉炎が悪化するのが一般的です。
ですから、臭いが気になりだしたら、古いブリッジ(ブリッジの平均寿命は約7年)を早目に作り直すことをおすすめします。ブリッジを外した後は歯肉炎の治療をしますので、新しいブリッジを装着した後は口臭は気にならなくなります。
だからと言って、安心するのは禁物です。歯磨きケアが不十分だと、また臭くなるかもしれません。
ブリッジの歯が臭くなる原因
ブリッジを入れると口臭になりやすいです。ブリッジがどうして口臭の原因になるのか?その理由はこうです。
ダミー(人工歯)と被せ(銀歯など)との間のブラッシングが難しい。そのため、磨き残しから歯垢や歯石がよく付きます。そのため、虫歯や歯周病になり臭くなるのです。
きれいに磨けない
ブリッジのダミー部分の底にプラークが着いても、歯ブラシが入らないので、食べかすなどの汚れがたまってしまいます。同じように、ブリッジの歯と歯の間もきれいに磨けません。
これが、「ブリッジを入れてから、歯みがきをしても口臭がする。。。」という理由です。
歯医者さんに行くと、ブリッジを入れると歯ブラシだけではきれいに磨けないので、歯間ブラシを使うように指導されます。私も、ずっと歯間ブラシを使ってきました。
でも、歯間ブラシを使っても、ダミーの底部分は十分には磨けないのが現実です。プラークが着いたままになると、そこから腐敗臭(口臭)がします。
歯周病で臭い
ブリッジのダミーの底や歯肉部分にプラークが着いたまま放置しているので、歯ぐきを痛めてしまい歯肉炎を発症しやすくなります。
歯ぐきが腫れる
歯肉炎が発症すると、膿をともなう出血により口も苦く臭く感じます。歯周病菌による口臭は、自他ともに臭く感じる強さのニオイです。
歯周ポケットが深くなる
歯肉炎になると、ブリッジ部の歯周ポケットが深くなるのでプラークがたまりやすくなります。そして、歯周ポケットには歯肉炎による膿も溜まります。このことが、歯みがきをしてもすっきりしないという理由です。
歯ぐきが腫れるとか膿がでるようになると、口臭はさらにひどくなります。詳しくは、『歯ぐきから膿が!腫れて痛い!抗生物質が効かないのは何故?』をご参考にしてください。
虫歯が臭い
ブリッジを入れると二次カリエス(虫歯)になりやすいです。
被さっている銀歯の中で虫歯が進行する。長年、ブリッジを入れていると、銀歯の中で虫歯が進行しているかもしれないのです。
ブリッジの銀歯を外してみると、こんなに虫歯が進行していることも珍しくありません。虫歯になると、歯の内部が腐っているので強い腐敗臭(口臭)を発します。
虫歯をこのまま放っておくと、歯根の先まで病菌が食い尽くすことになってしまいます。こんなことにならないように、たまにレントゲンで検査してもらうことも大事です。
→ 銀歯の下が虫歯になり臭い!銀歯が臭くなる3つの原因と対策(治療・セルフケア)
歯根のヒビ割れが臭い
ブリッジの支台歯にひび割れができる。ブリッジを被せている歯根にひび割れができるというようなケースもあります。私の場合は、歯根にヒビ割れが生じました。
ブリッジは、両端2本の歯で3本分の力を負担することになりますので、両端の歯には過度の疲労が積み重なっていきます。そして、両端の歯には長年の疲労が重なった結果、ヒビが入ることに。
ヒビが入っても外見上は見えませんので、そのまま放置することが多いようです。私の場合もそうでした。さらに悪いことに…
ヒビの割れ目から歯周病菌が入っていき、歯根の先に膿の袋ができます。
歯根の尖端に膿の袋ができると、膿がたまり歯ぐきが腫れます。そして、歯ぐきを突き破って膿がでてきます。
歯ぐきが腫れる。くさい膿が出る。… 口が苦い。臭い。…
根尖性歯周病になると、この繰り返しです。この治療は、腕のいい歯科医でないとかなり難しいです。中途半端に細菌が残ったまま治療していると、歯周病は何度でも再発します。ですから、歯周病は難病といってもいいくらいの病気です。
これらが、「ブリッジをしてから口臭がする。」という理由だったのです。
ブリッジの歯の臭い対策
歯医者さんで診てもらう
ブリッジから臭いニオイがすると感じたら、虫歯や歯周病になっている可能性が高いので、すぐに歯医者さんを受診するようにしてください。レントゲン撮影をすると、ブリッジと歯の間に隙間ができている場合もあります。ブリッジと歯が不適合の場合には、作り変える必要があります。
歯磨きのポイント
ブリッジの形状(ダミー、連結部)が歯磨きでの磨き残しをつくる原因になっています。口臭を予防するためには、ブリッジの次の部位は特にていねいにブラッシングする必要があります。
- ダミーの底
- ダミーと銀歯との連結部の下
- 被せた歯と歯肉の間
フロスで清掃する
ブリッジの冠と自然歯が隣接した部分には、歯垢がつきやすいです。歯垢が付き時間がたつと、歯石ができ虫歯や歯周病の原因になります。そのことから口臭もするようになります。そのようなことにならないためにも、歯と歯の間部分は、よりていねいに清掃する必要があります。
ところが、隙間がせまい場合には、歯間ブラシだけでは清掃できません。そのような場合におすすめするのが、デンタルフロスです。
フロスの利点は、歯と歯の間がどれだけ狭くても通すことができることです。でも、フロスを初めて使用される場合は、難しいかもしれません。デンタルフロスの正しい使用方法については、次をご参考にしてください。
ハブラシによるブラッシングだけでは、歯と歯の間のプラーク(歯垢)の61%しか除けなかったのに対して、フロスを併用すると79%、歯間ブラシを加えると85%まで除去できました。
ブリッジを作り直す
私のブリッジによる口臭体験をシェアします。
舌が白いわけではない。膿栓(のうせん)が出ているわけではない。鼻からの息がくさいわけでもない。胃腸が悪いわけでもない。
もちろん、虫歯も全部治療している。
それなのに…口臭がしている。
これは、10年以上も前の私の話です。今となっては笑い話として話せますが、その当時は、真剣に口臭で悩んでいました。
さて、私の口臭の原因は何だったと思いますか?
この時の私の口臭は、前歯(セラミック)の4本ブリッジから出ていたのです。
口臭原因については⇒⇒『口臭がドブ臭でもアルカリイオン水うがいで取れるのか?実際にやってみた結果・・・』
前歯に差し歯(正確には支台歯の上部にセラミック歯を被せている)のブリッジを入れていました。
4本ブリッジを入れることになったのは、昔、田舎の歯医者さんにかかっていたことから、前歯を抜歯されたのが発端です。といっても、私の口腔ケアが悪かったのが元々の原因ですが。
抜歯した直後は、硬質レジンのブリッジを入れていたのですが、口臭がしたので5年後、セラミック歯にやり変えたのです。
自費治療で、前歯4本ともセラミックブリッジした時の費用は、
1本13万×4本= 52万円
そんな高額な歯を入れたにも関わらず、いつのまにか前歯舌側の人工歯と歯ぐきの間に隙間ができたのです。
その隙間が気になり、いつも指の爪で詰まっている食べかすをほじくっていたのを覚えています。
爪を嗅ぐとくさ~い。けれど、癖になる臭いでした。
隙間を直すとこなく、そのまま放置していたら、段々と隙間も大きくなり、食べかす(プラークも)も良く詰まるようになり、、、
もっと酷い口臭に!
それどころか、歯ぐきの色までが変色して歯ぐきが紫色に!
それで、結局、前歯のブリッジを外して作り替えることになったのです。新しいブリッジはよく適合していて、隙間もなく快適でした。ですから、作り替えて少し立つと、歯ぐきの色もピンク色に。
もちろん、口臭の微塵もなくなっていました。
こんなに簡単に口臭も歯ぐきも治るんだったら、もっと早くブリッジを作り替えるんだった。と悔やんだものです。
ところが、ブリッジによる口臭は、それほど単純なものではありませんでした。それから、1年も経たないうちに以前と同じような症状に悩むことに。それも、前歯だけではなく奥歯のブリッジも悪化したのです。
前歯に差し歯を入れているケースが多いのですが、差し歯も口臭の原因になります。差し歯と歯ぐきの間には汚れがたまりやすく、腐敗臭がすることがあります。詳しくは『差し歯が口臭の原因かも?臭い対策はこうすれば良い!』をご参考にしてください。
ダミーの底をていねいにブラッシングする
ブリッジを入れてから口臭がするようになったとか、歯周病になったという方がおられます。歯医者さんにかかっても、「ブリッジが古くなっているから交換した方が良い。」といわれることが多いのではないでしょうか。
果たして、ブリッジを作り変えて新しいブリッジに交換すれば、口臭も歯周病も治癒するでしょうか?
確かに、ブリッジが古くなれば、支台歯との間に隙間ができ汚れがたまりやすくなるため、歯周病が治りにくいです。ですから、ブリッジを交換することは良いことでしょう。
でも、それだけで、歯周病と口臭は解決することはできません。その理由をお話します。先ほどから説明していますが、ブリッジを交換しても、結局、ブリッジが入ることになります。
ブリッジの欠点は、底部のブラッシングが難しいことでしたよね。だから、歯周病になりやすい。結局、このブラッシングが困難なことは解決できないのです。そのため、口臭も起こりやすい!
では、どうすれば良いのでしょう?
それは、ブリッジを交換してからは、歯間ブラシやフロスを使用して、ていねいなケアを心掛けることです。
プラークコントロール
口臭予防で大切なことは、プラークコントロールです。毎日のブラッシングも大切ですが、歯科でPMTC(歯石除去やクリーニング)を受けて歯磨き残しのによる歯石を除去してもらうことが大事です。
口臭をしないように、ブリッジをやり替えるなど歯科治療を終えたら次のようにしてください。
- 定期的に歯科検診を受ける。
3か月ごとに歯科で定期健診を受け、歯石除去をしてもらう、歯周病の治療を受けることが大事です。 - より丁寧に歯磨きを行う
ブリッジを入れると磨きにくい部分ができるために、今までよりも丁寧に歯磨きを行う必要があります。そのためには、通常の歯ブラシのほかに歯間ブラシやワンタフトブラシを使用することも必要です。 - 泡の立たない歯磨きの使用
市販の歯磨き粉には発泡剤が含まれるものが多く、ブラッシング時に泡が立ち狭い部分を観察しながら磨くことが困難かもしれません。その対策として、無添加の歯磨き粉を使用することも良いかもしれません。
このように、お家で丁寧にブラッシングケアを行うことで、ブリッジを入れてもトラブルを予防できます。できれば、泡が立たない完全無添加の歯磨き粉「美息美人(びいきびじん)」を使用されることをお勧めします。美息美人(びいきびじん)はアルカリイオン水の歯磨きなので、口臭予防にもなります。
まとめ
ブリッジを入れている場合には、歯肉炎や舌苔によって口臭が出ていることが多いです。ですから、口臭予防は歯磨きケアだけに頼らずに、マウスウォッシ(ノンアルコール)などでうがいを小まめに行うことも大切です。
また、歯磨きに使う歯ブラシを電動歯ブラシにしたり、ワンタフトブラシ、歯間ブラシ、フロスと部位によって使い分けると効果的に口臭が予防できるでしょう。
二次カリエスなどの虫歯が原因で口臭をすることもありますが、その後、虫歯を治療してからも口臭が続くこともあります。「口臭原因が分からない。」と言う場合には、こちらの記事「簡単にできる口臭対策8つ!歯磨き粉、食べ物、ガム、効果的なのは、、」をご参考にしてはいかがでしょう。