こんにちは、口腔ケアアンバサダー(一般社団法人 日本口腔ケア学会認定)の上林登です。監修:歯科衛生士 上林ミヤコ
鼻息が臭いと感じるときは、鼻・副鼻腔の状態、口内の汚れや乾燥、においの感じ方の変化を分けて確認します。他人に伝わる場合もありますが、自分が鼻の奥で感じる臭いだけでは、周囲にも臭っているとは判断できません。片側だけの症状や鼻血が続く場合は耳鼻咽喉科へ、歯や歯ぐきの症状がある場合は歯科へ相談しましょう。
急いで受診したい症状
鼻の症状に加えて、目の周囲が腫れる、物が二重に見える・見えにくい、激しい頭痛がある場合は、通常の予約を待たず、速やかに救急外来などへ相談してください。[1]
鼻息の臭いは他人にもわかる?確認できること・できないこと
鼻から出る息の臭いが他人に伝わることはあります。ただし、自分の鼻の奥で感じる臭いと、周囲が呼気から感じる臭いは同じとは限りません。相手のしぐさではなく、具体的な指摘や医療機関での評価を参考にします。
相手が鼻を触る・顔をそらすだけでは判断できない
会話相手が鼻を触る、顔をそらす、距離を取るといった行動だけでは、鼻息や口臭があるとは判断できません。花粉、癖、姿勢、会話距離など、臭いとは関係のない理由でも起こります。
手で鼻や口を覆って自分の息を嗅ぐ方法も、臭いへの慣れや手・皮膚の臭いの影響があるため、客観的な判定には向きません。
家庭で分かることと、医療機関で相談すること
信頼できる家族から指摘された場合は、会話中だったのか、口を閉じて鼻で呼吸しているときだったのかを確認し、受診時に伝えましょう。何度も息を吹きかけたり、距離を変えて試したりする必要はありません。
家庭で分かるのは、その場で臭いを感じたかどうかです。原因や強さまでは確定できません。医療機関では、鼻や口の状態とともに、必要に応じて鼻と口からの呼気を分けた評価が可能か相談してください。口臭の検査内容は施設によって異なります。
確認を頼める相手がいなくても、症状が続く場合は受診できます。他人から指摘されるまで待つ必要はありません。
自分だけが鼻の奥で臭いを感じる場合
鼻の乾燥やかさぶたのほか、いつものにおいを違うにおいに感じる「異嗅症」や、においのもとがなくても感じる「幻嗅」などが関係する場合もあります。自分だけが感じるという理由で、嗅覚障害や心理的な問題とは判断できません。続く場合は耳鼻咽喉科で、鼻の状態とにおいの感じ方を相談してください。[2]
臭いの確認を繰り返し、仕事や外出、人との会話に影響している場合は、その困り方も医療者へ伝えましょう。
相談経験から:磨く回数を増やす前に
実際の相談には、「唾を飲むときに鼻から臭うように感じ、丁寧に磨いても気になる」という声がありました。口や喉の乾燥も自覚していましたが、臭いの原因や、他人に伝わる強さは確認できていません。私はこのような相談では、磨く回数を増やす前に、鼻・口の状態と臭いの客観的な評価を分けて考えることを大切にしています。
鼻息が臭いときのチェック|症状と相談先
鼻・喉・歯・口のうち、臭い以外にどんな症状があるかで、最初の相談先を整理します。複数当てはまる場合もあります。この表は次の行動を選ぶ目安であり、病名や臭いの原因を診断するものではありません。
| 気になる状態 | 次にすること |
|---|---|
| 鼻症状に加え、目の周囲の腫れ・見え方の異常・激しい頭痛 | 通常の予約を待たず、速やかに救急外来などへ相談する |
| 片側だけの悪臭・鼻づまり、繰り返す鼻血 | 耳鼻咽喉科で鼻の中を確認する |
| 濃い鼻水、頬・額の痛み、発熱 | 耳鼻咽喉科へ。強い症状や急な悪化があれば当日中に相談する |
| 鼻水が喉へ流れる感じ、続く咳払い・痰 | 後鼻漏などについて耳鼻咽喉科で相談する |
| 臭いのあるかさぶた、繰り返す出血 | 無理にはがさず、耳鼻咽喉科へ相談する |
| 奥歯の痛み、歯ぐきの出血、同じ歯間の臭い | 歯科で歯・歯ぐき・被せ物を確認する |
| 舌苔や朝のネバつき、口の乾きも気になる | 口内清掃と乾燥への対応を見直す。続く場合は歯科へ。鼻症状があればその相談も行う |
| 自分だけが鼻の奥で臭いを感じる状態が続く | 耳鼻咽喉科で鼻の状態とにおいの感じ方を相談する |
片側だけの症状や鼻血は、セルフケアだけで引っぱらない
片側だけに続く悪臭や鼻づまり、繰り返す鼻血は、乾燥や副鼻腔炎などを含め、診察で確認する必要があります。重い病気と決まるわけではありませんが、痛みがなくても放置しないでください。
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会は、鼻づまり・鼻血・頬のしびれ・片側だけの流涙が数週間にわたり片側に続く場合の受診を勧めています。これは「数週間待ってよい」という意味ではありません。症状が続く場合は早めに、強い症状や悪化がある場合は速やかに相談しましょう。[3]
鼻息が臭いと感じるときに確認したい4つの状態
鼻・喉・口にある症状は、一つだけでなく重なる場合もあります。ここでは体の状態を4つに整理します。これらに加えて、前述したにおいの感じ方の変化も確認対象です。

1.副鼻腔炎など、鼻・副鼻腔の状態
鼻づまり、粘りや臭いのある鼻水、頬・鼻周囲・額の痛み、嗅覚低下などがある場合は、副鼻腔炎などが関係している可能性があります。症状だけでは診断できないため、長引く場合は耳鼻咽喉科で確認してください。[4]
副鼻腔炎がある場合の臭いの疑問は、副鼻腔炎(蓄膿症)の臭いは他人にわかる?確認のポイントと受診目安で詳しく解説しています。
2.後鼻漏と口呼吸が重なる状態
後鼻漏とは、鼻水が喉の奥へ流れる状態です。鼻水の一部が喉へ流れること自体は生理的にも起こりますが、量が多い、粘りが強い、咳払いや痰が続く場合は耳鼻咽喉科で相談してください。後鼻漏があるだけで、他人に伝わる強い臭いがあるとは判断できません。
鼻づまりで口呼吸が増えると、口の中が乾き、舌苔や朝のネバつきも気になることがあります。この場合は、鼻の症状への対応と、口内を清潔に保つケアを並行して考えます。ただし、歯磨きやうがいで鼻・副鼻腔の病気や後鼻漏そのものを治せるわけではありません。[5]
鼻水が喉へ流れる・張り付く感じが中心なら、後鼻漏の対処法|鼻洗浄の注意点と受診目安を参考にしてください。
3.鼻の乾燥とかさぶた
鼻の中が乾燥すると粘膜が傷つき、かさぶたや少量の出血が起こることがあります。指や綿棒で無理にはがすと傷や出血を繰り返すため、触り続けないことが大切です。
部屋の乾燥を減らし、鼻を強くかまないようにします。かさぶたに悪臭がある、出血を繰り返す、片側だけ続く場合は、乾燥だけと決めつけず耳鼻咽喉科で確認してください。
4.歯・歯ぐき・舌苔・口腔乾燥
歯ぐきの腫れや出血、同じ歯間に通したフロスの臭い、被せ物・詰め物の周囲の臭いが気になる場合は、歯科で確認しましょう。歯周病や舌苔など、口内由来の口臭への対応も必要になることがあります。[6]
上の奥歯の炎症が上顎洞に関係することもあります。上の奥歯が痛い・噛むと響く、歯科治療後から片側の鼻症状が続く場合は、歯科治療の経過も耳鼻咽喉科へ伝えてください。歯科と耳鼻咽喉科の両方で確認が必要になる場合があります。[10]
口の乾きが続く場合も、清掃だけでは対応できないことがあります。痛みや食べにくさを伴う、飲水してもつらい場合は、歯科などで乾燥について相談してください。[5]
鼻と口への刺激を減らすセルフケア
症状が軽く、受診を急ぐ状態がなければ、鼻や口を傷つける行為を避け、乾燥への対応と日常の清掃を見直します。片側症状や出血などが続く場合は、セルフケアだけで済ませず相談してください。
1.鼻・舌を触りすぎず、刺激を減らす
鼻のかさぶたをはがす、鼻を強くかむ、舌を完全にピンク色にしようとこする行為は避けましょう。刺激の強い洗口液を短時間に何度も使うことも控えてください。
血管収縮成分を含む点鼻薬は、使いすぎるとかえって鼻づまりを悪化させることがあります。説明書の用法・用量・使用期間を守り、使用が続いている場合は医師や薬剤師に相談してください。すべての点鼻薬が同じ性質を持つわけではありません。[7]
2.乾燥に配慮し、歯・歯間をやさしく清掃する
こまめな水分摂取と室内の乾燥への配慮に加え、歯と歯ぐきの境目、歯間をやさしく清掃します。舌苔が気になる場合は、鏡で見える範囲を軽い力で清掃し、白さをゼロにしようとしないでください。
- 歯ブラシで歯と歯ぐきの境目を丁寧に磨く
- 歯間には、自分に合うフロスや歯間ブラシを使う
- 舌に痛みや出血がある場合は、舌清掃を中止して相談する
- うがいだけで、歯磨きや歯間清掃を済ませない
鼻づまりが続く場合は、口呼吸を意識だけで変えようとせず、鼻の状態を耳鼻咽喉科で確認しましょう。
鼻洗浄を行う場合は鼻洗浄用の製品を説明書どおりに使い、調製には蒸留水・滅菌水、または煮沸して冷ました水を使います。飲める水道水でも、そのまま鼻洗浄に使わないでください。器具は洗浄・乾燥させ、痛みや出血が出たら中止して相談します。口腔ケア用品や自己流の濃い液は鼻に入れないでください。[8]
3.続く症状は、左右差と経過を伝えて相談する
症状が続く、悪化する、生活に支障がある場合は受診しましょう。受診時には「いつから」「左右どちら」「鼻水・痛み・口の乾きなどもあるか」を伝えると、相談内容を整理しやすくなります。
臭いを何度も嗅いで確かめる必要はありません。鼻と口のどちらを優先するか迷う場合は、口臭タイプのチェックで、相談先とケアの目安を整理する方法もあります。
よくある質問
鼻息の臭いについて残りやすい疑問を、相談先を選ぶ観点からまとめます。
鼻息の臭いは胃から来ることがありますか?
鼻息が臭いという感覚だけでは、胃が原因とは判断できません。まず鼻づまり・後鼻漏などの鼻症状と、歯ぐき・舌苔・口の乾きなどの口内症状を分けて確認しましょう。胸やけや酸っぱいものが上がる症状も続く場合は、内科・消化器内科でその症状を相談してください。[11]
耳鼻咽喉科で異常なしと言われても臭いが続く場合はどうしますか?
歯ぐきの出血、歯間や被せ物の臭い、口の乾きなどがあれば歯科で確認します。においの感じ方の変化や鼻症状が続く場合は、経過を伝えて耳鼻咽喉科へ再相談してください。鼻と口の両方で原因が確認されず、不安が生活に影響している場合は、口臭を扱う医療機関で客観的な評価と不安への対応について相談しましょう。
子どもの片側だけから臭い鼻水が出る場合も様子を見てよいですか?
長く様子を見ず、耳鼻咽喉科へ相談してください。子どもの片側だけの臭いのある鼻水では、鼻の中の異物なども確認が必要です。自宅で指や器具を入れて取り出そうとしないでください。[12]
まとめ|臭いを感じる場所だけで原因を決めない
鼻息の臭いが気になったら、自分の感覚と他人からの指摘を分け、鼻・喉・口に一緒に出ている症状を確認しましょう。鼻症状が続く場合は耳鼻咽喉科、歯や歯ぐきの症状がある場合は歯科へ。日常ケアでは刺激を増やさず、乾燥への対応とやさしい口内清掃を続けます。
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参考文献・公的情報
- 英国NICE「Sinusitis (acute): antimicrobial prescribing」:目の周囲の腫れ・視覚異常などの受診判断。
- 米国NIDCD「Smell Disorders」:異嗅症・幻嗅など、嗅覚の変化と評価。
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「鼻腔がん・副鼻腔がんの特徴を知ろう」:片側に続く鼻づまり・鼻血などの注意。
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「鼻の病気」:副鼻腔炎、嗅覚障害など。
- 日本口腔外科学会「口の中が乾燥する」:口腔乾燥の症状と原因。
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「口臭の治療・予防」:原因への対応と口内清掃。
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「花粉症」:血管収縮成分を含む点鼻薬の使いすぎへの注意。
- 米国FDA「Is Rinsing Your Sinuses With Neti Pots Safe?」:鼻洗浄に使う水と器具の衛生。
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「鼻の症状」:鼻づまり・鼻水・鼻血・嗅覚などの症状。
- 日本口腔外科学会「炎症」:歯性上顎洞炎。
- 米国NIH「Gastroesophageal Reflux Disease (GERD)」:胸やけ・逆流の症状。
- Royal Berkshire NHS「Foreign bodies in the nose (child)」:子どもの鼻の異物と片側の臭いのある鼻汁。
