結論:
家庭では強アルカリ電解水(pH11.5+)の再現は困難→掃除はセスキ/炭酸ソーダで代用。
飲む・うがいは整水器のpH9〜10に限定。塩を入れて電解は危険。
根拠:飲用pH(業界団体・メーカー)/水道pH基準(厚労省・自治体)/塩素ガス注意(教育機関/公的資料)
この記事のゴール|初心者でも安全・正確に電解アルカリ水の作り方が分かる
こんにちは、口腔ケアアンバサダー(社団法人 日本口腔ケア学会認定)の上林登です。
「電解アルカリ水(=一般に“アルカリ電解水”)は自宅で作れる?」「重曹やセスキで代用できる?」──そんな疑問に、失敗しない3つの手順と安全な活用法を、歯科の専門視点でやさしく解説します。口臭・むし歯対策のうがいから、家中の掃除まで、今日から使えるガイドです。
基礎知識|アルカリ性の水の種類と違い
用語の整理:何がどう違う?
アルカリイオン水(電解水素水)は、家庭用整水器で水道水を電気分解して得る弱アルカリ性水(pH9.0〜10.0目安)。
アルカリ電解水(強アルカリ)は、主に掃除用途の高pH水(pH12前後)。
重曹水・セスキ炭酸ソーダ水は、粉末を水に溶かした非電解のアルカリ性洗浄液です。
アルカリ水の比較表
水種 | pH目安 | 主用途 | 必要機材 | 飲用可否 | コスト |
---|---|---|---|---|---|
アルカリイオン水(整水器) | 9.0〜10.0 | 飲用・うがい・調理 | 整水器 | ◎ | ★★★ |
セスキ炭酸ソーダ水 | 約9前後 | 掃除(皮脂・軽い油) | 粉末+水 | × | ★ |
重曹水 | 約8.0〜9.0 | 掃除・消臭(酸性汚れ) | 粉末+水 | × | ★ |
加熱重曹水(洗浄力UP) | 〜約11(条件次第) | 頑固な酸性汚れ | 鍋(加熱) | × | ★ |
強アルカリ電解水 | 12〜12.5+ | 除菌&頑固汚れ | 専用生成器 | × | ★★ |
※「飲用可」は医療機器整水器で生成したアルカリイオン水に限ります。掃除用アルカリ水(重曹/セスキ/強アルカリ電解水)は飲用不可です。
安全の大前提|食塩を入れて自作電解はNG
食塩水を自分で電解すると、陽極側で塩素ガスが生じ得ます。家庭での安全管理が難しく、絶対に推奨しません。飲用目的なら整水器、掃除はセスキ等の非電解レシピを使いましょう。
アルカリ性の「使える水」を自宅で作る3手順
① セスキ炭酸ソーダ水(代用レシピ)|もっとも手軽で均一
セスキ炭酸ソーダ水の作り方(代用アルカリ洗浄水)
準備するもの
- セスキ炭酸ソーダ粉末:小さじ1/水500mL(0.5%)
- スプレーボトル、軽量スプーン
作り方
- ボトルに水を入れ、セスキを加えてよく溶かす。
- 用途別にラベル(冷蔵庫/コンロ/床 など)を貼る。
用途
皮脂・軽い油汚れ、冷蔵庫内・フローリングの拭き掃除に。二度拭き不要。
② 重曹水→必要に応じて「加熱」で洗浄力アップ
標準(弱アルカリ)
- 重曹:小さじ1/水200mL
- 溶かしてスプレーに移す(pH8〜9目安)
パワーアップ(上級者向け:掃除専用)
- 鍋に重曹水を入れ、沸騰〜数分加熱。
- 冷ましてスプレーへ(手袋必須/アルミ不可)。
加熱でpHが上がる場合があります(〜約11)。飲用・うがい厳禁。必ず換気し、皮膚は手袋で保護。
③ 整水器でアルカリイオン水(電解水素水)を本格生成
手順
- 整水器を水栓に接続し、取扱説明書どおり初期洗浄。
- 目的に合わせてpH9.0〜10.0を選択(飲用/うがい)。
- 酸性水側は排水または別用途へ。
メリット
毎回安定した水質、飲用・うがい可。胃腸症状の改善に資する水として医療機器の位置づけ(用途限定)。
口臭・むし歯対策にどう使う?(うがい&歯みがき)
- 歯みがき後、アルカリイオン水で10〜15mLを30秒ブクブクして吐き出す。
- 酸性に傾いた口内pHを中和し、飲食後の酸をすばやくリセット。
- 歯ブラシ・舌ブラシのリンスにも活用(ぬめり・ニオイの軽減)。
うがいは弱アルカリ(pH9〜10)の整水器水推奨。重曹/セスキ/強アルカリ電解水は口腔内使用NGです。
▶内部リンク:アルカリうがいのコツと注意点 / アルカリイオン水で口臭予防の考え方
家中での活用(掃除・除菌・消臭)
- 油よごれ:セスキ(0.5%)を噴霧→1分置き→拭き取り。
- まな板・包丁:強アルカリ電解水→30秒後に水で完全すすぎ。
- 家電内部(電子レンジ/エアコンフィルター):二度拭き不要。
- 衣類の食べこぼし:汚れにセスキ→10分置き→通常洗濯。
アルミ・銅・真鍮・皮革・貴金属や塗装面は変色/腐食の恐れ。目立たない所で試験してから。
保存・安全チェック
- 保存:冷暗所で密閉。掃除用は3日以内に使い切り。飲用は作りたて推奨。
- 測定:pH試験紙や簡易pHメーターで数値を確認(特に加熱重曹水)。
- NG:食塩を入れて自作電解/密閉容器での加熱/アルミへの使用。
FAQ|よくある質問
- Q1. アルカリイオン水は飲んで大丈夫?
- 家庭用整水器で作る弱アルカリ性(pH9.0〜10.0)に限り飲用可。体調や薬の服用がある場合は医師に相談を。
※掃除用アルカリ水(重曹/セスキ/強アルカリ電解水)は飲用不可。 - Q2. 自宅で安全に使えるpHの目安は?
- 飲用/うがいはpH9.0〜10.0。掃除用は用途によりセスキ(約9)や重曹(8〜9)で十分。加熱重曹水はpHが上がるため手袋・換気・対象素材に注意。
- Q3. セスキや重曹で「アルカリ電解水」と同じ効果は出ますか?
- 除菌まで狙う強アルカリ電解水(pH12.5+)と同一ではありません。軽〜中程度の油汚れや消臭にはセスキ/重曹で十分。
- Q4. 「食塩+電気分解」で作ってもいい?
- 不可。塩素ガスなど有害物が発生し得るため、家庭での実施は危険。飲用目的は整水器で。
- Q5. 子どもやペットの口腔ケアに使える?
- 飲用は整水器の弱アルカリに限定し、最初は少量から。刺激や体調変化があれば中止して専門家に相談を。
まとめ|「電解は整水器、掃除は非電解」で安全・時短
- 作り方3通り:①セスキ(最手軽) ②重曹/必要時は加熱(掃除専用) ③整水器で弱アルカリイオン水(飲用可)
- 使い分け:口腔ケアは整水器水、家中の酸性汚れはセスキ/重曹。
- 安全:食塩の自作電解はしない。pHは試験紙で確認し、保存は短期で。
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