舌が白い、口臭がある
口腔ケアアンバサダー(社団法人日本口腔ケア学会認定)の上林登です。
舌苔(ぜったい)で舌が白くなると、口臭がしているのか不安になりますよね。気になるあなたの舌と口臭レベルをチェックしてみませんか?
参考:口臭の原因・実態 厚生労働省e-ヘルスネット
今回は、舌苔の付着状態から口臭の度合いを解説しますので、ご参考にしてください。
関連記事:舌が白い!舌苔の原因と取り除き方
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舌苔から口臭が起こるしくみ(口臭原因)
生理的口臭を起こしている原因で最も多いのが舌苔です。舌苔とは、細胞の剥がれたものや食べかすと細菌が舌の上にたまってできた苔のようなものです。
細菌が舌にたまったタンパク質を分解したときに、VSC(揮発性硫黄化合物)という臭いの物質を産生しますが、会話などで息を吐いたときに、このガスが口臭となります。
健康な人でも多少は舌苔がありますが、口が乾いた時や、体調が優れない時、胃腸の病気がある時には舌苔が厚くなると口臭の原因になります。
舌苔の状態と口臭
中医学では、舌は全身を映す鏡といわれ、体調の変化が舌の変化として現れることが知られています。最近の中医学では、「舌苔」そのものを見て診断する「舌苔診断学」も確立されています。
舌苔・口臭レベル1
舌苔は正常レベルの範囲です。口臭の心配もありません。
上の画像は、最高にきれいなピンク色の舌です。
しかし、舌はストレスや疲労など健康状態に影響されるので毎日変化します。
下の画像は少し舌苔が付いていますが、放っておいても健康状態がよくなれば元に戻ります。口が乾くと口臭が発生しますが、この程度であれば過剰に口臭を心配する必要はないと思います。
参考:舌をピンクにする!?健康なピンク色にするための方法について
舌苔が出来ているというよりも、舌乳頭の角化によって舌表面がうっすら白くなっている状態です。角化は誰にでも起きる正常な症状ですので、ご心配する必要はありません。これからも、この正常レベルを維持するようにキレイな口腔環境を保ちましょう。
口臭レベル1
通常の会話やキスでは、ほとんど口臭の心配はありません。
でも、起床時や空腹時には口臭が発生しやすいので、口臭レベル1だからといって安心すると、大変なことになることも。
舌苔・口臭レベル2
舌の奥の方にだけ舌苔が出来ている「舌苔レベル2」
舌の根元(奥)には舌扁桃があり、喉の左右には口蓋扁桃があるのですが、この扁桃からは、口の外から侵入してくる細菌やウイルスをやつけるために、リンパ球などの免疫が分泌されます。そのため、扁桃付近には細菌とウイルスの死がいからなる痰(膿汁)が付着します。
痰(膿汁)は、唾液によって胃に流されるのが普通ですが、唾液量が少なく喉や口が乾燥すると、
喉と舌の奥に菌が増殖して、舌苔ができやすくなり、口臭の原因となります。
舌の奥についた舌苔については、こちらをご参考にしてください。
>舌の奥の舌苔が取れない!効果的な取り方とは
舌苔のケアは、うがいを行ったり、唾液の分泌を促進すると良いです。
このレベルの人は、舌苔が出来たりなくなったりと日によって変化があります。
舌苔は、仕事などで疲労やストレスがたまり免疫が下がった時に良くできます。ですので、舌苔が出来た時は、健康状態が悪くなったというサインととらえると良いかもしれませんね。
健康がもどれば、舌もキレイになるのでご安心ください。
口臭レベル2
顔を近づけて臭いを嗅ぐと分かるレベルの口臭です。
2~3メートル離れていれば分からない口臭ですので、それほど心配はありませんが、狭い室内や車内は要注意です。
臭いが気になる場合は、小まめに水を飲むと良いでしょう。
舌苔・口臭レベル3
舌苔が治らずに慢性化している状態。
画像引用:イシャチョク
慢性的に舌苔が付いているのであれば、原因として考えられることは2つあります。
1, 腸の不調(便秘や下痢や胃腸疾患など)
2, 自律神経の乱れ
参考:ストレス口臭
慢性的な舌苔を治すには、胃腸を健康にして自律神経を整えることが肝心です。舌磨きで取れない場合は、粘膜を傷めたり口腔乾燥の原因となるので舌磨きを中止したほうがいいです。舌磨きの代替法としては「コットン法」をおすすめします。
唾液の分泌量が減少すると、口の中・舌が乾燥して舌苔の原因となります。
舌苔がこの状態の人は、健康状態が優れないとか自律神経が乱れているなどが原因になっていることが多いです。対策とすれば、十分な睡眠や運動や趣味を積極的にして心身ともに元気になることが効果的です。
関連記事>>ストレスが口臭原因かも?口臭を改善するためのポイントについて
他にも慢性舌苔の場合には、暴飲暴食や偏食などの食生活が影響していることもあるので、当てはまる場合には、食生活を見直し改善することが望ましいでしょう。
このレベルの舌苔対策は、歯磨きとうがいによる口腔ケアをより充分おこなうことが大切です。
口臭レベル3
2メートルほど離れていても、「ぷん」と口臭がするのを感じるレベルです。
口臭対策としては、こまめに水を飲むことことや、「舌の運動」がおすすめです。出来るだけお口を乾かさないようにすることがコツです。
舌苔・口臭レベル4
舌の奥から手前にかけて半分ほど舌苔ができている状態。
このレベルになると、舌苔が黄色や茶色ぽく見えることもあります。これは、口臭物質であるVSC揮発性硫黄化合物が舌苔に溶け込んで黄色くなっているからです。そのため、しばらく口を閉じていた人が会話をすると臭い息が外に出て、相手も臭い匂いを感じます。特に口が粘つくなど口の中が乾燥した状態は要注意です。
舌苔レベル4は、お口の中にばい菌が増え口腔環境が悪化している状態ですので注意が必要です。
このレベルが慢性化している人の場合には、虫歯や歯周病にもなりやすいという特徴があります。また、喉に臭い痰(膿汁)や膿栓もできやすく、喉がイガイガするなどの違和感もあるかもしれません。
喉に違和感がある場合は、耳鼻科疾患の疑いもあるので、早目に受診されることをおすすめします。
舌苔については⇒⇒『舌が白い!舌苔の原因と取り除き方』
口臭レベル4
口臭レベル4は、相手が少し近づくだけで口臭を感じるレベルです。
このレベルになると周囲に迷惑をかけるかもしれないので、積極的に対策をとらないと日常生活に支障が起きてきます。
対策とすれば、食生活、喫煙習慣、生活習慣の見直しだけではなく、耳鼻科の治療や口呼吸(いびき、開口)の改善などが必要になることもあります。
また、睡眠前の口腔ケアを今まで以上に丁寧に行うことや、日中も小まめに水を取ることをおすすめします。
舌苔・口臭レベル5
舌苔レベル5は、かなり危険なレベルです。
舌全体が厚く真っ白な舌苔で覆われています。舌磨きを行うことで、舌苔がはがれ地図状になることも。過剰な舌磨きをしている人に多いのですが、舌がヒリヒリと痛むとか異常に口が乾くというような不快感を生じることもあります。
舌苔レベル4の原因は様々ですが、多いのは次のようなものです。
- 過剰な舌磨き
- 薬の副作用(降圧剤、睡眠誘導剤、安定剤など)
- 鼻や喉の疾患
- 逆流性食道炎
- 自立神経失調症(ストレスなどによる)
このような舌苔が出来ている場合は、他に悪影響が出るかもしれないので、早目にお医者さんにご相談されることが大切です。
口臭レベル5
口臭は、最も臭いレベル5です。
「ドブ臭い」とか「下水の臭い」、「便の臭い」がするといわれる口臭がします。
このレベルになると、周囲の人が口臭を感じます。相手だけではなくご自身もストレスになりますので、放置しないで直ぐに口臭外来や耳鼻科に行かれることをおすすめします。
口臭対策としては、先ずお医者さんで診断・治療を受けることが重要です。そして、積極的な口腔ケアを行うことも大切です。「治らない」とあきらめないで前向きに努力されることが一番大事なことです。
まとめ
舌苔が付くと口臭の原因になり、舌苔量が多い、舌苔の色が黄色や褐色など濃くなるほど口臭は強くなる傾向にあります。
舌苔が厚くなるのはストレスや体調不良が原因で、ドライマウスが影響するので、唾液の分泌を促進すると舌苔予防に効果的です。
舌苔が分厚いからと過剰に舌磨きすると、逆効果になるのでご注意ください。舌苔が付かないようにするにはアルカリイオン水のうがいがおすすめです。