口腔ケアアンバサダー(社団法人口腔ケア学会認定)の上林登です。
足が臭い、わきが臭い、口が臭い、これら3つのニオイには共通点がある、ってご存知ですか?
共通点の一つ目はどれも体から発生する汗の匂いと唾液の匂いであり、二つ目はニオイの原因が細菌であること、三つ目は対策をしても中々消せないことです。
今回は、足や脇の臭いと口の臭いを比較しながら、口臭の治し方をイメージしてもらおうと思います。ご参考になれば幸いです。
足のにおいの原因
足の臭いを消すには、足を洗うだけではダメです。足を洗ったすぐは、におわなくなりますが、また臭くなるという経験をしたことがあるのではないでしょうか。
菌は高温多湿を好む
水虫の真菌や細菌は、適度な温度と湿度のある環境を好みます。湿度80%以上、温度15℃以上になると真菌は活発に増殖します。
足は洗ってもまた臭くなる
足は蒸れやすく雑菌が繁殖しやすいからです。嫌な臭いが発生する、足の臭いの正体は雑菌(細菌や真菌)です。足に汗をかきやすい人ほど臭くなるのはそういう理由からです。
足を洗うと細菌はなくなるハズでは?
雑菌は皮脂や垢をエサとして生きていますが、菌は足だけでなく靴や靴下にも繁殖します。靴や靴下を長く洗っていないと細菌が生息しています。靴や靴下が臭い場合は、細菌が活動しているということです。
足のにおい…こんな人は要注意!
こんな人は足が臭い可能性大です!
1,角質が溜まっている人
2,通気性の悪いストッキングやタイツを履いている人、ゴム長靴は最悪。
3,靴や靴下を履き替えない人
4,靴や靴下を洗わない人
足が臭い、対策はこうすれば良い!
1,足を洗っていない。かかとや指が角質で白くなっている場合は、入浴時に石けんでキレイに洗い落としましょう。また、爪の中には汚れが溜まりやすいので、爪が伸びて不潔にならいよう、気を付けて爪切りすることすることも大切です。
2,ストッキングやタイツは蒸れやすいので、小まめに履き替えることも大切です。
3,前日履いた靴を翌日も履くと、足に感染してしまうので、複数の靴をローテンションで回して履くようにしましょう。
4,靴や靴下は洗っても、除菌していなければ細菌が残ります。洗濯剤は除菌できて消臭効果のあるものを選ぶようにしましょう。
足の臭いを口臭に当てはめる…口臭の原因と対策
1,口が臭い人はプラークが付いている。歯磨きしていても歯の隅々まで行き届かず、磨き残しがあり、そこから臭いが発生している。
対策→ 丁寧にブラッシングする。定期的に歯科で歯石除去とクリーニングをしてもらう。
2、歯磨きをしていても、しゃべらずに口を閉じたままにしていると、口中にガスがたまります。口を開いた時には口臭が一気に出て臭いのはそのためです。マスクをしていたら口とマスクの匂いで余計に臭くなるので注意しましょう。
対策→ 会話したり、大きく口を開けて深呼吸をして、口中の空気を入れ替えてガスが溜まるのを防ぐようにすることが大切です。
3、歯磨きしてもプラークが残っていると口臭がします。細菌は歯の表面だけでなく、(歯肉炎による)ポケットや舌苔(ぜったい)に生息しているからです。
対策→ 定期的に歯科健診を受けて歯周病治療や歯石除去や歯のクリーニングをしてもらうようにしましょう。
歯磨きの時はポケットの清掃をしっかり行なうことが大切です。舌苔量が多いと口臭原因になるので舌苔の清掃も行なうようにしましょう。
4,朝歯みがきをしていても、就寝前に歯磨きしないと口臭がします。口臭の元になる細菌は、唾液の分泌が止まる夜中(睡眠中)に増えるからです。
対策→ 就寝前の歯みがきが最も重要なので、眠くても我慢して、丁寧にブラッシングする習慣を身につけましょう
ワキが臭くなるのは?
ワキの汗腺(アポクリン腺、エクリン腺)からは、たんぱく質や脂肪を含んだ粘り気のある汗を出ます。肌表面の常在菌がこれを食べて、独特の発酵臭「ワキガ臭」を発生します。
※本来無臭のエクリン腺の汗が、ストレスなどの影響でベタベタになり、そこに菌が作用して、におうのだ。これが汗くささのメカニズム。(五味院長)
引用:ヘルスUP健康づくり「気になるストレス性の“べとべと汗”の対処法」より
つまり、ワキの臭いを予防するためには、「ストレスをためないこと」と「サラサラの汗にする」ことが大切なのです。
ワキ汗からの学びを口臭予防に活かすと、どうなるでしょう?
汗は唾液に置き換えられますから、ネバネバ唾液をサラサラの唾液にすると口臭も予防できるという訳です。
ネバネバ唾液をサラサラにすると口臭を予防できる
唾液は自律神経の働きによって、副交感神経が作用している時にはサラサラ唾液が分泌されます。
しかし、緊張や不安などストレスがかかると交感神経に傾くために唾液はネバネバになります。この時に細菌が活発になり口臭を発生させるのです。
サラサラの唾液を分泌させるには、乱れた自律神経を安定させることが大切です。入浴でリラックスしたり運動することが口臭予防に効果的です。
汗は無臭?臭いのは服についたニオイ!?
ほとんどが水分からなる汗は、もともと無臭です。ところが臭いのは、服に細菌が繁殖いているから。
洗たく物に汗や皮脂などが残ってしまうと、それを餌にして細菌が繁殖してしまい、汗臭いニオイが発生する原因となります。
菌は湿った環境を好むため、洗濯後に生乾きになると服が臭くなります。
口の中も服の臭いと同じで、唾液の分泌量が十分あっても、歯や舌(舌苔)に菌が付着していたら、唾液と反応して口臭を発生させます。
口臭対策のポイントは、唾液の分泌を促すことと、十分に口腔ケアを行なうことなのです。
追記:防臭スプレーが効かないのは?
ワキの臭いを防ぐために防臭スプレーを使う人が多いですが、汗の質が悪くべたべたしていると、汗と菌が下着に付くために、スプレーで臭いを防ぐことはできません。
口臭でも同じことが言えます。唾液がベタベタであれば、タブレットを食べても匂いをマスキングするだけで口臭を防ぐことはできません。
ワキ汗をかいた時は制汗シートですぐにふき取ると良いように、口が粘つく時はティッシュで舌を拭き、うがいをしましょう。また、小まめに水や白湯を飲むと口内が洗浄でき、サラサラ唾液を分泌する効果も期待できます。
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