口腔ケアアンバサダー(社団法人日本口腔ケア学会認定)の上林登です。
会話の時に感じる、お口のニオイ。「もしかして相手の人も臭いに気付いているかも…?」と不安に感じることってありますよね。
口臭には病的口臭と生理的口臭がありますが、口臭の7割は舌苔から発生していると言われています。ですから、口臭を防ぐには舌苔が着かないように予防することが重要です。
今回の記事は、どうして舌が白くなるのか、どうすれば舌苔を付かなくして口臭予防できるのかについてご紹介します。
この記事の目次
舌苔の原因
舌には、古くなり剥がれ落ちた口腔粘膜や細菌、食べカスや汚れなどが付着します。 これらが舌の表面に溜まったものが「舌苔(ぜったい)」です。
舌は胃腸など消化器官の延長にあるため、内臓の状態が舌に表れます。便秘や下痢、胃腸疾患などで内臓が不調になると、糸状乳頭(舌乳頭)の先が伸びて角化を促進します。
このことが舌苔を厚くする大きな原因となります。
関連記事>>舌が白い!舌苔の原因と取り方
舌苔の原因となる生活習慣をしていませんか?
いつもは、きれいなピンク色の舌をしている人でも、舌が白くなる時があります。舌苔が出来ると口が臭くなりますので、すぐに、口臭は舌苔があるからだと思いますよね。
でも、口臭の元である「舌苔」が出来る原因についてまで、考えたことがあるでしょうか?
舌苔は誰にでもできますが、次のような日には特に白くなります。それは、暴飲暴食してお酒を飲んで夜更かしした翌朝です。
朝起きて鏡を見ると、舌の奥には白い苔がべっとりついて、唾は粘つき、きつい口臭がしたという経験はありませんか?
でも、この経験から分かることがあります。それは、病気でなくても体が疲労して免疫が低下すると、舌苔がよくできるということ。
そして、唾液の分泌が減ると、口内細菌が増えて、舌苔ができ、口臭が出るということです。
舌苔ができやすい生活習慣をご紹介すると…
喫煙やいびき・開口による口腔乾燥や、偏食、暴飲暴食、唐辛子など辛い食べ物が多い食習慣。寝不足やストレスが多い、、このような生活習慣があると舌苔がよくできるのでご注意ください。
舌苔の症状には個人差がある
舌が白いとか舌苔ができていると言っても、「舌苔」の程度は大きく異なります。そのため、症状にも違いがあります。
舌の上にびっしりと舌苔があると、口臭で迷惑をかけてしまうかもしれません。また、舌苔の色が、黄色や茶色のように濃い場合には、さらに口臭が強くなるので気をつけましょう。
舌が白くても、、舌の表面に白く薄いカーテンが被っている程度では、ほとんどニオイの心配はありませんのでご安心ください。
じつは、このように薄い舌苔ができるのは、舌乳頭の角化が原因です。食事で舌がすれたり、老化した細胞が角化したことで、舌が白く見えるのです。
しかし、舌苔ができる人は、(唾液量が少ない)口腔乾燥のことが多く、口が粘ついたり、舌がぴりぴりと痛む症状に悩まされることがあります。
口臭原因は舌苔の「菌」です
舌が白いと、口臭の発生を心配して舌みがきを行う人がいますが、舌苔そのものが口臭原因ではありません。
ニオイは、細菌が口内のたんぱく汚れを分解することで発生するガスです。口臭の元となる嫌気性細菌は、汚れとかたまると舌苔になりますが、本当は唾液中に多く存在しています。舌がきれいでも口臭がある場合は、口内環境が悪いからかもしれません。
唾液は、スポンジ状の舌苔に浸透し臭いを発しますが、舌みがきで舌苔を除去しても、口臭は完全にはとることは難しいです。
口臭を完全除去するには、舌清掃だけではなく、歯磨きやマウスウォッシュを使い口腔ケアをして口内を清潔に保つことが大切です。
口腔ケアは、唾液中の雑菌を減らし、間接的に誤嚥性肺炎の予防にもつながります。
関連記事:よだれの臭い(布団、マスク、キス)を消す方法!唾液の臭い予防と対策について
口臭が気になるなら、舌苔ケアを見直してみましょう
口臭になる一番の原因は唾液量の不足です。ストレスがたまらないようにして、唾液の分泌量を増やすように心がけましょう。
また、寝不足、喫煙、飲酒、お菓子の食べ過ぎなど生活習慣を見直してみることも大切です。
口臭が気になる方へのおすすめは、洗口剤によるうがいと、白湯などを飲むなどして水分補給するといいです。
口腔ケアに、舌苔を溶かす「アルカリイオン水」の口臭予防歯磨き粉「美息美人」をうがいに使うと、舌苔をできにくくします。
舌苔の予防
舌が白いと、すぐにでも舌磨きをして綺麗にしたいと思うかもしれません。しかし、たとえ舌磨きをしても、舌苔を完全に取り除くことは不可能です。
根本的原因を改善しない限り、舌は白くなります。また、過剰な舌磨きによって、舌がヒリヒリしている時には、舌は磨かないようにして舌用の保湿ジェルを塗布するようにしましょう。
口臭を改善するには、舌みがきで舌苔を除去することが有効です。だからといって、歯ブラシでゴシゴシと何度も舌をこすると、舌の粘膜を傷つけてしまい、かえって舌苔の原因になるのでご注意ください。
【正しい舌の磨き方】
1,舌みがきは、朝か夜、どちらか一回にする。
2,専用の舌ブラシを使用する。
3,鏡を見ながら舌の汚れた部分だけを磨く。
4,舌の奥から前に舌ブラシを3~4回動かす。この時、優しくなぜるように磨くのがコツです。
5,舌苔は完全に除去できません。一度に舌をきれいにしようとしないで、毎日の舌清掃で少しずつ改善するようにしましょう。
⇒ 舌磨きしないほうがいい ❘ 正しい舌磨きの方法はこうする!
⇒ 舌磨きがダメな理由5つ。コットンにあるものをつけて舌を拭く方法とは?
舌苔は一度に取れない
舌磨きの経験がある人であればよく知っていることですが、歯ブラシで舌を磨くと、白い糸状乳頭が逆立ち絨毯のようになります。舌磨きを行う前よりも、舌の状態が悪くなりショックを受けられる人が多いと思います。
舌苔は一度に綺麗にできないことを理解し、舌ケアを行わないといけません。舌苔が多くあっても、一変に舌苔を取ろうとしないで、毎日少しずつケア(舌磨きなど)を行うのが正しいやり方です。
舌にひび割れがあるケース
舌の中央に縦に走る溝があることがあると、舌苔ができやすくなります。溝状舌には、先天性の溝と口腔乾燥などから後天的にできるケースがあります。
溝が深いと汚れがたまり臭くなります。また、舌苔の原因にもなります。対策とすれば、舌の溝を清掃することが大切ですが、磨き過ぎると逆効果になりますのでご注意ください。
柔らかい歯ブラシで、溝部分を2~3回なぜるようにして清掃するといいです。この時、完全に取らないようにしてください。
最後に、コットン(綿花)に美息美人のアルカリイオン水を湿らせて、溝部分に塗布すると、口臭予防になります。効果の高い時間帯は、就寝前と朝起きてからの歯磨き時です。
看護・介護の舌苔ケア
重症患者の看護や寝たきり高齢者などの介護の現場では、自身で口腔ケアを行うことができないため、口腔衛生が悪くなり舌苔ができます。多量に舌苔ができると、誤嚥性肺炎や口臭の原因になるので、毎日舌ブラシで舌を磨いて綺麗にする必要があります。
免疫力を高める
免疫が高いと舌苔ができにくくなります。免疫力を高める食べ物を進んで食べるようにしましょう。納豆、漬物、ヨーグルトなどの発酵食品や、海藻類やキノコなどの食物繊維が免疫をアップする効果があります。
また、体を温めると免疫が高まるので、生姜、にんにく、とうがらしを食べたり、お風呂にゆっくりと浸かるのもおすすめです。
まとめ
舌が白い時は、体調が良くないサインだと思った方が良いです。そのためには、毎朝、歯磨きの時に鏡を見て、「舌が白くないか?」確認しましょう。
また、舌苔は細菌の塊であるため、舌が白くなっていると、外からの菌やウイルスに感染しやすくなります。口内の衛生状態が悪いと新型コロナウイルスの感染リスクも高くなると言われているので、毎日舌磨きなど舌ケアを行うことも大事です。
関連記事>>舌が白いと口臭になる!舌磨きのポイントは粘膜を傷つけないこと