【専門家監修】くしゃみが臭う原因と今すぐできる対策|においタイプ別チェック付き

くしゃみが臭い男性のイラスト

こんにちは、口腔ケアアンバサダー(社団法人 日本口腔ケア学会認定)の上林登です。監修:歯科衛生士 上林ミヤコ

くしゃみをした瞬間、なぜかイヤなニオイがする。くしゃみの後だけマスクが臭い。こんな違和感は、口の乾きや舌苔、膿栓(臭い玉)、鼻や副鼻腔の炎症、胃の不調など、原因が複数に分かれます。1回だけなら、マスクの汚れや唾液の付着が原因のこともあります。

大切なのは、のど奥を押したり綿棒で取ろうとしないこと。多くは安全なセルフケアで落ち着きますが、黄緑の鼻水、顔の痛み、発熱、血の混じる鼻水、強いのどの腫れ、息苦しさが続く場合は早めの受診が安心です。この記事ではニオイタイプ別チェックで原因を絞り、今日からできる対策と何科に行くべきかを分かりやすく整理します。

くしゃみが臭い?においタイプ別チェックで原因を絞る

「どんな臭いか」と「どこから臭う感じがするか」で、原因の当たりがつきやすくなります。まずは近いものを選び、当てはまる対策から試してください。

  • マスクの内側だけが臭い:マスクの汚れ、唾液や皮脂の付着
  • 鼻づまりや黄緑の鼻水もある:副鼻腔の炎症、後鼻漏
  • のど奥から腐った臭いがする:膿栓(臭い玉)
  • 口がネバつく、舌が白い:口腔乾燥、舌苔、歯周トラブル
  • 胸やけ、酸っぱいげっぷが続く:逆流など消化器由来の可能性

※ここは自己診断ではなく、原因を「絞り込みやすくするための目安」です。心配な症状がある場合は受診してください。

結論:臭いタイプ別に原因を切り分け、48時間以内にケア開始

くしゃみが臭うのは、単なる体質や一時的な問題だけではなく、体内のどこかで異常サインが発生しているケースがほとんどです。
そのまま放置すると、慢性的な鼻・喉の疾患や、全身の不調につながることも。

「においのタイプ」を見極め、原因ごとのケアを48時間以内にスタートすることで、多くの場合はセルフケアで大幅な改善が可能です。
ただし、高熱や激しい痛みがある場合は、すぐに医療機関へ!

▶くしゃみが臭う場合はこちらも参照

▶簡単セルフチェック!膿栓(臭い玉)リスク診断

くしゃみが臭う3大メカニズム

くしゃみの臭い発生のプロセス図

くしゃみのたびに「なんだか臭い…」と感じる場合、以下の5つのメカニズムが主な原因として考えられます。

マスクに付着した唾液や皮脂で臭うことも

「くしゃみの後だけマスクが臭い」「外すとニオイが強い」場合、口や鼻から出た細かな水分がマスクに付着し、時間が経って臭いが強まっていることがあります。体の異常というより、マスクの環境が原因のケースです。

今すぐできる対策: 使い捨ては毎日交換、布やウレタンはこまめに洗濯と完全乾燥。くしゃみをした後に気になる日は、マスクを替えるのが最短です。口の乾きがある日は水分補給も有効です。

鼻をこすりすぎると「鼻前庭湿疹」で臭いが強まることがある

鼻の入口付近(鼻前庭)が荒れて、かさぶたや分泌物がたまると、臭いが強く感じられることがあります。鼻を強くかむ、こする、指で触る習慣がある人は要注意です。

対策の基本: 触りすぎを避け、ティッシュでやさしく押さえる程度に。痛みやただれ、出血が続く場合は耳鼻咽喉科、皮膚症状が中心なら皮膚科も選択肢です。

副鼻腔の膿が気化する【蓄膿症】

副鼻腔炎(蓄膿症)では、副鼻腔内に膿がたまり、それがくしゃみや鼻をかむタイミングで空気と一緒に気化し、特有のドブ臭・腐敗臭がします。黄緑の鼻水、頬や目の奥の痛み、鼻の奥のニオイが気になる方は、副鼻腔(いわゆる蓄膿症)由来の可能性もあるのでこちらも参考にしてください。蓄膿症の臭いセルフチェック|距離別の見分け方と受診目安

▶蓄膿症で臭い場合はこちらを参照

喉の膿栓が飛び散る【臭い玉】

のど奥から腐ったようなニオイがする、白い粒(臭い玉)が出ることがある方は、まずこちらで安全な対処手順と受診目安を確認してください。膿栓(臭い玉)の取り方|押し出さない手順・赤旗サインと受診目安

膿栓が大量に出る原因と正しい対策はこちらの記事で詳しく解説しています。

全身性ガスが呼気に混ざる【胃腸・代謝異常】

胃腸の働きが低下していたり、糖質制限ダイエットや腸内環境の乱れがあると、腸内で発生したガスやケトン体が血液を通じて肺まで運ばれ、くしゃみや息に混ざることがあります。
甘酸っぱい臭いや、卵が腐ったような硫黄臭を感じる場合は、消化管や代謝異常が隠れているかもしれません。

におい別セルフ判定チャート

ご自身の「くしゃみのにおい」がどのタイプか、以下のチャートでセルフチェックしてみましょう。

くしゃみのにおいを4タイプに分類し、原因と受診の目安をイラストで示すチャート。

どれにも当てはまらない場合や、においが急に強くなった時は、無理せず専門医に相談を。

寝起きのよだれ臭さが気になる方はこちらもご覧ください

くしゃみが臭いときは何科へ?受診の目安も

くしゃみの臭いは原因が複数あるため、「一番つらい症状」に合わせて受診先を選ぶとスムーズです。

鼻づまり、黄緑の鼻水、顔の痛みがある:耳鼻咽喉科

副鼻腔の炎症や後鼻漏が関係していると、くしゃみの空気に混ざって臭いが強くなることがあります。鼻の症状が主役なら耳鼻咽喉科が第一選択です。鼻づまりや、のどに何か流れる感じ(後鼻漏)がある方は、原因別のケアと受診の目安を先に押さえると迷いが減ります。喉に流れる後鼻漏|張り付く原因と安全な対策、受診目安

口のネバつき、歯ぐきの出血、舌苔が気になる:歯科

口が乾く、ネバつく、舌が白くなりやすい方は、くしゃみの瞬間に口の空気の臭いが強調されることがあります。原因別のニオイタイプと対策はこちらです。ドライマウスの口臭はどんな臭い?原因別の早見表と今すぐ対策

胸やけ、酸っぱいげっぷ、胃のムカつきが続く:消化器内科

逆流などが続くと、口やのどの不快感と一緒に臭いが気になることがあります。胃の症状が続く場合は消化器内科も検討してください。

早めの受診が安心なサイン

  • 黄緑の鼻水が続く、顔や頬が痛い
  • 発熱、強いのどの痛み、飲み込みにくさがある
  • 血の混じる鼻水、出血が続く
  • 息苦しさ、強い腫れ、急に悪化した
  • セルフケアをしても改善せず、日常生活に支障がある

※この記事は診断の代わりではありません。不安が強いときは、早めの受診が最も安全です。

48時間ルール:医療機関を受診すべきサイン

くしゃみの臭いが48時間以上続き、次のような症状がある場合は、迷わず耳鼻咽喉科など専門医の受診をおすすめします。

  • 高熱(38℃以上)や顔の痛み・腫れ
  • 黄色や緑色の鼻水が2日以上止まらない
  • 喉の激しい痛み・飲み込めないほどの違和感
  • 目や歯茎に広がる痛み・腫れ
  • 全身のだるさ・急激な悪化

特に、免疫が落ちている方や子ども・高齢者は重症化しやすいため、早めの判断が大切です。

即効セルフケア5選

「くしゃみが臭い」症状を感じたら、すぐにできるセルフケアで原因ごとにアプローチしてみましょう。

1. 鼻うがいステップ(生理食塩水で洗浄)

  1. 市販の鼻うがいキット or 0.9%生理食塩水を用意
  2. 片方の鼻から少しずつ液を流し入れ、もう一方から出す
  3. 1日2回(朝晩)が目安
  4. 終了後は軽く鼻をかむ

鼻腔内の膿や細菌を洗い流すことで、臭いのもとをダイレクトに除去します。痛みや違和感がある場合は無理をせず中止してください。

2. 舌・扁桃ケア(臭い玉対策)

  1. やわらかい舌ブラシで舌苔をやさしく清掃
  2. 喉奥は無理に触らず、うがいや口腔用リンスで口内全体をケア
  3. 1日1〜2回が目安

膿栓ができやすい方は、水分補給や口呼吸の改善もあわせて実践しましょう。

舌が臭う原因と、ドライマウス対策はこちらの記事も参考になります

3. 発酵食品&水分補給(腸内フローラ調整)

  1. 納豆・ヨーグルト・キムチなど発酵食品を1日1品
  2. 水やノンカフェインのお茶をこまめに摂る(1.5L/日目安)

腸内環境を整えることで、全身のにおいガスや口臭の発生を根本から予防します。

4. こまめなうがいと口内保湿ケア

  1. 外出先や食後に水うがい・マウスウォッシュを活用
  2. 乾燥しやすい場合は、口腔用の保湿ジェルもおすすめ

口腔内の乾燥は菌の繁殖を招きやすく、膿栓や口臭悪化の要因になります。適度な保湿を意識するだけでも、不快なにおいが改善しやすくなります。

▶ より口腔内を整えたい方は『アルカリイオン水うがい』もおすすめです。

5. 食生活の見直し(特に糖質と脂質)

  1. 揚げ物・スナック菓子・過度な糖質の摂取を控える
  2. 野菜・タンパク質をバランスよく

食生活の乱れは腸内環境や新陳代謝に影響し、体臭・口臭の原因となることも。日々の小さな工夫が、根本的な改善につながります。

よくある質問(FAQ)

Q. くしゃみが臭うのは一時的でも大丈夫?
A. 一時的なら心配は不要ですが、2日以上続く・強い臭いの場合は、ケアや受診を検討しましょう。
Q. 臭い玉はどうやって自分で取れますか?
A. 無理に取ろうとせず、うがいや水分補給・舌磨きで自然に取れるのを待つのが安全です。頻繁にできる場合は耳鼻咽喉科へ。
Q. 鼻うがいは毎日続けてもいい?
A. 適切な濃度(0.9%)であれば毎日1〜2回は問題ありません。ただし、痛みや違和感があれば中止してください。
Q. くしゃみが臭う=口臭がきついということ?
A. くしゃみと口臭は原因が重なることもありますが、必ずしも一致しません。両方気になる場合は、口腔ケアと鼻腔ケアの両立が効果的です。
Q. 受診したほうがいい症状の目安は?
A. 高熱、顔や喉の激しい痛み、鼻水の色が異常に濃い場合、2日以上症状が続く場合は医療機関を受診しましょう。

参考文献

本記事は一般的な医療情報や経験談をもとに執筆していますが、ご自身の症状に強い不安がある場合や、セルフケアで改善が見られない場合は、早めに専門医へご相談ください。健康と安心を守るために、正しい情報と適切な判断が何より大切です。

歯磨きで取れない口臭がうがいでスッキリ

膿栓の取り方|ためしてガッテンの取り方は安全?押し出さない手順・赤旗サインと受診目安

臭い玉の取り方

こんにちは、口腔ケアアンバサダー(社団法人 日本口腔ケア学会認定)の上林登です。
監修:歯科衛生士 上林ミヤコ

「喉の奥から白い塊がポロッと出てきた」「ためしてガッテンで見た膿栓の取り方を、家でも真似していいの?」──そんな不安を抱えて、このページにたどり着かれたかもしれません。

先に結論:ためしてガッテンの「膿栓の取り方」はこう考えてください
  • 番組で紹介された方向性は、「押し出さず、洗浄とうがいでやさしく流す」点では安全寄りです。
  • ただし、高圧シャワー・熱すぎるお湯・指や綿棒など器具での圧出を自己流で真似するのはNG。粘膜を傷つけるおそれがあります。
  • ご自宅では、ぬるま湯うがい → 蒸気でふやかす → 必要時だけもう一度うがいという「押し出さない3ステップ」に絞るのが、現実的で安全なラインです。

自力で押し出す前に、膿栓が取れるタイミングを先に確認しておくと、安全に進めやすいです。

この記事では、この結論を土台に、膿栓の正体・やっていいこと/避けたいこと・安全な取り方の手順・赤旗サインと受診の目安・再発予防までを、順番にやさしく整理していきます。

なお、膿栓がほぼ毎週のように大量に出てくる・何度も繰り返す方は、この「取り方ガイド」とは別に、原因と再発予防をまとめた記事のほうが参考になります。
その場合は、先にこちらをチェックしてください:
膿栓が大量に出てきた!ためしてガッテン紹介の原因と対策(チェック3分)

知りたいところから読む(ショートカット)

「全部読みたい」という方は、この下の「クリックできる目次」から順番に読み進めていただいて大丈夫です。

膿栓とは?——“におい玉”の正体とできやすい条件

膿栓について説明する医師のイラスト

膿栓は扁桃のくぼみ(陰窩)にたまった老廃物が固まったもの。成分は食べかす・剥離した上皮・唾液成分・細菌・代謝物などで、乾燥や口呼吸が続くと固着しやすくなります。小さいものは自然に外れることもありますが、強引に押し出すと粘膜損傷や出血のリスクが上がります。

  • 体質差:くぼみが深い人ほど溜まりやすい(個人差)。
  • 季節差:冬季や花粉時期は乾燥・後鼻漏で増えやすい。
  • 連鎖:違和感→口呼吸→乾燥→固着…の悪循環に注意。

まず安全に:やっていいこととNG行為

やっていいこと 避けたいこと(NG)
40℃前後のぬるま湯うがい、低圧のやさしい洗浄、蒸気でふやかす 指・綿棒・ピンセットでの圧出/ジェットウォッシャーの高圧直撃
短時間×少回数(目安:10秒×1〜2セット 長時間の連続トライ、喉に強い力をかける行為
痛み・出血があれば即中止→経過観察 or 受診 痛み・出血があるのに続行すること

※「ためしてガッテン」で紹介された“洗浄・うがい”は粘膜を傷つけにくい方向ですが、高圧・高温はNG。安全側で運用しましょう。

安全な膿栓の取り方(約5分):押し出さない「やさしい促し方」

  1. 準備:手洗い/常温〜ぬるま湯(40℃前後)/清潔なコップと鏡。乾燥が強い日は先に少量の水分を。
  2. ぬるま湯うがい:上を向き「ア〜」と声を出し、喉奥に水を当てるイメージで10秒×1〜2回。強く吐き出さない。
  3. 蒸気でふやかす:洗面器の湯気をタオルで覆い、5分前後鼻呼吸。やけどに注意。
  4. 再トライ(必要時のみ):うがいをもう1セット。痛みや出血があれば中止
  5. 終了後ケア:口をすすぎ、水分補給。乾燥を避ける。

外しやすい時間帯と条件(ミニ理屈)

  • 入浴後・就寝後の起床時:湿度と温度でふやけて外れやすい。
  • 食後のうがい直後:唾液分泌↑で流動性が上がる。
  • 強い炎症時は不可:痛み/発熱がある日は自宅ケアより休息。

家庭ケアの比較表(メリット/注意点)

方法 期待できること 注意点
ぬるま湯/塩水うがい 付着物をふやかし流す 高濃度の塩は刺激。常温〜ぬるま湯で
低圧シャワー洗浄 広範囲を穏やかに洗える 高圧・高温はNG。短時間で
蒸気吸入 保湿で外れやすく やけど注意。長時間は不要

失敗しやすいポイントと代替策

  • 乾燥下でいきなり圧出 → まずふやかし→低圧の順序に。
  • ジェット直撃 → 粘膜損傷の危険。歯間清掃用途に限定。
  • 綿棒の深追い → 出血・炎症リスク。自己処置の線引きを。

赤旗サインと受診の目安:自己処置は中止して受診へ

  • 出血強い痛み、腫れが続く
  • ほぼ毎週のように大量・頻発
  • 発熱・強い倦怠感など全身症状
  • 片側だけの強い腫脹や違和感が悪化

医療機関では吸引除去・洗浄・投薬などが選択されます。最終手段として扁桃摘出が検討されることもあります。

再発を減らす4つの習慣

  1. 鼻呼吸と保湿:就寝時テープ等で口乾燥を防ぐ/室内湿度40〜60%
  2. こまめな水分:唾液の自浄作用を維持
  3. 舌苔・歯間ケア:磨き残しとVSCの源を減らす
  4. 食習慣の見直し:刺激物・アルコール過多を控える

セルフチェック(3問)——自宅ケアで続けて良い?

  1. 痛み/出血はない(ある→受診)
  2. 頻度は月数回以下(毎週レベル→受診)
  3. うがい/蒸気で改善傾向(悪化→受診)

受診の流れと費用の目安

  1. 問診・視診:症状の頻度/量/発熱の有無を確認
  2. 処置:吸引除去・洗浄・必要時に薬
  3. 再発対策:鼻炎治療・生活指導

費用は地域・保険条件で変動します。詳細は受診先に確認してください。

よくある質問

Q. 「ためしてガッテン」の取り方は真似してよい?

A. 方向性(押し出さずやさしく促す)は安全側ですが、高圧/高温/器具圧出はNG。痛み・出血・頻発があれば受診を。

Q. 綿棒やピンセットで押し出してもいい?

A. 推奨しません。粘膜損傷と感染のリスクが上がります。

Q. 取ってもすぐ再発します…

A. 乾燥・口呼吸・後鼻漏・食習慣など原因の同時ケアが必要です。

Q. 朝や入浴後に取れやすいのはなぜ?

A. 湿度と温度でふやけて外れやすいタイミングだからです。

Q. 片側だけ・黒い・見えない等のケースは?

A. 片側の強い腫れや出血などは赤旗。鑑別や状況別ガイドを参照し、必要時は受診しましょう。

参考・注記

  • NHK「ためしてガッテン」2014年10月22日放送回で「臭い玉(膿栓)」を扱った当時の告知・記録が残存。現在は公式詳細ページに掲載なし(本記事は番組紹介を推奨・提携の示唆とせず、注意喚起の文脈で引用)。
  • 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会、大学病院の解説ページ等を参照。
  • 医療上の判断は専門医へ。本記事は一般的な情報提供です。

参考文献・参考リンク


おわりに
膿栓に悩んでいる方が、この記事をきっかけに少しでも症状が改善できれば幸いです。自分でできる対策を地道に続けながら、気になる症状があれば早めに専門家へ。快適な毎日を取り戻しましょう。

うがいで膿栓を予防する